織斑\おっぱい/一夏   作:バンビーノ

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久々おっぱい


03.希少価値

 織斑一夏はイケメンである。これは間違いなくそうだと言えよう。街を歩き回れば十人中九人は振り返ると言っても過言ではないし、事実そうであった。しかしおっぱいは揉めない。

 逆ナンなんて数えるのも億劫になるほどされて、友人の五反田弾や御手洗数馬は臓物が捩れ切れると言ってもいいほどの嫉妬で暗黒サイドに陥りそうだった。だからといって……やっぱりおっぱいが揉めない。

 

「モテても揉めねぇんだ……ッ! イエス揉める! ノーモテる!」

 

 そうだ、考えてみろよ。街中で振り向いてくれた子の何人がおっぱいを揉ませてくれるんだ? 答えてくれよおっぱい、お前たちからの許可さえあれば貪りつくかのように俺はおっぱいを揉みしだくというのに。

 話しかけてくる奴は決まってこうだ。

『あの、これからお暇でしょうか……その、よかったらお茶でも』

 

 お茶なんて飲んでる暇はねぇ、よかったらおっぱいでもって口上なら喜んで飛びつくってのになぜ毎度毎度お茶を進めてくるのか? あれか、RPGで倒しても倒しても湧いて出てくる経験値稼ぎのモンスターなのだろうか。そろそろレベルアップしてカモンおっぱい!

 それに酷いときはこうだ。

『そこのあなた、随分と顔がいいわね。特別に私とお茶させてあげるわ』

 

 お前もお茶かよ。チクショウやっぱり女尊男卑ってのは碌でもないことしかない。これが元々の世間ならこうだ。

 

『そこのあなた、随分と顔がいいわね。特別に私のおっぱい揉ませてあげるわ』

 そんな素晴らしい世界のはずだったってのにどうしてこんな世の中になっちまったんだ……!

 千冬にはどうしてお前はそうなってしまったのだとよく言われたが、一夏には届かない。

 

 まぁ、理由は箒の姉であるミラクルおっぱいこと、束さんがISを作ったせいだが。ロマンおっぱいの姉のおっぱいはどんなおっぱいなのか期待がおっぱいにいっぱいだ。

 おっぱいのゲシュタルト崩壊が起きそうだが形は崩れようともおっぱいという存在に変わりはない。

 話が逸れた、取り敢えず街中ですれ違った女性のおっぱいを揉める世の中が本来あるべき姿だと思っているのだが現状はおかしい。

 本人の頭がおかしいことは誰も教えてくれない。いや、教えてくれるが誰も説き伏せれない。

 

 ──千冬は後何回胸を揉みにくる一夏を説けば良いんだ。 誰も千冬に何も言ってはくれない……教えてくれ、精神科医!

 

 

 なんて、現実か冗談か不明瞭な妄言はさておき現状の一夏はといえば。

「なんで銀髪幼女に追いかけられているんだ……!?」

「誰が幼女だ! 待て貴様!」

「すまん、希少価値系おっぱい!」

 

 ことの始まりはなんだったか。たしかスコール(ブロンドおっぱい)から休暇を言い渡されたので日本へ来たのだ。

 

 

▽▽▽▽

 

 

 久々にわびさびのあるジャパニーズおっぱいが恋しくなった。ブロンドおっぱいには騒ぎはくれぐれも起こすなと言われていたしそんなことは一夏自身も重々承知。

 

 なのでスマートにおっぱいを揉んだら帰ろうと思っていたのに――空港で一人の少女と目が合った。否、一夏の視線は少女の推定年齢からすれば少しボリュームがないと言わざるを得ないながらも、やはり神秘を秘めているおっぱい。絶えずそのおっぱいを向いていたので、一方的に目を合わされたというのが正しいか。

 

「貴様、名前はなんという?」

「おいおい、人に名前を聞くときはまず胸を揉ませろって習わなかったか? これは裸の付き合いという格言から派生した風習でな、日本に馴染みがないだろうから知らないのも無理はないな。さあ、揉ませ」

「そんな風習は日本にないことくらい知っている、セクハラで警備員を呼ばれたくなければ名乗れ」

「おいおい、シルバリおっぱい。こんなことで警備員を呼んでたら警備員が過労死しちまごめんなさい、名乗るんで携帯しまってください」

 

