今後もよろしくお願いします。
いつものように水無瀬と一緒に部室へ向かうと、珍しいことに雪ノ下と由比ヶ浜が扉の前に立ち尽くしていた。
「なにしてんの?」
「ひゃうっ!」
可愛らしい悲鳴とともに2人が飛び跳ねた。
「ひ、比企谷君と水無瀬さんか・・・・・・びっくりした・・・・・・」
「驚いたのは俺のほうだよ・・・・・・」
あんたは夜中に俺と出くわしたときのうちの猫か。
「いきなり話しかけないでもらえるかしら?」
いや、なんでこいつ不機嫌になってるの?あれか、ほんとに前世は猫か。
「で、どうしたんですか?」
水無瀬が元の話題に戻すために由比ヶ浜に尋ねると、部室の中をそっとのぞき込んだ。
「なんかね、部室に不審者がいるの」
不審者はどうみたってお前らだよ。
「いいから中を見てきて頂戴」
なんで声に出してないのに聞こえるんですかね。あれが噂のテレパシー能力かぁ〜。そんなもんねぇよ。
俺が慎重にドアを開くと、一陣の風が吹き教室内のプリントを撒き散らした。そしてその白い世界の中に一人の男が佇んでいた。
「クククッ、まさかこんなところで出会うとはな。待ちわびたぞ比企谷八幡!」
「な、なんだとっ!?」
偶然出会ったような言い方なのに待ちわびたってなんだよ!驚いたわ。てっかこいつ誰?こんな厨二病みたいなやつハチマンシラナイ。
「でも、八幡先輩のこと知ってるよ」
水無瀬が俺の後ろに隠れながら言う。
「まさか、あの地獄のような時間を共にした相棒を忘れるとは・・・・・・見下げ果てたぞ八幡」
「ただ、体育でペア組んだだけじゃないか・・・・・・」
これだといつまでたっても本題に入らないのでそろそろ切り上げるとしよう。
「で? なんのようだ材木座」
「おっと、そうであった。奉仕部とはここでいいのか?」
「ええ、ここが奉仕部よ。依頼者かしら?」
雪ノ下が答えるが材木座は俺の方を向いて喋っている。
「実は奉仕部に依頼があってきたのだ」
「ちょっと話してはのは私なんだけど。話すときは人の方を向いて話なさいって習わなかった?」
おっと、どこかの厨二病は氷の女王の怒りに触れてしまったみたいだ。
「ハッハッハ、それはしかり」
「その喋り方もやめて」
氷の女王こと雪ノ下雪乃に冷たくあしらわれると、材木座は下を向いてしまった。
「まぁまぁ雪ノ下先輩、相手は厨二病なんだしそこら辺にした方が・・・・・・」
「ちゅうにびょう? 病気なの?」
「さぁ、私もそんな病気聞いたこともないわ」
そんな微妙な空気が流れるなか水無瀬と由比ヶ浜の会話のおかげで少し和らいだ。
「えーっと、病気って訳でもないんですけどスラングみたいなものですかね」
「まぁ、あれだ。自分は特別な力を持っているとか思い込んでる痛い人のことだ。」
そう、男の子の誰もが通らなければならない道なのだ。
「なるほど、つまり自分で作った設定に基づいてお芝居をしているようなものね」
流石雪ノ下飲み込みがはやい。ほんとこいつとの会話は助かる。
「で?あなたの依頼はその病気を治すこと?」
「え、いや、病気じゃないんですけど・・・・・・」
材木座、素に戻ってるぞ・・・・・・。またもや、部室に不穏な空気が流れてこようとしたとき、水無瀬が散らばっていたプリントかき集めて見せてきた。
「八幡先輩これって・・・・・・」
水無瀬からそのプリントを見せてもらうと、それは原稿用紙だった。その瞬間俺は材木座の依頼がわかった。
「材木座お前の依頼って・・・・・・」
