雪国の先導者達   作:黄雀

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魅せるファイトというもののシビアさに打ちひしがれる日々です。がんばります。


部長対決

ミコねえとナツキさんの試合が終わり、そのナツキさんとミクちゃんが帰った直後、伊達北高の部長ハルミさんは大将戦の相手にわたしを指名してきた。

「部長対決といこうじゃないのさ。ね?」

ハルミさんは金色の派手なスリーブをつけたデッキをケースから取り出した。何から何まで本当に派手だね、この部長。

「はい。お願いします」

わたしもデッキを取り出しテーブルにセットする。

「あ、そうだ」

ミクちゃんがくれたカード、せっかくだしネオネクタールだったらデッキに入れてみようかな。そう思ってカードの表面をはじめて見る。

「えっ」

確かにネオネクタールのカードだ。でもこれ、本当にもらっていいのかな。

戸惑いながらももらったそのカードをGゾーンに混ぜる。もともと4枚しか入ってなかったから何も抜く必要がない。

じゃんけんと手札交換を済ませ、準備完了。先攻はハルミさんだ。

『スタンドアップ・ヴァンガード!』

「情火の解放者グウィード!」

「春待ちの乙女オズ!」

ハルミさんのクランはゴールドパラディン。ある意味スリーブ通り。

「じゃ、いっくよー!ドロー!疾駆の解放者ヨセフスにライド!グウィードはスキルで移動してターンエンド」

 

【北岡ハルミ:ダメージ0/手札5】

【御堂ユキネ:ダメージ0/手札5】

向こうはどうやら解放者という名称で固めたデッキみたい。

「スタンド&ドロー。萌芽の乙女ディアンにライド!オズは後ろへ」

相手は部長。さっき戦ったフユキさんアキナリさんより強いと思ってかからないと。

たしかゴールドパラディンにリアガードを退却させるスキルは多くはなかったから、ここは積極的にいこう。ダメでもともとだもんね。

「コーラルベリー・スクワイアをコールします。コーラルベリーでヴァンガードをアタック!」

「お、攻めてきたねぇ。じゃ、剛刃の解放者アルウィラ、クリティカルでガード」

ハルミさんはなんだか嬉しそうだ。もしかしてトウジと同じで早い展開が好きなのかな。

「オズのブースト、ディアンでヴァンガードをアタック!」

パワーは13000。序盤にしたら十分なはず。

「うん、いいよ。ノーガード!」

「ドライブチェック……!」

ただのドライブチェックにも何故か力が入る。ここのところ負け続きだし、最初から格上なのがわかりきってるからこそ何とかして勝ちたいんだと思う。

「トリガーはなしです」

「はーい、ダメージチェック。ありゃパーシヴァルが落ちちゃうか。こっちもトリガーなしだよ」

わたしもドライブチェックで出たグラジオラスを手札に引き入れる。

「これでターンエンドです。部長として、絶対勝ちますよハルミさん」

「部長として負けられないのはあたしも同じだからね、受けてたとうじゃないの」

金のスリーブとハルミさんの前歯が力強く光を放った。

 

【御堂ユキネ:ダメージ0/手札5】

【北岡ハルミ:ダメージ1/手札4】

 

「さあ、攻めるよー。スタンド&ドロー!燃え盛れあたしの分身!ライド・定めの解放者アグロヴァル!」

青い髪の青年騎士のカードにライド。確かに分身だけあって、性別すら違うのにどことなく雰囲気がハルミさんに似ている気がする。

「五月雨の解放者ブルーノをコール。さらにあたしの分身誓いの解放者アグロヴァルをコール!」

「2種類目のアグロヴァル!?」

同じユニットで違う種類のカードがあるなんて知らなかった。

「そうだよ、アグロヴァルはあたしの分身。一方では部長として、もう一方では1人のファイターとして戦うわたしそのもの……なんてね」

照れくさそうに笑うハルミさん。でも本当にその通りだと思う。

「さて、スキル発動!カウンターブラスト1して、山札を3枚見て1体コール。疾駆の解放者ヨセフスをコール!残りの2枚は山札の下へ」

次々と仲間を集めていく。まさにハルミさんの分身。

「さらにヨセフスのスキル、ソウルブラスト1で1枚ドロー」

「スキルの連携……ミクちゃんみたい」

「お、帰っちゃったあの子かい?それはファイトしてみたかったなぁ。さらにブルーノがスキルでパワー+3000ね」

「はい、あの子です。でも、ヴァンガードやめちゃうって言ってました」

あんなに強いのにどうしてやめちゃうんだろう。もったいないなぁ。

「そっか、ただのカードゲームだって言う人もいるけど、みんなそれぞれいろんな思いでやってるんだもんね。続けてくれる方が、1人のファイターとしては嬉しいけど。あ、ブルーノでヴァンガードにアタックで」

「ノーガードで受けます」

「続いて定めアグロヴァルでヴァンガードに」

初対面なのに何でも相談できそうな気がする。やっぱりハルミさんはすごいや。

「ドライブチェックは……プロミネンスグレアだね、トリガーなし」

「ダメージチェック、こちらもトリガーありません」

「じゃあ最後にヨセフスブーストのアグロヴァルでVに」

「それも受けます。ダメージチェックは……ゲット・ドロートリガー。パワーはヴァンガードに、1枚ドロー」

いろんな思いでやってる、か……。わたしの思いは、なんだろう。

 

