インフィニット・ストラトス 〜月夜が照らす亡国者〜   作:セイイ

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ついでにもう一話を投稿しちゃえ!


第9話 彼女は彼らを恨む

ある程のプログラミングを済ませ、休憩をしに、屋上のベンチに座っていた。

気がつけば太陽が沈み、月が出ていた。 夜風が気持ちい。

 

「し・・・心月?」

 

女性の声が聞こえ、その方をみる。

シャルル・デュノアだ。

 

そういえば、デュノアと工作員として接触するために指定されたとこが、ここだったな。

 

「ど・・・どうしてここに?」

 

さすがに工作員の正体が、情報収集していた男性操縦者なんて、予想できなかったのだろう。

まだ、バラしていないが。

 

「ISの整備の手伝いしていて、その休憩で夜風にあたりに来たのよ。」

 

「ふ・・・ふーん」

 

「あなたは?」

 

「ぼ・・・僕も同じかな・・・」

 

そう言いながら、屋上の手摺りに両肘を置いた。

 

「つ・・・月が・・・綺麗ですね・・・」

 

接触の合言葉を言おうとしているが、それだと告白なってしまう。

まぁ、外人さんだからその言葉の意味はわからないだろう。

 

「月・・・本当綺麗ね・・・」

 

素直な感想を言う。

 

「あ・・・違った。」

 

うん、そのとうりだ。

緊張しているか、彼女の肩はふるふると震えていた。

そのような細かい動作が、スパイ活動では致命的というのに。

 

やっぱり、向いていない。この子は。

 

「え・・と・・今日の月は満月・・・かな?」

 

合言葉だ。返事は決った。

 

 

 

 

私は答えた。

 

「なに言っているの?今日は三日月よ?」

 

正直に答える。

 

「え!? ほ・・・ほんとうだ!あはは・・・」

 

「? どうしたの?変よ?」

 

「だ!大丈夫・・・うん・・・大丈夫」

 

だんだん彼女の表情が曇り、額に汗が滲んでいる。

 

彼女はおそらく、絶望しているのだろう。

 

接触時間はとっくに過ぎているし、協力者は現れない。

これから、一人で情報収集をしなければいけない。

 

誰にも悩みを聞いてもらえず、孤独で、ずっと嘘をし続ける。バレたら国に戻され、独房入り・・・逃げ場がない。

彼女には悪いけど、私は自分の任務を優先させてもらう。

 

「あ・・・そろそろ、部屋に、早く戻ってシャワーを浴びないと・・・一夏が帰ってくるし。」

 

「一夏くんがいてもシャワーできるじゃない?」

 

「は・・・恥ずかしいでしょ!」

 

この子、本当にスパイするつもりあるの!?

そう言い残し、シャルルは早歩きでその場を去った。

 

私は彼女が屋上を出るのを確認し、脳内通信を行った。

 

『こちら、ムーン。いるかしらスコール』

 

『えぇ、どうだった?デュノア社のスパイ』

 

『接触はやめたわ、危なすぎる。』

 

『・・・やっぱりね。いい判断だわムーン』

 

『素人すぎるわ、彼女・・・・よく送り込めたわね。』

 

『それだけ、適任の人を雇うお金がないってことよ?』

 

『まぁいいわ、任務を続けるわ』

 

『よるしくね』

 

そ言い残し、通信を切った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その一時間後、私は一夏に呼び出され、寮にいた。

 

コンコン ガチャ

 

「来たか、心月さん!入ってくれ」

 

部屋に入ると、一夏は近くの椅子に座った。

もう一人、箒ちゃんに代わって、一夏の同室になったシャルルもおり、ベットに座ってた。

ただ少し違和感があった。

 

それは・・・

 

 

シャルルがシャルロットになっていることだ。

 

 

 

男にはあるはずのない二つのボインがあったのだ。

 

 

・・・・・・・バレたんだ。

 

 

 

「一夏くん・・・・これは?」

 

シャルロットの胸をさす。

 

「あ・・・あぁ、実は・・・シャルルが女だったんだ!!」

 

「・・・・・・!?」

 

「ごめんね、騙しちゃって。」

 

知ってました。驚きもしないが、驚くふりをする。

 

「それでさ、協力して欲しいんだ!」

 