 亡国機業に所属しようと未だに国家権力には敵わない一夏であった。世界変革はまだまだ遠い。

 

「では自己紹介、胸部(きょうべ)揉太郎(もみたろう)だ」

「そうか、では織斑一夏。姉が心配してないか?」

 

 反転、全力逃走の時間である。振り返り際におっぱいに手を伸ばすも叩き落とされた、惜しい。

 こうして織斑一夏とシルバリオおっぱいとの追いかけっこは始まり――冒頭へと還るのであった。

 

 

 

 

 戦略的おっぱい、間違えた。戦略的撤退というよりはただ路地裏を縦横無尽に逃げ回る一夏。しかし、そんな彼のおっぱいにまみれた思考の片隅でひとつの問答が行われた。いや、内容もやっぱりおっぱいなのだが。

 

 お前は……女性から逃げるのか?

 

 お前は女性(おっぱい)から逃げるのか?

 

 お前()はおっぱいから逃げるのか!?

 

 俺のおっぱい制覇()は!

 

 

 

 

 ──そんなに安いものだったのか!?

 

 

「否! 否、否否否否否否否否ァァァ! 断じて否ァッ! イエッスおっぱい! オールハイルおっぱい!」

 

 なんてことだ。俺は自らの理想(おっぱい)から背を向け逃げようとしていたというのか。それは己のアイデンティティーを否定する認めがたい、許しがたい愚行である。

 だが後悔も反省もあとだ。今はわざわざ自ら揉まれに迫ってくる凹凸なき希少系おっぱいを迎え揉む! そうだ、これは先ほどまで俺が求めていたシチュエーションじゃないか!

 

 実は迫りくる銀髪の少女、ラウラ・ボーデヴィッヒは軍人であり並大抵ではない体術を会得している。本来なら少し前まで一般人であった、少し武術をかじった程度の一夏など一捻り――のはずであった。

 しかし、目の前の一夏の姿がぶれる。まるでギアを一段階上げたかのように、ラウラが踏み抜こうとした足は躱されその姿を見失う。どこに、そう考える暇もなくただ軍で磨きあげられた、()()()に育てられた直感に従い上半身を大きく逸らす。

 間一髪──ラウラのおっぱいがあったその場を一夏の手のひらが空を切った。

 

「チィッ!」

「……!」

 巨乳だったら決まっていたであろう、だが流石というべきか。凰鈴音をも上回る、いや下回る希少価値系おっぱい。そう容易く(安く)は揉めぬということなのか。その事実に感嘆と無念の舌打ちをする一夏。

 

 対するラウラ・ボーデヴィッヒ。織斑一夏という人間を見誤っていたという現実を認めざるを得なかった。セクハラ同然の態度、逃走時の身のこなしから侮っていた。しかしいざ立ち合えば見違えたスピードを発揮し、意図も容易く眼帯で塞がれた視界の死角より攻めこまれた。

 まあ純粋なおっぱい揉みたいって欲望によるブーストなのだが。

 

 退けぞったまま、ラウラは胸部に伸ばされた肘に下より掌底を当て関節を極めようとするがしかし。一夏は狭い路地裏という地形を活かし壁を駆けラウラの頭上を飛び越え逃れる。その並外れた回避方法に舌を巻くと同時に忌々しげに眉間にシワを寄せるラウラ。

 

「さすがはあの人、織斑教官の弟ということか……!」

「織斑胸感だと……? おっぱい()で感じたのか……!?」

「ああ、あの人の教えは私のハート()で感じれるものだった! だからこそ私は──貴様があの人の弟と認められない!」

「そっちか! いや、えっ、千冬姉そんなテクニシャン(達人)だったのかぁぁぁ!?」

「ッ! 貴様は長年共に過ごしていたというのにそんなことも知らずに……!」

「だって俺には(おっぱい)ないから感じれるわけないだろ!?」

「ああ、そうだ! 貴様にはそんな才能(モノ)はない! だからこそあの人の足を引っ張るだけの貴様を認められん!」

「俺だって欲しかったさ……!」

 

