織斑一夏は胸が大好きである、否おっぱいに執念を抱いていた。
――この世界中、ありとあらゆる全てのおっぱいを揉みしだきたい。大きいものも、小さいものも全てである、総じておっぱいなのだ。
己が思いを惹き付けて止まないあの母性の象徴、母がいないことを悲しく思ったことはないがその分おっぱいが少ないのは悲しかった。プリーズモアおっぱい。
メロンサイズだからなんだ、まな板だからなんだ。
敢えてもう一度宣言しよう、総じておっぱいなのだ。
しかし、世の中はそんな彼の野望に対し非情であった。
――女尊男卑、ISという女性にしか扱えない世界最強の兵器が世の中に出てからというものの、ISに乗りすらしない女が優位に立ち男は虐げられるようになった。
街中では全く無関係の男に荷物持ちをさせる女がいる始末だ。そして、それを断ろうものなら冤罪を吹っ掛けられ逮捕されることもある。
つまり、今の世の中では女のおっぱいを揉めば捕まってしまう。
こんな世の中認められるだろうか? いや、そんなはずがない。
一夏は世の中の不公平を嘆き叫んだ。なまじ顔がよく性格も表面はよかったので、適当に頼んだらイケそうと見繕ったおっぱいを揉んだりしてたがそうじゃないんだと。こうじゃないんだと号哭した。
――俺は世界中のおっぱいを揉みたいんだ! 俺がおっぱい揉むくらいで逮捕される世の中なんて間違っているだろう!?
姉にそういうとボコボコにされた。これが今ネットの二次小説で流行りのアンチネタ、暴力を直ぐ振るう身内かと思った。しかし、姉ながらナイスおっぱい。おっぱいの前には姉の猛攻などなんのその。
大きすぎず、かと言って決して小さくないおっぱいが、攻撃のたびに震える様はおっぱいが『私は確かにここにいるんだ』と訴えかけてくるかのようであった。
身内ながらエクセレントおっぱい!
そう伝えると更にボコボコにされた。何故だ、何故この思いが伝わらないのか?
織斑一夏は心に刻んだ。いつか俺が世界に通用する力を得たとき。
――そのときが織斑一夏の
▽▽▽▽
その日、織斑一夏は高校受験のため試験会場で迷っていた。彼は藍越高校という私立高校の受験を控えていた。
理由は簡単、
現在の世の中では、理不尽にもおっぱいが自由に揉めないという風潮がある。その理由は女尊男卑、これはあまりにも惨すぎる。ならばこんな風潮、俺が変えてやる、法律を変えてやる。
これならば、姉も文句言うまい。
そのためにもまずは国会議員を目指すことにしたのだ。
そんなわけで、この高校入試はイカしたおっぱい(千冬姉)への恩返しへの第一歩でもあるので、試験会場までの進路程度に躓きたくないのだが……完全に迷ったようだ。
「クソ、胸さえ揉んだら道くらい一発でわかるってのによ」
よし、と一夏は心に決めた。次に開けた扉の先に試験会場があったらしっかりと受験しようと。違ったらまた部屋を探そう、おっぱいが有ったら取り敢えず揉もうと考えた。
そして彼は扉を開く、その後の人生を大きく動かす運命の扉を――結果からして試験会場もおっぱいもなかった。
ただISのみがあった。一夏は睨み付ける。親の仇を見るかのような憎悪の籠った目でそのIS、打鉄を睨む。
――お前たちが世の中に出てきたせいで俺は! 自由におっぱいが揉めない……ッ!
その打鉄からしたらそんなこと言われても困るしかないが、少年の目は本気だった。
今にも殴ってだろうとぶっ壊してやると言わんばかりの気迫を纏い、
「ウッラァァァぁっしゃあ!」
殴った。ガィィン……と鈍い音が響くがもちろん打鉄がその程度で壊れるはずもなく、むしろ少年の拳の皮が破られ血が垂れていた。
悔しい、惨めだ。こんなちっぽけな拳じゃ世界を変えるどころか、目の前のISに傷ひとつつけることすらままならない。
こんな両手で出来ることなんておっぱいを揉みしだくことぐらいしかない。いや今の世の中ではそれすら出来やしない――! こんな自分にはなにも出来やしないのだ。
「チックショウ――ッ!?」
一夏は、そんな非情ながらも歴然たる事実を前に膝をつき悔しがるが不意に異変が起きた。
頭のなかに叩き込まれる打鉄の情報、
ハイパーセンサー、目視で、機体の周囲360度全方位のおっぱいを見ることができる。地上200mからおっぱいの形を視認判別できる。
PIC、
そんな本来と異なる、どこか歪んでいる情報が少年の頭へ螺込まれるが不思議と不快感はなかった。
そうして気がつけば少年は打鉄を纏っていた。
世界最強の
理由はわからない、だがなにをすべきかはハッキリとわかる。打鉄の両腕の装甲を部分解除し、手をナニか揉むかのようにワキワキさせながら彼は嗤う。
「さぁ、(おっぱいを自由に揉めてない)世界への叛逆を始めよう」
どれだけ他人に疎まれようとも、これが俺の生きる道だ。
▽▽▽▽
その日、織斑千冬は胸中に一抹の不安を抱いて職場へと赴いていた。
なにしろ今日は弟の高校受験なのだ。普段から生真面目に勉強をしていたが受験には時の運も絡んでくるものだ。
――もしかしたら、
「……ふ、心配のしすぎか」
らしくもなくここまで心配してしまうのは、一時期は頭の螺が足りないどころか、何処かの部品を完全に発注し間違えたかのようなことを口走っていたせいである。
――おっぱいを自由に揉めない世界なんておかしいだろ千冬姉!
