インフィニット・ストラトス 〜月夜が照らす亡国者〜 作:セイイ
私の兄『篠ノ之心月』は、大切な人である。
困っている時、悩んでいる時、悲しい時、
いつも私のそばにいて、助けてくれる。
最初は、いつも必要以上に擦り寄ってくるし、ウザいやつだと思っていた。
しかし、小学生の時の放課後、私のこのような性格のせいで、同級生の男子にいじめられていた時のことだ。
「おい!男女(おとこおんな)〜、今日は木刀持っていないのかよ?」
「っく」
「箒ちゃん、遅いから迎えに来たわよ?」
「兄さん・・・・」
私がいつまでたっても、靴箱に向かわないから、兄が迎えに教室まで来た。
「おいおい、男女の兄だってよ? 変な口調だな、男女の兄は女男か〜〜〜」
「兄妹そろって、変なの〜〜」
「そういえば、知ってるか? こいつ織斑からもらったリボンをつけてたんだぜ?」
「うわ、きも!男女のくせに〜〜」
バコン!!
そう言い放った瞬間、男子に向かって、兄は拳を振るった。
「何言ってんのあなたは!! 可愛いいに決まっているでしょう!!!」
「・・・兄さん!?」
「うわ!?、先生に言いつけてやる。」
「言えるもんなら言いなさい。でも怒られるのはあなたたちよ?」
「っち・・・覚えてろ!!」
そう言い残し、男子生徒達は逃げるよに教室を出た。
「次、箒ちゃんの悪口を言ったら、地獄へゴー・トゥ・ーヘルよ!!」
兄は、私の元に来て、そっと抱きしめた。
「な・・・なにをする!!」
抵抗する私を無視し、兄は私の頭を撫でた。
「あんな、頭の悪いやつの言葉なんて気にしなくていいのよ?」
「・・・・・はなから気にしてな・・・」
話している最中に兄は人差し指で私の口を止めた。
「私はね、あなたに可愛くなって欲しいの。あんなくだらないことで自分を彩るのをやめてほしくないわ」
「・・・兄さん//」
わかっていたことだが、私は愛されていた。この時その愛を実感することができた。
その日から、私は、愛する者、愛してくれる者を守るために強くなりたい、と考えるようになった。
もちろん、兄の言ったとうりに、オシャレもするのだが、少し照れくさかったりする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
クラス対抗戦当日、私は、校外に出ていた。もちろん無許可である。
学校の方には風邪をひいたと嘘を言った。
学園の島が見える、山の頂上で、私は あいつ が送り込んでくるISを待っていた。
「ムーン、持ってきました。」
組織の下っ端が現れて、私にアタッシュケースを渡してきた。
「ご苦労様、あなたはここで待機してちょうだい。」
「了解」
アタッシュケースを開くとそこには、ISの待機状態が入っていた。
暗い紫色の指輪
第三世代IS『ファイティング・デビル』
ファントム・タスクの『ムーン』としての私の専用機である。
ロシアで密かに開発していた新型ISを組織で強奪し改造したものだ。
「来なさい『ファイティング・デビル』」
ISを展開した。
ファイティングは通常のISの2倍くらい巨大で、。
背中には蛾の羽のようなスラスター、肩と腰、顔には装甲が付いているが、その以外に部分は柔軟な人工筋質に包まれており
頭部は、まるで悪魔の女性を模したような仮面が付けられている。
その姿から、別名『悪魔』と呼ばれていた。
しかし、個人的には、厨二くさいデザインなので、あまり好きではなかったりする。
『IS反応を確認』
学園上空にIS反応が出た。
「・・・・来たわね」
アリーナが爆破し、黒煙が上がっているのを肉眼で確認した。
スラスターの出力を上げ、アリーナに向かった。
観客席が閉ざされており、一体の所属不明のISが鈴と一夏を襲っていた。
『鈴!! あぶねぇ!!』
『きゃぁ!?』
未確認のISが高出力の高いビームを放つ。それを察知した一夏は鈴にお姫様だっこをして、かわした。
うかつに攻撃するよりも、まずは様子を見る。
未確認ISと一夏達との戦闘を観察して、あのISを分析する。
一つ、未確認ISの行動が一定、なにかしらの、クセがない
二つ、一夏達が会話している間、動かない
三つ、生き物の気配がしない。
結論、あのISは、無人機だ。
なんて厄介なものを作ったんだ、あいつは・・・
怒りが、頭を駆け巡るなか
『一夏!!!』
愛する妹の声が聞こえた。
声がする方角を拡大すると、箒ちゃんがアリーナに出ていた。
『男なら・・・男なら・・・その程度の敵に勝てなくてなんとする!!!』
なにやってんのあの子は!!
