雪国の先導者達   作:黄雀

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ようやく雪が降りました。私のさじ加減ですが。


初雪

【桐澤トウジ:ダメージ2/手札5】

【比嘉シュンヤ:ダメージ3/手札5】

 

「スタンド&ドロー。ライド、黒衣の戦慄ガウリール」

 シュンヤのことは、なよっとしていて男らしくないなとか、そんなことを思ったこともあった。

 でも誰にでも本当の意味で優しくできる、それは紛れもない強さだと思ってたんだぜ。

 俺はユキネにも天原先輩にも、キツくあたってばっかりだからさ。

「さあ、はじめようか。本物のファイトを。ジェネレーションゾーン解放!羽のように軽い言葉も、嫉妬に塗れて刃に変わる。ストライド・ジェネレーション!聖霊熾天使ウリエル!」

 それが今のお前はなんだよ。ヴォイドだかなんだか知らないが、わけわかんないこと言って暴走しちまってよ。

「ガウリールのストライドボーナス。カウンターブラスト、デッキの上3枚を見て、1枚をダメージゾーンに置く。……ふむ、グレード2のノキエルにしておこうか。そしてダメージからブロークンハートをコール」

 ダメージから次々と戦力を補充していく。これがシュンヤ操るエンジェルフェザーの攻撃だ。

「ウリエルでヴァンガードをアタックだ!見ていてよ、ミコト姉ちゃん!僕は……僕だってやれるんだ!ヴァンガードで、僕をバカにしてきたやつを見返す!全国で僕の強さを見せてやるんだ!!」

「シュン、ちゃん……?」

 普段あんなに頼りになる天原先輩がすっかり怯えてしまっている。

 ユキネは____ユキネは何か考えこんでいる。なんだよ、こんな時に。俺達にも話せないような深刻なこと、お前には似合わねえよ。

「ノーガードだ。確かにお前は強いよ、シュンヤ。でもそうじゃねえだろ」

「そうじゃない……?確かにね、桐澤くんの言う通りかもしれない。でも手段を選んでられない相手だっているんだよ。そのためなら僕はリバースにだって手を出す!ゲット・クリティカルトリガー。クリティカルをヴァンガード、パワーをブロークンハート」

「ダメージチェック。戦場の歌姫マリカ、ドロートリガーだ」

 手段を選んでられない相手……か。

 本当にそうなのか?俺は、俺は……あの時、あのまま負けるユキネの方が好きだった。

「ウリエルのスキル。山札を3枚確認。ブロークンハートをダメージへ、ダメージからドクトロイドリフロスをコール。ウリエル、ブロークンハート、リフロスにパワー+2000。リフロスのブーストしたブロークンハートでヴァンガードにアタック」

 パワー22000。1枚で止まる。

「カロリーナでガード!」

「……ターンエンドだ」

 

【桐澤トウジ:ダメージ4/手札5】

【比嘉シュンヤ:ダメージ3(表2)/手札7】

 

「スタンド&ドロー。ジェネレーションゾーン解放!」

 リバース……聞いたことがある。昔流行った都市伝説みたいなやつだ。

 ファイターがおかしくなっちまうっていう。だからシュンヤがおかしくなっちまったのはそのせい。俺はただ勝てばいい。

「ざわめく心の荒波よ、想いの先へと打ち寄せよ!ストライド・ジェネレーション!天鱗水将タイダルボアー・ドラゴン!」

 そう、無理やり納得するしかない。

「メイルストロームをコール。ラスカルスィーパーでヴァンガードをアタック!」

「ノーガード。ダメージチェック、サニースマイル・エンジェル。ヒールトリガーだ。回復はしないけど、ヴァンガードにパワー+2000。ブロークンハートに+7000」

 くそっ!スタシアとメイルストロームが通らなくなった。

「ラスカルはスキルで後列のメイルストロームと入れ替わる。メイルストロームでブロークンハートをアタックだ」

「ブロークンハートは16000。メイルストロームは11000」

「ノーガードでも通らない」

「分かってるさ。タイダルボアーでヴァンガードをアタック!」

 こっちのパワーは32000。3回目以降のアタックがヒットすればスキルが使える。

「レクィエルで完全ガード」

 だが、シュンヤはダメージ4。だから守ってくる。

「トリプルドライブ。スーパーソニックセイラー、クリティカルトリガーだ!全部マグナムアサルトに!」

 だがこれでいい。これでスタンドスキルのあるマグナムアサルトにクリティカルを乗せられる。

「バブルエッジのブースト、マグナムアサルトでヴァンガードをアタック!パワー19000。クリティカル2」

「それは厄介だね。クリティカルヒットエンジェルでガード」

「カウンターブラスト。マグナムアサルトをスタンドしパワー+2000!16000でヴァンガードをアタック!」

「ミリオンレイ・ペガサスでガード」

 スキルでパワーが上がってるせいで、5000で止められちまう……。

 だが、枚数はだいぶ削った。悪くないはずだ。

 

【桐澤トウジ:ダメージ4(表3)/手札7】

【比嘉シュンヤ:ダメージ4(表3)/手札3】

 

「スタンド&ドロー。……ふぅん、このドローなら。ジェネレーションゾーン解放」

 シュンヤに焦りはない。

 リバースの力ってのに絶対の自身があるってことなんだろう。俺がその過信をぶち砕いてやる。

「羽のように軽い言葉も、嫉妬に塗れて刃に変わる。ストライド・ジェネレーション!聖霊熾天使ウリエル!」

 2回目の超越もウリエル……?切り札級のユニットは出さないのか、それとも出せないのか。

「ガウリールのスキル、カウンターブラスト。山札を3枚見て、ドクトロイドリフロスをダメージへ、入れ替わりにブロークンハートをコール。ブロークンハートとウリエルにパワー+2000。ブロークンハートでマグナムアサルトをアタック」

「ニッキーでガードだ」

「ウリエルでヴァンガードをアタック!」

「プラトンで完全ガード!」

 とはいえ、こっちだって余裕があるわけじゃねえな。

「トリプルドライブチェック!ゲット、スタンドトリガー!全ての効果をブロークンハートに。そしてもう1枚ドロートリガー!パワーは逆側のブロークンハートに」

 くそっ……ここに来てダブルトリガーか。

「ブロークンハートでマグナムアサルトをアタック!」

「ガードだ!デスピナ」

「もう一体はヴァンガードに……」

 よし、来た……!

