Eyes of Heaven 艦娘達と透提督 作:東方 上助
透提督「ァア……ハァッ……」
陸奥「あっ……しみた? ご、ごめんなさい」アセアセ
陸奥は長門から透を風呂に居れて洗ってくれと、頼まれ透を洗っていた。
切断された脚の傷口に入ってしまったそうだ。
透提督「アア…」
陸奥「ごめんね。しみるかもしれないけど、我慢してね? 本当にごめんね。本当に……本当に……」
………これがあの提督なの? 背が高くて、いつも笑顔で、優しい言葉を言ってくれたり、頭を撫でてくれたり…………
そんな提督が……私より高かったのに……今は小さい……ヨダレも垂れ流しで……顔もやつれて……あの提督が……
陸奥「頭…洗うね。目に入らないように……あっ……無かったんだっけ……。ごめんなさい」
透提督「……」
ゴシゴシ
陸奥「…えっと…その…。て、提督が出張先にいないと分かった時ね……皆大変だったんだよ?」
透提督「……」
陸奥「演習や遠征や出撃とか、全部中止や取り消しにして不眠不休で提督を捜したんだよ?」
透提督「......」
陸奥「……えっと、鳳翔さんと金剛と榛名が一番提督を心配してたよ。ホント愛されているよね提督は」
透提督「......」
陸奥「頭流すね? 腕とか脚の傷口に入るかもしれないけど、我慢してね?」
透提督「...」
陸奥「……」
透提督「」
沈黙……。シャワーの音だけが鳴り響く。
何か喋らないと……この沈黙が怖い。何か……何か……喋らないと……何でもいいから……何か
透提督「ァァ...ァァ...ァァ...」
陸奥「ん?」
透提督「ハァ...ハァ...ウウ...ァア...アアウ...」
陸奥「……?」
どうしたんだろう? 苦しいのかな? それとも傷口にしみて、痛いのかな?
透提督「コォ...オ...イ...ウ...エ...」
………! 何か伝えようとしている? でも何て喋ってるか分からない。
透提督「ァァ...ァァ...」
どうしよう……何て喋ってるか………そうだ!
陸奥「提督。ここの位置に鏡があるから、ブラシを咥えて何を伝えたいのか書いてみて? 鏡は湯気で書けるから」
透提督「......パク」
陸奥「(提督……一体何を伝えようとしているの? あっ、書き始めた)」
陸奥「……」
陸奥「……」
陸奥「……!!」
コ ロ シ テ ク レ
陸奥「て、提督……」
透提督「......」
陸奥は体が硬直し、頭が混乱した。
陸奥「あっ……あっ……」
提督は殺してくれと今思っているのか? 私に殺してくれと言ってるのか? 一体……何が起こって……
透提督「アアア...」
陸奥「え?」
提督は頭で私の肩に当ててきた。何だ? 口をパクパク動かしてる。
陸奥「……頼むから殺してくれ……」
口はそう動いていた。提督……提督が……そう……望むなら……望むなら…!
陸奥は透の首を絞める。透の胸は速く動く。陸奥は目を瞑り、首を絞めている指を強くする。
陸奥「ごめんなさい……! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
陸奥は謝り続ける。陸奥の記憶にある光景がフラッシュバックする。
◆■◆◆■◆
その記憶は、提督が着任したばかりの頃の時だった。
私と他の隊が出撃して私のせいであまりいい結果は得られなかった。
私は報告しに提督の所へ向かった。
怖かった……いい結果が得られなかったから、殴られる……竹刀で叩かれる……そう思いながら執務室に入り、提督に報告した。
透提督「……」
陸奥「……」ビクビク
透提督「そうかぁ~。よかった~。誰も撃沈しないで良かったよ」
陸奥「え?」
透提督「無事に帰って来てくれてよかった」
陸奥「……」
透提督「どうした?」
陸奥「怒らないんですか……」
透提督「ん?」
陸奥「怒ったり、殴ったりしないんですか?」
透提督「何でさ? 何故殴る必要がある?」
陸奥「だって……いい結果が得られなかったから……」
透提督「そんなの次頑張ればいいじゃないか。私は君達が無事に帰ってくれて嬉しいよ」ニコ
陸奥「……!」
提督が見せた笑顔はものすごく記憶に残ってる。この時……私はこの人に恋をしたかもしれない。
■☆■☆■☆■
陸奥は現実世界に引き戻される。
透提督「ン...グ...」
今の提督は……笑顔を見せる事はない……私を見つめる事もない……私を褒めてくれる事もない……私は提督を殺そうとしている。
私は……私は……私は……私は……!!