無人機がその声に反応し、腕のビーム兵器を箒ちゃんに向ける。
『まずい箒!?』
一夏が気がつき、彼女を庇いに行く、しかしあの速度では間に合わない。
行かなきゃ、愛する箒ちゃんを守るために!!
「はぁぁぁぁぁあああああ!!」
最大速度で、箒ちゃんの元へ行く。
『箒ぃぃぃいいいい!!!』
一夏が手を伸ばすが、無人機のビームの方が速かった。
おそらく彼は、間に合わないと思ったのだろう。
「させない!!」
箒ちゃんの前に立ち、ビームを薙ぎはらう。
「!?」
「なんだ!?」
一夏と鈴は驚いている。当然だろう。目の前に、もう一機未確認のISが現れたのだから。
『そこの、女・・・怪我をしたくないなら離れろ』
加工音声が響く
「あ・・・・あぁ」
箒ちゃんが、ピットに戻るのを確認し戦闘態勢に入った。
「はぁぁああああ!!」
無人機に向かって行く。無人機はビームを撃ち応戦したが、それを薙ぎ払いながら進む。
両腕両足にエネルギーやビームを弾く特別な素材を施してる。
ビームやレーザー、銃弾などに、パンチなどの近接攻撃を加えると、SEが減ることもなく攻撃を跳ね返すことが可能なのだ。
それがこのIS『ファイティング・デビル』の最大の特徴。
右手に、エネルギーを充填させる、右腕が筋肉のように膨れ上がり、一気にパンチを腹部に繰り出した。
ドガァァアアン と命中し、打撃音が響き、その刹那、衝撃波がアリーナを襲う。
無人機が吹き飛ばされ、アリーナの壁に大穴が開く。
「なんなのよ! もう一機!?」
「でも、あいつ、あの無人機を倒したぞ!?」
その通り。一夏達がSEをある程度削ってくれたおかげで、無人機は、木っ端微塵となっていた。
最大出力で打ち込んだから、当然だ。
「・・・・・・・・・・・」
私は、バラバラになった無人機から、コアを取り出した。
任務完了である。
飛び去ろうと瞬間。
「待ちなさい!ファントムタスク」
女性が私を呼び止めた。
生徒会長、楯無である。
「そのIS・・・ロシアで、奪われた『ファイティング・バタフライ』ね?」
改造前のこのISの名前だ
「あんたは?」
一夏が問う。
「生徒会長様よ? あなたたちは下がって。」
センスを広げ、そこには『学園最強』と書かれていた。
「しかし!」
一夏が反論しようとする。女を一人で戦わせたくないだろう
「下がりなさい、足手まといよ」
「・・・・一夏、言うとうりにしよう。」
「・・・・あぁ・・・」
確かに、楯無は、学園最強であって、ロシア代表。
彼らとの実力の差はかなりのものだ。
鈴と一夏は、楯無の言葉を素直に聞き入れピットに戻った。
楯無が出てくることは予想していた。だからこそ、『Vブロッサム』ではなく
顔、体が隠れるタイプの『ファイティング・デビル』を使ったのだ。
『邪魔をするなら、お前も倒す。』
加工した声が響く。特定されないようにいつものオネエ口調では話さない。
「いいえ、倒されるんはあなたよ?」
そう言って楯無がISを展開する。
楯無の第3世代型IS『ミステリアス・レイディ』
他のISに比べ装甲が少ないが、それをカバーするように左右で浮いている「アクア・クリスタル」
というパーツからナノマシンで構成された水のヴェールが展開されていいる。
私は両手をボクシングのファイティングポーズのようなものを取り、戦闘態勢に入った。
『霧纏の淑女』と『悪魔』がそれぞれ、構える。
『はぁぁああああ!!!』
先制攻撃をしようと、一気に接近して、パンチを繰り出す。
水のベールで私の動きを止められ後に回り込もうとしたが、予想どうり。
右足の最大出力の蹴りを、後ろの楯無の顔面めがけて打ち込んだ。
蛇腹剣「ラスティー・ネイル」で攻撃をとめ、武器が凹む。
「っく!! そう簡単には倒させてくれなさそうね」
『当然だ。』
再び接近し、高速連続パンチを食らわせる。
一撃は避けるものの、残りの攻撃は避けられず、ランスで守る。
「はぁぁぁああああ」
彼女も負けじと、射撃攻撃と、近接攻撃を交互に繰り出す。
しかし、射撃攻撃は、ほとんど打ち払われ、近接攻撃も、マダムバタフライの重い攻撃を恐れ、
曖昧なものになっていた。
『そのていどか?つまらない』
「っち!!」
いい戦いの途中だが、あまり長引くと、教員が複数で私を撃退しにくる。早く退散しよう。
『はぁぁぁああああああ!!!』
私は地面にめがけて最大威力のパンチを食らわす。
ドゴォォぉおおおおん!!!