「協力?なにかしら・・・・」

 

「このままだと、バレたら国に戻され、シャルルは独房行きだ。俺はシャルルを守りたい・・・だからさ、同じ男同士協力して欲しい。

シャルルを女だとバレないように、サポートするだけでいいから、頼む!!」

 

一夏が両手を合わせて頭をさげる。

『デュノア社のスパイで、私たちの情報を盗んでいた』とは、言わなかったのは彼の優しさだろう。

 

守るね・・・彼にそんな力はあるのかしら。

 

確かにIS学園の所属していれば、規則で国は手を出せず、三年間は安全だろう・・・

 

問題はその後だ・・・。

 

卒業後、スパイ活動をやめ、フランス一番の会社を潰した彼女に待っているのは、 国からの処分だ。

かわいそうに、その後の責任を彼が取れるのか。

 

正直私の知ったことではない、むしろ私たちファントムタスクとってはいい餌だ。

もしかしたら、デュノア社が、死に物狂いで私たちを頼ってくれるかもしれない。

 

そうなったら、資金とISを何機か手に入れられる可能性もある。

 

まぁ、それも個人的にはどうでもいい。

とりあえずこう答えよう。

 

 

 

「もちろんよ、困った時はお互い様でしょ?」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

次の日、私は簪と共に完成した 打鉄弐式の試運転をために、アリーナのピットにきていた。

 

「やっと・・・私のISが手に入った。ありがとう・・・心月。」

 

「いいのいいの」

 

「ううん、お礼を言っても言い足りない、何か・・・何か欲しいものとかある?」

 

「・・・・あなたの笑顔、かしら?」

 

「え/////」

 

「それより早く、起動させて!」

 

「あ、うん」

 

そう言って彼女は右手の中指のクリスタルを起動させた。

 

「おいで、打鉄弐式・・・」

 

簪がISを展開する、私は専用の端末で、打鉄弐式のデータを確認した。

 

「PIC、ハイパーセンサー、コアネットワーク、絶対防御、シールドバリアー。うん、どれも正常だわ。違和感はあるかしら?」

 

「大丈夫、調子いい・・・」

 

「よかったわ。さて、あとは試運転だけね」

 

そう言い端末を閉じる。明日には完璧に仕上がりそうだ。

昨日は、整備科の生徒には徹夜で手伝ってもらった、今度何かお返しをしないと。

 

「・・・・心月、アレ」

 

簪が私を呼びピットの先のアリーナを指をさした。

その先には青いIS。と赤み掛ったピンクのISと真っ黒のISが飛行していた。

 

「セシリアと鈴・・・・それにラウラ?なにやっているのかしら。」

 

数秒にらみ合った末、鈴とセシリアはラウラに攻撃を仕掛けた。

 

「模擬戦・・・かな?」

 

「模擬戦にしてはラウラの殺気が強いわ。さしずめ喧嘩ね・・・」

 

アリーナに爆発が起きセシリア、鈴が地面に落下する。二人の実力でも、ラウラには攻撃一つ食らわせることができていなかった。彼女はかなりの実力者のようだ。鈴が、立ち上がり、龍咆をラウラに打ち込む。

しかしラウラは避けようともせず、バリアーのようなものを展開し攻撃を防いだのだった。

 

「あれは、AIC!?」

 

簪が反応する。

『アクティブ・イナーシャル・キャンセラー』略してAIC・・・

ISの浮遊、加減速を行うシステム『PIC』を発展させた第3世代兵器。能力は対象を任意に停止させることができるというものだ。

 

ラウラは鈴の攻撃を避け、避けきれなかったものはAICで防いだ。

隙をみて、ワイヤーブレードを鈴に巻きつけた。

 

セシリアのBTで攻撃するが、AICでBTの動きを止められる。

ラウラの動きも止まり、セシリアはスターライトで、彼女を狙い撃った。

しかしラウラはレールカノンで応戦、二つの攻撃がぶつかり、爆発が起きる。

 

黒煙で視界が悪くなった隙に、ワイヤーブレードで巻きつけた鈴をセシリアに向けて投げつけた。

二人は激突し、再び二人は地面に落下したのであった。

 

「強いわね・・・彼女」

 

