雪国の先導者達   作:黄雀

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歌星ミクVS浅倉ナツキ 完結編です。
今回はじめてファイト描写のために、実際にカードを並べてみました。接戦を描こうとすると、未熟な私ではどうしてもイメージでは限界があるようです。


少女達の騎士団

 十日町駅前のとある喫茶店。そのテーブルの1つで行われている最高レベルのファイトがある。

 歌星ミクと浅倉ナツキ。いずれも表舞台には出てこないが、全国区の実力の持ち主である。

 

【歌星ミク:ダメージ5(表3)/手札7】

【浅倉ナツキ:ダメージ5(表3)/手札3】

 

「あたしのスタンド&ドロー。ジェネレーションゾーン解放」

 浅倉がグレード0の氷結の撃退者をドロップゾーンに置く。本来ストライドにはグレード合計3以上をドロップする必要があるが、この時だけは例外だ。

「ブラスターダークDiabloのジェネレーションブレイク、ファントムブラスターDiabloに超越する時、手札からドロップするカードのグレードを+3する」

 そう、このスキル。これによりブラスターダークとファントムブラスターの組み合わせに限ってはどんな組み合わせでも超越できるのだ。

「闇より出でし我が力よ、屍の山を踏み崩し進め。ストライドジェネレーション!暗黒竜ファントムブラスターDiablo!」

 ついに来た。アビスウイングの第一の切り札。けれどこれはまだ本番の始まりを告げているに過ぎない。

「ブラスターダークDiabloのストライドボーナス発動。シェリーを退却させる。そしてDiabloのスキル。カウンターブラストとGペルソナブラストでパワー、クリティカル、スキルを得る」

 まぁるがるの圧力にも屈しない……か。

「マーハの後ろにマスカレードをコール。ダークハートを前進。ここからアタックに入るわ。マーハでヴァンガードをアタック。スキルで山札から真黒の賢者カロンをコール」

 途切れることのない増援の騎士達。これが浅倉のシャドウパラディンとわたしのロイヤルパラディンの共通の特徴。

「ノーブルスティンガーでガード」

「カロンのブーストしたトランペッターでリアガードのそーどみーを」

 ガード要求値の差も見逃さずに詰めてくる。

「ノーガード。そーどみー退却」

「ファントムブラスターでヴァンガードをアタック!この時スキル発動、カロンとトランペッターをドロップすることで、そちやがリアガードを2体退却させない限りガードできなくする。パワーは43000。クリティカルは2」

 これがやっかいなファントムブラスターの力。ここは大人しく2体を生贄にするしかない。

「まぁるがる、そーどみーをドロップしてホーリーナイトガーディアンで完全ガード」

 コストとしてヒールトリガーのポリーを捨てる。このアタックだけで4枚もっていかれた計算になるし、ターン開始時に5体いたこちらのリアガードはわずかにシシルス1体だけとなっている。

「トリプルドライブ」

 マスカレード、マックアート、そしてヒールトリガーの暗黒医術の撃退者だが、パワーの振り先はもうない。実質ダメージ回復のみとなる

「ターンエンド」

 

【浅倉ナツキ:ダメージ4(表1)/手札6】

【歌星ミク:ダメージ5(表3)/手札5】

 

「わたしのターン。スタンド&ドロー」

 ドローがよくない。まずいかもしれない。

 トリガーユニットを並べてレガリアで強行突発する……?

 いや、失敗したら確実に次のターンはない。

「くっ……ジェネレーションゾーン解放!力は我にあり。裁きの光で逆らう者を切り伏せよ!ストライド・ジェネレーション!神聖竜サンクチュアリガード・レガリア!」

 手札のシシルスをドロップゾーンへ。

「ナイトオブツインソードをコール」

 ダメージに宝石騎士がない……!そーどみーのコンボに繋げられない!

「お悩みのようね、コスモウイング」

「黙ってなさい」

 手札にもう1つの切り札、シングセイバードラゴンもないんだ。行くしかない。強行突破だ!

