緋弾のアリア-X-クロス   作:350Z

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第五話 トリガー・ワーニング

 

 

 

 

―3日目 日が昇り出した早朝、喫茶店

 

 

 

期日である3日目が刻一刻と迫る中、元弟子達がガレージで作業を進め、片岡は未だに入手できないパーツを手に入れようと喫茶店の片隅の席で電話を片手に色々な人物に掛けていた。

 

Zの方はかなり形になってきてはいるが、サイドステップ以外のエアロ系のパーツとその他所々のパーツは付いていないような状態だ。理由は簡単……物がないのだ。

 

急いで入手しようと焦る片岡は右手に電話の受話器を持ち、左手にはボールペンと連絡リストという完全装備で片っ端に連絡していく……その様はまさに期日を迫られた中小企業の営業のようだ。

 

 

 

 

「そうですか……わかりました。こんな時間に掛けてしまい、申し訳ありませんでした」

 

 

 

 

そう謝罪の一言を入れてガシャッと受話器を下ろす。持っていたボールペンで連絡リストにバツをつけたのを見る限りダメだったようだ。溜め息混じりに「はぁ……」と息をつきながらも改めて連絡リストを見てみる……連絡先にギッシリとバツ印がつけられている。

 

 

 

 

「(これでもう何軒目だろうな……)」

 

 

 

 

そう思いながらも次の番号をピッピッと押してから再びガシャッと受話器を上げる……すると、気さくな声で「ーはい」と店主らしき人物が電話に応じてくれた。改めて本腰を入れて話そうと試みる。

 

 

 

 

「もしもし、L'sプロチューンの方ですか?」

 

 

 

 

「―はい、そうですが……って、もしかして片岡さん?」

 

 

 

 

恐る恐る問い掛けてくる店主に対し、思わず驚きの表情を浮かべると共にどうして此方のことがわかったかと疑問を抱く……

 

もしや、知り合いなのでは?

 

そう思い「そうですが」と答えた後に続けて相手が誰か確かめようと問い掛けた。

 

 

 

 

「失礼ですが、御名前をお伺いしても……」

 

 

 

 

「―御名前って、前原ですよ!前原!!15年前に貴方のショップで色々世話になっていた!!」

 

 

 

 

その名前を聞いてようやく思い出した……自分の下で"色々学びたい"と言って働いていた従業員だ。辞めた後は東京を出て独立し、ショップを立ち上げたというのは片岡も聞いていたが、それ以上のことは分からなかった。

 

久々に聞く声と名前に懐かしいと思い「おぉ!!」と声を上げてしまう。

 

 

 

 

「久々だな、元気でやってるか!?」

 

 

 

 

「―ええ、何とか上手くやってます。これも片岡さんの指導の賜物ですよ」

 

 

 

 

懐かしさのあまり思わず、そのままプライベートの話を持ち掛けてしまいそうになる……が、今はそんな暇ではない。Zのパーツの収拾が第一だ。

 

 

 

 

「前原、突然で申し訳ないが……お前んとこのショップの在庫にZ33の後期型のバンパーパーツないか?

 

フロント、リアのセット……いや、一つだけでもいい」

 

 

 

 

「―Zのパーツ……ありますよ。単体ではありませんが」

 

 

 

 

その言葉に「本当か!?」と食い付いてしまう。それに対して前原は「―えぇ」と小さく答えてから続けるように説明を始めた。

 

 

 

 

「―先日、ウチの客から引き取ったタマですよ。エンジンが完全に逝ってるやつ……

 

エンジン関係と駆動系はダメですが、外装系パーツはエアロ含めて新車みたいに綺麗です。しかも、かなり良さそうな奴組んでますよ」

 

 

 

 

「……色は?」

 

 

 

 

「―純正の白……所謂、パールホワイトってやつです」

 

 

 

 

かなりの良い状態で博也のZと同じ色……これを逃してはならない。受話器を握っていた手にグイッと力を入れながら、早速交渉に望んだ。

 

 

 

 

「前原、頼みがある。そのZのバンパー……譲ってくれないか?」

 

 

 

 

力強く頼み込んでみる……断られるのも覚悟していた。

 

が、意外にも前原は「―良いですよ」と心意気なくあっさりと承諾してくれた。これには驚きのあまり勢いよく立ち上がってしまう。

 

