やはり俺と彼女は青春をまちがい続ける。   作:冬奈水沙

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申し訳ありません。作品を紛失してしまい、また1から書き始めることになってしまいました。バックアップが残っておりましたのでそちらをリメイクして投稿していきます。
前から読んでるくれている読者様には本当に申し訳ありません。また1からとなりますがどうかこれからもよろしくお願いします。


プロローグ〜こうして彼と彼女は出会う〜

『出会いとは偶然である。いつどこで誰と出会うなんて分かるはずもない』誰と出会うなど分かっていたらきっと誰も人との出会いに希望を持ってないだろう。

 

そんな、もしかしたら出会いがあるかもしれないというほんの少しの希望を心の隅においてぼっちである俺ーー、比企谷八幡は高校2年に進級する。

 

 

 

 

 

 

 

✕✕✕

 

「よし、いくか」

 

俺はいつも学校に向かうよりも早く家を出た。高校二年生になることにうかれているのかもしれない。だって卒業に一歩近づいたんだ!あぁ早くぼっちの敵である学校から抜け出したい……。

 

そんなことを考えながら、いつもと何も変わらない通学路の景色を眺めながら自転車をこいでいた。

 

15分ぐらい自転車をこいでいると大きな交差点にでた。信号の横には飲酒運転は禁止と書いてある看板がやたらと目立っていた。

 

横断歩道を渡り終え再び学校に向かおうとしたとき、後ろからキィィィイ!! という音が聞こえてき、振り返ると青信号の中1台の車が歩いている女の子に迫っている光景が目に入った。

 

「あ、危ない! 」

 

周りにいる人の誰かが叫ぶころには俺は自転車を捨て走り出していた。恐らくこの行動はどう見ても自分らしくなかっただろうーー、だが俺には迷いはなかった。何故なら知ってしまっていたからだ。そう、1年前の丁度同じ日に、1匹の子犬を救ったように自分には救うことが出来る力があることを。

 

女の子に車が当たるギリギリ寸前のところで俺は手を伸ばし、女の子を押し飛ばしたと同時にすぐさま回避をしようとしたが車の距離が思ったより近い。

ーーしまった!

そう思ったときには既に遅く、足と車が衝突し、吹き飛ばされてしまった。

意識が朦朧としていく中、誰かの悲鳴が聞こえる。それが彼女の声なのか、俺が息を漏らした音なのかはわからないまま視界は閉ざされ、次に目を覚ましたのはベッドの上だった。

 

こうして比企谷八幡の高校二年の生活は病院生活で始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

✕✕✕

 

意識を取り戻した俺は病院のベットの上で点滴と、片足に包帯を巻かれていた。病院独特の香りが鼻をくすぐる。起きてばかりだからかまだあまり視点が合わない。しばらくぼーっと天井を眺めているとドアの向こうからコンコンっとノックする音が聞こえてきた。

 

「はい、どうぞ」

 

「お兄ちゃんはいるよ」

 

妹の小町が入ってきた。どうやら服装が制服のまんまだということは学校が終わって直で来たみたいだ。

 

小町は急ぎ足で入ってくると俺の寝ているベットに上からのぞき込む形で見下ろして言った。

 

「また車に轢かれて……前とは逆の足だったからよかったけど下手したら死んでたし、もしかしたら歩けなくなってたかもしれないんだよ!」

 

「妹を心配させるなんてお兄ちゃんポイント低いよ……」

 

ひとまず骨折だけで済んだので安心していたが、あの場所にいなかった小町はどうやらずっと心配していたみたいだ。それに流石に今回は危ないと思ったため素直に謝った。

 

「すまない、今度からは気をつける。だから今回は許してくれ」

 

「うん。お兄ちゃんのおかげで一人の命が救われたかもしれないけど小町にとって大切なのはお兄ちゃんなんだからね。本当次はないよ? 」

 

「ああ、約束する」

 

なんせこの世でたった一人しかいない大切な妹だ。悲しませるわけには行けない。

 

小町は約束を交わすと今の俺の状態をつげ帰っていった。退院するには最低でも2週間はかかるみたいだ。その間病院で何をしようか考えていると、再びドアをノックする音が聞こえた。小町のヤツめ……さては忘れものでもしたな。

 

「どうぞ」

 

と、声をかけるが人が入ってくる気配はない。おかしい……小町だったらすぐに入ってくると思うのだがもしかて違う人なのだろうか?

30秒ぐらい間が空いただろうか。そのぐらいたってガララッっとゆっくりドアが開けられた。

 

「し、失礼します……」

 

入ってきたのは総武高校の制服を着ている身長が低いショートボブの女の子だった。

 

「えーっと、なんの御用でしょうか? 」

 

まさか同じ学校の女の子が来るとは思ってなかったので少し動揺してしまった。

 

「え、えっと、あ、あの! あのときはありがとうございました! けがを負ってまで守ってくださってなんてお礼をすれば……」

 

あぁ、そいうことか……。俺ははこの子が朝、俺が助けた女の子だということを今理解した。こうして、俺と違って五体満足でいれているということは無傷だったのだろう。どうやら俺がとった行動は無駄にはならなかったみたいだ。

 

「別に気にしなくて大丈夫ですよ」

 

「いえそんな、体を張って守ってくださったんですし……私あのとき怖くて足がすくんでしまって動けなくて……本当にありがとうございます」

 

女の子は深く頭を下げてきた。こうして病院まで足を運んでくれるだけで俺は満足なのに。

 

「あの、すみません。良かったら名前の方を……教えてください」

 

女の子が少し遠慮気味に言ってきた。

「いいですよ。総武高校の2年の比企谷八幡です」

 

「え、えっと、今年から総武高校に通うことになった水無瀬優花です! あ、あの毎日ここに来てもいいですか? 」

 

どうやら後輩だったみたいだ。

なぜここに毎日来るのかは分からないが、断る理由がないので了解する。

 

「ああ……全然いいですよ」

 

 

 

さっきも言ったように出会いとは偶然である。

これが俺、比企谷八幡と水無瀬優花の出会いだった。


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