インフィニット・ストラトス 〜月夜が照らす亡国者〜 作:セイイ
時は9月下旬
IS学園では文化祭が行われていた。
外部から様々なお客様、IS学園に入学希望の中学生や、生徒の両親など老若男女があたりを賑わせていた。
一組では、メイド喫茶をおこなっており、その目玉である唯一の男子生徒である二人を見に
お店には長い列をなしていた。
「いらっしゃいませ、お嬢様・・・」
「きゃぁーーー 心月くん!!」
「やっぱいいわぁ」
「こちらへ・・・」
篠ノ之心月はお客様を案内していると一人の女性が近づいてくる。
「あの・・・すいません、ここに織斑一夏さんはいらっしゃいますか?」
「あぁ、巻紙さん待ってましたこちらへ・・・」
そう、彼女はファントムタスクの実働部隊所属のオータムだった。
二人は密かに誰にも聞こえないように会話す。
『うまくやってよ?オータム』
『わかぁてるって』
「一夏くん・・・・」
「うわぁ!?」
「ふん!」
オータムを一夏の元へ案内すると
なぜか一夏は床に倒れこんで、鈴が怒こったように店を出て行った。
「・・・・・・なにやっている?」
「いやぁ・・・あははは」
「ふーん、あ こちら前紹介したIS企業の巻紙さん」
「こんにちわ、織斑一夏さん」
「はぁ・・・」
「では、私は接客があるのでお二人で・・・」
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「さて・・・」
心月は執事服からIS学園の制服に着替え、端末を開く。
そこには文化祭のスケジュール表が映し出される。
「・・・・・・なんなの?このイベント・・・」
彼はメインイベントであろう参加型演劇の内容に少し困惑した。
一夏の王冠を手に入れると、ルームメイトになれる・・・。
なんだこれ?と心の中で思ったのであった。
「あの・・・心月・・・」
簪とバッタリ出会い呼び止められる。
「ん? あぁ簪ちゃんお久しぶりね・・・どうしたの?」
「あの・・・一緒に、文化祭まわらない?」
「・・・・・」
彼は少し、考える。
今 作戦中だが断るのも不自然だ。
「?」
その様子を不安そうに見つめる簪の視線に気がつき、ある作戦を思いつく。
「いいわよ、じゃあいきますか」
「あ・・・」
心月は簪の手を取り、そのまま人気のないところへ連れていく。
『すまん、しくじった・・・』
脳内通信にオータムの通信が入る。
どうやら、一夏に修理の件を断られたらしい。
『断られたのね、まぁ予想どうりよ』
『・・・どぉする?』
『第二アリーナで変なイベントに一夏くんも強制参加するみたい。隙を見て更衣室へ引きずってでも連れて行って。』
心月は簪に気づかれないように次の作戦をポケットの中から端末で送る。
『・・・データ確認した、わかった』
『M聞こえる?』
心月は通信を切り替える。
『あぁ、』
『あなたはISの用意をしといて』
『了解』
「心月・・・ここは?」
心月に手を取られそのままついて来られた所は人気のいない、噴水広場
ここは学園内でも知っている人は少なく、作戦を実行するのにちょうど良かった。
「ふふ・・・いいところでしょ?学園内でもこの場所を知っている子は少ないのよ?」
「あ・・うん」
「ここで休みましょ?」
二人は近くのベンチへ座る。
「ねぇ・・・お姉さんとはどう?」
「・・・別に・・・あんなやつ・・・」
「まぁ、あなたの気持ちはわからなくはないわ・・・」
「心月もそう思う?」
「えぇ・・・でも、彼女の言っていることは・・・大体あっているけどね・・・」
突如声のトーンを変え、ポケットから針を取り出す。
「え?」
彼女が気付いた時にはもう遅かった。
その針を彼女の首元に刺す。
針には睡眠薬が塗られており、刺された簪は深い眠りに誘われた。
「ふぁぁ・・・・」
「ごめんね・・・・・しばらく・・・眠ってちょうだい・・・」
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「なんなんだよ!!」
「「「「まて〜〜〜一夏!!」」」」
参加型イベントでヒロインズ終われる一夏は
飾り物のお城の模型の裏側へ逃げこむ
「はぁはぁはぁ、うわ!?」
突如、足を誰かに引っ張られ、そのまま引きづり込まれる。
気がつけばそこは更衣室だった。
周りは真っ暗闇、唯一見えたのは、一人の女性だった。
「いっててて・・・・」
「・・・・大丈夫ですか?」
「あぁ・・・はい・・あの巻紙さん!?」
そこにいたのは先ほど断ったIS企業の女性、巻紙だった。
「えぇ」
「なんでここに?」
「はい、この際だから白式をいただきたいと思いまして・・・」
「・・・は?」
「いいからぁ・・・とっとよこしやがれよ!!」
人間とは思えない怪力で一夏をロッカーに叩きつけ
あまりの衝撃でむせる。
「!? がはぁ!?」
「げほ・・げほ・・・あなたは・・・一体・・」
「私か? 企業の人になりすました・・・謎の美女だよ!!」
突如巻紙の背中かISと思われる蜘蛛のような8本の足が生える。
「!! 白式!!」
一夏はとっさにISを展開し、雪片を構える。
「まってたぜ・・・そいつを使うのを!!」
ビュン!!
