しかし、イベント間に合うかなぁ
聖杯戦争において、特殊な事情をもって召喚されるエクストラクラスというものがある。
ルーラー、アヴェンジャー、シールダー等々、普通の聖杯戦争において、存在すら知らないマスターも少なくないだろう。
その中でも特に珍しいルーラーというエクストラクラスのサーヴァントはどれだけ規模が大きくなろうと原則として1つの聖杯戦争につき一体だ。
ルーラーは聖杯戦争という概念を守る、もしくは聖杯戦争による世界の歪みを防ぐために呼ばれるクラスだからだ。
だが、もし、もしもだ。
"全く同じ場所、時間で"聖杯戦争が二重に始まったとしたら。
しかも、双方ルーラーが必要なほどの歪な聖杯戦争だとしたら。
同時にルーラーが2体召喚されることは不思議なことではない。
二つの聖杯は互いの存在を確認し、されど別々の存在であるため、特殊な形式と見なし、それぞれが裁定者たるルーラーの召喚を決定した。
しかし聖杯とて、魔力が無尽蔵に有るわけでもない。
それ故に、彼らは二つの聖杯に目をつけられた。
肉体という安定性とその適合率。
燃費が良い、聖杯への望みを感じ得ない、彼らはまさに聖杯戦争を監督するに足る存在だった。
聖杯にとっては都合がよすぎる展開だったのだ。
%%%%%%%
トゥリファスに着いたとき、少し目眩がした。
聖杯戦争の可能性が有った場所について、少し緊張していたのか。
取り合えず、泊まるホテルにチェックインした。
ド田舎だからか、心なしか人の通りが少なかったが、この自然が多い土地の星空を二人占めできると思えばそれはそれでよかった。
滞在期間は予定では一週間。
今日は初日だから、明日に備えて寝よう。
ちなみに部屋は二部屋とりました。
さすがの彼女も同じ部屋というのは未だに抵抗があるらしい。
右手の甲から、ズキッとした痛みがした気がした。
ーーそれは、追体験だった。
一人の少年が、その両腕で奇跡を起こし、回りの人々を笑顔にしていた。
『みんなが笑顔になってくれるなら、このチカラはその為だけに使おう』
少年は、人々を癒し、励まし、いつしか彼はその集団の中心となっていた。
彼の回りには笑顔が常にあったし、彼にはそれが得難いものだということも分かっていた。
彼らは主の教えを信じ、敬虔なる信徒であったが、それは時に大きな不和の原因となった。
百姓である彼らに時の大名は過重な年貢を課し、主の教えを信じる信徒たちを弾圧し始めたのだ。
それにより、少年の回りには笑顔が無くなり、彼らの生活は苦しくなり、餓死する者すらでてきた。
人々は少年を頼った。
どうにかできないか、一緒に戦ってこの辛い生活を抜け出そうと。
彼はその手を取り、時の大名たちに抵抗をすることにした。
しかし、結果は惨敗だった。
彼の回りには仲間たちだったモノがたくさん有った。
助けられなかったモノたちの無念。
それらを抱えて、それでも戦場を駆けた。
それを最後に追体験は終わった。
『これが、天草四郎時貞の人生だ』
振り向くと白髪で褐色の肌の青年が立っていた。
『君は聖杯に選ばれ、裁定者として此度の聖杯戦争に呼ばれた』
『安心するといい、万が一死ぬようなことがあれば安全な所に無傷で転移するようになっている』
声がでなかった。
驚きの比喩もあるが、本当に言葉が出せない。
それでも説明が致命的に足りていないが、何となく流れはわかった。
つまり、俺がトゥリファスに行こうとしたのは聖杯が原因だということ。
確かにトゥリファスに行こうとしたのは思いつきだが、結構前から準備してたんですが……。
抑止力?あ、はい。そうですか。
そして、どういうわけが俺は"ルーラー"として聖杯戦争を監督する必要がでてきた。
なるほど、さっぱりわからん。
てか何で追体験させたし。
『餞別さ。これから君の人生は俺の人生以上に過酷になるかもしれないからね』
青年は笑いながら他にも結末を知れて悔しいけど満足したとも言った。
『さぁ、ここからが本番だ。サーヴァントの変則的召喚を行う』
変則的て、なにそれ。
無視すんなし。
……。
復唱するらしい。声出んの?
『「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 祖には我が大師シュバインオーグ。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」』
ここだけは声が出るのかよ!!と、セルフ突っ込みしたい気持ちを押さえて続く。
『「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する」』
『「――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」』
『「誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たりて我が身に宿れ、天秤の守り手よ―――!」』
我が身に?
気づいたときには遅かった。
そりゃ変則的ですわな!!
チカラの奔流が流れてくる―――!!
人の身に過ぎるチカラ。あまりにも大きかった。
ヒト一人の、否、英雄一人の集大成の一部分だ。矮小な自分などすぐに押し潰されるような大きさだった。
だが、俺にはそれと同質のチカラがある。
こんなお膳立てされたような状況じゃない限り、こんなの受け止めるなんて無理だっただろう。
それに、自分の奥底に抑えられない言葉がある。
この程度も抑えられなくて、誰がアイツを、守るってんだよ!!と。
ここまで思える相手が今の俺にはいる。
ここまで抗う理由がそこにはある。
チカラに押し潰されないために、チカラを少しずつ受け入れるためにチカラをそらし続けた。
無限とも一瞬とも感じられる時間が過ぎた。
この身はルーラー、"裏"の聖杯の裁定者である。
ルーラー二人出したい
→でも原則一体
→んじゃ聖杯戦争ふたつあればええじゃろ?
思いつきはこんな感じ。
1/2追記
隣の聖杯→裏の聖杯に修正しました