「ノーガード、受けるぜ」

 

【桐澤トウジ:ダメージ5(表4)/手札3】

【比嘉シュンヤ:ダメージ4(表2)/手札7】

 

「いくぜシュンヤ!お前の目を覚まさせてやる!スタンド&ドロー!クロスブレイクライド!蒼嵐轟竜グローリー・メイルストローム!」

 このコンボで手札が何枚あろうと決める。

「ラスカルスィーパーでヴァンガードをアタック!」

「ノーガード、ダメージチェック。クリティカルヒットエンジェル。クリティカルトリガーだ。ブロークンハート2枚と、ガウリールのスキル発動。ブロークンハートにパワー+4000、ガウリールに+11000」

 だいぶガードが固くなったがここまで来たら関係ない。

「メイルストロームと前後を入れ替え、メイルストロームでアタック。通らないがな。次はマグナムアサルトでヴァンガードをアタック!通らないが、カウンターブラストを払って……」

「ああ、待ってよ。ガードするから」

「……は?」

 ガードしなくたってパワーが届いてない。それなのにこいつは何を言ってるんだ。

「ノキエルでガード!スキルで手札のフィーバーセラピーナースとダメージのカラミティフレイムを入れ替える。そして……ブロークンハートにパワー+4000、ガウリールに+6000」

 しまった……まさか読まれて。

「もう1枚ノキエル。手札のカラミティフレイムとダメージのリフロスを入れ替えるよ」

 ガウリールのパワーが34000まで上がった……。

「さあ、アタックするといい。自慢のコンボなんだろ?」

 メイルストロームのブレイクライドスキルでグレード0を手札からガードに出せない。そしてグローリーメイルストロームのアルティメットブレイクスキルでグレード1以上を手札からガードに出せない。

 絶対ガード不能のコンボが、弾かれる……?

「まだ……まだ、ブレイクライドスキルでインターセプトを消して、2枚トリガーを出せば通る!」

「無駄だ。ノキエルでガード」

 3枚目……!?

「ダメなんだよ、桐澤くん。その程度の強さじゃ、何もできない。キミもわかっただろう?」

「うるせえ……!メイルストロームでヴァンガードをアタック!ブロークンハートを退却し、1枚ドロー」

「ノーガード」

 ブロークンハートを温存した2枚貫通!?

 出ろ……出やがれトリガー!

「ツインドライブ!ファーストチェック……っ!」

 

「トウジ……」

 逃げろ、ユキネ。シュンヤのやつ、普通じゃない。

 

【桐澤トウジ:ダメージ5(表1)/手札6】

【比嘉シュンヤ:ダメージ5(表4)/手札4】

 

「さあ、キミもリバースするんだ!桐澤トウジくん!聖霊熾天使ラジエルにライド!ガウリールのスキル、ナキールを置いてカラミティフレイムをコール!ラジエルとブロークンハートにパワー+2000」

 ここを防ぐ。防ぎ切る。

「ラジエルのスキル!ダメージを全て山札に戻し、山札から同じ枚数置く!ラジエル、ブロークンハート、カラミティフレイムにパワー+10000!」

 絶対に防ぎ切る……!

「サウザンドレイペガサスをコール。リフロスのスキル!ダメージ2枚とともに山札に帰り、ダメージ2枚を新たにダメージに起き1枚ドロー!ラジエル、ブロークンハート、カラミティフレイム、サウザンドレイにパワー+4000!」

 この……っ!いったいどこまで。

「リフロスをコール!スキル発動!パワー+4000!もう1体コール!パワー+4000!」

「ユキネ逃げろ!リバースファイターってのは確か、リバースしてないファイターに勝負をしかけてリバースさせる!さっきのを見るにファイトに拒否権がある保証はない!」

「えっ、でもトウジ……」

「天原先輩!ユキネを頼みます」

 今はごちゃごちゃ言い合ってる場合じゃない。

「う、うん……」

「カラミティフレイムでヴァンガードをアタック。パワー32000」

「ノーガードだよ、ちくしょう!ダメージチェック、アンガーボイルドラゴン……。っ!?」

 ダメージが確定した瞬間だった。禍々しい気の奔流が俺を襲う。

 これが、リバースか……。リバースファイターの使命、全てのファイターをリバースさせろという声が頭を支配していく。

 天原先輩も、そしてユキネも。……いや。

 天原先輩だけが、濁った俺の目に、倒すべき相手として映る。いったいなぜユキネは……?

 その疑問が、俺の最後の正常な意識だった。

 

「ユキネちゃん!いったん逃げるよ!」

 天原先輩がユキネの手を引いて部屋を出ていく。

「力を手に入れた気分はどうだい?桐澤くん」

「悪くないね」

「そうだろう?さあ、逃げたファイターをリバースさせに行こう」

 逃げたファイターか……。窓の外に目をやる。

「まあ、急ぐこともないだろう」

「……?」

「見てみろ、外」

 雪国梅乃台に、今年の初雪が舞っていた。

 

 

 To be continued……

 

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