雪国の先導者達   作:黄雀

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作中無敗がとうとう1人になった瞬間です。



部長の選択

「勝者!梅乃台高校・桐澤トウジ選手!」

 審判さんのコールが響く。それと同時に会場の一部からどよめきが起きる。無名の初出場校がブロック決勝とはいえ駒を進め、強豪伊達北から1勝をとった。そういう種類のどよめきだろう。

 いよいよだ。わたしの出番。

 観客席にはシュンちゃんの姿も見える。わたしもここで、ヴァンガードの楽しさというものを掴んでみたい。

 トウジくんがゆっくりとこちらに戻ってくる。

「やるじゃんトウジ!」

「おう。一応、役目は果たしたぜ」

 よかったね、ユキネちゃんに喜んでもらえて。

 

「伊達北高校対梅乃台高校、中堅戦を開始します。選手は前へ」

 

 喜びも束の間、さあ行こう。

「気負いすぎよ」

「へっ?」

 ふと見ればミクちゃんが澄ました顔で隣に立っていた。

「これはタッグファイト、気負うのも半分にしなさい」

「えへへ、そうだね。ありがとうミクちゃん」

 ミクちゃんと2人、前に進む。

 伊達北高校から前に進んできたのは____

「絶対なっちゃんに繋ぐ、勝つよ」

「……ああ」

 ハルミさんとフユキさん。

「浅倉ナツキは大将戦……ユキネにはちょっとキツい相手よ。ここで勝負を決めましょう」

 ミクちゃんが表情を引き締める。それほどまでにナツキさんの強さを確信しているんだと思う。

 

「それでは中堅戦、北岡ハルミ・芝浦フユキペア対歌星ミク・天原ミコトペア。始めてください」

 

『スタンドアップ・ヴァンガード!』

「待望の宝石騎士ティファニー!」

「情火の解放者グウィード!」

「星輝兵ワールドライン・ドラゴン」

「……スパークキッド・ドラグーン」

 

【歌星ミク:第1プレイヤー/天原ミコト:第3プレイヤー】

【芝浦フユキ:第2プレイヤー/北岡ハルミ:第4プレイヤー】

 

「ドロー。必中の宝石騎士シェリーにライド。ティファニーを移動」

 最初のターンはミクちゃん。

 わたしが安心してファイトできるのも彼女のおかげだと思う。

「ターンエンド」

 

【歌星ミク&天原ミコト:ダメージ0/手札5&5】

【芝浦フユキ&北岡ハルミ:ダメージ0/手札5&5】

 

「……スタンド&ドロー」

 タッグファイトでは1人目のプレイヤーの斜め前のファイターにターンが移動する。

 つまり2人目のプレイヤー、フユキさんがわたしの目の前にいるファイターということになる。

「喧嘩屋ワイルドクロークドラゴンにライド、スパークキッドを移動」

 淡々とファイトを進める彼の落ち着きはどこか不気味にさえも見える。

「ターンエンド」

 

【芝浦フユキ&北岡ハルミ:ダメージ0/手札5&5】

【歌星ミク&天原ミコト:ダメージ0/手札5&5】

 

 そしていよいよわたしの番だ。

「スタンド&ドロー。ワールドラインドラゴンのスキル発動。手札からЯクレイドルを捨てることで、デッキの上から5枚を確認し、リンクジョーカーを1枚手札に加えます」

 5枚を見る。そもそも加えられないメイルストロームЯ、トリガーユニットが2枚、切り札のグレンディオスが1枚に、グレード1のルインマジシャンだ。

 手札にはグレード1が完全ガードしかない。けれどグレンディオスへのライドを最優先しろとシュンちゃんもミクちゃんも言っていた。

「グレンディオスを手札に。残りをデッキに戻してシャッフル。そしてライド、真空に咲く花コスモリース」

 同名カードがドロップにある状態で使うとカウンターチャージができるタイプの完全ガードだ。

「これでターンエンドします」

 

【歌星ミク&天原ミコト:ダメージ0/手札5&5】

【芝浦フユキ&北岡ハルミ:ダメージ0/手札5&5】

 

「あたしのターン!スタンド&ドロー!」

 目の前のフユキさんもそうだけれど、ハルミさんのスリーブも真っ黒なものに変わっていた。もとが金のスリーブで目立っていただけに、違和感はアキナリさんやフユキさんのそれより大きい。

