ミクちゃんの家ではじまったヴァンガード部への入部をかけたファイト。ミクちゃんがヴァンガード部を拒む理由も一部だけど話してくれた。あとはこのファイトをいいものにすること、それがわたしのやるべきこと。
【御堂ユキネ:ダメージ3/手札5】
【歌星ミク:ダメージ4(表3)/手札5】
「さ、お喋りはここまで。一気にけりをつけるわ」
シングセイバードラゴンにライドしたミクちゃんのターンが始まる。
「シングセイバードラゴンを捨ててジェネレーションゾーン解放!」
お互いのヴァンガードがグレード3になったことで、ついに超越が解禁された。ここを耐えて必ず反撃にでないと。
「力は我にあり。裁きの光で逆らう者を斬り伏せよ!ストライドジェネレーション!朧の聖騎士ガブレード!」
はじめて見るサンクチュアリガード・レガリア以外のミクちゃんのGユニット。これも油断はできない。
「このまま、アタックに入る。まずはシェリーでリアガードのグラジオラスをアタック!パワーは10000」
ここでグラジオラスを失うのはかまわない。トウジと組んだタッグファイトで学んだんだ。失うと絶対に困るカードは気安くコールしちゃいけないんだって。
「ノーガード、退却するよ」
「ガブレードでヴァンガードをアタックするわ」
お次はヴァンガードからヴァンガードへのアタック。パワーはブースト込みで31000の巨大なアタックだ。
……どうするべきだろう。手札に完全ガードはある。ここで守ることによって、このあとレガリアの猛攻撃が来てもノーガードで凌げるかもしれない。けれど相手はあのミクちゃん、レガリアだけ警戒してればなんとかなるようなデッキじゃないはず。
「……ここは積極的に、勝ちを狙っていくよ。メイデン・オブ・パッションフラワーで完全ガード!」
コストとしてグレード2のフラワースクリーンをドロップに送る。本当ならガードに使えないグレード3をコストにしたいところだけど、ここでそれをすると次のターン超越できるか危うい。
「判断ミス……かしらね。トリプルドライブチェック」
1枚目にシシルス、2枚目にツインソードとトリガーはでない。このまま一気に……
「サードチェック、熱望の宝石騎士ポリー。ゲット・ヒールトリガー、パワーをそーどみーへ。1枚回復」
裏になっている炎玉の宝石騎士ラシェルがダメージからドロップゾーンへ移動する。ダメージと同時にカウンターブラストのコストを回復した。同じヒールトリガーでもわたしが出したものとは価値が微妙に違っている。
「そしてそーどみーのアタック。ブーストとトリガーを合わせてパワー21000」
「ディモルフォーゼとピアでガード」
ここを止めないのならさっきのアタックを通した方がマシ。手札は残り1枚になったけれど、ここは止める。
「だいぶ無理したようね……。ターンエンドよ」
「ここから逆転するからご心配なくってね」
「ふん……ま、楽しみにしておくわ」
【歌星ミク:ダメージ3/手札7】
【御堂ユキネ:ダメージ3/手札1】
「スタンド&ドロー!ジェネレーションゾーン開放!」
フラワーピストルを手札からドロップする。このために残しておいたグレード3だ。
「この地に芽吹け吹雪にも負けぬ花、その名も希望!ストライド・ジェネレーションゾーン!春色の花乙女アルボレア!」
1番古くからわたしの相棒として戦ってきたアルボレアにここは賭ける。
「アーシャのスキルで仮初の騎士メアホープを分身!仮初の騎士メアドリームをコール。さらにオズのスキル!」
カウンターブラスト1と、オズをソウルに入れることでスキルを起動。リアガードにいるユニット1体を選びその同名ユニットを山札から呼び出す。
「もう1体、メアドリームをコール!」
手札は使い切った。でもダメージはまだ3、しかもトリプルドライブチェックで3枚の手札が補充される。悪くないはず。
「ねえミクちゃん」
