限られた日々のなかで〜女神と歩んだ1年〜   作:月白弥音

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海未誕ですよ!


★お礼

「あの、夢花! ちょっといいですか?」

卒業式も終わってようやく春休みに入りそうなある日、私は海未に突然呼び止められた。

「う、海未! どうしたの?」

明後日は海未の誕生日。毎年恒例の誕生日会を今年もサプライズで穂乃果が企画してる。今までは私たち幼なじみ三人ーーっていっても去年は参加してないけどーーとゆきちゃんに結衣の六人だったけど、今年はμ'sが出来た。入る前に誕生日が来ちゃってた真姫ちゃんと希には出来なかったけど、他のメンバーには小さいけど誕生日パーティやった。今年度は海未で最後だからもちろん全員参加予定!

まあそんなわけで密かに準備してるからあんまり今海未と会いたくないんだよね……

「昼休み、生徒会室に来ていただけますか。夢花と二人で話がしたいんです」

海未はいつになく真剣な顔つきでそう言ってきた。その雰囲気に押された私はとりあえず頷く。

お願いしますね、と足早に自分の教室に戻る海未を見ながら、私はいつもと違う海未の様子に首をかしげるしかなかった。

 

 

 

昼休み。海未に言われた通り生徒会室に足を運んだ私は一応ノックをしてから中に入った。

「すみません、夢花はあまり動けないのにこんなところに呼び出してしまって」

私の姿を確認した海未がすぐに席を立って謝ってくる。

私は海未が座ってた席の近くの椅子を引いて座った。

「ふう……大丈夫大丈夫。校内の移動なら平気だしね、心配してくれてありがと。

それで、話って?」

持ってきたお弁当を食べながら話をして、海未に話をふった。

「はい、私がそんなこと言うのはおかしいことは十分わかっているのですが、えっと、その……」

「どうしたの? はっきり言わないなんて海未らしくないよ」

急にもじもじしだした海未に私も少し戸惑う。確かに恥ずかしさでこうなることはあるけど、今の様子はどう見ても言いにくさでこうなってる。

「その、明後日って……?」

………………え?

まさか、気づかれてた?

「えっと……」

「ですよね。毎年恒例なのでもうわかっていました。それに最近穂乃果がよそよそしいですし」

「そ、そうだよね……」

穂乃果ぁ~! でも考えてみれば当然か。サプライズとかいっても毎年恒例なんだし。

「でもどうして? 毎年気づいても知らないふりしてたよね?」

「はい、そうなんですけど……なんか申し訳なくて」

「申し訳ない?」

「はい。穂乃果の誕生日はまだことりがいるからいいですが、ことりの誕生日は私と穂乃果でやるのでどうも盛り上がりにかけると常々思っていたんです。私のことばかりあんなにしてもらっていていいのかと」

確かに、ことりの誕生日って学校でも行事が詰まってる時期でバタバタしてて結構直前まで準備してたこともあったし、穂乃果の誕生日はことりが大体のことをしちゃうから飾りつけとプレゼントの用意くらいしかすることないから。それが海未の言う申し訳ないってことなのかな?

「別にそんなに気にすることじゃないと思うけど。それで、どうしたいの? 海未のことだからもうやることは決まってるんでしょ?」

「はい、一応……」

そういって海未はポケットから折り畳んだ紙を一枚取り出して私に渡した。

それを広げて中身を確認する。

「……! これって……」

「私たちだけしか知らないものを作って私からのプレゼントにしたいんです。でも私一人じゃここから先はどうすることもできません。お願いです、夢花。手伝ってください」

言い切ると深く頭を下げた海未。それに私は驚いてすぐに顔を上げさせた。

「海未、もちろん手伝うよ。滅多にない海未からのお願いなんだから」

「一言余計です。でも、ありがとうござい「ただし、」……なんですか?」

「一緒に私の家に来ること。最後まで海未が関わらないと」

「もちろんです!」

今日原型ができちゃえば明日は休みだしなんとかなるでしょ。するんだけどさ!