「まさかグレンディオスでくるとはね。そして、歌星ミクちゃん。あなたが出てきたってことはここで勝負を決めにきたってことだね」

「喋ってないで進めなさい。それともライドスキップ?」

 ミクちゃんはいつも通りストイックに戦況を見つめている。

「おっとそれは勘弁してよ。疾駆の解放者ヨセフスにライド。グウイードは後ろへ。このままアタック」

「ノーガード」

 ついに試合が動き出した。

 第4プレイヤーの1ターン目。タッグファイトでアタックが解禁される時だから。

「ドライブチェック。プロミネンスグレア、トリガーなし」

「ダメージチェック。ゲット・ヒールトリガー、パワーだけヴァンガードに」

 回復するダメージがない、このヒールトリガーは無駄となる。

「普通なら無駄ヒールってよろこぶところなんだろうけど、なっちゃんから聞いてるよ?宝石サンクシングだって。あ、ターンエンドね」

 ハルミさん、公式戦でもあんな感じなんだ。

 いつも通りが1番力が発揮できるから、あのタイプはきっと強いよ。将棋での経験則だからヴァンガードでどこまで当てはまるかわからないけれど。

 

【芝浦フユキ&北岡ハルミ:ダメージ0/手札5&6】

【歌星ミク&天原ミコト:ダメージ1/手札5&5】

 

「スタンド&ドロー。そう、宝石サンクシングよ。つまりこういうこと。ライド!ナイト・オブ・ツインソード!そしてコール、宝石騎士そーどみー!」

 シェリーが光となって空に上がり、入れ替わりに1振りの剣が降りて地上に刺さる。

 それに続くように空より降りてくる騎士がある。ツインソードだ。

「そーどみーのスキル発動!ダメージの宝石騎士をカウンターブラスト。そーどみーの後ろにシェリーをコール」

 出た。ミクちゃん愛用の一番槍、そーどみーだ。

 わたしも部内の練習でなんどもあのハイビーストにやられた。

「ツインソードでヴァンガードをアタック!」

「ノーガードだよ」

 ツインソードが長剣を振るう。それを剣で受け止めた黄金の騎士を力づくで吹き飛ばした。

 互いにトリガーはでない。

「そーどみー、ヴァンガードにアタック」

「アルヴィラでガード!」

 体勢を崩した黄金騎士への追撃は味方の騎士により阻まれた。

「ふん。ターンエンド」

 

【歌星ミク&天原ミコト:ダメージ1(表0)/手札5&5】

【芝浦フユキ&北岡ハルミ:ダメージ1/手札5&5】

 

「スタンド&ドローだ……喧嘩屋スカイハウルドラゴンにライド。ビッグバンスラッシュドラゴンをコール」

 呪縛を恐れずに展開してきた。

 確かに呪縛ができるのはもう少し先のターン。ここまでは想定内と考えていいかな。

「スラッシュドラゴンでヴァンガードをアタック……」

「ジェイラーテイルでガードしまーす」

 平常心平常心。いつも通りのんびりゆっくりやればいい。

「スカイハウルでヴァンガードをアタック」

「ノーガードです」

 スカイハウルドラゴンがコスモリースを突進ではじき飛ばした。

「ドライブチェック、マイティボルトだ。トリガーなし……」

「ダメージチェック、トリガーなしです」

 

【芝浦フユキ&北岡ハルミ:ダメージ1/手札5&5】

【歌星ミク&天原ミコト:ダメージ2(表1)/手札5&4】

 

「スタンド&ドロー。星輝兵マグネットホロウにライド」

 このデッキの鍵となるカード。マグネットホロウ、この攻撃は必ずヒットさせておきたい。

「ルインマジシャンを後ろにコール」

 ワールドラインドラゴンはその特徴として、先駆能力がない。だからブーストするユニットは自分でおかないといけない。

「ルインマジシャンのブースト、マグネットホロウでアタック!」

 フユキさんは隣のハルミさんをちらっと見て、なにやらアイコンタクトを交わした。

 わたしもミクちゃんの方を見てみる。なにか難しい顔をしていたがわたしの視線に気がつくと、ゆっくりと頷いた。

 ルインマジシャンをコールしたの、まずかったかな。

「……ノーガード」

「ドライブチェックいきます。……アポロネイルドラゴン!ゲット・クリティカルトリガー!」

 2ダメージが入る。あと6ダメージ絶対いれる。

 わたしも、いつまでもいるだけの部員じゃかっこ悪いから。

「……ドコウソン。ドロートリガー」

 フユキさんにトリガーが出たか気にしない。

「マグネットホロウのスキル使います。カウンターブラストを払うことで、デッキからЯを1枚手札に加えます。レミエルЯを手札に」

 グレンディオスデッキの要、Яカードを揃えるスキル。

 タッグファイトのグレンディオス最大の強みが生かせるはずだ。

「ターンエンドです」

 リミットブレイク5による特殊勝利。ダメージ8まで受けられるタッグファイトの特性を利用して確実に決める。

 

