インフィニット・ストラトス 〜月夜が照らす亡国者〜   作:セイイ

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第5話 彼はオカマではない。

「あ、織斑先生。ちょっといいかしら?相談があるの」

 

朝、寮の廊下で千冬を待っていた。私の部屋の盗聴器と監視カメラの件である。

 

「ん?篠ノ之兄、お前が相談なんで珍しいな。」

 

「ここでは話ずらい話なの・・・」

 

「・・・わかった。生徒相談室を開けておく、昼休みに来い。」

 

「ありがとうございます。」

 

千冬は、昔からの付き合いだ。私を信用している。

今回はその 信用 を利用させてもらう。

 

お礼を言いその場から立ち去ると、私は食堂へ朝食をとりにむかった。

 

今日も和食を注文した。

 

そのあと、箒と一夏も食堂へやってきた。

 

「おーい! 箒ちゃん!一夏くん」

 

「あ!心月さん!おはようございます。」

 

「おはようございます。兄さん」

 

二人は注文した料理を受け取り、私と同じ席に座った。

一夏は少し体をかばいながら座っていた。

 

「一夏くん、怪我をしたの?」

 

「いやぁ、筋肉痛でさ〜」

 

そう言いながら苦笑いをした。

箒ちゃんと一緒に朝稽古を始めたらしい。

 

「鍛錬を怠っているからだ、まったく」

 

「あはは・・・・」

 

「頑張りなさい一夏くん、あなたの今の実力っでは、箒ちゃんを任せられ無いわ。」

 

箒ちゃんが一夏を好きなのは正直言って、認めて無い。

まだ彼は弱い。箒ちゃんを守るなんて無理だ。

 

「もちろんですよ!」

 

まっすぐな目をして答えた。そのまっすぐさに、私は少しムカついた。

 

 

「・・・期待するわ」

 

三割くらいね。

 

「それより箒ちゃん!!!」

 

「な・・・なんですか?」

 

「今日の分の箒ちゃんエネルギーを充電させてちょうだぁぁぁあああいい!!」

 

勢いよく箒ちゃんに抱きつく。そして、匂いを嗅ぐ。

 

「スーハー スーハー スーハー いい匂いだよ〜〜箒ちゃん!!」

 

「食事の邪魔です!!」

 

ドガン!!鉄拳を顔面にもろに食らった。

 

「あぁはん!? 箒ちゃんひど〜い!!」

 

 

 

朝食をとったあと、三人で教室へ向かった。

教室に入るとクラスメイトが噂をしていた。

 

「おはよう、篠ノ之くん、織斑くん、聞いた?二組のクラス代表が変わったって。」

 

クラスメイトの相川さんが話しかけてきた。

 

「え? クラス代表が?」

 

一夏が驚いた。

代表者が変わるってことは、それ相応の実力者が現れたってこと。

おそらく、昨日の転校生だろう。

 

「おそらく、転校生かしら?。」

 

「さっすが篠ノ之くん。そう!中国の代表候補生だって」

 

確定した。

 

「中国・・・・」

 

一夏が考え込む。

そうか、昨日一夏の幼馴染と言っていたな。

 

「でも、今のとこ専用機持ちは一組と四組だけだから余裕だよう」

 

それはない、国が代表候補生をこのIS学園に胸を張って送り込めるほど、彼女には実力があるし、確実に専用機持ちだ。

そう簡単に優勝させてくれ無いだろう。

 

「その情報古いよ!!」

 

一人の女性の声がクラスに響き渡る。

 

「二組も専用機持ちがクラス代表になったの、そう簡単には優勝できないから」

 

鈴だ。宣戦布告・・・いや、それを装って、一夏に会いに来たのだろう。

 

「鈴・・・・お前鈴か!?」

 

一夏が驚く。

 

「そうよ! 中国代表候補生 凰 鈴音 今日は宣戦布告に来たわけ!」

 

 

 

「っくなんだ、一夏と親しそうに・・・」

 

箒ちゃんが悔しそうな表情をする。

おのれ一夏。許さん。

 

「似合わねーぞ、鈴」

 

「ちょ!?なんてこと言っているの!!」

 

鈴が怒ると、その後ろに一人の女性が立っていた。

そして、頭にチョップを繰り出す。

 

「あいた!?なんなの・・・・よ」

 

鈴の顔が真っ青になる。チョップをしたのは、織斑千冬だった。

 

「なにをしている、時間だ。クラスに戻れ」

 

「あ・・・・はい・・・千冬さん」

 

「織斑先生だ。」

 

「また来るわ!逃げ無いでよ一夏!!」

 

そう言い残し、鈴は一組をあとにした。

 

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昼休み、私は弁当を早めに食べ終わらせて、生徒相談室へ向かった。

 

「来たか、篠ノ之兄」

 

「すみません、お待たせしました。」

 

「いやいい、入れ。」

 

