やはり俺と彼女は青春をまちがい続ける。   作:冬奈水沙

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第七話

第七話

夢を見た。それは俺たち奉仕部に関わる内容で、とても辛い話だったような気がする。

だが所詮夢だ。夢の中の話が現実で起こるなどありえるわけがない。何故言いきれるかと言うと、そんな経験俺は1度もしたことがないからだ。

誰かが自分の名前を呼ぶ声とともに、この悪い夢から俺は覚めた。

 

 

 

 

 

×××

 

「八幡先輩! 朝ですよ! 起きてください!」

 

・・・・・・今の状態を説明しよう。時刻は朝の7時半。いつものように朝が来たのはいいのだが、起こしてくれたのは妹である小町でも、目覚まし時計でもなく、いや最初に妹という選択肢がある時点でおかしいのだが・・・・・・その予想は違った。水無瀬だったのだ。

 

「あぁ、そうか。水無瀬今日泊まってたんだったな」

 

眠たい頭で考えてみるとその答えは簡単なものだった。水無瀬は昨日から俺の家に泊まっていたことを俺はすっかり忘れていた。つまり、朝になってもいつまでも起きてこない俺を起こしに来てくれたわけだ。

 

「八幡先輩寝ぼけてるよ・・・・・・八幡先輩って意外と朝に弱いんですね」

 

「まぁな、特に土日は早起きしないしな」

 

学生のいいところは土日が基本休みという所だな。土日普通に出勤がある会社がある時代だし学生時代が案外1番いいかもしれない。

 

「そうなんですか? 私は平日も休日もあまり起きる時間変わりませんよ?」

 

どうやら水無瀬さんは俺とは違い規則正しい生活を送られているようです。

 

「お兄ちゃーんと優花さーん! 朝ご飯できたよー!」

 

1階から小町の声が聞こえてきた。どうやら朝食を作っていたみたいだ。さてや水無瀬が起こしに来たのも、小町が俺を起こしに来るように言ったからだな。

 

「それじゃあ行こっか、八幡先輩」

 

「あぁ、そうだな」

 

俺と水無瀬は下に降り、小町の待つリビングへと向かった。

朝から今日は騒がしいなぁ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

×××

リビングに向かい、俺と水無瀬そして小町は朝食を食べ始めた。

小町も料理上手くなったなぁ〜、これならどこに嫁に出しても大丈夫だ、うん。そんなことになったら比企谷家は大騒動だ。主に親父が。

 

「お兄ちゃん! 丁度駅ビルの店がセール中だって! 優花さんも入れて3人で遊びに行かない?」

 

って、3人ってことは俺も行くのかよ。断ろうとして「俺は行かない」と言いかけたとき一つの考えが頭に浮かんだ。・・・・・・まてよ、駅ビルの店ということは本屋も入っているんじゃないか? そいえばまだ今月のラノベの新刊買ってなかった。よし、行こう。

 

「たまには運動も必要だな、うん」

 

「いま行かないって言いかけたよね!?」

 

水無瀬さんそこはスルーでお願いします。

 

「優花さんごめんなさい。こんな兄で……」

 

小町が申し訳なさそうに水無瀬に言った。なんだよ! ちゃんと行くって言ったじゃないか!

 

「ううん。八幡先輩はいい先輩だよ! それじゃあ八幡先輩の気持ちが変わらないうちに行こっか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

✕✕✕

 

「うぁ・・・・・・すごい人混みだね」

 

「そうですね・・・・・・少し出遅れましたね」

あれこれと支度をしていたためか、駅ビルの前の広場に着いたのが午前11時。 そして広場まで来たのはいいのだが、セール中の為か人混みが凄い。この場合はステルスヒッキーを発動し、さっさと目的地に辿り着きたい所なのだが、いまは水無瀬と小町がいるため発動出来ない。あの技はぼっちを極めし者にしか使えないのだ。

 

「時間はあることだしゆっくり行けばいいんじゃねーの」

 

「もう! お兄ちゃんは全くわかってないなぁ! 女の子の買い物はすごく長いの! こんなに人が多かったらまわりきれないよ!」

 

何がすごく長いだ。いつも長いのは行く予定のない店もまわってるからだろ。

 

「まぁまぁ。せっかく3人で来たんだしいろいろと見てまわろうよ」

 

うーん。やっぱり水無瀬さんはいい子ですね。何処かの妹とは違うや。いや、兄がひねくれてるから妹もあんな性格かもしれない・・・・・・決して俺のことじゃないんだからね!

 

 

 

とりあえず、水無瀬の提案で店を回ることにした。どうも女子ウケの店が多く、男では到底理解のできなさそうな香水やら化粧品の話を、水無瀬と小町が繰り広げていた。

 

いや、マジでわかんねぇよ。お前ら何語話してるんだよ。その間の俺はラノベを買いに・・・・・・行けるはずもなく荷物持ちしてます。ハイ。こんなことになるなら来なければ良かった・・・・・・。

 

ふと、ある店の前を通り越したときに2人ら足を止め、ヒソヒソと俺に聞こえないように話をすると、その店に入っていた。って俺はまた待っとくのかよ。

 

しばらくすると2人が店から頭に何かをつけて戻ってきた。その何かとは

 

「お兄ちゃん見てこれ! 似合う!?」

 

それは猫耳のついたカチューシャだった。おいおい、そんなもの売ってる店あるのかよ。

 

「あーうん。世界一似合ってるよ」

 

と、棒読みで流してやった。

 

「うわーこの人テキトーだなー」

 

小町が何か呟いていたが、聞かなかったことにしよう、うん。

ふと、肩を叩かれたため、振り返ってみるそこにはーー、

 

「八幡先輩・・・・・・これ似合う、かな?」

 

八幡は1万ポイントの攻撃を食らった。八幡は倒れ・・・・・・てない!!