【歌星ミク&天原ミコト:ダメージ2(表0)/手札5&5】

【芝浦フユキ&北岡ハルミ:ダメージ3/手札5&5】

 

「あたしのターン!いくよ、ミクちゃん。スタンド&ドロー」

 ミコトさんが金から黒に変わったスリーブを光らせ、大きなモーションでドロー。

「来なさい、返り討ちにしてあげる」

「ライド!ローフルトランペッター!そしてコール、誓いの解放者アグロヴァル」

 ハルミさんの分身、アグロヴァルがコールされる。

「そしてスキル発動、3枚見て...パーシヴァルをスペリオルコール!アグロヴァルでヴァンガードをアタック!」

「そーどみーでインターセプト」

「パーシヴァルでヴァンガードをアタック!」

 アグロヴァルが阻まれたのを、跳躍して上から攻めかかるパーシヴァル。

「ノーブルスティンガーでガード」

 そのアタックはまたしても弾かれる。

「ヴァンガードのローフルトランペッターでヴァンガードをアタック!」

 怒涛の3連続攻撃、その最後のアタックは____

「ノーガード」

「ドライブチェック。ゲット・クリティカルトリガー!」

 2ダメージを入れる大健闘を見せた。

「ターンエンド。さあ、ここからだよ。歌星ミクちゃん!」

 

【芝浦フユキ&北岡ハルミ:ダメージ3(表2)/手札5&5】

【歌星ミク&天原ミコト:ダメージ4(表2)/手札4&5】

 

「スタンド&ドロー。サンクチュアリガードドラゴンにライド!」

 グレード3が出はじめる。ミクちゃんのエース、サンクチュアリガードだ。咆哮をあげるその姿は中心で騎士団を引っ張る威厳がある。

「スターライトヴァイオリニストをコール。カウンターブラスト1、そしてソウルブラスト1……コスモリースをソウルブラスト」

「……ん?あっ、はい。ソウルブラストしたよ」

 タッグファイトではカウンターブラストとソウルブラストは共有できる。

 わたしが完全ガードにライドしたのを覚えていたミクちゃんが、それをドロップに落としてくれた形だ。

「そーどみーをスペリオルコール、さらにそーどみーのスキルでシェリーをコール」

 カウンターブラストも全て使い、反撃を開始した。

「シェリーのブースト、ヴァイオリニストでヴァンガードをアタック」

「バルブトルックでガード!」

 2つの騎士団が次々とぶつかり合う。まさに戦場だ。

 2人のファイターの気迫がそのイメージを一層増幅させる。

「サンクチュアリガードドラゴン!リミットブレイク!パワー+9000。合計25000でヴァンガードをアタック!」

「プリデリーで完全ガード!グレアをコストとして捨てるよ」

 早くもハルミさんは完全ガードを使った。

 その様子にミクちゃんがほんの少し首を傾げた。

「ゲット・ドロートリガー。パワーをそーどみーに振ってアタック」

「ノーガード」

 ダメージにパーシヴァルが落ち、ターンが終わる。

 ミクちゃんは何か違和感が拭えずにいるようだった。

 

【歌星ミク&天原ミコト:ダメージ4(表0)/手札6&5】

【芝浦フユキ&北岡ハルミ:ダメージ4(表3)/手札5&2】

 

「スタンド&ドロー……。喧嘩屋ビッグバンナックルバスターにライド」

 その間にもファイトは進んでいく。

「スラッシュドラゴンでアタック」

「アポロネイルでガード」

「ナックルバスターでアタック……」

「ノーガードです」

 向こうの情熱漲るファイトに比べ、こちらは互いに冷静な雰囲気。

「……ドロートリガー。パワーはヴァンガードに」

「ダメージチェック。パラダイムシフトドラゴン、クリティカルトリガー。わたしもヴァンガードにパワーを」

 静かだ。あまりにも。

 まるで何かの予兆のように。

「ターンエンド」

 

【芝浦フユキ&北岡ハルミ:ダメージ4(表3)/手札8&2】

【歌星ミク&天原ミコト:ダメージ5(表1)/手札6&4】

 

