心に直に触れるような
他のやり方じゃ決して得られない
この瞬間
知ってしまった
――追い続けているだけじゃ見えない世界がある
―三車線の道路
赤と青の回転灯を回しながらもプォーン!!というサイレン音を鳴らして疾走するZ。雨に打たれながらも疾走するその車内で博也はブルートゥースである人物に連絡を入れる……救援要請をしてきた遠山キンジだ。
「市ヶ谷だ、現場の状況を説明してくれ」
「―敵の車輌が3台、車種はポルシェ・ボクスター!
3台共、自動運転の模様!なお、2台はミニミ装備!!」
「被害状況は?」
「―戦闘員一人と運転手が撃たれて意識不明!!」
これを聞いて二つ気になることが浮かび上がる博也。意識不明の戦闘員は誰なのか?そして、運転手が撃たれた今、バスは誰が運転しているのか……?引き続き質問を続ける。
「撃たれた戦闘員は?今、運転しているのは誰だ?」
「―撃たれたのは強襲科の神崎・H・アリア!今、バスを運転しているのは車輌科の武藤剛気です!!」
驚きの答えだった……自分の弟子である武藤が運転していることにも驚いたが、それ以上に驚いたのがアリアが撃たれたということだ。Sランク武偵が負傷するほど難航しているのか……そう思った博也は「分かった」と通話を切ってから益々急がなければと更にアクセルを踏み込んでいく。
すると、交差点が見えてきた。
ブレーキングしながらも左手でシフトノブを握ってカタカタッ!!とシフトダウン。ファゥン!ファゥン!!という音を響かせながらも減速し、交差点に突入すると共に素早くステアリングを右に切る。
雨で路面が濡れているため、安定しない……
若干ながらもズルズルとタイヤが滑っているような感覚がステアリングを通じて伝わってくる。修整するように左にステアリングを切って安定して立ち上がったところで再びアクセルを踏み込んでいく。
……ナビの情報によればバスはこの先にいるようだ。
視界が悪い中、しっかりと前方を見据えるようにして探す。すると、マッドブラックの車輌に囲まれた一台のバスを発見。囲んでいた車輌の車種は特徴的な後ろを見てすぐにボクスターだと分かった。
「いたっ……!」
ブォォォォォン!!というV型6気筒エンジンの咆哮のようなサウンドを響かせながらも襲撃を受けているバスに急接近。左手にステアリングを任せながらも右手でウィンドウを開けてから愛銃のP226をチャキッと手に取る。最初にバス後方の車輌ではなく、バスの左右に展開していたミニミ登載の車輌に目をつけた。
車線を左に移し、角度的に一番狙いづらい左側のミニミ登載車輌に向けて発砲。パンパンッ!!という発砲音が鳴り響く中、放たれた弾丸はミニミの自動照準システムの基盤へ……。キンッ!ピュインッ!!という素早い着弾音と共にシステムがダウン。
キュゥン……という音と共にミニミの銃口が力なく下へと向くと共に足回りに向けてパンパンッパンッ!!と発砲。命中した車輌は安定性を無くし、ガタガタガタッという音を響かせながらも蛇行を始め、ガードレールへと突っ込んでいく。
その間にバスの右側の車輌に登載されていたミニミがZの存在に気付き、キュイーンという機械的な駆動音を響かせながらも銃口をZに向けてきた。それに気付いた博也は一度右に車線を移し、ガードレールに突っ込んだ車輌を避けてから左車線に戻り、一気にアクセルを踏み込んでいく。
ブォォォン!!!というエンジンの咆哮が鳴り響く中、ダッダダダダダッ!!という発砲音と共にミニミの銃口から次々と弾丸が放たれる……が、Zが急加速したことによってバスの後方についていたボクスターを盾にするような位置に移っていた。放たれた弾丸はそのまま後方にいたボクスターに全弾命中。蜂の巣のように銃痕が開いた車体はキィィィィ!!という音を上げて何回もスピンした後にガードレールに衝突し、ド派手に宙を舞って横転した。
……後方の車輌を盾にしていたZの姿は見えない。
残り一台になったボクスターは消えたZを探そうと減速し、バスの後方へ。確認するようにキュイーン…キュイーン……という駆動音を上げながらもミニミの銃口を動かす……が、自動照準システムはZの車影を捉えることが出来なかった。
"バスの左側に隠れている"と認識し、左に移ろうとした時だ。パンパンッ!!という銃声が突然響き渡ると共に自動照準システムの基盤が撃ち抜かれた。ミニミの自動照準システムが停止してから更に追い討ちを掛けるようにパンパンパンッ!!と銃声が鳴り響くと足回りを撃ち抜かれた。そのまま安定性を無くしてガードレールに衝突して停車……銃声は博也によるものだった。バスの前からまわり込むようにして右につき、ボクスターの前にZをつけるようにしていたのだ。
車輌の撃破を確認し、スッとホルスターにP226をしまうと共にバスの方からワァァー!!という歓声がドッとあがるのが聞こえるが、安心している場合ではない。バスの中には二人の負傷者がいるのだ。直ぐにブルートゥースを使ってキンジと連絡を取った。
