雪国の先導者達   作:黄雀

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梅乃台にはモデルがあって、新潟県十日町市にある松代という集落です。


ユキネの切札

 伊達北高校との交流試合、部長対決を申し込まれたわたしは北岡ハルミさんとのファイト、6ターン目を追えてなんとか食らいついていた。

 

【御堂ユキネ:ダメージ4(表3)/手札4】

【北岡ハルミ:ダメージ5(表3)/手札4】

 

「さすがだね、ユキネ部長。でもここで決めさせてもらうよ」

「ありがとうございます。でもわたしは負けません!」

 ハルミさんのターン、必ず仕掛けてくる……!

「あたしのスタンド&ドロー。まずは解放者ローフルトランペッターをコール」

「ストライドしてこない……?さっグレード3を手札に加えていたのに……」

「へえ、記憶力いいんだね。ユキネちゃん」

「え、そう……ですか?」

「まあ、それだけじゃ勝てないけとね。プロミネンスグレア、シークメイトレギオン!」

 双闘!?

 そういえば伊達北高校の人たちはみんな双闘を使っていた。

「じゃ、この4枚を戻すよ」

 ヨセフス、バルブトルック、2種類のアグロヴァルがデッキへと帰っていく。

  今思えばソウルブラストはこの布石だ。

「並び立てあたしの分身!定めの解放者アグロヴァル!」

 レギオンメイトはアグロヴァルか……リアガードとしても強力でその上メイトまで務めるなんて。

「ローフルトランペッターのスキル発動、山札の上3枚を見て小さな解放者マロンをコール。そしてブルーノはスキルで+3000!」

 黄金のスリーブが仲間を歓迎するように光る。

「そしてプロミネンスグレアのスキル。カウンターブラスト、そして手札のパーシヴァルを捨てることでクリティカル+1、グレード1以上でガードされないスキルを得るよ」

「そんな……!?」

 わたしが驚いている間にもハルミさんは止まらなかった。

「グウィードのブースト!プロミネンスグレアでヴァンガードをアタック!!パワー25000だよ」

 クリティカル2。わたしのダメージは4。トリガーなしでも敗北が決定するアタックだ。

 手札を見る。完全ガードの100%オーランジュが1枚、これは使えない。パドミニとケラも5000ずつガード値があるけれどこれはプロミネンスグレアのスキルで出せない。出せるのはクリティカルトリガー1枚だけ。インターセプトにグラジオラスとグレースナイトが出せる。

「ごめんなさい、ちゃっと考えてもいいですか?」

「ん?ああ、いいよいいよ。大事な場面だし、時間もたっぷりあるしね」

 ハルミさんの許可をとって考え始める。今までだったら何も考えずにガードしていたと思う。でもそれじゃダメなんだ。ちゃんと考えないと、部長なんだから。ここで適当なことしてたら一生ハルミさんみたいな部長にはなれない。ミクちゃんにも認めてもらえない。

 

 ディモルフォーゼでガード、グレースナイトとグラジオラスでインターセプトする場合。パワーは31000。トリガーが2枚でないと通らない、一般的なガードだ。

 クリティカル1枚までなら、クリティカルの乗ったリアガードをオーランジュで完全ガードすればいい。耐えられる。でもその後は……?たぶん手札にパドミニしか残らない。前列もいない。次のターンがほとんど反撃できないで終わっちゃう。そもそもトリガーが出なくたってブルーノとアグロヴァルのラインはパワーが21000あるから完全ガードは使わされる。

  これはダメだ。わたしはこのターンを凌ぐためにヴァンガードをやってるんじゃない。勝つためにやっているんだ。となればここは賭けに出る……!

 

「ディモルフォーぜでガード!グレースナイトでインターセプト!」

「1枚貫通……なるほど。勝つために冒険してきたってことか。なら、遠慮なくぶち抜く!」

  そして、静かにツインドライブが始まった。

「ファーストチェック、プリデリー。トリガーなし」

 ごくり、と喉が鳴る。たぶんわたしだけじゃないだろう。

「セカンドチェック……」

 

 

 

「トリガーなし、か」

「守りきった……?」

 ふう、と息をつく。ただ油断はできない。セカンドチェックも神聖魔道士プリデリー、完全ガードだったのだから。

「ローフルトランペッターで……リアガードのグラジオラスをアタック」

「!?」

  ……なるほど、さすがハルミさん。ヴァンガードをアタックしても防ぎ切られると踏んでこちらの攻撃要因を削りにきた。ここをガードしても今度はアグロヴァルでもう1度狙ってこれる。