 

 

 

 

 

 

 

そんなわけで当日。

海未はいま、穂乃果とことりと一緒に遊園地へ。

私たちはというと……

「どんどん包んで! 早くしないと間に合わなくなるよ」

穂乃果のお母さんに急かされてひたすらほむまんを作ってた。もちろん素人の私たちが作ったのなんて売り物にはならない。ありきたりのケーキじゃ面白くない、どうせなら面白いことをって考えた結果がこれ。

結婚式でよくあるような大きいももまんの中に小さいももまんがたくさん入ってるやつのほむまん版。

穂乃果のお母さんもお父さんも喜んで協力してくれた。とは言ってもそんなに大きなやつなんて作ったことなかったからちゃんとできるまで一週間はかかったって言ってた。でも一週間で作り上げるなんて十分すごいと思うんだけど……

餡を生地で包むこと30分、ようやく用意してもらった分が終わった。これの10倍くらいの量を毎日作ってるんだから本当にすごいよね、穂乃果のお父さんとお母さん。

あとは穂乃果のお父さんに大きい生地で包んでもらって仕上げはお願いした。それが出来る間に穂乃果の部屋を飾り付け。私は輪っかをつないで渡していく役割だったけどね。だって高いところに登るのちょっと怖いもん……

大体終わったところで穂乃果からの連絡が入った。

「みんな、そろそろ海未達が戻ってくるって!」

「こっちは終わったからいつでもいいわよ」

「了解っと」

穂乃果にOKを返してクラッカースタンバイ。元々わかってれば驚かないから平気なんだよね。

「ただいま~」

「お邪魔します」

海未達が戻ってきた。みんなとアイコンタクトをとって……

せーの

「「「「「「「「「海未(ちゃん)、誕生日おめでとう!」」」」」」」」」

同時にクラッカーも鳴らす。

「……びっくりしました。みなさん、ありがとうございます」

多分本当にびっくりしてる。さすがに海未もこれは予想外だったみたい。

「上がって上がって。みんなで海未ちゃんにプレゼント作ったんだ」

穂乃果が海未を引っ張って二階につれていく。それ続いてみんなも上がっていって一番最後のことりがほむまんを受け取った。

「じゃーん、穂むら名物ほむまんスペシャルバージョン! 海未ちゃん、切ってみて!」

「はい、ですが大きい以外特に違いは……っ! これは……」

「中に一杯普通のほむまんが入ってるの」

「花陽たちも中のほむまんは手伝わせてもらったんだよ」

海未はもう一度ありがとうございますと言ってからほむまんを食べた。いつもここで作ってるのと同じだから味は大丈夫だと思うんだけど……

「とても美味しいです。本当にありがとうございます」

「もう何回も聞いたにゃー」

それからみんなもほむまんを食べて楽しい時間を過ごした。

「あの、みなさん、今日は本当にありがとうございました。それで、ですね、私からのお渡ししたいものがあります」

解散ムードが漂い始めた頃、海未が突然そう切り出した。私は知ってるけど他の人は不思議そうに海未を見てる。

「夢花に手伝ってもらいましたが、私から私たちだけしか知らない、私たちだけの曲をお返しとして渡させてください」

そして海未は一人ずつCDを渡した。

「題名はSENTIMENTAL StepS。別れの曲、ではありますがこれ私たちの別れではなく、μ'sとの別れを思って作りました」

デモは海未が歌った。最初で最後の海未のデモになったね、そういえば。

結局、海未へのサプライズはうまくいかなかったけど、海未からのサプライズは大成功。協力した私も嬉しい。

とりあえずこの曲をμ'sで歌った音源は残しておきたい。私たちの本当に最後の曲だから。

「夢花、手伝ってくれて本当にありがとうございました」

「ううん。これからもよろしくね、海未」




まとめ方無理やり……
なかなかないと思いますけど、律儀な海未ちゃんならこういうことも考えるかなって感じたので形にしてみました。いかがだったでしょうか?
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