雪国の先導者達   作:黄雀

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一昨日は休載してすいませんでした。バイトのシフトがアホみたいに入っていたもので。
どこかでまた3日連続投稿して取り戻します。


騒乱の10days

 カードショップ10days。十日町駅前にある小さなカードショップだ。

 そのショップ大会に、わたしはシュンヤくんと二人で来ていた。

「サウザンドレイのブースト、ブロークンハートでヴァンガードをアタック。パワーは58000」

 リアガードで58000か……さすがシュンヤくんだね。

「ノーガード。ダメージチェック……わたしの負けだね」

 優勝がシュンヤくん。準優勝がわたし。

 2人して店員さんから商品を受け取る。

「……ぬるいね、この大会」

 出場していたのは伊達北高校をはじめとする、地元高校のレギュラー外選手ばかりだった。弱すぎて、相手にならない。

「そうだね。僕もだいぶ最近のヴァンガードに慣れてきたから、もっと強いファイターが来ないと楽しめないや」

「っ!?」

「ん?どうかした、ユキネちゃん?」

 今、一瞬だけシュンヤくんの顔に赤黒い模様が浮かんで見えた気がした。

 疲れているのかな。

「ううん、なんでもないよ」

 そんなもの、見えるはずがないのに。

 この力をもらってから、すごく勝率がいい。ミコねえにもあの1回きり負けなくなったし、トウジにも負けていない。シュンヤくんにはなかなか勝てないけれど、もっとこの力を使いこなせればきっと。

 はやくミクちゃん、帰ってこないかな。ミクちゃんにも、勝てるかもしれない……。

 

 

 

「よくこの店に来れるわね。伊達北の地元に」

 

「日比谷タイガちゃん……だっけ?」

 あの時わたしに向かって「大した腕もないくせに」とか言ってくれた子。

「なんだ覚えてたの?Diabloのスキルは覚えてなかったくせにね」

「喧嘩なら口じゃなくてこっちでやろうよ」

 デッキを持って振ってみせる。

「雑魚ばっかりで退屈してたんだ」

「雑魚は自分でしょ」

 タイガちゃんがデッキをポケットから取り出す。楽しめるといいな。

 タイガちゃんはわたしの向かいの席に座るや否や、ファーストヴァンガードをセットした。

「ふふっ、はじめよう」

 

『スタンドアップ・ヴァンガード!』

 

「春待ちの乙女オズ!」

「ブラックボード・オーム!」

 グレートネイチャーか、戦うのははじめてかな。

 

【御堂ユキネ:先攻】

【日比谷タイガ:後攻】

 

「スタンド&ドロー。仮初の騎士メアホープにライド、オズは後ろに移動」

 手札も悪くない。わたしの負ける要素は何もない。

「これでターンエンド」

 

【御堂ユキネ:ダメージ0/手札5】

【日比谷タイガ:ダメージ0/手札5】

 

「スタンド&ドロー。ひたむき助手ミニベリーにライド。オームを移動」

 深呼吸するタイガちゃん。

「さあ、タイガのアイドルファイトいっくよー!オームちゃんのブースト、ミニベリーでもふもふアタック」

 スイッチが入った、ということなのかな。

「ノーガード。タイガちゃん、そのキャラでいくの?」

「ドライブチェック、ルーラー・カメレオンちゃん。ゲット・クリティカルトリガー!全てヴァンガードに。ヴァンガードアイドルは、ヴァンガードに関わる時は常に笑顔じゃなきゃ。たとえ相手が、誰であってもね」

「ダメージチェック、ゲット・ドロートリガー。へえ、ちょっと見直したかも」

 芯のしっかりした子なんだね。

 これで、ファイトが強ければ言うことないね。

 

【日比谷タイガ:ダメージ0/手札6】

【御堂ユキネ:ダメージ2/手札6】

 

「スタンド&ドロー。メイデン・オブ・フラワースクリーンにライド。メアドリームをコール」

 まずはダメージを取り返す。

「メアドリームでアタック」

「守ってルーラーちゃん!」

 さきほどのルーラー・カメレオンがガードに出てくる。

「フラワースクリーンでアタック!」

「ノーガード!」

「ドライブチェック。フェアリーライトドラゴン、ヒールトリガー」

「ダメージチェック。シャノアール先生、トリガーなしだよ」

 ブレイクライドユニット……。面白いデッキだね。

 はやく本気がみたいな。

 

【御堂ユキネ:ダメージ1/手札6】

【日比谷タイガ:ダメージ1/手札6】

 

「スタンド&ドロー。かわいくワイルド、甘くてクールなタイガの分身!ライド!バイナキュラスタイガー!」

 バイナキュラス……また古いカードだね。

「グルウルフさん、みけさぶろーちゃんをコール。みけさぶろーちゃんのスキルはグルウルフさんに。オームちゃんをソウルへ、これもスキルはグルウルフさん」

 はじまった。これがタイガちゃんのファイト。

 その辺の雑魚どもとは違う動き。いいね、楽しいよ。

「バイナキュラスタイガー、リアガードのメアドリームをアタック!スキル発動、グルウルフさんにパワー+4000」

 ヴァンガードでリアガードをアタック……?

 珍しい動きをするね。

「ノーガード」

「ドライブチェック、リサーチャー先生。トリガーなし」

 メアドリームを退却させる。

「みけさぶろーのブースト、グルウルフさんでヴァンガードをアタック!パワー20000」

「……ノーガード」

 なるほど、ダメージトリガーを万が一にも出させないためってわけね。

「ダメージチェック、ディモルフォーゼ。クリティカル、効果はヴァンガードへ」

「グルウルフさんのスキル!もふもふ発動!パワー20000以上でヴァンガードにヒットした時、1枚ドロー」

 さっきのアタックがヴァンガードに向けたものだったなら、10000でガードできていた。つまり、手札1枚で止められるレベルだったということだ。

「エンドフェイズ。グルウルフさんを退却し、オームちゃんのスキルで1枚ドロー。みけさぶろーのスキルでテスターフォックスをサーチ」

 ちょこまかと動き回る獣め……。

 

【日比谷タイガ:ダメージ1/手札8】

【御堂ユキネ:ダメージ2/手札6】

 

「わたしのターン。スタンド&ドロー。ラナンキュラスの花乙女アーシャにライド、後列にメアホープをコール」

 前列をちまちまコールして潰し合うのは不利だ。

 ここは一旦引く。

「オズのブースト、アーシャでヴァンガードをアタック!」

「単騎できちゃうかー。じゃあシェルマスター先生、完全ガードだよ!」

 ダメージ1から完全ガード。……レギオンだね。今のわたしにははっきり分かるよ。

 これもきっと、あの声にしたがって力を手に入れたから。

「ツインドライブ。……クリティカルだけど、これは無駄だね。ターンエンド」

 

【日比谷タイガ:ダメージ1/手札6】

【御堂ユキネ:ダメージ2/手札7】

 

「タイガのどっきどきスタンド&ドロー!ライド!魔法科学者テスターフォックス!」

 テスターフォックス、はじめて見るけれどこれがタイガちゃんの切り札か。

「シェルマスター、ルーラーちゃん、ドンキーちゃん、グルウルフ先生を戻しシークメイト・レギオン!」

 リサーチャーフォックスがレギオンメイトとして呼び出される。

「リサーチャー先生、バイナキュラスタイガーをコール!テスターフォックス、ヴァンガードにレギオンアタック!この時、リサーチャー先生にパワー+4000!」

「ノーガード」

「ツインドライブ!カスタネットドンキーちゃん!ドロートリガー!パワーはリサーチャー先生に。2枚目はダックビル」

 ダメージチェックはトリガーなし、か。

 けっこう厄介だね、あのパワーアップ。

「みけのブースト、タイガの分身バイナキュラスでヴァンガードをもふもふアタック!リサーチャー先生にパワー+4000」

「マイリスでガード!」

 リサーチャーにパワーが集まっている。あっちは止められそうにない。

「リサーチャー先生のコンコンアタック。パワー22000でヴァンガードをアタック!」

「ノーガード、ダメージチェック。ウーントタナップ、ドロートリガー!」

「さあ、アンコールにお応えしてタイガのエンドフェイズいっくよー!まずはリサーチャー先生を退却。カウンターブラスト、リサーチャー先生をデッキからサーチ、。テスターのスキルでカウンターチャージ、リサーチャー先生をドロップからデッキ下、1枚ドロー。これでエンド」

 エンドフェイズにまとめて発生するスキルを捌く技術、侮れないね。

 わたしも、もっと強くならないと……。

 

【日比谷タイガ:ダメージ1/手札9】

【御堂ユキネ:ダメージ4/手札6】

 

 

 

 ________________________

 

「メザ・リバース?」

「せや、わてが勝手にそうよんどるだけやけどね」

 ヒメカが意味深に目を閉じて語り始める。

「うちのキッペイがそのメザ・リバースに感染したんよ」

「だからそのメザ・リバースって何なのよ」

 ミクは苛立っていた。いや、焦っていた。

 ヒメカの造語という話だが、その響きはユキネの身に起こってることだと、直観が告げていた。

「人格やファイトの力に与える影響が4年前のものより弱いリバースのことや。あの時のように赤い模様もでぇへん」

「……倒せば治る?」

 8人。4年前のリンクジョーカー事件で小学生だったミクが正気に戻した人数だ。

「それがあかんのや。キッペイの話ではな、メザ・リバースは最初は自分の意思であの力に手を出すらしいねん。ほんで、メザ・リバースのうちは倒されたファイターに感染せえへん。倒しても治らへん。ただ、ファイトを繰り返すうち、やがて完全なリバースになる。あとは、歌星はんが知ってるリバースとおんなじや」

 倒せばいいってもんじゃない。

 ……完全なリバースになった瞬間を叩くしかないわね。

 ん?

「ヒメカ、完全なリバースになるのっていつよ」

「キッペイの時は2週間くらいやったけど、まさか歌星はん……知り合いに?」

「知り合いどころじゃないわ、うちのキャプテンよ」

 そして、わたしの2人目の先導者。

「キャプテン!?鈴森はん……やないんか。新潟の?」

「そうよ。不幸中の幸いで、レイカ部長じゃなくて梅乃台の」

 レイカ部長にリバースの力が加わったなら、高校生の手に終える相手じゃない。

 ユキネリバースですら、今の新潟ではナツキくらいしか……タイガでもあるいは、危ないところだけど。

「ナツキに電話しとこうかしら。あいつならリバースファイター相手でも____」

「新潟の強い人?中途半端に強いファイターがリバースに負けるのが一番危険やって歌星はん分かっとる?」

 失礼ね。あんたよりよっぽど堅実なファイトをするわよ、サイクオリアはないけど。

「アビスウイングよ、ナツキは。あんたもレイカ部長も負けてるでしょ」

「アビスウイング!?ほんなら、まあ、安心やな。ネットではサイクオリア使えへんし」

 大阪でもあれが発生していた。

 そんな時期になんで外国と交流戦が……対処できる人間を減らしに?まさか、ね。

 

 To be continued……

 

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