 

 

「お前、本当に良いのか……!?」

 

 

 

 

「―ええ。

この33(サンサン)を引き取った理由はウチの新しいデモカー製作の為……製作時にウチのショップの新作エアロを取り付けるので、今付いてるエアロがどうしても邪魔になるんですよ」

 

 

 

 

元弟子の前原に感謝の気持ちで溢れそうになる片岡。「……恩に着る」と素直に礼を述べると、前原は更に話を続ける。

 

 

 

 

「―いつまでにお送りすればよろしいですか?」

 

 

 

 

「早すぎて申し訳ないが、出来れば今日の昼までに届けて欲しい」

 

 

 

 

「―昼まで……じゃあ、今から取り外して朝一番に直接お届けします。所在地はあのショップの場所と同じでいいですか?」

 

 

 

 

「ああ、すまない…頼む……!」

 

 

 

 

「―お安い御用ですよ、それじゃ。また」

 

 

 

 

そのままプツッと通話が切れた。期日に間に合わせるという希望が生まれ、ホッとした様子で力を無くすように椅子に座ってゆっくりと受話器置く片岡……先程とは違う安堵の息を「ふぅ……」とついた後にZの持ち主である博也の顔を頭の中に思い浮かべた。

 

 

 

 

「(運が良いな……お前。ひょっとしたら、神様に愛されてるのかもな)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日、日が沈み始めた夕方

 

 

夕焼け色の空の下、ホテル・ラストダンスの前に集まるあかり、志乃、ライカ、陽菜。それぞれが武装を確認し、今すぐにでも戦えるように準備を進めていた。

 

 

 

「あかりさん、準備はよろしいですか?」

 

 

 

 

志乃の確認に力強く頷くあかり……だが、ふと何かに気付いて「あれ?」と小さく首を傾げて改めて皆の方に目を向けた。

 

 

 

 

「あれ、高千穂さんは……?」

 

 

 

 

「あかり、聞いてなかったのか?

 

アイツなら、もしもの時に備えてって原田先輩の車に乗ってこの辺りを巡回してる」

 

 

 

 

ライカの言葉に「あ、そうだった……」と思い出すあかり。そんな彼女を心配するように志乃が肩にソッと手を置くと一緒にいた陽菜も二人の方へと目を向ける。

 

 

 

 

「あかりさん、緊張されてますか?」

 

 

 

 

「あまり無理はなさらぬ方が良いで御座るよ」

 

 

 

 

「心配してくれてありがとう……皆がいるから大丈夫だよ」

 

 

 

 

その言葉に全員分かったと言わないばかりに小さく頷く。それと共に指揮車輌に乗っていた麒麟の方から無線で連絡が来た。

 

 

 

 

「―皆様、作戦開始の時間が迫ってますの!配置について下さいませ!!」

 

 

 

 

麒麟の言葉に全員で「了解ッ!!」とハキハキとした口調で応答。カチャッとそれぞれの武器を構える。ライカと陽菜が決められた配置に着こうと散り散りになる中、あかりと志乃は力強い歩調でホテルの入り口に向けて歩き出す。

 

 

 

作戦コード『AA』、開始。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数十分後 二車線の国道

 

 

 

ブォゥゥン……という水平対抗エンジン特有の音を響かせながらもゆっくりと走っていく86。車内には大樹と麗の姿が……二人共、周囲に警戒するようにしている。

 

 

 

 

「何か見つけたか?」

 

 

 

 

「いえ、それにしても……不気味な位に静か過ぎますわね」

 

 

 

 

麗の言葉に「ああ」と小さく頷く大樹。だが、それから間もなくして信号を右折した時、不審な車輌を発見した……3台の縦に並んだ黒いハイエースだ。

 

86が姿を見せるや否や、急加速して逃げ始めた。

 

 

 

 

「っ、大樹先輩……!」

 

 

 

 

「怪しいな」

 

 

 

 

一般道の法定速度を大幅に破るような速さまで加速しているのを確認……自分の目が間違っていないか確かめる為に少しだけアクセルを踏み込んで加速させるも、なかなか追い付かない。それと共に異変に気付いた麒麟から無線連絡が来た。

 

 

 

 

「―な、何か御座いましたの……!?」

 

 

 

 

「不審車輌を見付けた!