「ファイナルターン!!」

「そんな……ここから!?」

「まぁるがる、ラシェル、ノーブルスティンガーをコール!」

 トリガーユニットを3枚コール。荒技中の荒技だけど仕方ない。

「まぁるがるでヴァンガードをアタック!パワーは16000!」

 レガリアのスキルで前列のユニットのパワーはグレード1以下のユニットの数だけ3000上がる。ただのトリガーユニットでさえも単独でヴァンガードを脅かすパワーとなる。

「暗黒医術の撃退者でガード!これを止め切ればあたしの勝ちよ!」

「止めきれるもんならねぇ!シシルスのブースト、ツインソードでヴァンガードをアタック!スキル発動」

 ツインソードのスキルはブーストされてヴァンガードにアタックした時、カウンターブラスト1でツインソード以外のグレード2を山札からコールすることができる。

「わたしが選ぶのは、スターライト・ヴァイオリニスト!まぁるがるの上に上書きコールし、スキル発動!」

 スターライト・ヴァイオリニストのスキルは登場した時、カウンターブラストとソウルブラストを1ずつ払うことで、スターライト・ヴァイオリニスト以外のグレード2を山札からコールできる。

「このスキルでわたしはツインソードを、ヴァイオリニストに上書きコールする!」

 コストはかさむけれど、このコンボによりツインソードでツインソードをコールすることが可能になる……!

「パワーは25000よ」

「ノーガード、ダメージチェック。ゲット・ドロートリガー!パワーをヴァンガードへ」

「くっ……!」

 よりによってここでドロートリガーなんて!だいたいそのデッキの残りのドロートリガー、1枚だったじゃない!

「いえ、それでも強行突破する!ラシェルのブースト、レガリアでヴァンガードをアタック!パワーは40000!」

「カルマコレクターで完全ガード!コストはマーハを捨てる」

「トリプルドライブチェック。ホーリーナイトガーディアン。ラシェル、クリティカルトリガー!効果はツインソードへ。サードチェックは……シェリー」

 向こうの手札はあと4枚。前のアタックの時に10000ガードは尽きていた。2枚はマックアートとマスカレードのはず。

「ノーブルスティンガーのブーストでツインソードのアタック!スキルでそーどみーをツインソードに上書きコール!パワー28000、クリティカル2」

「マスカレード2枚、マックアートでガード!トリガー合わせて31000」

「そーどみーでヴァンガードにアタック、パワー18000」

「マーハのインターセプト!」

「止め切られた……。ターン、エンド」

 

【歌星ミク:ダメージ5(表0)/手札4】

【浅倉ナツキ:ダメージ5(表2)/手札1)】

 

「あたしのスタンド&ドロー……ふふっ」

「……なによ」

 浅倉が急に笑い始めた。

「あんまり引き運がいいんでつい、ね。ライド・撃退者ファントムブラスターAbyss!」

「Abyssにライド……」

 残った朝倉の手札は1枚、スキルのために場の撃退者を3体生贄にする必要があるファントムブラスターにも関わらず向こうの場に撃退者はマスカレード1体。

 必然的に足りないはずだが____

「まさか、嘘でしょ?ドロップに1枚、ソウルに1枚、ダメージに1枚ずつあるのに……」

「察しがいいわね!闘気の撃退者マックアートをコール!そしてシークメイト・レギオン!」

 マスカレード、そしてヒールトリガー2枚とクリティカルトリガー1枚がドロップから山札に帰っていく。こちらが防ぎきれるのを分かっていてクリティカルよりヒールを優先させてきた。ここに至っても浅倉の判断は冷静そのもの。

「並び立て、あたしのナイト……ブラスターダーク撃退者Abyss!そしてマックアートのスキルでマスカレードをレストでコール」

 全部だ。手札もインターセプトも全部もってかれる。

「マスカレードのブースト、マックアート。16000でヴァンガードにアタック!」

「インターセプト!そーどみーとツインソード両方よ」

「ファントムブラスターAbyssでヴァンガードをアタック!パワー22000」

「ホーリーナイトガーディアンで完全ガード!スキルでカウンターチャージ」

 コストとしてシェリーをドロップする。

「ツインドライブ!ファースト、クリティカルゲット。全てヴァンガードへ。セカンド、クリティカルゲット。全てヴァンガードへ」

 ここに来て山札からの大量コールが効いてきている。山札からグレード1を何度もコールすることで、相対的に山札のトリガーユニットの割合が上がっているのだ。

「3体の撃退者を生贄に、そしてカウンターブラスト2。ファントムブラスターAbyssはスタンドする」

 防げるとわかっているのに嫌な汗が背中を伝う。

「カロンのブースト、ファントムブラスターAbyssでヴァンガードをアタック。パワーは……39000!クリティカル3!」

「ホーリーナイトガーディアンで完全ガード!スキルでカウンターチャージ」

 今度はコストにラシェルを捨てる。

「ツインドライブ・アゲイン……ファースト、カルマコレクター。セカンド、クリティカルゲット」

「トリガー3枚に完全ガード……」

「さあ、これで状況は五分になったわ」

 やはり強い……。アビスウイング、いや浅倉ナツキ。

 