泣きたくなった。どこで育て方を間違えたのかと、確かに両親のいない家庭であったが精一杯……面と向かって言うには恥ずかしいが愛情を込めて育てたつもりであった。
叱るとき、たまに頭を叩いたのが駄目だったのだろうか? しかし、本気で叩いたことがあろうはずもなく、こぶもアザも残らないような、本当に軽く小突くだけだった。
けど、それが一夏がこうなってしまった原因ではないと言い切れるだろうか。自分にはもちろん子育てなんてした経験もないのでわからない。
そんなことを考えてる間にもツラツラとおっぱいおっぱい語る一夏……プッツリ、となにかがキレた。
――その日初めて本気で弟を殴った。
このことを千冬は一生涯忘れないだろう。
――その日始めて本気で殴られた弟は、姉の胸を見つつ「エクセレントおっぱい!」と言った。
このことを千冬は一生涯忘れられないだろう。出来れば忘れたい。
だが、まぁ近頃はまた顔つきが変わった。なにも考えずおっぱい言っていたあのときとは違う、何かを決意したかのような目をしていた。
なんと国会議員を目指すという。おっぱいおっぱい言ってた思考からどうやって、そんなまともな職種を目指す経緯に至ったかはわからないが千冬は心底安心したものだ。
これならば、おっぱいとも関係なく本当に弟はまともな道へ戻ったのだと。
「織斑先生どうかされましたか……?」
「ん、ああ山田先生か。いや、すまない、今日は弟の高校受験でな。そのことを少し考えていた」
「そういえば、もうそんな時期でしたかぁ……弟さん受かればいいですね」
「ふ、まだまだヒヨッコだがあれはあれで努力していた。心配ないだろうさ」
そんな和やかな空気が漂う教務室。その教務室に置かれているテレビはいつもと変わりないニュースを垂れ流していた。いた、過去形である。
速報が流れた、試験会場で迷ったであろう男子受験生がISに触れてしまい起動させたという。
その情報がテレビから千冬の耳に届く間に、彼女の中の警鐘は煩わしいほどに鳴り響く。
ISを動かした男の名は――織斑一夏。
画面に写るのは打鉄を纏った弟……が囲まれている姿。説得されているのだろうが降りる気配がない、千冬の中の警鐘は、過去にとある親友が世界を変えたとき並みに轟き渡る。
『――ォ――ッパァァァァイ! ヒャッフゥゥゥゥ!』
誰が言ったか、この発言。一夏だ、叫んで打鉄で空へと飛び立った。
音声が荒いせいもあり出だしはほぼ聞こえなかった、しかし千冬のハイスペックならぬ廃スペックな聴覚はしかと捉えた。
――おっぱい。
弟は直っていなかったようだ、というか酷くなっていた。
織斑千冬はこの日初めて……ショックで気を失った。
▽▽▽▽
世界に通用する力を手にした織斑一夏は端的に言って受かれていた、すかたんのうかれぽんちだった。今では自分でもそう思っていることだろう。
生身の警備員に囲まれるもISを装着した少年が負けるはずもなく、飛び立つときのスラスターの風圧のみで蹴散らした。
そして彼は国内に留まればすぐに捕まることなど理解していた。ただし、今や世界的に追われる身になったことは理解できていなかった。
表も裏も関係なく世界から追われているのだ、海外に逃げようとも即座に捕まってしまった。
――亡国機業に。ロープでぐるぐる巻きにされ床に投げ出されている一夏の目の前には、ブロンドの大盛おっぱいが椅子に脚を組み座っている。
下から見上げる、普段ないようなシチュエーションで見るおっぱいも中々絶景である。
「こんにちわ、世界初の男性操縦者くん……いえ、織斑一夏くん?」
「ナイス下乳、乙なもんだ。いや、こんにちわ」
「今なんて言ったのかしら? 自分の立場を理解してるかしら?」
「うるせぇ、世界中のおっぱい制覇の手始めとしてあんたのから揉みしだくぞ」
「……エムー、貴女の兄こんなんなんだけどー?」
「おい、ガキ。スコールが呼んでんぞ」
「黙れ、今私は復讐するつもりだった奴があんなのだから心の整理に手一杯なんだ」
彼の後ろにいるであろう人物――エムにスコールと呼ばれるブロンド女が話しかける。
声からして背後にいるのは女が二人。その
そこにいたのは茶髪のこれまた中々のサイズのおっぱいに、もう一人少女がいた。
「……その姿、中学生時代の千冬姉のおっぱいそっくりだと……!?」
「おい、こいつ本当にどうにかしてくれ。こんなのが私の復讐相手なのか?」
「あぁ、珍しく同情してやるよエム。だけどな、これが現実だ」
「てめぇ、なんで千冬姉と同じ
「なんで私が憎悪を向けられなければならん……!」
エムと呼ばれる少女の本名は織斑マドカ。世界最強である織斑千冬を模し作られたクローン、もしくは幼少の頃に織斑千冬たちから訳あって引き離され今まで孤独に生きてきた。
など何かしらの深い事情のもと、織斑千冬と織斑一夏を憎んでいる。
しかし、この目の前いる
上手く言えないがこういう奴を望んでいたのではないのだ。幸せそうに暮らしている姿を見て憎悪をたぎらせ叩きつけ踏みにじりたかった。
もしくは、せめて屑のようなゲス野郎ならやりやすかった。いや、たしかに足元でおっぱい連呼してる兄(仮)もある意味クソ野郎だが違う。
「リトルおっぱい聞いてんのか!? 揉むぞ? 過去の姉とにたおっぱいだからって俺は躊躇わねぇぞ!」
「リトルおっぱ……コロス」
「待ちなさいリトルおっ、エム」
「おい」
どこか楽しそうに笑うスコールは脚を組み換えながら織斑一夏に問う。その際に彼女の艶かしい太ももの間より下着が垣間見えたが、一夏はチラリとも見ない。おっぱい、下乳をロックオンしたまま、さながらスナイパーの如く彼の視線は動かない。
誘うつもりでわざと下着を見せたスコールは一瞬眉を潜めるがすぐに笑顔で上書く。というより、この男先程から顔すら見てこない。おっぱいと会話してやがる。
「今のあなたにはこれ以上ない価値があるのはわかるわよね?」
「揺れ方が、これは……偽乳、いやしかし……それにしては…………あん? なんか言ったか?」
「今の、あなたの、価値は、わかってる、かしら?」
一言ずつ区切り、ねじり込むかのように言い直すスコールだが、一夏は目線を未だ胸以外と交わすことなく会話を続ける。
「おいおい、そんな力むなよ。おっぱい固くなるぜ?」
「ならないわよ!」
「それに俺の価値って男で唯一ISを動かせる……うわ、すげぇ価値あるじゃねぇか。遺伝子とか売ったら大儲けか?」
ただ有名なだけと思うだけでなく、遺伝子まで価値があることを理解してるあたり頭の回転は悪くない。
しかし、回転させるまでに無駄な
「そうよ、そんな人間が内にいるとしたらその組織はどうなるかしら?」
「敵が増える」
「半分正解、けど箔もつくのよ。そして裏の繋がりは敵以上に味方も増える。どうかしら、このまま解剖されるか私たちの組織に入るか決めなさい?」
「待て、スコール。こんな奴を入れるというのか?」
「おいリトルおっぱい余計なこと言うなよ、俺が解剖されるじゃねぇか」
その一夏の言葉で彼の意思は既に決まっていることはわかる。
「ふふ、決めたようね。ようこそ織斑一夏、胸に触ったら許さないわよ」
「これから頼む、ブロンドおっぱい。許されない程度で俺が諦めると?」
「くそ、レズオータム! 男が入っていいのか!?」
「……まぁいいんじゃねぇか? それに実は私もスコールもバイだ、顔は悪くねぇし問題ないな」
「前々から知ってたが糞だなこの職場……!」
「そういうことよ」
「なら揉ませろよ」
「それ相応に働きを見せてくれたら好きなだけいいわよ?」
――この瞬間織斑一夏が亡国機業に正式に加入することが決まった。
正直なところ織斑一夏というプレミアムが手に入るならば胸のひとつやふたつ揉ませてもよかった。が、飼い犬に餌を与えすぎるのはよくない。こういうものは調整が大切なのだとスコールは考える。
しかし、スコールは知らなかった。織斑一夏はおっぱい好きなだけではない。世界中のおっぱいを揉みしだく野望を持っていることを。
「任務途中に敵のおっぱい揉むのは?」
「オーケーよ」
「これからよろしく頼む」
「ええ、歓迎するわ」
「……チッ」
一夏がスコールの胸と握手しようとした手を、スコールは手で握り返し正しい握手がなされる。
ひとりの少女が復讐とかこれからの生活とかの葛藤で頭を抱えるなか、織斑一夏の新たな人生が幕を開けたのであった。
ここまで読んでくださった方に感謝を。さて、何回おっぱいと言ったでしょうか。
この作品は同じくハーメルンにてIS二次
『IS学園 秘密の地下相談室』などを書かれている
束桜さんと、Twitterで一夏の悪墜ちについて話してたら書き上がった。
おっぱいの話は一切してなかった。
亡国機業に入ったし悪墜ち達成ですよね?
原作一夏は鈍感なくせにおっぱい押し付けられたら赤面してたじゃん?
あれは女に興奮してるんじゃなくておっぱいに興奮してたんだよ。
一夏は女には興味ないけどおっぱいは大好きなんだ。
だから性格改変になるかもしれないけど、性欲改変にはならな(以下略