そうそこには何を隠そう少し顔を赤くした水無瀬が猫耳つけて立っていたのだ。

上目遣い+少し恥ずかしそうな声に大ダメージを食らった八幡でした。ショートカットに猫耳て似合うな。メモメモ。

 

 

昼食もとり、そんなことをしながら店をまわっていると、気がつけば午後の15時を回っており、最後に小町の「ゲーセンに寄ろう!」の一言でゲーセンによって帰るようになった。

 

結局ラノベの新刊買えなかったなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

✕✕✕

ゲーセンの前につき、中に入ろうとしたときふと見慣れた顔が目に入った。

 

「八幡先輩あの人って・・・・・・」

 

どうやら水無瀬も気づいた見たいだ。そう何を隠そう奉仕部の部長である雪ノ下雪乃が、道路側にあるUFOキャッチャーとにらめっこしていたのだ。

 

「うん? 2人ともどうしたの?」

 

「いやちょっとな。うちの部活の部長さんがいたからびっくりしたんだ」

 

「お兄ちゃんの入ってる部活ってことは奉仕部の?」

 

「そうだ。って! 水無瀬はどこいった!?」

 

ふと横見ると水無瀬の姿がなかったが、その心配はすぐにになくなった。

 

「八幡先輩! 雪ノ下先輩連れてきたよ!」

 

うん。わかってた。水無瀬さんが雪ノ下を見つけた時点でだいたい予想はついてたが、まさか本当に行動に移り、こちらに連れてくるとは少し驚いた。

 

「あら奇遇ね。 比企谷くん」

 

ほんと奇遇だよ。

 

「どうも!どうも~!初めまして! いつも兄がお世話になってます、妹の小町です!」

 

小町が雪ノ下の方を見て挨拶を始めた。

 

「初めまして。比企谷の……何かしら?」

 

そこは嘘でも友達と言ってくれたら嬉しいけどどうせ言ってくれないんだろうなぁ~。

 

「同じ部活仲間でいいだろ」

 

「そうね。同じ部活で部長をしている雪ノ下雪乃です。よろしくね、小町さん」

 

「はーい!雪乃さんですね!よろしくお願いします!」

 

しっかしほんとこいつ礼儀正しくよなぁー。小町も見習って欲しいものだ。

 

「ところで雪ノ下、お前こんな所で何してるんだ?」

 

「考えてみると雪ノ下先輩が来そうな場所じゃないよね」

 

水無瀬の言う通り、ゲーセンというリア充か、ゲームヲタクの集まりの場所である所に、雪ノ下いるイメージが出来ない。

 

「え、えっとその・・・・・・パンさんのぬいぐるみが見えて・・・・・・欲しいのだけど、ゲームの仕方がわからなくて・・・・・・」

 

少し声が周りのゲームの音にで聞こえにくかったが大体の理由はわかった。どうやら雪ノ下はパンさんが好きらしい。そもそもUFOキャッチャーの仕方がわならないやつとかこいつ以外いるのかよ。

 

「それなら取ってあげようよ! お兄ちゃんUFOキャッチャー得意だし!」

 

「え!? 八幡先輩得意なの!?」

 

「ま、まぁな。小さい頃に小町の変わりに取って上げてたりしたからな」

 

と、言うと俺は筐体へと向かいお金を投入した。だが、久しぶりにしたためか取れない。

 

しばらくしてみたが、取れそうな雰囲気ではない。これで700円目の挑戦だ。

 

 

パンさんの腰の部分を目掛けてアームを下ろすと、運良くそのまま持ち上げてくれた。そのまま商品を落とす穴に、持って行くことができた。

よし! なんとか取れたぞ! 良かった~、この状況で失敗したら恥ずかしすぎるだろ。

 

「ほれ」

 

パンさんのぬいぐるみを筐体の下から取り出すと雪ノ下に渡した。

 

「え、えっと、これはあなたが取ったのだからあなたが手に入れるべきよ」

 

「なんでこんなところまで礼儀正しいんだよ・・・・・・いいって、別に俺はいらないし」

 

雪ノ下に押し付けるようにして、パンさんのぬいぐるみを渡した。少し強引過ぎたかと思ったが、雪ノ下が受け取ってくれたのでよしとしよう。

 

「あ、ありがとう。返さないわよ」

 

「だからいらないって言ってるだろ・・・・・・いいよ、それはお前のものだ」

 

雪ノ下が小さくガッツポーズをしているのが見えた。まぁなんだその、喜んでくれてるならラノベ1冊分ぐらい使って取って良かったものだ。

 

「あれ? 雪乃ちゃん?」

 

ふと後ろから女性の声が聞こえた。




お久しぶりです。冬奈水沙です。
今年最後のまちがい続けるの更新となります。
今年はいろいろとあり、こちらの不手際で誤って作品を紛失してしまったりが、たくさんの読者さんに支えられ、再び前と同じ投稿の話のところまでこれました。ありがとうございます。
まちがい続けるはまだまだ続きます。
来年もよろしくお願いします!

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