陸奥「……」
透提督「ン...」
陸奥は首を絞めている両手を離した。
陸奥「…無理だよ……無理だよ提督……アナタを殺すなんて……無理だよ!」
透提督「......」
陸奥「……」
透提督「...ハ...ハハ」
陸奥「提督?」
透提督「......ハッ.....ハッハッ....!! ハッハッハッハッ......!!」
陸奥「て、提督……」
提督は笑っていた。舌が無いから変な笑い声になっていて不気味だった。
提督の笑いは、絶望の笑い声に感じた。
何もできない、何も見えない、何も喋れない……こんな姿になって、逃げれない……。死にたくなったのだろう。
でも自ら死ぬ事はできない。姉さん(長門)に頼んでも殺してはくれない。だから私に頼んだんだ。
でも……殺せなかった……死なせる事ができなかった
陸奥「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……」ギュ
透提督「……」
殺せないよ提督……私もアナタの事が好きだから
ごめんなさい……ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……
姉さん……姉さんは幸せそうだったけたど……これ本当にこれ幸せなのかな? こんなの……提督を苦しめているだけじゃないの?
大和と武蔵を裏切らなかったら……提督はこの苦しみから救われたんじゃ?
そもそも、姉さんと協力した時提督がこんな姿になってるとは姉さんには聞かされていなかった。大和と武蔵を監禁した後に知った。
私は……私は……私は……
陸奥「提督……上がろっか? ……あれ?」ポロポロ
陸奥の両目から涙が透の顔にこぼれ落ちる。
陸奥「な、何でかな? ハハッ、分かんないけど涙が出てくるね。ハハッ」ポロポロ
透提督「……」
透提督「パクパク」
陸奥「……!」
また提督が口パクで何かを伝えようとしている。
何を伝えようと………
き
み
は
な
に
も
わ
る
く
な
い
よ
何も悪くない? 私が? アナタを助けに来たのに大和と武蔵を裏切り、姉さんと一緒にアナタを監禁する事にしたのよ私は……
それなのに私は後悔して苦しんでいる事が提督には感じたの? 気づいたの?
透提督「」ニコッ
陸奥「……!!」
提督は笑顔を見せた。口元だけだったけど、この笑顔はいつも提督が見せる笑顔を連想させた。
陸奥は涙が溢れ出てしまった。まるでダムが崩壊したかのように涙が溢れ出て来た。
陸奥は透を抱きしめた
陸奥「ヒグッ、ヒグッ、ごめんなさい……」ポロポロ
透提督「……」
陸奥「ごめんなさい……! ウッ、ウッ、ウゥ…ごめんなさい!」ポロポロ
透提督「……」ナデナデ
透は切断されて短くなって包帯を巻かれている腕で、陸奥の頭を撫でた。
陸奥「……!! ごめんなさい! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」ポロポロ
透提督「……」ナデナデ
陸奥「ごめんなさい……本当にごめんなさい……ごめんなさいごめんなさい…ごめんなさい!!」ポロポロ
陸奥は泣きながら……透を抱きしめながら……裏切った事を後悔しながら……苦しみながら……謝り続けた……
そんな陸奥を透は頭を撫で続けた
これを書いていたら、涙がちょっと出てしまった。
あと戦艦の力で首しめているけど気にするんな
(o´∀`)b