【浅倉ナツキ:ダメージ5(表0)/手札4】

【歌星ミク:ダメージ5(表2)/手札0】

 

「スタンド&……」

 手が止まる。止まってしまう。

 相手のガード値がすぐにわかる。ここで、ストライドが1枚で出来るカードを引かなければ、勝ちはない。

「……っ!ドロー!!」

 柄にもなく、緊張しきって引いたカードを見る。

「きた……やっぱりわたし達、ライバルってことかしらね」

「は?何を言って____」

「Abyssにはこれで対抗しなくちゃってことよ!ライド・探索者シングセイバー・ドラゴン!」

「ふっ、いいわ。最後の勝負よ!」

 このシングセイバーで決める!

「シシルスを前進。そしてシークメイト・レギオン!並び立てわたしのナイト、ブラスターブレード探索者」

 まぁるがる、ポリー2枚、ラシェルをドロップから山札へ。トリガー4枚を山札に戻せた。

「ラシェルのブースト、シングセイバーでヴァンガードをアタック!パワー27000」

「カルマコレクターで完全ガード!コストは厳格なる撃退者」

 トリガーが1枚も出なければ、防ぎ切れる計算ってことか……。でも、わたしのロイヤルパラディンだって山札からノーマルユニットを呼び出すことでトリガー率を上げている。

「ツインドライブ!ファーストチェック、ゲット・ヒールトリガー。全部シシルスに。セカンドチェック、ゲット・クリティカルトリガー、全部シシルスに。」

「あーあ、あと少しだったのに」

「シングセイバーのスキル。手札を2枚すて、ソウルブラスト3、カウンターブラスト2。山札からスペリオルペルソナライド!そしてソウルのブラスターブレードとレギオン!シングセイバーでもう1度ヴァンガードにアタック!」

 やっぱり、ヴァンガードは楽しい。本当は、やめたくないよ……。

「6点目ヒールトリガーにかけるしかないわね。受けるならクリティカル2のシシルスより、クリティカル1のシングセイバー……いいわ、ノーガード!」

「ツインドライブ……ノーブルスティンガー、ラシェル。ゲット・ダブルクリティカルトリガー。効果は全てヴァンガードに」

「ほんっとに、ネットでもリアルでも容赦ないわね」

 6枚目のカードが、浅倉ナツキのダメージに置かれる。

 

 

 

「いいファイトだった」

 しばしの余韻のあと、浅倉ナツキが口を開いた。

「あんた、名前は?」

「あれ?言ってなかったっけ、歌星ミクよ」

「ん、覚えておくわ……」

 また、沈黙。

「……ねえ、歌星ミク」

「なに」

「続けなさいよ、ヴァンガード」

「…………少なくとも、もう大会とかには絶対出ない。リアルでも、ネットでも」

 仕方のない、ことなんだ……。わたしはロイヤルパラディンのデッキを片付けると、おもむろに席をたった。

「コーヒー代、置いてくから。あとそのデッキ、あげるわ。引退するからいらないし、もともと使ってなかったし……」

 そのまままっすぐ店を出ていった。あんなファイトのあとに引き止められたら、引退の決意が揺らぎそうだったから。

 

 

 

 店に残されたナツキら、同じく残されたシャドウパラディン達を愛おしげに眺めていた。

「なーにが使ってなかったよ。スリーブ、ボロボロじゃないの。色あせて赤だかオレンジだか分かりゃしない」

 ミクのことを思い出すと自然と頬の緩むナツキであった。

「嘘が下手なのはどっちよ、まったく……。ま、引退撤回まで、気長に、大事に、預かっておくってことにしておきますか」

 軽くため息をついて、半分しか飲んでいないミクのコーヒーに手をつける。

「うわ苦っ……砂糖いれなさいよ全く……」

 

 

 To be continued……

 

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