「・・・うん」

 

簪もラウラの実力には驚いた。さすがは軍人と言ったところか。

 

ラウラは二人に急接近する。

鈴が龍砲を撃とうとするが、レールカノンで破壊された。

その瞬間を狙って、セシリアはBTのミサイルをラウラに打ち込み、命中させた。

 

爆発が起きる。

 

鈴とセシリアは無事で、その場から距離を置いた。

 

至近距離でミサイルを・・・無茶をするもんだ。

 

しかし、煙が晴れると、ほぼ無傷のラウラが仁王立ちをしていたのであった。

 

それに驚いた二人に隙ができ、ラウラはワイヤーブレードを二人の首に巻きつけた。

首が閉められ苦しみ、動けなくなった二人にラウラは一方的にパンチ、キックといった近接技で攻撃する。

 

あのままだとSEが持たない。ISが強制解除されると二人の命が危うくなる。

 

それでもラウラは攻撃をやめない、ついに二人のISの装甲が破壊される。

 

「あのままだと危険だわ!簪、ちょっと行ってくるわ」

 

「心月!?」

 

私は『Vブロッサム』を展開しカタパルトに乗る。

 

「ちょっと、見ていられないからね。」

 

「・・・・うん、そうだね。止めに行って、心月。」

 

カタパルトを発進させ、ラウラの元に行く。

私は、刀を盾から抜き出しワイヤーを切った。

ラウラにも切り掛かるが、すぐに避けられてしまった。

 

「シン・・・ゲツさん・・・・」

 

「うぅ・・・心月・・・」

 

ISが解除され、二人が気絶する。

 

「・・・篠ノ之心月か、邪魔をするならお前も倒す。」

 

「美しくないわね。もっと敬意を払って戦えないのかしら?」

 

「雑魚に敬意を払う必要はない」

 

「そう・・・・」

 

私は刀をラウラに向ける。

 

「戦いを望むか・・・いいだろう。返り討ちにしてやる!!」

 

ラウラがレールカノンを撃つ、それをさすがにあれを盾で受けるのは、相当エネルギーを消費する。

ギリギリで交わし、彼女に切り掛かる。

 

しかし、その攻撃はAICによって止められた。

 

「無駄だ!!」

 

「それはどうかしらね?」

 

私はAICを盾で受けており、盾を手放し、そのまま距離を離し背後を周り一気にイグニッションブーストを使背中を切る。

 

「が!?」

 

「AICは相手を視野にれて集中しないと使えないみたいね、盾を囮にさせてもらったわ。」

 

「っく!?小癪な!!」

 

ワイヤーブレードを私めがけて放つ。

私は全身を縛られ、そしてそのまま地面に叩に叩きつけられてしまった。

 

「あぁん!! やったわね・・・・!!」

 

正直彼女はかなりの強さだった。私もこの手の実力者相手は久々だ。

 

「こっちの番だ!!、」

 

ラウラは右腕のエネルギーブレードを私の顔にめがけて突こうとする。

エネルギーをかなり消費するが、手放してスタジアムに落ちた盾を粒子化し、私の前に転送する。

 

ガキンと盾にエネルギーブレードが激突しする。その隙に刀でワイヤーを切り、盾にエネルギーを溜め、集中する。

「覚えたての技使いなさい!!」

 

盾の前が歪み、一気に衝撃波なら裏を襲った。

 

「が!??」

 

ラウラがその攻撃をまともにくらい、スタジアムの端まで吹き飛ばされる。

 

盾の前の空間自体に攻撃を跳ね返す能力を利用し圧縮し放つ。いわば中国の龍砲と同じ原理だ。

ただし、本来の使い方ではないため、エネルギーをかなり消費する。

 

「さて、その隙に・・・セシリア、鈴 大丈夫!?」

 

私は二人の元に駆けつける。声をかけるが返事がない。

 

「まったく、こんなになるまで・・・ひどいことを。」

 

私は二人を抱きかかえピットに戻ろうとした。しかし

 

『兄さん後ろ!!』

 

観客席から箒ちゃんの叫び声が聞こえた。私はそれに気がつき、後ろを向いた。

ラウラがレールカノンをこちらに向けていたのだった。

 

二人を抱えた状態だと応戦できないし、レールカノンを盾で受けるにも残りかなりエネルギーも少なく撃波までは吸収できない。

当たったら二人の命が!