 全力で噛み合わない口撃を交わす二人。そして一夏にとってはおっぱいを的確に狙い弾かれ、ラウラにとっては的確に急所(心臓)を狙われそれを弾く攻防。

 一夏の攻撃の合間、ラウラの上段回し蹴りが弧を描き側頭部を穿とうとする。

 

「欲しがるだけでは何も得られない!」

「わかってるさ! だからこそ俺は誰に理解されずとも……強くなるって決めたんだ!」

 ラウラが放った蹴りは寸分違わず一夏の側頭部を蹴り抜いた。しかし、カウンターとも言えぬ(頭が)玉砕覚悟の反撃(パイタッチ)。おっぱいのためなら頭のひとつやふたつと言わんばかりだ。

 

 互いに崩れる姿勢のなかラウラに片腕は弾かれるも──揺れる視界のなか、確かにその右腕が揺れぬおっぱいを揉んだ。

 右手のひらに広がる至福、この世の増悪全てをこの幸せで上書きできるのでないかという満たされた気持ちになった一夏。思わず頬が緩みにへらっと笑う。

 

「クソッ!」

 蹴り上げた足で地を踏みしめ体勢を直したラウラは、すぐさまその腕を叩き落としトドメを刺そうとしたその時。上空より迫り来る大きな影、大きく跳びずさり回避行動を取るラウラだが甘い。

 

 その影の狙いは織斑一夏であった。

 

「このアホがぁぁぁぁぁぁぁ!」

「ゴプッパァ!?」

「なっ!?」

「あれほど目立つ行動は控えろと、アホほど目立ってどうする!?」

 サイレント・ゼフィルスの部分解除された鋭い拳が突き刺さり、至福に満たされたまま意識を手放した一夏はマドカに担がれた。そしてそのまま、ラウラに反応させる暇なく流れるように飛び去っていった。

 

「何者だったのだあいつは……いや」

 それよりも織斑一夏──最後の最後に自信の心臓部位(急所)に手を当て不適に笑ったあの表情が脳裏から離れない。それはまるで自身の慢心を笑われたかのようであった。ギリッと奥歯を噛み締める。

 慢心、油断、驕り、見くびり。そして何よりも織斑一夏を織斑千冬の弟と認めたくない、その感情に流された自分に腹が立った。感情に流され、正しい認識が疎かになっていた。

 大きく深呼吸をひとつ。

 

「ふぅ……私もまだまだということか」

 実際に相対もせず前情報のみで判断した結果がこれだ。これから向かうIS学園の生徒もISをファッションかなにかと勘違いした、平和ボケの烏合の衆と切り捨てていたのだが視野が狭まっていたのかもしれない。

 

「案外学ぶことは多いかもしれん、か……」

 

 そしていつか、再び相見える日にはあの笑みを浮かべた織斑一夏をこの手で殴り飛ばす。そう決心を新たにしたラウラであった。

 

 ──奇妙なすれ違いは止まらない。

 

 

▽▽▽▽

 

 某国某所某時刻の亡国機業さん。スコー、ブロンドおっぱいによるお説教かつ尋問が行われていた。

 

「織斑一夏くぅん? なにか言い訳はあるかしらぁ?」

「凹凸なきおっぱいにも夢は希望はロマンは詰まっていた……やはりおっぱいに貴賤なし!」

 

 もう紐で縛られ芋虫状態だもいうのに満足げな表情を崩さない一夏。その様子を見下ろすスコールは頭が痛いというかもう頭痛が痛いみたいな形容しがたい表情と青筋を浮かべる。

 

「そういう話しはしてないわ! 私はくれぐれも騒ぎは起こすなっていってたの。なのにどうして貴方はナチュラルに胸を揉みに行ってる(犯罪を犯している)のかしら……? それも! ドイツ軍、黒兎部隊の隊長のそれを!」

「ドイツ軍の部隊隊長だったのか……!?」

「そうよ!」

「くぅっ! やったぜ! そりぁ、そうそうに揉めるもんじゃねぇ!」

「そうじゃないわよ!」

 

 結局お説教は夜通し行われた。

 しかし、正しい意思疏通が行われているかどうかは定かではなかった。

 




ここまで読んでくださった方に感謝を。
ちょっとおっぱい要素少なかったです、すみません。
ちっふー、つよくいきて。
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