奇跡の両腕   作:ガラスタ

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最近忙しい忙しい
相変わらず文量ありませんが
一応更新してみました


第七話

静寂であり、誰からも忘れられた場所。

騒がしくもあり、誰もたどり着けない場所。

そんな所で彼は眠って待っている。

ウトウトしながら、その時を心待していた。いつか"彼女"がここにたどり着くと信じていた。

幸い、彼と契約を交わした友人との繋がりはこの時間すらも忘れさせる此処でも感じとることができた。だから、彼はゆっくり待てた。人間の可能性を信じて、いつかこの財宝が人類にとって無価値になりますようにと。

 

永い永い時を過ごした。大半は眠っているだけだが、彼がここまで待てるのは此処に辿り着いたのが生後数週間で、愉悦と言うものにほとんど触れていなかったからだろう。

そんな彼にも、やっぱり少しだけサビシイと思う気持ちは有ったのだ。

彼が隠し盗んだ財宝は、そんな彼の思いを少しだけ感じ取った。

 

だけど、やっぱりなにも出来ない。

出来ない……筈だった。

 

 

 

%%%%%%%%%%%%

 

 

「"表"の聖杯でサーヴァントが召喚されたようです」

 

「……それで、これで何騎だ?」

 

「これで四騎ですね。なのに聖杯はこれ以上の召喚ができないようです。我々の影響でしょうか?」

 

確かにルーラーという裁定者を召喚するわけだから聖杯の魔力は通常時に比べて少ない。確かに理解はできるが納得はできない。

 

そも聖杯は召喚だけに魔力を運用しているわけではない。聖杯戦争中のサーヴァントの魔力を補う役割もあるわけだ。

 

 

だからこそ"表"の聖杯は欠陥品らしいと結論付けるしかないだろう。確実な訳ではないが、聖杯として完成に必要な英霊の召喚すら満足に行えないとは異常だ。

 

「そうだとしても、サーヴァントの数が減るのは嬉しいことだな。被害が減る」

 

事務的に"表"のルーラーと会話しかできない。

自分の内からあふれでる不快感が彼女との接触を拒むのだ。

むしろ、事務的な会話が出来ているくらいには理性的だと思うくらいだ。

 

 

 

"裏"のサーヴァントもまた5騎と通常よりも少なかった。

それについては流石に報告はしたが、隠していることもまたあった。

 

ずばり、"裏"のマスターが存在しないということだ。

 

本来サーヴァントとマスターは揃って一組だ。だからこそマスターを狙うという戦術があり、アサシンというクラスが活躍しうる場面でもある。

しかし、それがない。

"裏"のサーヴァント達はマスターなしに行動する。

マスターという縛りを無くしたサーヴァント達は流石に見過ごすことができない。

言うなれば戦闘機が自立行動していつ爆撃をするかわからないという状況だ。

 

だからこそ、この情報は控えなければならない。

"表"の聖杯が(個人的には)怪しいのだ。もしこの事を知れば"表"のルーラーはこちらの監視を強化するかもしれない。

"表"のルーラーをこちらの監視には割けない。

むしろ最悪を想定するならば"表"の監視を自分も行うのが最適かもしれない。

 

二つの聖杯がともに問題ない、正常な物だったら"表"のルーラーとのわだかまりは解かねばならないが、どうなることか。

 

 

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戦場は既に有った。二人のルーラーが頭を悩ませているまさにそのとき、争いの幕は切って落とされていた。

片や眼をバイザーのようなもので紫の長髪の女、片や優雅なれど鬼神のごとき貴人。

長髪の女ーーライダーは鎖のついた短剣を投げながらも疾走しながら隙をうかがった。

貴人と推測される男ーーランサーはその短剣を弾きながら一歩前に出た!!

 

振りかざす槍は鎖を巻き付けられながらもその軌道は真っ直ぐとライダーの首を狙っていた。

 

しかし、その程度も避けずして騎兵は務まらない。ライダーは恐るべき俊敏性を誇るクラス。ランサークラスよりは素の性能は劣るとはいえ見え見えの一撃を避けるのはそう難しいことではない。

 

「ふむ、埒があかんな」

 

「えぇ、貴方もなかなかどうしてしぶとい」

 

二つの超越者はお互いを認め合ったがどちらも余力を残しているのは目に見えていた。

 

「ダーニック、宝具の開帳をするぞ」

「……マスター、魔眼の解放の許可を」

 

二騎のサーヴァントは恐らくはほぼ同時に切り札の一つを切ることをマスターに要求、進言をした。

 

「さて、此処こそが貴様の墓場だ。蛇の女よ、刮目せよ!極刑王!!!」

「お覚悟を」

 

無限にも見える杭。それが突如としてありとあらゆる場所からライダーを追いたてた。

これこそランサーの宝具。極刑王。

彼の生前の逸話が昇華して生み出した必殺の幻想である。

 

しかし、ライダーとて負けてはいない。

バイザーを取った彼女の眼は宝石のごとき輝きを持ち、眼を合わすことすら必要もないほどの重圧を周りに与えた。これこそノーブルカラーが宝石である石化の魔眼『キュベレイ』。

 

無数の杭はライダーに迫るが、ライダーの視線に入るだけでその勢いは止まった。

それどころかランサーの動きすら鈍くなった。

 

『キュベレイ』は魔力B以上で無ければ問答無用で石化させる恐るべき魔眼。幸いランサーには魔眼に対抗する魔力Aは有ったため、その眼による石化は防げた。しかし、たとえ石化をレジストしても総ステータスはワンランク落ちる。

 

つまり、宝具なしで拮抗していたランサーとライダーのステータスは此処に大きな差が生まれた。

ステータスが全てではないが、それは戦いなれている生粋の英雄たちが成しうる奇跡。

 

残念なことにランサーは神秘の薄い時代の出身であり、生粋の戦士ではなかった。

次第に追い込まれるランサーは一撃一撃を凌ぐのがやっとだった。

だから、これは当然の帰結。

 

「ふふ、見た目よりは楽しめましたよ」

 

まさにライダーの一撃がランサーの心臓である霊核を砕こうとしたそのとき、

 

「ここは勝負を預けよう、女怪よ!!」

 

突如としてランサーは消え、ライダーの一撃は空を切った。

 

そう、単純なスペックだけで戦いは決まるわけではない。

例えばこの令呪による強制転移。

マスターとのコンビネーションが有ればこそ、戦略は広がる。

 

 

聖杯戦争第一幕はここに終わった。

市街地に大きな爪痕をのこして。




後付け設定とか多いですし色々とあれだけど
まぁ、なんとかやってます
卒論とな消えればよいと思う
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