相談室に入り、私は単刀直入で言った。

 

「私の部屋に、監視カメラと盗聴器がありました。」

 

「・・・なんだと!?」

 

そう言い、私は、洗濯をして水没させた、壊れた盗聴器を出した。昨日の服に付けられたものだ。

 

「偶然に発見しました。もしかしてと思って、部屋中を調べたら、監視カメラと盗聴器があって・・」

 

「そうか・・・・一体誰のしわざだ。」

 

「おそらく、うちの生徒会長です。」

 

「更識 が・・・・・・」

 

「昨日、彼女に会いました。何か私を調べているとかなんとか。」

 

「・・・・・束についてか?」

 

「おそらく・・・」

 

もちろん違うが、あえてそう答える。

そして続ける。

 

「憶測だけど。私から、なにかしらの姉への手がかりを探っていると思うわ。

確か、彼女の家がそいう組織だとか・・・・」

 

「ふむ・・・・・お前の憶測はほとんど当たるからな。おそらくそうだろう。」

 

信用というのは、時に強大な味方をつけることができる。

あいつと仲が良かった、彼女がなにかしらの力を持つことは予想できた。味方につけて正解だった。

 

「どうにかできませんか?」

 

「別の部屋を用意する。更識には私から言っておく。」

 

「ありがとうございます。助かります」

 

「いやいい、お前には昔から助けられた。せめてもの恩返しだ。」

 

利用できるものは全て利用し、任務を遂行する。それが私だ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あの、心月さん」

 

放課後、私は帰りの身支度しているとセシリアに話しかけられた。

 

「ん?どうかした?」

 

「まだ謝罪をしておりませんでしたわ。あの時は、もうしわげございません。」

 

クラス代表を決める時のことだろう。

 

「いいのよ。気にしていなし、逆に謝りに来たから、好感度が上がっちゃった。」

 

そう言って私はくすりと笑う。そして一つの作戦を思いつく。

 

彼女を味方につけよう。

セシリアは貴族、彼女を取り込めば、なにかしらの力になるだろう。

 

「そういえば、この後、放課後時間あるかしら?」

 

「え///放課後ですか?」

 

「うん、ちょっとISの訓練のお手伝いをして欲しいの。どうかしら?。」

 

私の弱点である、『死角からの全方位攻撃』を克服するために、彼女のBTを使った練習がしたかった。

 

「は///はい! 喜んで」

 

顔が若干赤くなり、少し呼吸が早まった。これは案外、取り込むのは楽そうだ。

 

「じゃあ、行きましょう」

 

「あの、私たち二人だけですか?」

 

「ふふ、そうよ?今は、あなたが必要なの」

 

「え///」

 

「さぁ、いきましょ?セシリア」

 

「あ、ハイ!行きましょう心月さん」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

セシリアとの訓練が終わり、整備室でISのメンテナンスを始めた。

 

現在の武装、対IS用シールド『イージェス』と刀剣では正直心許ない。

私のIS『Vブロッサム』はこう見えてもSE量が一般のISに比べて少ないのだ。

 

シールドに2割ほどのSEをまわしているからだ。

 

現状、複数の敵を相手にした場合、さすがの私も不利ということはわかる。

そろそろ、射撃系の武器を取り入れたいところだ。

 

武器カタログを見ても、良さそうなものがない。

 

こうなったら、自分で装備を作るか。

 

私は、専用の端末で、新装備の設計を始めた。

 

高速で端末に入力をしていると、視線を感じた。

 

その方向を、見てみると、水色の髪の毛、メガネが特徴の女性がこちらを見ていた。

彼女もISの整備をしているようだ。

 

「何かようかしら?」

 

「!・・・・別に」

 

彼女を知っている。『更識 簪』日本の代表候補生で楯無の妹だ。

『更識』といっても、ほとんど暗部とは関わりはないようだ。

 

「あなたもISのメンテナンスかしら?」

 

「・・・・・作っているの。」

 

まさかのセリフが出てきた。ISを作るだと。

 

「一人で?」

 

「・・・・うん」

 

一人でISを組み上げるなんて、難しいことだ。

 

「なぜ?その機体・・・倉持技研のISよね?」

 

「・・・・あなたには関係ない。これは、私の問題」

 

「・・・・・・・」

 

第3世代型IS、打鉄の後継機『打鉄弐式』は倉持技研が開発していたはず。ん?たしか『白式』も同じ開発元だったな。

おそらく、開発スタッフを白式に取られたんだろう。かわいそうに。

 

頑張って代表候補生になったのに、自分のISを未完の状態で渡されるなんて。

世の中理不尽だ。

 

「私が手伝いましょうか? 私は『篠ノ之心月』篠ノ之束の弟よ?」

 

「・・・・・篠ノ之博士の弟?」

 

「うん、こう見えても、ISの整備関係のことも、得意分野よ?」

 

メンテナンスぐらいは一人でできるし、武器も一応作れる。あいつ、譲りだ。

 