足の先からエネルギー弾を発射する。
「!!」
一夏はとっさに回避をしそのまま相手へ突っ込む。
しかし、その攻撃は軽々しく避けれれてしまう。
「ほう・・やるじゃねーか」
「確か・・・心月さんが紹介した・・IS企業の巻紙さんって・・・なんで!?」
「へへ、仕方がなく巻紙って名乗っていたけどよぉ これ見てビビんなよ!!」
彼女は全身に蜘蛛女のようなISを完全に展開する。
「は、IS!?」
「そうさ、『アラクネ』だよ・・・こいつの毒はきついゼェ・・・」
「ほらよ!!!」
蜘蛛の糸のような粘着質のものを腕から発射する。
「は!!」
一夏はそれを切り裂き、距離を取る。
「なんなんだよ・・・あんたは!」
「あ?しられぇのかよ・・謎の組織ってやつかもなぁ・・・」
「ふざけるな!!」
「ふざけてんぇよ、ガキが・・・秘密結社『ファントム・タスク』のオータムって言えばわかるか?」
「ファントムアスク・・・あの無人機と戦った!?」
彼の脳内に、ゴーレムとの戦闘で謎の黒いISが乱入したことが思い浮かぶ。
その際楯無が黒いISに向かって『ファントム・タスク』と言っていた。
「あぁ・・あれね・・・あれも私たちだよぉ・・・まぁあいつは嫌いだけどな!!」
「っく!!」
更衣室という狭い空間で二機ISが激しい戦闘を繰り広げた。
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『ロッカールームにIS出現 白式と交戦中 専用機持ちはISを展開状況に備えてください。』
「オータムのやつ・・勝手に・・まぁいいわ計画の範囲内」
学園のすべてのスピーカーから警告音が鳴り響く。
その中で心月はMとファントム・タスクのIS部隊に指示を出す。
『MとIS部隊出動よ』
『『『了解』』』
「さてと・・・きてVブロッサム」
心月はVブロッサムを展開させ千冬からの指示を聞く。
『オルコットと凰は周回につけ』
『了解!!』
『篠ノ之兄妹、デュノア、ボーデヴィッヒは・・・』
『まってください!学園周辺にIS反応が5機 接近しています!!』
もう来たのか、早いなとと感心する心月
『ふむ・・・デュノアとボーデヴィッヒも周回に!篠ノ之兄妹は織斑の援護』
『『『了解!!』』』
心月は箒と合流せずそのまま、更衣室へ向かった。
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「セシリア くるよ!!」
セシリアと鈴は前方から接近するISに警戒をしていた。
「はい・・・・あれは・・・!?」
セシリアは驚愕する。前方に現れたのは祖国で開発していたIS『サイレント・ゼフィルス』
なぜあのIS・・・と思わず怯んでしまう。
「・・・・・・・」
「BT二号機・・・サイレント・サイレントゼフィルス」
『ムーン、専用機持ちと接触 どうする?』
サイレント・ゼフィルスを展開しているマドカことMが心月に通信を入れる。
『撃退して』
『了解』
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「シャルロット・・あれは」
同時刻、シャルロットとラウラは南側から接近するISに警戒をしていた。
現れたのは4機のIS 一瞬みるとラファール・リヴァイブだが
デザインがよりシンプルで、間近でみると似ても似つかない黒いIS
「あれは・・・ラファール・リヴァイブ・・・いや・・・なんか違う!」
ラウラの画面に、侵入者ISの詳細なデータが表示される
「・・・ラファール・ユルティムだと!?」
「デュノア社が・・・第三世代を・・・」
「シャルロットくるぞ!!」