【北岡ハルミ:ダメージ1(表0)/手札4】

【御堂ユキネ:ダメージ3/手札6】

 

「スタンド&ドロー。開花の乙女ケラにライド。コーラルベリーを後列へ、そして前にメイデン オブ グラジオラスをコールします」

わたしの思いは、それはきっと__

「コーラルベリーでブースト、グラジオラスでヴァンガードをアタック!」

「ガード!霊薬の解放者!」

「まだまだ行きます!オズのブースト、ケラでヴァンガードをアタックです!」

「ノーガードで受けるよ、さあ来い!」

少し大げさにジェスチャーをして、ノーガード宣言。

「ドライブチェック!メイデンオブディモルフォーぜ、クリティカルトリガーです。効果は全てヴァンガードへ!」

「ダメージ2枚チェックだね。ヨセフスと……猛撃の解放者、クリティカルだね」

よし、ひとまずダメージでは追いついた

「ターンエンドです」

 

【御堂ユキネ:ダメージ3/手札6】

【北岡ハルミ:ダメージ3(表2)/手札3】

 

「スタンド&ドロー。蒼き炎の解放者プロミネンスグレアにライド!」

ここから本番。レギオンマークのついたグレード3の解放者が登場する。

「グレアのスキル、カウンターブラスト。ヨセフスを退却して山札の上4枚を見て……定めの解放者アグロヴァルをスペリオルコール!」

「また、スペリオルコール……」

「さらに定めのアグロヴァル、スキル発動。ソウルブラストして山札の上5枚を見る。うん、パーシヴァルを手札に加えるよ。ブルーノにパワー+3000、ブルーノと定めアグロヴァルの位置を交換して……アタックいこうか!」

「はい!」

「誓いのアグロヴァルから、パワー9000でリアガードのグラジオラスをアタック」

「ウーントタナップ、ドロートリガーでガードします!」

ヴァンガードにアタックが届かなくてもこうしてきっちりリアガードを狙うことで無駄なアタックを作らない。

さすがハルミさんだ。

「グレアでヴァンガードにアタック!」

「ノーガードです」

まだ、まだ手札は温存。

「OK、ドライブチェック」

1枚目がローフルトランペッター、そして2枚目__

「バルブトルック。クリティカルトリガーだよ、パワーを定めのアグロヴァル、クリティカルをグレアへ」

「くっ、ダメージチェック」

100%オーランジュ、そしてフェアリーライトドラゴンがダメージへ。

「ヒールトリガーです。パワーをヴァンガードに、そしてダメージ1枚回復!」

「あちゃー、せっかくのクリティカルが無駄になっちったか」

100%オーランジュをダメージからドロップへ移動していく。

「でもまだあたしの分身があるよ。ブルーノでブーストした定めアグロヴァル!パワー26000でヴァンガードにアタック!」

「メイデンオブディモルフォーゼと萌芽の乙女ディアンでガードします!」

「うーん、防ぐねぇ」

「はい!わたしも、日本サーキットやVF甲子園、予選を勝っていくのが目標ですから、負けてられません!」

 

【北岡ハルミ:ダメージ3(表1)/手札6】

【御堂ユキネ:ダメージ4/手札3】

 

「スタンド&ドロー。ライド!ラナンキュラスの花乙女アーシャ!さらにジェネレーションゾーン解放!」

手札のフルブルームドラゴンをドロップゾーンに置く。

「この地に芽吹け吹雪にも負けぬ花、その名も希望!ストライドジェネレーション!春色の花乙姫アルボレア!」

今回はアルボレアに乗る。ミクちゃんからもらった切り札はまだ温存だ。

「へぇ、いい口上だね」

しみじみと頷くハルミさん。

「ありがとうございます。実は、わたしが考えたんじゃないんですけどね」

「へ?そうなの?」

「はい、おばあちゃんが。って、今はファイトに集中しないとですよね。グレースナイトをコールします」

おばあちゃん、わたしの唯一の家族。ヴァンガードなんてわからないのにわざわざ考えてくれたんだ。

「グレースナイトでヴァンガードにアタック!パワーは12000」

「誓いのアグロヴァルでインターセプト!」

こんな雪国の田舎でも、夢は叶えられるっていつも言ってくれるおばあちゃん。

「アルボレアでヴァンガードをアタック!パワー31000」

「ノーガードだよ!さあきたまえー、なんてね」

トリプルドライブ……。パドミニ、ケラ、そして____

「メイデンオブディモルフォーゼ、クリティカル!」

クリティカルをヴァンガード、パワーをグラジオラスにそれぞれ振る。

「ダメージチェック、ゲット・ヒールトリガー」

しかしダメージはわたしの方が多い、回復の条件はみたさずパワーだけが加算される。

「2枚目は……プリデリー、トリガーなしだね」

「アルボレアのスキル。コーラルベリーを山札からスペリオルコール!グラジオラスでヴァンガードにアタック!スキル発動、カウンターブラスト1でグレースナイトの上に山札からグレースナイトをスペリオルコール!」

「うーん、そのアタックはバルブトルックでガード!」

「ラスト!コーラルベリーでブーストしたグレースナイトでヴァンガードを」

「小さな解放者マロンでガード」

防ぎきられた。でも確実にこのターンで追い詰めている。わたしは、この人に勝ちたい!

 

【御堂ユキネ:ダメージ4(表3)/手札4】

【北岡ハルミ:ダメージ5(表3)/手札4】

 

To be continued……

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