アリーナ全体に砂埃と黒煙が上がる。
「!! 逃がさないわ!!」
逃げることを察した楯無が、私に接近を試みたが、もうその場には誰もいなかった。
「ああん! もう!!」
楯無の悔しい声が、アリーナに響き渡る。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私は学園を後にし、下っ端が待っている山へ到着した。
「お疲れさまです。ムーン」
『任務成功よ』
ISを解除し私は、量子化したコアを取り出した。
そして、専用のアタッシュケースに入れ厳重にロックをし、『ファイティング・デビル』と一緒に下っ端に渡した。
「スコールに伝えてちょうだい。報酬楽しみにしているって」
「わかりました。」
そう言い残し、下っ端は止めてあった黒い車に乗り込みその場を後にした。
「さて、急いで帰らなくちゃ。」
私は止めてあった。自分のバイクに乗り、学園へと向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
寮に到着し、自分の部屋に戻ると。一人の女性が私の部屋の前に立っていた。
「あら?心月さん、ご具合は大丈夫ですの?」
「あはは、大丈夫良くなったわ、外が騒がしかったから、様子を見に行ってたのよ。」
「未確認のISがアリーナを襲撃しましたの。対抗戦は中止されましたわ」
「そんなことが・・・・」
もちろん知っている。
「あ、そうですわ。私、心月さんのお見舞いで、サンドイッチ作りました。」
と言うと、セシリアは手に持っていた弁当箱を私に見せた。
「ありがたいわ!。朝から何も食べれなかったの」
そう言って私はセシリアを部屋にあげる。
セシリアはちょっとだけ顔を赤くさせて、テーブルの上でお弁当箱を開いた。
なぜかサンドイッチが光っていた。まるで、宝箱から金塊がでできたかのように。
「あら、おいしそうね」
「ありがとうございます!」
私は、サンドイッチを一つ手に取り、一口それを口の中に入れた。
私の中で、何かが超新星爆発をした。その威力で思考がまるで、ブラックホールに吸い込まれるように離れていく。
気絶しそうになった。
しかし なんとか堪え、冷静に分析した。
「この匂い・・・香水かしら?」
正直これしか正体がわからなかった。
「そうですわ! ちょっと匂いがなかったので、かけましたわ」
「お馬鹿!!!!」
思わずテーブルを叩いてしまった。
「へ!?」
「香水は食べ物じゃないわ!! それとマズイ!とにかくマズイ!死んでもマズイ!!マズイマズイマズイマズイマズイ!!!!」
不思議なことにマズイと言う言葉を連発していないと、自分の口に残っているサンドイッチの味か消えなかった。
「そ・・・そんな・・・」
セシリアもさすがに涙目になる。私も少々いいすぎたような気がする。
「いいわ、やってやろうじゃない!!」
そう言ってセシリアの腕を掴み、キッチンへ引っ張る。
「し・・・心月さん?」
「私が二人っきりで、料理を教えてあげる!! うまい料理が作れるまで、寝かせないわ!!!」
「え///二人きりで、ですか////」
「こ・・・・こうでうすか・・・?」
「ダメよ・・・・もっと優しく握って・・・・」
「ん・・・・こう・・・ですか?」
「いいわ・・・・その調子・・・・」
「はい・・・・・・」
「あ・・・なかなかうまいわね・・・・」
「でも・・・・・・」
「おむすびに風邪薬入れるのやめなさい!!」
「え? 体にいいと思いますのに?」
セシリアは幸せな時間が訪れると思っていたのだろう。しかし、彼女が料理をつくり、それを食べ、マズイと言う
それを何回も何回も何回も繰り替えし、気がつけば朝になっていた。セシリアの心は、好きな人の『マズイ』と言う言葉で心身ともに傷ついていた。しかし95品目の料理でようやく、『まあまあ』という感想を聞けようやく心が救われたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー