雪国の先導者達   作:黄雀

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過去最高にギリギリな投稿時間で申し訳ないです。
いや、一応不定期更新なんですけどね。


強き中学生

シンガポールとの交流戦、その高校生代表メンバー7人のうちの1人に選ばれたわたしは約2ヶ月ぶりに東京を訪れていた。

「どこだっけ……東京ドラエン支部って」

ヴァンガードの大会に行くときはいつも誰かといっしょだった。わたしは、地図が苦手だから。

道案内のクエスト、発注しちゃおうかしら。あっちではそんなことしても誰も来やしないけど、ここ東京なら誰か来るでしょ。

「あれ、歌星はんやないの?」

そう思ってファイカを取り出した時だった。

わたしを呼ぶ声があった。

京都弁の知り合いには、1人しか心当たりがないけれど。

「やっぱり歌星はんやん。やー、よかったわぁ。わて、迷子さんになってもうてな」

「あいにくだけど、わたしも迷子だから当てにしないでよ。天道ヒメカ」

大阪祭谷高校2年、高校最強のかげろう使いにして、その名の通り祭谷の姫だ。

「ほうなん?まぁ、でも迷子ってのもなかなかぞくぞくするやん?」

「しないわよ。今、道案内のクエストを発注するからちょっと黙ってなさい。それとも、カードの声が道案内してくれるの?」

「冗談キツいわぁ。うちのユニットさんやで?方向感覚なんてあるわけないやん」

そう、天道ヒメカはサイクオリア所有者なのだ。

交流戦でその力は痛いほど見せつけられた。

「あ、あっこのアベックさんに聞いてみよっ」

「アベックって……」

なんでちょっと古いのよ。

「ごめんやすー。似合いのお二人さん」

「似合いの____ちがっ!こいつはただのチームメイトで!」

「そうだ!俺達はただクエストを……」

「クエストいうことは、ヴァンガードファイターさんやね?ちょうどよかったわ。ドラエン支部ってどこにあるか分かりはります?」

中学生かな。

それにしても男の方、すごい髪型ね。ぐるぐるしてる。

「ドラエン支部?それなら今からわたし達も行くとこですし、一緒に行きます?」

「あら、ほんまに?お邪魔やあらへん?」

「全然!これっぽっちも邪魔じゃないですから!」

本当に、自分のペースに巻き込むのが上手ね。サイクオリア所有者ってみんなそうなのかしら。

「歌星はーん、案内してくれはるって」

「はいはい、今行くわよ」

 

 

 

新導クロノ、安城トコハ。案内してくれている2人はそういう名前で、チームトライ3と言う東京で有名なチームの人らしい。わたしもヒメカも知らなかったけど。

「そういえば、さっき言うてたクエストって何なん?」

「ああ、それ。支部にしばらく使ってなかったギアースがあって、それの動作テストをするんですよ。高校生の交流戦代表が使うみたいで」

「ほうかぁ。なんや、楽しそうなクエストやんなぁ」

コミュ力のあるヒメカとトコハばかりが喋り、クロノとわたしはただ黙ってついていくだけ。

いいのよ、ヴァンガードファイターなんだから、ファイトで語り合えば……、たぶん。

「ほら、ここです。ドラエン支部」

しばらくすると、立派な建物が複数立つ敷地が目に飛び込んでくる。ドラエンテーマパークと言った方がしっくりくる。

「それで、ヒメカさんとミクさんはドラエン支部のどこにご用事が?」

「あ……どこやろ歌星はん」

「……分かんない。でも、ギアースのテストするとこに行けばいいんじゃない?だって、それ。わたし達が使う奴でしょ、さっきの話だと」

 

『えっ?』

 

「あ、あんた達、高校生日本代表なのか!?頼む!俺とファイトしてくれ!」

さっきまで全然喋らなかったクロノが突然声を張り上げる。

なんだ、気の合いそうなやつじゃない。

「売られたファイトは買うしかないわね。いいわ、そのギアーステストとやらも兼ねてやりましょ」

「ちょ、ちょっとクロノ……ミクさんも乗らないでください」

「ええやん、安城はんもやろ?ぞくぞくするやん?」

トライ3か、最近強いやつとファイトしてなかったから楽しみね。

 

 

 