再び息を吹き返した材木座が目を輝かせて話し出した。
「うむ、いかにもライトノベルの原稿だ。実はこの原稿を読んでもらいたいのが我には友達もいないし、投稿サイトにだす勇気もない。そこでこの奉仕部の者にこの小説の読んでもらって感想を聞きたい」
なるほどな、つまり材木座はチキン野郎で投稿サイトに自分の小説を投稿する勇気もなければ友達いない。そこで俺たちに読んでもらいに来たというわけか。おい、全国のネットに小説を投稿してる人に謝れや。
それにあまり関わりのない俺たちだとあまり厳しい感想は言えないしな。でもなぁ・・・・・・
「多分投稿サイトもり雪ノ下の方が厳しいよ」
この部活に例外がいるんですよね。
✕✕✕
はっきり言おう。材木座の小説は全く面白くなかった。むしろ徹夜して最後まで読んだ自分を褒めてあげたいまでである。 眠気をこらえて放課後部室へと続く道を歩いていると
「あれ?ヒッキーめっちゃ眠そうじゃん! どうしたの?」
いつもと変わらない元気な声が聞こえて来た。
「いやいやいや、普通あんなの読んだら元気なくなるだろ・・・・・・。お前なんでそんなに元気なの?」
「あ、いやー私も少しは眠いかな」
あ、こいつ読んでないな。
部室の前までたどり着き、ドアを開けると机に伏せて寝ている。雪ノ下と水無瀬がいた。
「お疲れさん」
「・・・・・・驚いたわ、あなたの顔を見ると一発で目が覚めるのね」
「八幡先輩遅いよ〜」
どうやら雪ノ下は寝起きでも毒舌は収まらないらしい。それと水無瀬さんあなたが来るのが早いだけです。
机に鞄をおき、椅子に座ろうとすると、戸が開き
「たのもう」
俺たちを疲れさせた元凶材木座が入ってきた。
「では感想を聞かせてもらおうか」
おい、なんでそんな自信ありげな顔ができるんだよ。
「あまりこのようなジャンルの小説は読まないんだけど・・・・・・」
雪ノ下が前置きを言い、話し始めた。
「読むのが苦痛であるほどのつまらなさだったわ」
「げふぅっ!」
雪ノ下の暴言と材木座の悲鳴をスタートに毒舌ラッシュが始まった! 氷の女王の容赦ない攻撃が連続で続く! 材木座は倒れた!
いや・・・・・・まじで、見てるこっちも引くぐらいの毒舌ラッシュだったわ。
「おい、もうそのへんにしとけ。全員の感想が聞けないだろ」
「まだ言い足りないのだけど・・・・・・。それもそうね、次由比ヶ浜さん」
「わ、わたし!? えっとー、難しい字をいっぱい知ってるね」
「ひでぶっ!」
由比ヶ浜がとどめを刺した。作家にとってこの言葉は禁句であるのである。
「じゃあ次はみっちーの感想だね!」
「そうですね・・・・・・、二次創作を出してはどうですか?」
「ぴゃあっ!」
材木座は何回死んだのだろうか? てっか水無瀬さんあなたそれはパクリと言っているようなものです。
「ぐ、ぐぬぅ。八幡! お前なら理解できるよな?」
あぁ、わかっている。ここで言う言葉はひとつしかない。
「イラストがあればましなんじゃね?」
「ぶぶっ!? ぶ・・・・・・ぶひひ」
材木座はもう立ち上がれなくなりました。あ、とどめを指したの俺でした☆
「あなたが一番容赦ないじゃない・・・・・・」
「まぁヒッキーらしいと言えばヒッキーらしいけどね」
「八幡先輩それは言っちゃだめですよ」
なんだよみんな。俺は普通に材木座わフォローしただけだよ?けして文書がダメとか言ってないよ?
結論を言おう。書いている本人が面白ければそれでいい。