 

「やめなさい!!この二人が見えないの!!」

 

私の言葉を無視し、チャージを始める。

 

「黙れ!!・・・私はまだ、負けられない!!!」

 

チャージが完了し、レールカノンが射たれる。

 

「っく!!」

 

私は、二人を庇い背を向ける。

 

 

『やめろぉぉぉおぉおおおおお!!!』

 

その瞬間、一夏がアリーナのバリアを破り、レールガンの弾を雪片で真っ二つにした

私の両サイドが切り裂いた弾丸によって爆発する。

 

「大丈夫か?心月さん。ここは任せて二人を」

 

「一夏くん! 助かったわ!!」

 

少し、一夏が頼もしく見えてしまった。

私はピッドに戻り、二人を寝かせた。

 

 

 

 

「心月! 大丈夫!?」

 

「簪、二人を保健室へ、頼める?」

 

「うん、任せて。」

 

私は待機していた簪に、鈴とセシリアを任せてアリーナに戻る。

 

 

 

 

「やっときたか・・・織斑一夏!!」

 

ラウラは一夏を誘い出すことに成功し、表情がにやける。

 

「お前・・・自分がなにをやったか わかっているのか!!」

 

「お前に戦いを挑んでいる。」

 

「そうじゃねえ!! けが人を運んでいる人に攻撃するなんて、二人が死んじゃうかもしれなかったぞ!」

 

一夏が激怒する。クラスメイトが殺されかけたのだ無理もない。

 

「関係ない、あんな雑魚一人や二人消えようと、どうでもいい。」

 

「・・・・っく!! そうかよ!!」

 

一夏がついにキレ、雪片を構える。

 

「こい!!」

 

ラウラも右手のエネルギーブレードを構える。

 

二人が加速し、剣がぶつかり合おうとしたその刹那。

 

「やれやれ、ガキの面倒は疲れる。」

 

私がその場に戻った時、一人の女性が、生身で打鉄の剣を使い、二人の攻撃を止めたのだった。

織斑千冬だ。まさか、生身でISの武器を使い ISの攻撃を止めるとは

 

後に彼女とも対立すると思うと戦慄する。

 

「教官!?」

 

「ち、千冬ねぇ!!なぜ止めるんだ!!」

 

一夏は今までに見たことがない、怒りにまみれた表情で、千冬に問いかけた。

 

「織斑先生だ馬鹿者。模擬戦をするには構わないが。バリアーを破壊され、さらには生徒が殺されかけたんだ。教員として、見過ごすわけにはいかん。」

 

「千冬ねえ!!こいつが!こいつが二人を!!」

 

「落ち着け、わかっている。三人ともISを解除しろ。」

 

「わかったわ。」

 

指示に従い、私と二人はISを解除した。

 

解除しても、一夏は険しい表情し、ずっとラウラに向けて殺気を放っていた。こんな彼は今まで見たことがなかった。

私は一夏の肩に手を置く。

 

「落ち着きなさい、一夏くん。」

 

「心月さん・・・・」

 

少し表情が和らぐ。

 

「よし、学年別トーナメントが終了するまで、アリーナでの私闘、模擬戦を一切禁ずる! 解散!!」

 

千冬はアリーナにいる全ての生徒にそう告げた。その後、険しい表情でラウラを見た。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ、お前はしばらく謹慎だ、この後、謹慎部屋に行くように。」

 

「な・・・なぜです!!」

 

ラウラは納得がいかないようだ。

 

「・・・お前は怪我人を連れた篠ノ之に攻撃をした。 十分な理由だ。退学にならにだけでありがたく思え。」

 

「っく!!」

 

ラウラは一夏と私を睨んだ。怒りの矛先を変えたようだ。

一夏もそれに対抗して、ラウラを睨む。

 

「許さんぞ・・・覚えていろ!!!織斑一夏!!篠ノ之心月!!!」

 

アリーナにラウラの怒号が響きわたった。

 

学年別トーナメントまであと四日。

 

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第2章は臨海学校後です。
なぜオネエ主人公だって? Ibのギャリーがカッコ良かったからだよ
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