「何よ……」
「こんな風にね、仲間がすぐ集まるでしょ?」
「そりゃネオネクタールだから____」
「ミクちゃんのデッキだってそう。ヴァンガードはやっぱり1人のものじゃないよ。みんなでやろう?」
メアホープとメアドリームをレスト。
ポリーがガーディアンサークルに出てくる。
「さっきも言ったでしょ!わたしはメンバーと、皆でいつか有名になるって約束したの。わたしに仲間を裏切れっていうの?」
アルボレアでヴァンガードをアタック。パワー26000。
「それ、本当にメンバーもそう思ってるの?」
ノーガードを手振りで表す。トリプルドライブを促すように。
「どういうことよ」
1枚目、ウーントタナップ。ドロートリガー。パワーをメアドリームに。
「ミクちゃんが先に有名になるの、メンバーの人達は嫌だって思ってるの?」
2枚目、フラワースクリーン。トリガーなし。
「それは……もし、そうじゃなかったとしても。わたし自身が許さない」
3枚目、ディモルフォーゼ。クリティカルトリガー。クリティカルをアルボレアにパワーをメアドリームに。
「どうして?ミクちゃんがメンバーを引っ張る先導者になればいいじゃん」
ダメージトリガーはない。
アルボレアのスキルを発動し、レストしたメアドリームの上に新しいメアドリームをコールする。
「簡単に言うけどね。あんたにそんなことできるわけ?」
メアドリームでそーどみーをアタックし、退却させる。
「____できるよ」
「えっ」
「仲間の活躍をいっしょに喜んで、仲間といっしょに戦えばいいだけだもの」
もう一体のメアドリームでアタック。パワーは26000。
「…………」
ホーリーナイトガイーディアンの完全ガード。コストにツインソードが捨てられる。
「ターンエンド。メアドリームのスキルを発動」
カウンターブラスト1とソウルブラスト1をすることで、デッキに戻りメアホープを2体山札からコールできる。
【御堂ユキネ:ダメージ3(表0)/手札4】
【歌星ミク:ダメージ5/手札4】
「スタンド&ドロー」
ミクちゃんのターンが静かに始まる。
そしてすぐにしばしの沈黙の時が流れる。きっとバンドメンバーのことを考えるのだろう。
ミクちゃんがヴァンガードのプレイングをそんなに悩むはずがない。ミクちゃんならすぐに最高のプレイを考えつき、実践してくる。まだ出会って間もないけれど、そういう信頼感があった。それは、ミクちゃんが福原のレギュラー候補だったとか、そんな肩書から来るものじゃない。2回のファイトを通じて、ミクちゃんが誰よりも真摯にヴァンガードと向き合あってきたことが伝わってきたから。
「なんか、よくわかんなくなっちゃった……」
「ミクちゃんがわからないなら、仲間に相談すればいいんだよ。だって仲間なんだから」
ふふっ、と顔がほころぶミクちゃん。
「なにそれ、ますますわけわかんない。でも、まあ、そうね。相談してみる」
「うん。あ、ヴァンガードの仲間の方はいつでもウェルカムだからね。県立梅乃台高校ヴァンガード部・部長の御堂ユキネが部員を代表して、歓迎いたします」
ちょっとかっこつけて、ミクちゃんに右手を差し出す。
ミクちゃんは少し驚いたような顔をしながらも、ゆっくりと右手を伸ばし____
「痛ぁっ!?」
バシッ。
思いっきりその手を叩いた。
「ヴァンガードの方はその前にやることがあるわ。わたしを先導するにふさわしい部長になったかどうか試すっていうね」
ニヤリと、生意気そうな笑みがミクちゃんからこぼれた。
いいね、ミクちゃんはそうでなきゃ。
「まずはそーどみーをコール。スキル発動。カウンターブラスト1をして山札からティファニーをコール」
「え、ティファニー?」
ヴァンガードの後ろにも一体いる、ミクちゃんのファーストヴァンガードだ。ファーストヴァンガードをデッキにもう一枚入れてるなんて、一体何のために……?