「わたしのターン、スタンド&ドロー。星輝兵Ωグレンディオスにライド」

 地の底から染みだすように、見る者の心までも蝕むように現れるわたしの……みんなみたいに言うならば、分身。

「レミエルЯをコール。スキルでスラッシュドラゴンを呪縛します」

 黒輪がドラゴンを絡めとる。

 これがわたしの戦い方だ。シュンちゃんがくれた、わたしらしいヴァンガード。

「プラセオジムをコール、スキルでカウンターチャージ」

 プラセオジムはコールされた時、場のЯの種類だけカウンターチャージをするスキル。本当は2枚、3枚まとめてカウンターチャージしたいユニットだけれど今はブースターが必要だから。

「グレンディオスでヴァンガードをアタックします」

 グレンディオスの手から、実体化した絶望とでもいうような赤黒い雷が放たれる。

「……ヨウゼンでガード」

「くっ、ドライブチェック。ルビジウムと……ルビジウム。プラセオジムのブーストしたレミエルЯでアタック!」

 トリガーは出なかったけれどルビジウムを2枚手に入れられたのは大きい。グレンディオスにだけ与えられた特殊な完全ガードだから。

 そして例えトリガーがでなくとも____

「レミエルЯはグレンディオスのスキルでパワー+4000。よってこのアタックは21000」

「……ふん、ノーガード。ダメージチェック、威嚇の喧嘩屋コウメイ、トリガーなし」

 よし、ダメージで追いついた。

 観客席に見えるシュンちゃんも、合格点くれるかな。

 

【歌星ミク&天原ミコト:ダメージ5(表2)/手札6&4】

【芝浦フユキ&北岡ハルミ:ダメージ5(表4)/手札7&2】

 

「よし、あたしのターン、ドロー」

 そしてハルミさんのターンだ。

「いくよ、ミクちゃん。これがあたしの答えだ!アグロヴァルでヴァンガードをアタック!」

「やっぱりそういうことね。上等よ、ヴァイオリニストでインターセプト」

 え……?やっぱりって?

「直接この目で見たわけではないけれど、あたし達は誰よりなっちゃんの強さを知っている。そのなっちゃんが適わなかった。なら、あたしの勝てる相手じゃない。パーシヴァルでヴァンガードをアタック!」

「まぁるがるでガード!」

「ローフルトランペッターでアタック」

「ツインソードでガード。1枚貫通」

「ドライブチェック、プロミネンスグレア、トリガーなし」

 ものすごい速度で二人のやり取りが進んでいく。

 いったい何が……?

 

 

 

 

 事態についていけてないのはミコトだけではない。

 観客の多くも起こっていることを理解していなかった。比嘉シュンヤもその一人であった。

「ライド事故かな、伊達北の選手」

 誰にともなくつぶやいた。それにしてはミクとハルミの会話が変だとは感じていたが。

「ううん、違うよ。さっき完全ガードの時わざわざグレード3を捨ててたしね~」

 隣の日比谷タイガの方は完全に状況を理解していた。

「ああ、たしかに。じゃああれはいったい?教えてくれないか、アイドルさん」

「しょうがないなぁ。あれはね、シュンヤくん。G2止めっていう戦略だよ」

「G2止め?」

 最新のヴァンガードに縁のないシュンヤには聞いたことのない単語であった。

「うん。最近のヴァンガードで強力なスキルは主に2つ。レギオンとストライド。この2つは両方とも、相手のヴァンガードがグレード3以上ってことが使用条件なの。今ハルミちゃんはミックミクのストライドを防ぐためにライドをしなかったってわけ」

「それは……強いのかい?」

「強い場面は限られるよ。自分もパワー不足になるし、ツインドライブがないから毎ターン確実に差がつく。だから、普通は1ターンだけライドを遅らせるか、専用のデッキを組んでやるものだよ。後者は絶対違うし、前者もなさそうだけどね」

 タイガは解説しながらも笑みが止まらなかった。

 こんなに面白いファイトが北陸の地区大会で見られるとは思っていなかったのだ。

 

「サンクチュアリガードドラゴンでアタック!リミットブレイク!」

 

「それにほら、今のみたいにリミットブレイクは防げないし」

「それならなぜこの場面でその、G2止めをしたんだろう。教えてくれないかい?かわいいアイドルさん」

「しょーーーうがないなぁー」

 言いつつもまんざらでもない様子のタイガ。

「一言でいえば、梅乃台側のペアの実力差かなぁ。見てる感じ、ミコトちんはヴァンガード、そんなに強くないでしょ」

「まあ、確かにミコト姉ちゃんはヴァンガード初心者だよ」

「つまり、ハルミちゃんが道ずれ的にミックミクの戦力をそぎ、フユキくんがミコトちんを倒すのを待つ作戦って感じ。タッグだとG2止めのデメリットは薄まるのも追い風かも。それにフユキくん、おもしろいユニットにライドしてたしねぇ、くふふっ」

