「でさ、お姉ちゃん。出てきたはいいけどどこ行くか決まってるの?」
歩きながら私を見上げてくる結衣。でも前よりだいぶ身長差がなくなってきてるんだよね……
ていうか、本当になんで私身長伸びないんだろ……?
「お姉ちゃん?」
「ああ、ごめんごめん」
身長のことで少し悩んでたら結構黙っちゃってたみたい。
「で、どこに行くか、だっけ? 大丈夫ちゃんと決めてあるよ。
今日はアキバに行くの。一応私もスクールアイドルの手伝いしてるしいろんな情報を仕入れていきたいなって思って。だから結衣にも来てほしかったんだよ」
ゆっくり歩きながら私は今日のお出かけの目的を説明する。
ネットでも調べられないことはないんだけど、やっぱり実際に見たり来たりしないとだめだなぁって改めて思った。
「そうなんだ! じゃあ任せて。私のおすすめいろいろ連れてってあげるね!」
「うん、お願いね。あ、でも私の心臓のことは気にしてくれると嬉しいな」
「そっか……じゃあ一番大きいところ一つだけ行こっか」
「じゃあそうしよう。案内よろしく」
私だけだとたぶん探して歩きまわてる間に時間になっちゃうから、スクールアイドルがもともと好きな結衣に案内してもらう方がいい、その作戦は成功だったみたい。実際、結衣は私の要求に沿って行くお店を決めてくれたし、たぶん中で案内もしてくれる。
なんか妹に頼りっぱなしっていうのもお姉ちゃんとしては微妙なんだけど、まあ自分が得意なところをお互いに補完していく方がいいよね。
「でっか……」
結衣の案内で行ったそのお店の大きさに私は圧倒された。
「ねえ結衣、ここ本当に全部スクールアイドル関係のものしか売ってないの?」
「うん、そうだよ。ここ『school idol paradise』――略して『
多いとは思ってたよ、うん。今やスクールアイドルは全国どこにでもいるとは思ってた。でもいくら何でも多すぎでしょ!
「大丈夫、ビル自体は高いけど中はそんなに広くないから」
「そ、そうなんだ……」
結衣にそう励まされながらとりあえずお店に入ってみようかと思って入口の方を見たら人だらけになっていた。って、あれどういうこと!
「ねえ、結衣あの列は……?」
「え? ……ああ、そういえば今日って
「ああ、あのグループの。へぇ、そうなんだ。あれ、それなのに結衣は買わないの?」
結衣って確か決まったグループが好きなんじゃなくてスクールアイドル全体として好きだったはずだからてっきりこのCDも買うのかと思ったんだけど。
「うん、ほんとは買いたいんだけどね……この前A-RISEのCD買っちゃったから……
私のおこづかいじゃ二か月分ないと足らないし、しょうがないかなって」
悲しそうな結衣の顔を見て私は少し考えた後財布を取り出した。
「え、いいよお姉ちゃん!」
「結衣と違ってお母さんから毎月結構おこづかいもらってるから気にしないでいいの。私の一か月のおこづかいで余裕で買えるし」
「でも……」
「もう、そんなこと気にしないの。今日のお礼だから。それに結衣が買ったら私も聞かせてもらえるんだし」
「それなら……」
「あれ、白崎先輩?」
結衣とそんな押し問答をしながら列のの近くに行くと、誰かから声をかけられた。
「あ、小泉さんに星空さん!」
振り返るとμ'sの初ライブに駆けつけてくれた一年生の二人がいた。
「ふたりは何を……ってNORNだよね」
「はい! なんといっても今回のCDは4枚同時発売。メンバーの
正直に言って私かかなり驚いていた。この前会った時は人見知りで恥ずかしがり屋な子かと思ってたのに、アイドルの話をし始めるとこんなにしゃべるんだ……
「かーよちん、かーよちん!」
「ふぇ!……はぅ……」
星空さんの反応を見る限りアイドルの話をするといつもこうなのかな。よっぽどアイドルのこと好きなんだね。
「すみません、私、また……」
「ううん、気にしないで。むしろもっとお話ししてみたくなった」
「結衣もです!」
「えっと……」
「あ、ごめん、紹介してなかったね。私の妹でスクールアイドル大好きな結衣。で、この二人は私の学校の後輩で穂乃果たちの初ライブに来てくれた小泉花陽ちゃんと星空凜ちゃん」
今更ながらお互いを紹介しあう。
「とりあえず結衣も並んで買ってきなよ。私はその間に中見てくるから。
小泉さんたちもあとでもう一回会おうよ。せっかくだからちょっとお話ししようよ」
そう小泉さんたちと約束して私はCDの列とは別になってるお店の入り口に入った。