「ティファニーのスキル。ソウルに入れることで、宝石騎士2体にパワー+3000。これを2体分使い、ソードミーとその後ろのシェリーにパワー+6000。さらにまぁるがるをコール。ソウルに入れてスキルで前列のシェリーにパワー+3000」
次々にユニットのパワーが上がっていく。なるほど、ここからさらにユニットをコールして超パワーで攻めてくるつもりということか。
「シングセイバードラゴン、シークメイト・レギオン!並び立て、わたしのナイト・ブラスターブレード探索者!」
ドロップからラシェル2枚とポリー1枚、そしてシングセイバーが山札に帰っていった。
「シェリーでメアドリームをアタック!」
追加のリアガードをコールしない?
「えっと、ノーガード」
メアドリームを退却する。
「シングセイバードラゴンでヴァンガードをアタック!パワー22000!」
手札は5000のガードが2枚、10000が1枚。そして完全ガード。インターセプトはいない。ここは仕方ない。
「ノーガード」
「ツインドライブ!サンクチュアリガードと……ノーブルスティンガー!ゲット・クリティカルトリガー!クリティカルをヴァンガード、パワーをそーどみーに」
くっ、まだ……大丈夫。完全ガードでそーどみーを止める!
「ダメージチェック。1枚、2枚……ゲット・ヒールトリガー」
ダメージがミクちゃんの方が多い。回復できない……!
「パワーをヴァンガードに」
「シングセイバードラゴンのスキル発動!カウンターブラスト2、ソウルブラスト3、手札2枚をドロップすることで、山札からシングセイバードラゴンにライドする!」
ソウルからティファニー・シェリー・そーどみーが、手札からドライブチェックの2枚がドロップに送られ、新しいシングセイバーがデッキから現れる。
「そしてソウルのブラスターブレード探索者とレギオン!シングセイバーでもう一度ヴァンガードをアタック!パワー22000」
「ディモルフォーゼとウーントタナップでガード!」
これでパワーは31000になる。トリガーが2枚でなければ守り切れる。
「ツインドライブ。……トリガーなしね」
「ふぅ……」
「何安心してるの?この2枚はそのまま捨てるわ、シングセイバーのスキルコストとしてね」
「そんな!?だってソウルブラスト3なんてもう__」
いや、ある。そーどみーのスキルで呼んでソウルに入れたティファニー、自分のスキルでソウルに入ったまぁるがる、そしてライドされたことでソウルに移動した前のシングセイバードラゴン。
「三度降臨せよ……シングセイバードラゴン・スペリオルペルソナライド!そしてソウルメイトレギオン!シングセイバーでアタック!!」
「……ノー、ガード」
翌日。
重い足を引きずって学校へと向かう。
結局またミクちゃんをヴァンガード部に誘うことはできなかった。
「トウジ、ミクちゃんおはよう~」
今日もどうせ先に来ているであろう二人へ、教室の戸をくぐりながら声をかける。
「あ、ユキネちゃん遅いよ~。はい、これ」
ミコねえもいたらしく、わたしを見るなり小走りで寄ってきた。
「へ?何?」
差し出されたのは今日も1枚の紙。
見れば、昨日と同じ日本サーキットの申し込み用紙で、出場選手名欄は3つしか埋まっていない。桐澤トウジ、天原ミコト、歌星ミク。
「ん?」
歌星ミク。確かにそう書かれている。
「ユキネちゃんも早く名前書いて、先生に提出しちゃってね~」
ミコねえはそう言い残して、今日は早めに教室をあとにする。
「ミクちゃーん!」
「ちょっ、抱き着かないでよ!暑苦しい!」
梅乃台高校ヴァンガード部の歴史はまだ、始まったばかりです。
To be continued……