「・・・大丈夫・・・一人でやる。一人でやらないと意味がない。」

 

彼女は一人で開発することにこだわっている。

 

「なぜ?」

 

「私の姉がそうだったから。」

 

楯無が自分でISを作ったていうことか。

 

「・・・・・・そう、なら好きにしなさい。でも困ったら是非、私に相談してちょうだいな?」

そう言い残した。武器の設計を終わらせ

Vブロッサムを待機状態に戻し、整備室をあとにした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

寮に向かっていると、また気配を感じた。前と同じ場所で。

 

「はぁ・・・なんのようかしら?生徒会長。」

 

楯無、また彼女だ。

 

「妹にあったみたいね・・・」

 

「やっぱり、あなたの妹なのね? 少し似ていたからわかったわ」

 

「・・・・当然よ、可愛いでしょ?あの子」

 

「箒ちゃんほどではないわ。」

 

箒ちゃんが一番、反論は認めない。

 

「ところで。まだ私を疑っているの?」

 

「当然よ。それと、よくも織斑先生にチクったわね。あの後大変だったのよ?」

 

「知らないわ、ストーカーをするあなたが悪いのよ?訴えるわよ!」

 

激怒した。もちろん演技だ。

 

「・・・いずれ私が、あなたの正体を暴くわ。」

 

そう言うと、楯無はぞの場を去った。

 

これは、冗談抜きで、抹殺する必要があるかもしれない。

面倒なことは避けたいのだが。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日の放課後、アリーナで一夏と模擬戦を行った。

一夏が、対抗戦までの練習相手として私に頼んできたのだ。

 

箒ちゃんも参加するとは言ったものの、訓練機の使用許可がまだ降りていないため、観客席で模擬戦の様子を見守っていた。

 

男子が模擬戦をやるっという噂が全生徒に伝わり、いつの間にはアリーナには観覧客でいっぱい集まっていた。

 

『きゃー、織斑くん頑張って!!』

 

『あんな、オカマ やっつけちゃって』

 

「誰がオカマよ!!!」

 

思わず叫んでしまった。

オカマではない、オネエだ。同性愛者ではない。

 

「すごい集まってるな・・・何かあるのか?」

 

「多分私たちの模擬戦を見に来たのよ」

 

「マジで!?」

 

「それにしても、何かあった? 突然、私に模擬戦を挑んでくるなんて。」

 

「ちょっとな、絶対に負けたくない奴がいるんだよ。」

 

「負けたくない奴?まぁいいわ」

 

後から箒ちゃんに聞いたのだが、どうやら、中国の代表候補生と喧嘩になったらしい。

 

とりあえず私は、シールドから刀を抜き出す。

 

「さぁ、来なさい。模擬戦といっても手加減はしないわ。」

 

「あぁ・・・全力でこい!」

 

一夏も白式を展開し雪片を構えた。

 

「うぉぉぉおおおおお!!!」

 

正面から一気にこちらに接近した。

 

「はぁ!!」

 

盾で雪片を弾き、腹部に一撃入れる。

 

「うわぁぁぁ!!」

 

アリーナの壁に激突した。振動音がアリーナ全体に響き渡る。

 

「動きが単純よ、私に捌いてくださいって言っているの?」

 

「ぐ・・・クソ!!」

 

一夏は立ち上がり、再び私に、接近した。

 

「うぉぉぉおおお!!!」

 

「ふん!!」

 

今度は刀で攻撃を受ける。ギギギと互いの剣から流れ出るエネルギーで火花が発生する。

スペック上、白式の方が馬力が強いのか、私は若干一夏に押される。

 

「やるわね!でも、まだまだよ!」

 

私は、盾を一夏の腹部に投げつける。

 

「ぐふ!?」

 

ひるんだ隙に私は、一夏の再び斬撃を食らわせた。

 

「ぐわ!!」

 

「目の前に集中し無いで、相手をよく見るの・・・。」

 

「っく・・・!」

 

そう言って一夏は再び剣を構える。

 

「・・・・・・来なさい、打ちのめしてあげる」

 

私も銃を構える。

 

「うぉぉぉぉおおお!!!」

 

「遅い!!」

 

接近する一夏の攻撃を避けては、斬撃を繰り出す、。それを何度も何度も繰り返し

一時間ほどで、一夏は体力切れ、ISを解除しその場に倒れた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・」

 

「相手が悪かったわね一夏くん? 今の武装では私には勝てないわ。」

 

近接戦闘ではイージェスがある分有利だ。射撃武器の一つや二つをつけないと、私の攻略は難しい。

 

「ちくしょう、さすがだぜ心月さん。 いつか、勝ってやるぜ。」

 

期待しないで待っているよ。

 

「まぁ、せいぜい頑張りなさいな。」

 

そう言い残し、一夏を置いて、私は更衣室へ向かった。

 

 

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