雪国の先導者達   作:黄雀

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結成!ヴァンガード部
転校生


世界のカードゲーム人口は数億人を超え、わたし達の生活の1部となっていた。その中でも今1番注目を集めているカードゲームがカードファイト!ヴァンガード。

 

全国各地の高校でヴァンガード部があるほどの人気ぶり。わたしの通う梅乃台高校にもヴァンガード部がちゃんとある。部員は……3人だけ。

 

 

わたしの通う梅乃台高校は新潟県中越、梅乃台集落で唯一の高校だ。過疎化の進んだ梅乃台では高校でも全校生徒数は100に満たない。

「あー、誰かヴァンガードはじめないかなー」

わたしの名前は御堂ユキネ。ヴァンガード部の1年生部長だ。

「朝からヴァンガードヴァンガードうるせえ。放課後部活があんだろ」

「トウジとしかやれないじゃーん」

トウジが黒縁メガネを光らせてぶっきらぼうな返事をする。

桐澤トウジ。同じくヴァンガード部の1年生副部長。幼なじみで同じクラス。このド田舎じゃだいたい幼なじみで、ついでにクラスも学年に1つずつだけど。

「仕方ないだろ、田舎なんだから」

「ちぇー」

田舎だから。

どの部活も事情は同じ。人数不足で大会にでれない部活なんて山ほどある。高校生ヴァンガードファイターにとっては夏のVF甲子園と冬のU18日本サーキットがそれに当たる。

「甲子園の7人どころか、サーキットの4人にすら届かないもんね」

「人数だけじゃなくて実力も足りてないけどな」

「あーもう!なんでトウジはそうネガティブかなあ!?」

いつもの会話。トウジのネガティブも実はちょっと楽しんでる。

 

「ほら、お前ら席つけー。HRはじめるぞー」

担任の元気なおじいちゃんがガラガラと扉を開けて教室に入ってくる。

これもいつもの光景。

 

「ん?誰だありゃ」

トウジが指さした先。おじいちゃんの後ろに見知らぬ女の子がいた。この田舎で見知らぬ人なんて基本的にいないはずだったんだけど。

「わぁ……かわいい」

女のわたしをしてかわいいと声に出てしまうほど圧倒的にキラキラしている。

教室中がどよめきはじめた。

「突然だが今日から転校生が仲間にはいる。ちゃんと親切にしろよ」

転校生……!この過疎の極み、少子高齢化の前線基地、限界集落の見本たる梅乃台に転校生だなんて……!

「大変だなぁ、この変な時期に転校なんて」

そういえばそうだ。トウジの言う通り、今は9月の下旬。変な時期の転校と言える。

そんなことを考えてるうちにキラキラ転校生は黒板に名前を書いていき、それが終わるとこちらを振り返って挨拶をはじめた。

「はじめまして、歌星ミクです。東京から引越してきました。前の学校では軽音楽部に入ってたんですけど、梅乃台高校にはないって聞いて何の部活に入ろうか考え中です。みなさん、よろしくお願いします」

スラスラと歌のように綺麗な声が流れていく。耐えることないキラキラスマイル。ああ、これが……

「これが東京の女……」

言いようのない敗北感。

見ればオーラの違いに圧倒されたのはわたしだけでないらしく、教室は静まり返っていた。

 

パチ、パチ……

傍らのトウジが拍手をしてくれなければ誰も動くことすらできなかったと思う。

「じゃあ歌星の席はそこ、空いてる席2つあるけど後ろの方な」

「はい先生」

言われてみれば席増えてる。なんで気がつかなったんだろう。

っていうか____

「やばいトウジこっち来る!キラキラ!キラキラがこっち、隣に!」

「お前は何テンパってんだ。男子か」

おじいちゃん先生が指定した席はあろうことかわたしの隣だった。

キラキラの歌星さんがわたしの隣に座る。ふわっといい匂いがする。なんかわたし変態みたいだ。

「あ、あの……!わたし御堂ユキネとも、申します」

口調もおかしくなってるし。

「ユキネちゃんだね?うん、よろしくね」

「は、はいっ。えっと、その、ヴァンガードに興味あったりしませんか?」

それでもわたしは覚えていた。ヴァンガードへの情熱だけは忘れていなかった。これはまたとない新入部員獲得のチャンスなんだ。

 

「ごめんね。あんまり興味ないかな」

そう、東京のキラキラ美少女はヴァンガードなんかしないのである。

 

 

 

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