「!!」
4機の第三世代IS『ラファール・ユルティム』が戦闘態勢にはいる。
それに応戦するようにラウラ、シャルロットも交戦を始める。
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「くは・・・・」
さらに同時刻、一夏は『アラクネ』の糸に捕まってしまった。
「あーあー捕まってやんの・・・」
「ぐぅ・・離せ」
「誰が・・・さてと、さっさと白式だけを・・・もらうか・・」
一夏の胸に謎の機械をつけられ、一夏に激痛が襲った。
「ぐあぁぁぁああああ!!!」
身体中に電撃が走る。取り付けた機械はISの操縦者だけを灰にする殺人兵器だった。
「はははは、どーだ苦しいか?痛いか? お前には用はないから殺してやるよ・・・!!」
「あら・・・それは困るわ・・・一夏くんは私のお気に入りだもの。」
「っち、もう来たか。」
一人の少女が聞こえオータムは振り向く。
「楯無さん・・・」
そこにはIS学園生徒会長の更識楯無がいた。
「私はこの学園の生徒会長、故にそのように振る舞うのよ?」
「はぁ?何言ってんだてめぇ・・・死ねぇええ!!」
オータムは無防備な楯無の腹部を手刀で貫く。
「!! 楯無さん!?」
「っち、やっぱり・・・偽物か・・・」
しかしオータムは手応えを感じなかった。
「え!?」
「そう・・・気づいたの・・・それは水で作った分身」
楯無だったものは水に変わり消える。
オータムは声の方向を振り向くとそこにはIS『ミステリアス・レイディ』を展開した
本物の楯無がいた。
「っく!?」
「はぁ!!」
ガキン!
楯無はラスティー・ネイルをアラクネに切りつけるが
寸前で避けられてしまう。
「っち」
「あら・・・浅かったわ・・・」
「なめんなぁぁああああ!!」
オータムはそのまま楯無に突っ込み壁に叩きつける。
「ふふ、その程度じゃ・・・私に勝てないわ・・・」
「っち・・・水畜生め!!はぁぁあああああ!!」
エネルギー弾を連続して楯無に打ち込む、逃げ場のない楯無はそのまま
受け続けるしかなかった。
「・・・っく!!」
「ははは、学園最強も大したことねぇな!!」
ドガァァアアアン!!
爆発が更衣室を包む。
「楯無さん!!」
「一夏くん・・・ここはお姉さんに・・・が!!」
「よゆーぶるんじゃねーよガキが!!」
喋らせないように蜘蛛の糸を彼女に巻きつける。
「あーん・・・動けなくなっちゃった・・・」
「今度こそ・・・もらったぜ」
「ねぇ・・・この部屋・・・暑くない?」
「・・・・・・・」
突然の質問にオータムは言葉を詰まらせる。
「気温じゃなくて・・・人間の体感温度が」
「ふーん」
「不快指数ていうのは湿度に依存するのよ・・・湿度、高くない?」
「・・・・・・」
「霧は・・・装甲の隙間から入ってくる・・・」
「!!」
オータムはまさか装甲に入った水分で何かしでかすかと思い
距離を取る。
「そう・・・その顔が見たかったの・・・己の失策を知ったその顔をね・・」
しかし、オータムは少し考え・・・ニヤリと口元をあげる。
「なるほど・・それが清き熱情(クリア・パッション)の正体か・・」
「!?」
楯無はまさかのセリフに驚愕する。
「ふふふ・・・・あはははっはははははっっ!!」
「・・・・!?」
「知ってるよぉ〜 知ってんだよ!!」
パチン・・・・
楯無が指を鳴らせば本来なら水蒸気爆発をするはずの水が
何も反応しない。
「・・・・爆発しない!?」
「ふふ・・・・エネルギー放出・・・」
「!?きゃぁぁああああ!!」
ドガァァアアアアン
突如楯無の後方に高出力のエネルギー弾が降り注ぎ命中する。