 

FT20(エフティートゥーゼロ)、追跡を開始する!!」

 

 

 

 

グイッとアクセルを踏み込むと、ブォゥゥゥン!!!とエンジンの音を周辺に轟かせながらも加速していく86。

 

……その車影を遠くのビルの屋上から双眼鏡を使って眺める人物がいた。

 

 

ボディラインがくっきりと分かるようなチャイナドレスに似た黒い服を着た長身のアジア系の女性。ショートカットの黒髪に妖艶的な切れ長の目付き……まさに日本の男性が好みそうなアジアンビューティーと言った容姿だ。

 

そんな彼女は86がハイエースを追い始めたのを確認すると舌を出し、「シメた」と言わないばかりに軽く上唇を舐めるような仕草をする。そして、双眼鏡をゆっくりと下ろすと共に腰周りにホルスターのようにしまっていた携帯を手に取り、ピッピッと操作してとある人物と連絡をとった……ポルシェ997型GT2に乗るG.Dだ。

 

 

 

 

「あ、ボス?邪魔者は"餌"で釣ったわ、上手く行きそうよ。あとは目標を畳み掛けるだけ」

 

 

 

 

「―そうか。それで、肝心な目標の方は?」

 

 

 

 

「情報によれば武偵高の連中と交戦中……現在、武偵側がかなり押されてるみたいよ」

 

 

 

 

そう答えながらも下ろしていた双眼鏡を片手に再び構え、探るように辺りを見回す……すると、埠頭の辺りで夾竹桃とあかりが対峙しているのを確認した。あかりが右手を前に出して腰を低くするようにして構えたのを見て思わず「おっ」と小さく声を出す。

 

 

 

 

「―どうかしたのか?」

 

 

 

 

「武偵の子が何かしようと構え出したわ。必殺技でも出す気かしら?ま、結果がどうであれ……デットエンドになるのは変わらないけど」

 

 

 

 

あかりが今にも技を繰り出そうとする中、双眼鏡を下ろしてビル下の道路に目を向ける……すると、4台のハイラックスサーフが通り掛かった。

 

 

 

 

「さあ、行きなさい……私の操り人形(マリオネット)達」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―とある閑静な埠頭

 

 

ライカ、陽菜も倒されて自分と行動していた志乃も目の前で倒されたあかり……皆の想いと自分の意思である技を繰り出した。

 

鷹捲……夾竹桃が欲しがっていた技だ。

 

彼女は鷹捲を毒だと思い込んでいたが、その実態は全く異なるもの。人体のパルスを回転によって増幅・収束させ、打撃と共に振動で対象を破壊する技なのだ。

ビリビリという衝撃と共に持っていた無反動ガトリングが破壊され、服を破けさせながらも倒れる夾竹桃。海に落ちる手前でバタリと倒れている所にあかりは素早く手を掴んだ。

 

 

 

 

「逮捕ッ!!」

 

 

 

 

動きを止めるように両手に手錠を掛けた後、無線で麒麟に連絡を入れようと試みる……すると、「―間宮様っ!」と心配するような声で無線に応じてくれた。

 

 

 

 

「―無事ですの!?」

 

 

 

 

「うん、私のことより…志乃ちゃんが……!!」

 

 

 

 

「―すぐに回収に向かいますの!!」

 

 

 

 

 

麒麟の無線を聞いて「うん、わかった…!」と答えてから手錠を掛けている夾竹桃を引き連れて傷だらけで意識がない志乃の元へと駆け寄るあかり……正しい応急処置の仕方が分からない。とりあえず手持ちのハンカチ等を使って止血等を試みる……

 

 

 

 

「志乃ちゃん、お願いだから戻って!」

 

 

 

 

強い思いからそう呟きながらも必死に治療を続ける……すると、一台のハマーが3人の前で停まった。

麒麟が乗る指揮車輌だ。咄嗟に「大丈夫ですの!?」と心配しながらも降りてきた。

 

 

 

 

「麒麟ちゃん、志乃ちゃんが……!!」

 

 

 

 

「早く乗せますの!間宮さまはお手伝いくださいませ!!」

 

 

 

 

そう言いながらも素早く回収を行う。夾竹桃にやられたライカ、陽菜の二人が乗る後部席に3人を乗せ終えて麒麟がハマーの運転席に座った時だ……

 