ギアースのある部屋まで移動すると、男性職員が迎え入れてくれる。

「よく来たね。トコハ、クロノくん……と、そこの2人は?」

「天道ヒメカいいますー、よろしゅう」

「歌星ミクよ」

「ええ!?代表の……もう来ちゃったのかい?えっと、僕は日本代表で監督をさせてもらうことになった安城マモルといいます。かげろうのクランリーダーもしているんだ、よろしくね」

安城……。

似てるわね、たぶんそういうことよね。

「安城はんが2人……ええっとマモルはん、うちらもギアースのテスト、やりたいんやけどええやろか」

なんだかんだ言ってヒメカもヴァンガ脳よね。

「ええっ?まあ、構わない……のかな」

「ほんならやろっ!わてと歌星はんでタッグな」

クランリーダーさんの答えが終わらないうちに仕切り始めてしまうヒメカ。

タッグか……一応練習しとかないとね。タッグで代表には登録されてたし。

「えっ、タッグ?」

「俺やったことねえぞ」

「わたしも数えるほどしか……」

「さーやろー!」

4人分のギアースを次々と起動させていくヒメカ。ファイカのセットまで終わってるし。

「とにかくやるしかねえ!トコハ、お前天道さんの方に」

「そうね。オーケー、歌星さんの方は任せたわよ!」

適応力高いわね、あの子達。

将来伸びるんじゃないかしら。

「準備はええ?」

「はい!」

「いつでもいけます!」

相方はヒメカだし、気楽にやらせてもらいましょ。

「歌星はんは?」

「大丈夫よ」

「ほんなら始めるで?」

 

『スタンドアップ・ヴァンガード!』

「春待ちの乙女オズ!」

「大望の宝石騎士ティファニー!」

「クロノ・ドラン!」

「ワイバーンキッド・ラグラー」

 

【安城トコハ&新導クロノ:第1&第3プレイヤー】

【歌星ミク&天道ヒメカ:第2&第4プレイヤー】

 

「導くぜ未来!切り開け世界!ライド!クロノジェット・ドラゴン!」

進導クロノ。使用クランはギアクロニクルか、最近発売したばかりのクランなのに、よく使いこなしてるわね。

「今こそ示せ、我が真に望む世界!ストライド・ジェネレーション!時空獣メタリカ・フェニックス!」

第11ターン、誰もライドスキップしなかったため彼のターンから超越が解禁されている。

クロノジェットのストライド時スキルで、そーどみーがデッキの下に送られていく。

「スチームメイデン・ダーニッシュをコール!スキル発動、シェリーを時空の彼方へ」

シェリーを山札に戻し、代わりにグレード0のユニットを呼び出す。

「ティファニーをスペリオルコール」

「メタリカ・フェニックスでヴァンガードをアタック!スキル発動!クロノ・ドランをタイムリープ、現れろスチームメイデン・ダーニッシュ、クロノジェット・ドラゴン!」

2体目のダーニッシュのスキルでティファニーが山札に戻っていってしまう

「ノーガード」

「トリプルドライブチェック。ゲット・クリティカルトリガー!」

ドキドキ・ワーカーか、厄介よね。

メタリカのクリティカル、そしてクロノジェットのパワーが上昇する。

「ダメージチェック、ゲット・ヒールトリガー!パワーはヴァンガードに」

「まだまだ!ダーニッシュのブースト!スモークギアドラゴンでヴァンガードをアタック!」

必要なガード値は5000。

これは____

「ヒメカ!」

「ガトリングクローさんでガードや!」

「っ!?タッグガードか……」

何も言わなくてもヒメカなら大丈夫だったかもね。

Gユニット登場以降、あまりに巨大なVパワーゆえに5000のガード値ロスはほとんど問題にならなくなってきている。が、節約できるならするに越したことはない。

「なら、ダーニッシュのブーストしたクロノジェットでアタック!」

拳を構えた竜の突進がサンクチュアリガードに迫る。

じゃ、こっちは自分で____

「ノーブルスティンガーでガード」

たたき落とさせてもらう。

 

【トコハ&クロノ:ダメージ5(表4)/手札6&7】

【ミク&ヒメカ:ダメージ6(表5)/手札5&6】

 

「ほんなら、わてのターンやね。スタンド&ドロー。ドラゴニック・オーバーロードThe "X"はんにライド!」

オーバーロードX、ヒメカのエースユニット。ヒメカの強さはここからだ。

「カラミティタワー・ワイバーンさん、バーニングホーン・ドラゴンさんをコールや。カラミティさんのスキルで1枚ドローするで」

コストとしてのソウルブラスト2、これで準備が整う。

「シークメイト・レギオン!並び立て、ジ・エンドはん!スキルでデッキからXはんを手札に加えるで」

ペルソナブラスト。オーバーロードX、ジ・エンドが持つスキル。

「まずはネオフレイムさんで、サリアンナさん。攻撃しよか」

「ノーガード!」

ブースターのいないネオフレイムのラインを有効なアタックがあるうちに処理。

ヒメカはサイクオリアなしで見た時の実力もそう低くはない。……高いわけでもないが。

「ほんならXはんとジ・エンドはんのレギオンアタックや。ヴァンガードを攻撃するで」

「それは……」

一瞬悩むトコハ。ダメージにはまだ余裕があるとはいえ、ヒットさせると、ジ・エンドのペルソナブラストが使えた場合の被害は甚大だ。

「ノーガードします!」

思い切りがいい。

ダメージは5、クリティカルが出なければ2発とも通してしまうのも手。いい判断よ____相手が祭谷の姫じゃなければね。

「ツインドライブ。ふふっ、待っとったで。槍の化身ター、クリティカルトリガーや。クリティカルをXはん、パワーをバーニングホーンはんに」

「くっ……」

「セカンドチェック。ふふ、聞こえとったよ。あんさんの声。マグナムショット・ドラコキッド。クリティカルトリガーや!これも同じように振るで」

ダブルクリティカルによる3ダメージ。タッグじゃなければ勝負が決まっていたかもしれない。

「フェアリーライトドラゴン!ゲット・ヒールトリガー!回復してパワーをヴァンガードのアーシャに」

「ジ・エンドはんのスキル発動や。カウンターブラスト2、そしてペルソナブラスト!Xはんとジ・エンドはんをスタンドするで。今度はラグラーのブースト付きでアタックや」

「フェアリーライトドラゴンとマイリスでガード!」

2枚貫通……こわいけれど、冷静ね。

問題はこれがタッグファイトなのを忘れたようなガードの仕方ってことだけども。

「もうトリガーはでんよ。バーンアウトはんと、プロテクトオーブはん。ノートリガーやんね。Xのスキルを使う。カウンターブラスト1、そしてペルソナブラストしてオズとディアンを退却させる」

「そんな、2体も!?」

これがオーバーロードの恐ろしさ。ヒットすればジ・エンド、ヒットしなければXのスキルが発動する。

「バーニングホーンはんもいくでー」

「の、ノーガード……」

さあ、どう立て直す?見せてちょうだい、強い中学生。

 

【ミク&ヒメカ:ダメージ6(表2)/手札5&7】

【トコハ&クロノ:ダメージ8/手札4&7】

 

「わたしのターン、スタンド&ドロー!ジェネレーションゾーン解放!」

まだ諦めた様子はない。何で来るか……

「今こそ咲き誇れ、我が輝ける未来に!ストライド・ジェネレーション!夢紡ぐラナンキュラス・アーシャ!」

アーシャの進化ユニットで来たか。

「ピアとサリアンナをコール!スキルでピアをスペリオルコール!パワー+2000。そらに夢紡ぐラナンキュラスのスキル!前列全てにパワー+5000!」

全てのリアガードを焼かれてから、すぐに3列揃えてきた。かげろうとの戦いに慣れて……って、お兄さんがかげろうのクランリーダーって言ってたわね。

「サリアンナでバーニングホーンをアタック」

「ノーガードやな」

「夢紡ぐラナンキュラスでヴァンガードをアタック!」

「……ノーガードでええな?」

「いいわよ、あんたがそう言うならダブクリはないんでしょ」

「分からんよ?でも、ノーガードの方がぞくぞくするやん?」

はぁ、交流戦はこいつとタッグじゃなくてよかった。

「トリプルドライブチェック!ゲット・クリティカルトリガー!」

クリティカルは1枚、届かない。

「ダメージトリガーもないんよねぇ」

淡々とダメージを2枚置くヒメカ。

「ピアのブーストしたピアでアタック!」

「プロテクトオーブはん!完全ガードや!」

コストにバーニングホーンを捨てるヒメカ。適当にガードすんのやめなさいよ。次で決めろってこと?

