やはり俺と彼女は青春をまちがい続ける。   作:冬奈水沙

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第九話

嵐のようだった週末も去り、俺たち2年の間では「職場見学」の話で盛り上がっていた。

そして部活では、いつものように俺と雪ノ下は読書をし、由比ヶ浜と水無瀬が駄弁っている。なにも変わりもしない部活の風景が広がっていた。

「フフフ……とうとう道は開かれた! 我は手に入れたのだ! エルドラドへの道筋を!!」

 

「で、さっきからなんだよ材木座。言いたいことがあるなら日本語で言え」

 

悪い……いつものようにという言葉は撤回な、1人うるさい奴が混じってたわ。

 

「聞いて驚け八幡! とうとう我はラノベの新人賞の道筋を手に入れたのだ!」

 

ああ、なんだそういう意味か、あまりにもありえない事で候補から外したわ。

 

「なんだよ、受賞でもしたのか?」

 

「いやそれはまだだ……。しかしッ!! それも時間の問題。小説が完成すればこちらのものだ!」

 

コイツのこの謎の自信何処から来ているのだろう……。まあ作家に大切なのはメンタルと言うしな、うん。ネットに投稿しろよ。

 

「比企谷くん、このうるさいのなんとかならないのかしら? さっきから夢物語が聞こえてきて読書に集中出来ないのだけど」

 

どうやら今日も氷の女王こと雪ノ下雪乃は健在のようです。

 

「もう! 厨二声がでかい! みっちーの声が聞き取れなかったじゃん!」

 

「そうですよ! てっか道筋が決まってるなら早く小説書いてください!」

 

女性陣から文句を言われ、悲鳴を上げならがら材木座は倒れた。 うあ、流石にこれは俺でも可哀想だと思ったぞ……。

 

もうすぐで部活終了の時間にもなるし、ここにいても邪魔なだけだから材木座を起こそうとしたとき、ノックの音が聞こえてきた。

 

「どうぞ」

 

雪ノ下がドアの向こう側に声を掛ける。

 

「お邪魔します」

 

なかに入ってきたのは誰もが認めるイケメンな容姿をした人物である葉山隼人がいた。

 

 

 

 

 

 

 

✕✕✕

 

「すまない……部活が長くなってしまって来るのが遅くなってしまった。材木座くんにヒキタニくんもほんとうにすまない」

 

葉山は、最初女性陣たちの方を見て謝り、次は俺達の方に笑顔を向けながら謝ってきた。なんで材木座の名前は覚えてて俺の名前は間違っているんですかね。

 

「い、いや、我はこれで!」

 

人との対人スキル0である材木座は爽やかな笑顔を向けられたからか、逃げるようにして去っていた。

 

「前置きはいいわ。依頼しに来たんでしょう?」

 

「ああ……そうだった。平塚先生に悩みごとの解決の依頼をするならここがいいって言われてね。1つ依頼があってきた」

 

ほう、完璧人であるあの葉山に悩みがあるとは……凄く気になるな。

 

 

「最近うちのクラスでまわっているチェーンメールを流している犯人を見つけるのを手伝ってほしい」

 

「あ、それってもしかしてこれのこと?」

 

由比ヶ浜がなにか思い出したかのように携帯をいじり、メールの画面を見せてくる。

 

「ああ、どうやらこのメールがうちのクラスで回ってるらしい」

 

そのチェーンメールの内容とは酷いものだった。そして、書かれている人物は戸部、大和、大岡だった。こいつらはたしか、いつも葉山のグループにいる奴らだったはず。

 

「うぁあ、酷い内容ですね」

 

「そうね。確かにこれは放っておけないわ。私たちで食い止めないとね、葉山くんその依頼受けるわ」

 

「ありがとう雪ノ下さん。奉仕部のみんなが協力してくれたら解決できそうな気がするよ」

 

「とりあえず最近なにか変わっとことはなかった?」

 

最近か、とくに大きな行事はなかったな。しいていうなら……

 

「職場見学のグループ決めとかか?」

 

「あー絶対にそれのせいですよ」

 

水無瀬がなにか勘づいたように言った。だが俺はどうも納得出来なかった。

 

「「え? そんなことでか?」」

 

……どうやら葉山も同じことを考えてたらしい。クッソ、なにが「ハモったな」だよ。まてよ、考え方を変えるとイケメンとハモった=イケメンじゃないのか? いや、ないな。

 

「うん、私もそれが理由と思う。それに犯人も分かっちゃったかも……」

 

由比ヶ浜が言いにくそうにしているのが分かったのか、雪ノ下がその先の言葉を繋いだ。

 

「恐らく犯人はその3人の中の誰かだわ」

 

「え、ちょっと待ってくれ! どうして3人のなかの誰かになるんだ? それに悪口を書かれているのはその3人だぜ?」

 

「今回はゆきのんの意見に賛成かな。だって職場見学のグループわけの人数3人じゃん。葉山くんのグループはいつも3人だったでしょ? それ省かれた1人結構きついよ……」

 

なるほど、でも由比ヶ浜の意見は一理ある。

 

「省かれたくないから、か」

 

人を蹴落として、自分を優位に立たせようとするか。なにそれ、この学校怖すぎでしょ。

 

「しかし、これからどうする?」

 

犯人が3人のなかの誰かだという事は分かった、しかし、これからどう犯人を見つけるかが問題となってくる。

 

「まだ情報が少ないわ。明日にでも聞き込みをしましょう」

 

「あ、それなら私がやるよ!」

 

「あのー、みなさんちょっと意見いいですかね?」

 

「どうした水無瀬?」

 

「私、この依頼の解決方法分かったかも知れません。」

 

「ほ、ほんとか!?」

 

葉山が珍しいく大きな声を出した。しかし、驚いたのも俺も同じだ。なんせ1つもまだ解決方法は浮かんでなかったのだから。

 

「は、はい。ですがまだ証拠が足りなくて……」

 

「それならこうしましょう。由比ヶ浜さんと……比企谷くんが聞き込みで水無瀬さんが証拠集め、これでどうかしら?」

 

雪ノ下の指示に全員が了解した。

 

「奉仕部のみんなありがとう! 助かる!」

 

そして、葉山がまたお礼の言葉をいい、今日の部活は解散となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

✕✕✕

 

信号が赤に変わり、足を止めると、ふとあることを思い出した。

あの水無瀬の解決方法が分かったと言ったときの目、あれはいつもの水無瀬と違っていたような気がした。

たまに彼女の事が怖くなるときがある。 まるでなにか恐ろしいものを見ているような感じがする。

「そんなこと考えても意味がねぇな。いまは依頼だ、切り替えよう」

 

信号が青に変わり、俺は夏の夕暮れの道を再び歩き始めた。

 

 




こんばんは。冬奈水沙です。
久しぶりの投稿になります。ようやく生活が落ち着いてきたので定期的に投稿出来そうです。まちがい続ける。以外にも作品の投稿を考えていますのでそちらの方も楽しみにしていて下さい!しばらくはまちがい続ける1本で行きます! 情報はTwitterに載せます!
これからもよろしくお願いします!

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