 

 

 

「ストライドジェネレーション、雷竜騎士ゾラス。そしてコール、コウメイ、そしてスカイハウル」

 ミクちゃんのレガリアが出せないそこまでは理解した。でも相手はグレード2、ミクちゃんならなんなく裁いてくれるはず。だから今は自分の方に集中しよう。

「スカイハウルのスキル。カウンターブラスト1、レミエルЯを退却させる」

 大丈夫、手札にはドロップからЯを回収するる院マジシャンがある。最初にワールドラインのスキルで捨てたクレイドルと一緒に回収しよう。

「ゾラスでヴァンガードをアタック。このアタックがヴァンガードにヒットした時、相手のドロップゾーンから2枚をバインドする」

「っ!」

 ガードを……そういうことか。ルビジウムは攻撃対象を場のЯユニットに移し替えるカード。さっきこれがツインドライブで出たのを見て先手を打たれたんだ。

 奥が、深いな……。

「ミクちゃんガードしてあげたら?」

 ハルミさんがミクちゃんをそそのかす。

「冗談。グレアを握られててグレード0を大量に出すわけないでしょう」

 向こうからの救援もこない。もう1体Яを出しておかなかったわたしのミスだ。

「ノーガードです」

「トリプルドライブ。ゲット・ダブルクリティカル」

「そんな……」

 ヒールトリガーがでるも、ダメージ回復がない。ダメージは8.絶体絶命だ

「レミエル、クレイドルをバインド。スカイハウルでアタック」

 トリガーがのってパワーが26000まで上がっている。止め切れない。

「ルインマジシャンでガード」

「ポリーでタッグガード」

 結局ミクちゃんからガーディアンを借りる形になってしまった。

「ターンエンドだ……」

 

【芝浦フユキ&北岡ハルミ:ダメージ7(表4)/手札9&1】

【歌星ミク&天原ミコト:ダメージ8(表5)/手札5&2】

 

「スタンド&ドロー。えっと……ビーナストラップЯをコール。スキルでスカイハウルを呪縛」

 もうわたしにはできることがほとんどない。あとはミクちゃんに期待するしか……

「グレンディオスでヴァンガードをアタック」

「スラッシュバスターのインターセプト、プラズマキックでガード」

「ツインドライブ。Яクレイドル、コロニーメイカー、トリガーなしです。ビーナストラップでヴァンガードをアタック」

「……ノーガード」

 ダメージが通る。ヒールトリガーを無駄にひかせたが、そんなことで戦況がひっくり返りそうもない。

 

 

【歌星ミク&天原ミコト:ダメージ8(表5)/手札5&4】

【芝浦フユキ&北岡ハルミ:ダメージ8(表4)/手札8&1】

 

「あたしのスタンド&ドロー。悪いけど、最後まで徹底させてもらうね、ライドスキップ」

 このターンもハルミさんはグレード3にはならない。

 ここからでもレガリアは勝利をつかむだけの力がある、そういうことなんだろう。

「ローフルでヴァンガードをアタック」

「ラシェルでガード」

「パーシヴァル」

「インターセプト」

 互いのやるべきことはもう決まったとばかりに、ものすごい速度でフェイズを処理していく。

「シングセイバーをコール、ティファニーのスキルで2体のシェリーにパワー+3000。シシルスをコール」

「フユキ、ガードお願い」

「……ああ」

 ミクちゃんのアタックはストライドなしでも残ったハルミさんの2枚の手札、そしてフユキさんの手札を6枚も吹き飛ばしていった。

 わたしがもう少し、ちゃんとしていれば、足を引っ張らなければ。そんな思いばかりが頭を駆け巡る。

 

「ストライドジェネレーション、征天覇竜コンクエスト・ドラゴン。アナスタシア2枚をコール。スキル発動、ビーナストラップを退却し、アナスタシアとコンクエストにパワー+10000」

 またしてもЯユニットがルビジウムを使う前に消されてしまう。経験の差は絶対であることを示していた。

「コンクエストでアタック!」

「……っ」

 声がつまって出てこない。

「……ノーガードよ、ドライブ入ってちょうだい」

 代わりにミクちゃんがその宣言をしてくれた。

 その声はいつになくやさしかった。

 

 ごめんね、みんな。頼りない先輩で。

 

 

 

「勝者、伊達北高校北岡ハルミ・芝浦フユキペア!」

 

 To be continued……

 

 

 

 

 

 

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