「遠山か?武藤に停まれるところがあれば停まるように言ってくれ」
Zを減速させ、護衛するようにバスの後方につけさせる。少ししたところでバスが路肩に停車。博也はその前方に回り込むようにしてZを停めてから降り、バス内へと駆け込んだ。駆け込んで真っ先に迎え入れてくれたのは今までバスを運転していた武藤だ。
「せ、先輩!!」
「負傷者は!?」
「バスの奥っす!!」
あっちと言わないばかりに手を向ける武藤の言う通りにバスの奥へと駆け込む……すると、一番後ろの横に長い座席で横になっているアリアと運転手の姿を見付けた。運転手は腕を撃たれただけだが、アリアの方は額から血を流している……
2シーターのZは運転をする自分とあと一人しか乗せられない。……となると、頭へのダメージがあるアリアの方を優先するべきだ。
「アリアを運ぶ、運転手の方は任せた!!」
周囲にいた生徒達にそう伝えながらアリアを横向きに抱える博也。そのまま急いで降りようとすると、中央の通路でキンジが負傷したアリアを見て無言で立ち尽くしていた。
「急いでるんだよ、退けッ!!」
肩でバッ!と押すようにして退かせ、再び駆け出す。バスから降り、Zの助手席にアリアを座らせる。カチッとシートベルトを締めた後に自分も運転席に回り込んで乗り込んだ。
打ち付けてる雨が強くなっていく中、ブォォォォォン!!!というエンジン音と共に再び走り出すZ……
目的地は武偵病院だ。
・
―とある国道
ターボSに乗っていたB.Rは周辺を巡回するように車を走らせていた。ブォゥゥン……というエンジンの音が車内で鳴り響く中、携帯の着信がピロピロピロと鳴り始めた。ブルートゥースを使って応じてみる……ホークアイからだ。
「B.Rだ」
「―ホークアイっす、車輌全部やられちゃいましたが大丈夫っすか?」
「なに、想定の範囲内だ。"あれぐらい"は片付けて貰わないとこっちも楽しめない。……ところで、ガキは何処だ?」
B.Rの言葉を聞くと共に「―えーっと……」と呟きながらも受話器越しでカタカタカタッと作業を進めるホークアイ。少ししてから「あっ」と何かを見つけるように小さく声を出した。
「―橋の手前の交差点っす。場所はそこから結構近いみたいっすね」
「了解だ。交差点付近で鉢合わせになるようナビゲートしてくれ」
「―な、なかなか高等な要求するっすね……まあ、いいっすけど」
若干断りたくなるような難しい内容ではあるが、ここは渋々引き受けたホークアイ。カタカタカタッと受話器の向こうから作業音を響かせながらも彼へのナビゲートを開始した。
「―とりあえず、次の交差点を右っす」
「了解」
ナビを聞くと共にアクセルをグイッと踏み込むB.R。ブォォゥゥゥン!!と水平対抗エンジンが高鳴ると共に加速していく。
言われた交差点の手前でブレーキングを行う。ステアリングの裏側についているパドルシフトと呼ばれるボタンをカチッカチッと押してシフトダウン。言われた通りに右に曲がる。
「曲がったぞ、どうすればいい?」
「―そのまま真っ直ぐで……予測だと、そこから三つ先の交差点で右から右折して合流して来るみたいっすよ」
・
―三つ先の交差点
フォゥン!フォゥン!!という音を上げながらも減速して交差点にするZ。右に曲がろうとステアリングを切ったところ、突然左側からブォォォゥゥゥゥン!!というエンジン音のようなサウンドと共に猛スピードで何かが接近してくるのに気付く。
立ち上がる手前でバックミラーを見て何か確認しようとした……その時だ。ガンッ!!という強い衝撃と共に突然、車体が左に大きく崩れた。接近してきた車輌がZの右後部に引っ掛けるように車体を当てて来たのだ。
キィィィィ!!という悲鳴のようなタイヤのスキール音が鳴り響く中、博也は「っ……!?」と言葉にならないような声を出して驚きながらも直ぐに対応しようと右にステアリングを切って修整を掛ける……が、路面が濡れているため崩れた態勢は中々直らない。
安定性が戻らないZは路面に溜まっていた雨水を勢いよくバシャッ!!と巻き上げるようにしながらもスピンし始めた。ステアリングを切り続けながらもタイヤのグリップ力(路面を掴む力)を戻そうとブォン!ブォォン!!とアクセルを開けたり、抜いたりと繰り返す……
「(頼む!戻ってこい…ッ……!!)」
そう強く願い続けながらも操作を続けると、思いが通じたのかZは車体の前部を左側のガードレールによって擦るようにしてから何とか態勢を立て直した。ふぅ……と息をつきたいところだが、先程当てて来たと思われる車輌はZの右前についている。911系ポルシェ、997のマッドブラック塗装のターボS……B.Rだ。体当たりをしたにも関わらず、彼の車は無傷である。
「まだ生きてるのか、しぶとい奴だ」