「楯無さん!?」
「ぐぅううう」
かなりの威力だったのか、楯無はその場に倒れこむ。
そして霧の中からゆっくりと巨大な盾を持ったISが近づいている。
それは、一夏も知っている機体だった。
「ごめんなさいね・・・水のナノマシンに通してるISエネルギーは全て・・・このIS用シールド『イージェス』に吸収されたわ・・・ナノマシンにエネルギーが供給されなければ爆発しない・・・でしょ?更識さん?」
白に薄紫のラインの機体
そして特徴的なオネエ口調の男性
「心・・・月さん?」
そう、篠ノ之箒の兄、心月だった。
「オータム あなた油断しすぎよ?」
「ムーン・・・うるせぇ、黙れ・・・!!」
「うぅ・・・・・」
オータムが糸で楯無を締め上げる。
「心月さん・・・なんで・・・楯無さんを・・・なんでそいつと・・・。」
一夏は抜け殻のような声で質問する。
「・・・オータム、あなたは彼女を連れて撤退しなさい SEも残り少ないでしょ?」
「・・・っち わかった」
オータムは楯無を連れ、天井に穴を開け離脱する。
「やっぱり、上手くいかないものね あの子も随分強敵だったわ」
「でも、それももう今日でおしまい」
「心月さん・・・・あんたはいったい・・・」
「いいわ、冥土のみやげに教えてあげる・・・私はファントムタスクの『ムーン』よ」
「ムーン・・・ファントムタスク?」
ゆっくりと近づき、オータムが胸に仕掛けた殺人マシーンを起動する。
「ぐあぁあああああああああああああああ!!!」
おっと、と声をお漏らし、心月は殺人マシーンをとめる。
「あぁ、そうだった・・・この子が死ぬと 箒ちゃんが悲しむんだ、いけないけない」
「・・・・・・はあはぁ」
「さてとついでにデータをもらうかな・・・・」
心月は端末を取り出し白式につなぎデータを抜き取る。
「・・・・・・・」
一夏は先ほどの電撃で意識が朦朧としていた。
抵抗は出来なかった。
「はぁああああ!!」
「ふん!!」
心月は何者のかの攻撃を素早く盾で受け、一夏から距離を取る。
そして、攻撃をしかけてきた赤いISを確認する。
「・・・・・・箒ちゃん」
そう赤いIS 紅椿こと箒が心月に剣を向ける。
「兄さん・・・いったいこれはどういうことですか?」
「みての通りよ・・・邪魔しないでね、あなたと戦いたくないわ」
「兄さんは・・・・兄さんは私たちを騙したのかぁぁああ!!」
箒の怒号が更衣室に響き渡る。
「・・・・・・そうよ」
「兄さん・・・どうして・・・どうしてなんだ!!!!」
箒は怒りに任せ、心月に斬りかかる。
「っは!!」
しかしその攻撃も『イージェス』によって受けてめられる。
「どうして!どうして!どうして!どうして!!」
ガキンガキンガキンガキンガキン!!
容赦なく切りつけるが心月には効かない。
「・・・・・・」
「答えろ兄さん!!答えてくれ!!」
「・・・・私はファントムタスクとともに世界を破壊するの!!ただそれだけよ!!」
イージェスから刀を抜き出して居合切りのごとく箒に切りつける。
「がぁ!?」
「ほうき・・・・」
「箒ちゃん覚えている?私が剣道をやっていた頃・・・あなたは私に勝ったことなんて一度もなかったわよね?」
「っく!!それは昔のことだ!!」
箒は一夏のそばまで行きそのままワンオフアビリティーを使う。
「・・・・・・『絢爛舞踏』!!」
「!?」
白式SEがみるみるうちに回復していき、自力で蜘蛛の糸を切る。
「一夏・・・こいつを・・・・こいつを倒すぞ」
「はぁはぁ・・・箒」
「っく!!」
心月は刀を構える、かつての仲間だった・・・一夏と妹の箒に向けて。
後編へ続く・・・・