大樹から無線連絡がきた。

 

 

 

 

「原田先輩?」

 

 

 

 

「―そこから逃げろッ!早くッ!!」

 

 

 

 

もう任務を終えた頃なのに逃げろというのはどういうことだろうか……?そう疑問に思い「逃げろ……?」と復唱しながらも首を傾げた時だ。何もなかった埠頭でチラッと眩いヘッドライトの光が差し込んできた。

 

 

 

 

「っ、そういうことですの……!!」

 

 

 

 

その呟きに対し、後ろから来る存在に気付かないあかり。「え……?」と逮捕した夾竹桃と負傷した志乃から目を離すと同時に麒麟が急にアクセルをグイッ!と踏み込んでハマーを急加速させた。

 

 

 

 

「わっ!!?」

 

 

 

 

驚きの声をあげながらもシートに背中を打ち付けられるあかり。「イタタ……」と小声で呟きながらも急にアクセルを踏み込んだ麒麟に目を向けるあかり。

「どうしたの!?」と問い掛けると、彼女はステアリングをしっかりと握りながらも切羽詰まったような口調で説明を始めた。

 

 

 

 

「追手が来ましたの!!」

 

 

 

 

「追手!?」

 

 

 

 

信じられない様子で後ろに目を向けた時、眩いヘッドライトの光が目に飛び込んできた。1台だけではない、4台はいる。

そして、目を向けてから間もなくして先頭を走っていた車輌の助手席側からマズルフラッシュのような赤い光が素早く点滅するように見えるとキュインッ!!という素早い音が聞こえてきた。

 

 

……発砲してきたのだ。

 

 

これには流石のあかりも状況を理解し、ホルスターにしまっていたマイクロUZIをチャキッと手に取って臨戦態勢に入った。

 

 

 

 

「間宮さま、掴まるですの!!」

 

 

 

 

そう言いながらもハマーの巨体を速い速度で右に曲がらせる麒麟。

立ち上がり時に目の前にフェンスが設置されているのが見えたが、そんなものは関係ない。ブォン!!と音を響かせながらもハマーの頑丈さを活かしてそのまま突き破っていく。すると、追手の車輌も突き破った部分を通るようにして跡を追ってきた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―同時刻 喫茶店、ガレージ側

 

 

徹夜をしてすっかりグッタリしている元弟子達……そんな彼らの横に停まる一台の車。

 

 

流線形のロングノーズショートデッキ、

 

真珠のような白く艶のある美しいボディカラー……

 

 

 

その車の運転席に座り、力強くステアリングを握り締める博也。片岡が静かに歩み寄って来たのに気付き、ウィンドウを開けて彼の方に顔を向けた。

 

 

 

 

「ありがとうございました。片岡さん」

 

 

 

 

「無茶するなよ、前の時とは勝手が違う」

 

 

 

 

「はい……じゃあ、行ってきます」

 

 

 

 

そう言ってからウィンドウを閉めてから顔を前に向け、真っ直ぐとした目でアクセルをスッと軽く踏み込む。

 

ブォォォォォン!!という咆哮を周囲に轟かせながらもガレージから出ていく白い車影……

 

その車影の姿を片岡は遠くを見据えるようにして見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ニューフェアレディZ、始動。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






ども、350Zです。


いかがでしたか、今回。


いやー完成しましたね……Z。


え、早すぎるって?


フィクションなんだから、その辺りは気にしちゃダメっすよ!先輩!!



ところで、話が少し変わりますが……ここで書こうと思ったけどボツになった構想をご紹介します。


それは麗と大樹の動き。



今回、二人共一緒に行動してましたが


実はそれとは別に麗が直接行動、大樹が麒麟と同じように回収班というものです。


夾竹桃にやられた麗を大樹が回収という形になるのですが……


麗がのやられ方が原作AAのライカと同じように媚○にやられたという設定で、回収に来た大樹とそのまま


まあ、これ以上は説明しなくても分かりますよね?(笑)


ただ、どこまでがOKどこからがアウトの判定になるのか分からないのでやめました!←


……が、皆さんの御要望によっては18の方で書きますぞよ?←ニヤニヤ



さて、グフフな話はこれぐらいにして……



次回、復活を遂げたZの真価が発揮されます!

お楽しみに!!



P.S
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