「わかりました、ノーガード。グラジオラスを退却します」

「仕方ない、アグロヴァルでヴァンガードに。パワー21000」

「ノーガード」

 ダメージトリガーはない。さあ、ここからどこまでやれるか。

 

【北岡ハルミ:ダメージ5(表2)/手札5】

【御堂ユキネ:ダメージ5(表4)/手札3】

 

「スタンド&ドロー。行きます!わたしの新たな切り札、ジェネレーションゾーン解放!」

 パドミニをドロップゾーンに送り、ミクちゃんにもらったカードをジェネレーションゾーンから掴む。スリーブが違うからすぐにわかる。

「この地に芽吹け吹雪にも負けぬ花……ストライドジェネレーション!立春の花乙姫プリマヴェーラ!」

 これが新しいわたしの切り札。

「100%オーランジュをコール、コーラルベリーと前後を入れ替える」

 完全ガードだけれども、ここは攻めるために何でもコールしていく。

「オズのスキル、カウンターブラストとソウルイン。オーランジュを山札からコール。こっちもコーラルベリーと前後を入れ替える」

 これで決めるしかない。わたしの全てをハルミさんにぶつけるんだ!

「オーランジュのブースト、コーラルベリーでヴァンガードをアタック!コーラルベリーはスキルでパワー+3000。合計16000です」

「ふむ……アルヴィラでガード」

「もう1度、オーランジュのブーストしたコーラルベリーでアタック!」

「ローフルトランペッター、アグロヴァルのインターセプト」

「ここでヴァンガードのプリマヴェーラでアタック!スキル発動!カウンターブラスト3し、ドロップからノーマルユニットを5枚山札の上へ」

  オーランジュ、グレースナイト、フルブルームドラゴン、パドミニ、グラジオラスを戻す。

「さらに手札を1枚捨てる」

  開花の乙女ケラを捨てる。これで必殺技の準備は整った。

「山札からオーランジュとコーラルベリーを2体ずつコール!」

  同じ位置に同じユニットを上書きコールする。これでユニットがスタンドした形になり、5連続攻撃が可能になる。

「そのアタックは……プリデリーで完全ガード!」

「トリプルドライブ。1枚目、アーシャ。2枚目、ディアン。3枚目、ウーントタナップ!ゲット・ドロートリガー!パワーをコーラルベリーへ」

 1枚ドローしつつ、次のアタックを考える。……パワーの低い方から行こう。

「コーラルベリーのアタック!こっちはパワー16000です」

「……ノーガードだね。あとはヒールトリガーにかけるだけっと」

 ハルミさんのダメージチェックは……クリティカルトリガー。6点目が入る。

 

「あー、負けたかー」

 ハルミさんが天を仰いだ。

「うそ……勝てた……?」

 だいぶ運に味方されてたとはいえ、わたしがハルミさんに勝てたなんて。

「いいファイトだったね」

 ハルミさんなニカッと笑うと手を差し出してくれる。

「は、はい!ありがとうございました!」

 わたしも手を伸ばして堅く握手を交わした。

「じゃあ、あとはフリーファイトとか、トークタイムってことで」

 ハルミさんがパンっと手を叩き締める。

 いつの間にか張り詰めていた空気が一気に和らぐのを感じた。やっぱりファイターとしても部長としても、まだまだこの人にはかなわないや。

 

 

 

 ________________

 

 

 

 一方その頃、歌星ミクと浅倉ナツキは十日町駅前の喫茶店でテーブルを挟んで座っていた。

「で、何の用なわけ?奢りだって言うからついてきてやったけど」

 ナツキはまだイラついているようだったが、ミクは意に介さず切り出した。

「単刀直入に言うわ。あんたがアビスウイングでしょ」

「……はあ?何それ、知らないわよ」

「ヴァンガードの非公式ネット対戦サイト・ヴァルト。そこでabyss_wingのユーザー名で活躍するトッププレイヤー」

「…………」

「ま、ファイトすれば分かることよ」

「あたしはデッキないってさっき____」

 ドン。

 黒いデッキケースがミクの手からテーブルに置かれた。ミクはそれを向かい合ったナツキの手元まで滑らせる。

「アビスウイングのヴァルト上でのデッキよ。コーヒーの代金だと思ってそれでわたしとファイトしなさい」

「はぁ……。ま、ファイトくらいいけど、何なのよあんた」

「コスモウイングよ。ヴァンガード引退試合の相手としてアビスウイングを探していたの」

「………………。……なんの話か分からないけど、ファイトする以上は勝つわよ」

「かかってきなさい、アビスウイング……!」

 

 To be continued……

 

 

 

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