車内でそう呟いたB.RはターボSも減速しながらも態勢を立て直したばかりの車体の後部をZに当てるようにわざと振らせ始めた。ガンッ!ガンッ!!と立て続けに右前部に体当たりを受けたZの車内で必死にステアリングと格闘する博也。が、そんな彼に追い討ちを掛けるようにターボSは驚きの行動にとった。右に並ぶようにしてから車体の側面を使って押し出すように左にサイドプレスを始めたのだ。
ターボSの側面とガードレールに挟まれ、身動きが取れずにミシミシッ……!と音を上げながらも車体を歪ませるZ。車内で抜け出す方法を考えていた博也だったが、その間にあることに気付いた……この先の車線減少により、自分が走らせている車線がなくなるということだ。徐々に車線減少表示の黄色い看板が迫ってくる……ブレーキを踏んで抜けるという方法もあるが、路面が濡れている中でそんなことをすれば態勢を大きく崩し、そのまま看板に突っ込む。かと言って、このまま頭から突っ込めば確実に"死ぬ"。
「ここで終わりだ」
ターボSの車内で不気味な笑みを浮かべながらも仕留めたと確信するB.R……だが、ここでZの車内にいた博也は驚きの行動を取る。
……アクセルを踏み込んだのだ。
それと共にシートの下に取り付けられていたボタンを押す。ナイトロ・オキサイド・システム、通称・NOSと呼ばれている圧縮ガスをエンジン内部に送り込み、一時的に増大なパワーを得るシステムを作動させたのだ。
トランクのスペアタイヤスペースを加工して作られた場所に取り付けられた青いガスボンベのバルブがプシュンッ!という音と共に開き、圧縮ガスがV型6気筒エンジンへと勢いよく送り込まれていく。
ブウゥォォォォォォン!!という怒りの咆哮ようなエンジン音を上げると共に急激な加速を見せるZ。マフラーから青い火柱のようなアフターファイアを上げながらもターボSを逆に押し退けるようにして右の車線に移った。
「なっ……!?」
突然のZのパワーによる押し退けに驚きの表情を見せるB.R。サイドプレスを行っている時に左にステアリングを切っていたため、車体は左車線に入った。そして、車線減少の黄色い看板に頭から突っ込んだ。バァァン!!というド派手な衝突音を上げながらも宙を舞うターボS。
抜け出したZの方も只じゃ済まされない。NOSで抜け出した勢いで車体の安定性がまた崩れ始めたのだ。ステアリングとの格闘を再開し、必死に操作を続ける……すると、車体が無事に安定性を取り戻した。
再び病院に向けて走り出すZ。
一方、宙を舞っていたターボSはダンッダンッ!!と音を上げながらも着地。車体は所々へこんでいるようだが、大きな外傷はないようだ。「嘗めやがって……!」と怒りを剥き出しにするB.Rは再びZ追おうとアクセルを踏み込もうとした。が、突然ピロピロピロという着信音が鳴り響く。相手を確認する……ボスのG.Dだ。
「……はい、ボス」
「―作戦は終了だ。それ以上の深追いは俺達の首を締めることになる……引き上げろ」
拒否して追いたい所だが、これは命令だ……仕方ないと受け止めたB.Rは「了解」と答えターボSを別の方へと走らせた。
・
―しばらくして 武偵病院手前
アリアが入院したと聞き付けたあかりは学校が終わると共にこの場所へと雨の中駆け込んだ。が、中に入る前に駐車場スペースの片隅に停まっていた車を見て驚きのあまりその場で固まってしまった。博也のZ33だ。
フロントバンパーは大きなへこみと擦り傷、サイド部分の擦れ具合もかなり酷い……文字通り、ボロボロの状態だったのだ。
「(そ、そんな……!アリア先輩だけじゃなくて博也先輩まで……!!)」
自分の憧れの先輩が二人共、やられてしまった……そう思うと病院に入ることが恐くなってしまったあかり。雨で路面が水浸しになっているにも関わらず、そのまま力をなくすように両膝をつけて茫然と座り込んだ。
今まで自分に夢を与えてくれた二人が遠くなっていくようなそんな感じがしてならない。
……そんな中、後ろから何かの気配を感じた。
ゆっくりと振り向くと、そこには傘を片手に持っている黒い服装の少女が立っていた。
「間宮あかり……おいで」
どーも、350Zです。
いかがでしたか、今回?
人が乗ってなかったり、車が頑丈だったりという設定だったので、いつもよりも敵車輌のやられ方をド派手にしてみました。
やっぱり派手にやらかしてくれるのは書いてる方としてもスッキリします。
これこそ、私が求めるスピード&パワーな世界←←
Poweeeeeeeerrrr!!←←(ダレダオマエ
にしても、
アリアの負傷だけではなく、博也のZもボロボロになっちゃいましたね……
B.R、怖いでしょ……(((
そして、あかりの元へと近付く影……
まあ、原作読んでいれば誰かは分かりますね←
ま、そんなこんなで終わった二話です。
続きの三話はどうなるのか……?
ご期待下さい(渡○也)