「クロノ!次頼んだわよ!」

「おう!」

本当、ヒメカじゃないけど、似合いのアベックね。

「ターンエンドです」

 

【トコハ&クロノ:ダメージ8(表7)/手札5&7】

【ミク&ヒメカ:ダメージ8(表4)/手札5&5】

 

「ま、そこそこ楽しめたわ。でも、高校生の力を見せつけてあげる。スタンド&ドロー、ジェネレーションゾーン解放」

盤面にはティファニーが2体だけ、でも充分。

「力は我にあり。裁きの光で逆らう者を切り伏せよ!ストライド・ジェネレーション!サンクチュアリガード・レガリア!」

「やーん、歌星はんかっこええ」

そこのキャッキャうるさいオーバーロードにアタックしたい……切実に。

「ツインソード、ノーブルスティンガー、シシルスをコール。ノーブルスティンガーでヴァンガードをアタック!レガリアのスキルで前列全てにパワー+12000!」

ただのクリティカルトリガーがパワー17000アタッカーとしてクロノジェットを襲う。

「くっ……ガード!」

スチームメイデン・ウルルがガーディアンとしてコールされる。さっきのドキドキワーカーを先に切るべきよ。同じガード値なら相手にバレてるユニットを先に切るのが鉄則。

ドキドキ・ワーカーは確かにスキルがあるけれど、どうせそれを温存したまま防ぎ切るなんて無理な話だし。

「シシルスのブースト、ツインソードでヴァンガードをアタック!パワーツインソードのスキルでノーブルスティンガーに上書きでスターライト・ヴァイオリニストをコール。さらにヴァイオリニストのスキルで、ツインソードを上書きコール。パワー25000よ」

2回目のツインソードの準備完了。さあ、どうする?

「ドキドキ・ワーカー、ヒストリーメイカーでガード!」

残り4枚の手札。わかっているのは、クロノジェット、タイムブレイク。……微妙なところね。

「ティファニーのブースト、ツインソードでヴァンガードをアタック!スキルで逆側のツインソードにそーどみーを上書き!そーどみーのスキルでシシルスの上からシンベリンをコール!シンベリンのスキル、レストしてそーどみーにパワー+10000。このアタックは23000」

「ぐっ……タイムブレイク、スチームブレスでガード!グリマーブレスのインターセプトだ!」

けっこう、耐えるわね。さっきのトコハのガードミスがなければ、おそらくこのターンは凌いだ。

まあ、勝つのが1ターン遅れるだけで、体勢に影響はないでしょうけど。

「レガリアでヴァンガードをアタック!パワー40000」

「完全ガードだ!」

手札を全て使いきってのガード。

「トリプルドライブチェック。ヒールトリガー1枚、ドロートリガー1枚ね。パワーは全てそーどみーに。そーどみーでヴァンガードをアタック!パワー38000」

「くそっ!トコハ!」

タッグガードのタイミングも甘い。

そんなギリギリになる前に助けてもらうべきよ。ま、これから覚えていきなさい。強い中学生。

「うん!パッションフラワーで完全ガード!」

「____は、できないんよねぇ」

ガーディアンとしてコールされたパッションフラワーはアタックされそうなクロノジェットではなく、アーシャの前にバリアを張っていた。

「えっ、ちょっ……パッションフラワー!何やってんの!?」

「完全ガードのスキルは『あなたのアタックされているヴァンガードを1枚選び』やんな?せやから、トコハはんの完全ガードで守れるんはアーシャだけなんよ」

珍しくヒメカがまともなこと喋ってる……

「そ、そういえばそうだった!ごめんクロノ!」

「俺も知らなかったし気にすんな!それより普通のガードを____」

「それがさ、パワー38000でしょ?足りない……」

「そんな____うぉおおっ!」

そーどみーがタックルでクロノジェットをはじき飛ばす。

これで9ダメージ。

 

 

 

『ヒメカさん、ミクさんありがとうごいました!』

ファイトのあと、トライスリーの2人は大袈裟にも深々とお辞儀をしていった。

「本当に勉強になりました!」

興奮気味にクロノが言うのを見て、まあ悪い気はしない。

「わたしも、久々に強いやつとファイトできて楽しかったわ。ありがとう」

だから、素直に感謝することにした。

「わても楽しかったで。おおきになー」

クロノとトコハが帰っていくのを見送り、これからどうしようかとヒメカに問いかけようとした時だった____

「ほんに、久しぶりに気持ちのええファイトやった。ここ最近大阪はメザ・リバースで大変やったから」

「……メザ・リバース?」

 

To be continued……

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