「μ'sのライブ映像、出てるよ!」
「え……?」
私は結衣の言葉に耳を疑った。
「ほんとに?」
「うん! お姉ちゃんもパソコンで調べてみてよ」
そう言われた私はすぐにパソコンを立ち上げてμ'sのページを開く。普段から使ってるホームページの管理画面には
『一般ユーザーから動画が公開されました』
ってちゃんと通知が来てた。通知の日付は昨日だから多分投稿されたのはその前。
昨日はアキバまで歩いて結構疲れちゃったからパソコンを触らないで寝ちゃったからたぶん気付けなかったんだ。それにまさか私たちの身内じゃないところから投稿されるなんて思ってなかったから、私も投稿動画はチェックしてなかったし。
「これアップしたのお姉ちゃんじゃないよね?」
「うん。多分来てくれた誰かが撮ってくれてたと思うんだけど……誰が撮ってくれたんだろ……」
小泉さん、星空さん、あと小さいツインテの子――あの子も一年生かな? ――、あと生徒会長。後ろから見てて小泉さんと星空さんはそういうことやってなさそうだったし、生徒会長は……ない、と思うし、そうなるとあのツインテの子かな?
「昨日あった2人の話聞いたらすっごく気になっちゃったからあってよかったぁ。もう、お姉ちゃんが忘れるから……」
「あはは……ごめんなさい」
とりあえず謝るしかない。
「小泉さん、だっけ? が言ってた通りうまいグループと比べちゃうとまだまだな感じするけど、お姉ちゃんの曲も、海未ちゃんの歌詞も、ことちゃんの衣装も、ほのちゃんの笑顔も……三人のダンスも。私は好き!」
「結衣……ありがと!」
いつもの穂乃果たちを知ってるからかもしれない。知り合いだから故のお世辞かもしれない。でも結衣からそう言われて、私はすごく嬉しくて。思わず結衣に抱きついた。
「お姉ちゃん? ん〜、苦しいよぉ」
結衣が私の胸の中でもがく。朝からいつまでもそんなことしてる訳にはいかないからから私は結衣を放した。
「びっくりした……突然すぎるよ!」
「ごめんごめん。なんか嬉しくなっちゃってさ」
文句を言いながらどこか嬉しそうに見える結衣と私はお母さんに怒られる前にとリビングへ朝ごはんを食べに行った。
学校で穂乃果たちに会ってすぐ動画と結衣の評価の話をした。ただ、学校にパソコンを持ってきてるわけじゃないから放課後に穂乃果の家に集まってその話をしようってことになった。私は月一の検査のために昼休みで早退しちゃったんだけど、穂乃果たちはメンバー集めしてたのかな?
あ、ちなみに今回も変化なし。よくも悪くもなってないってことでした。
で、朝倉先生の話が、というか私のピアノ弾いてる時間がいつもより長かったのか、病院から帰ってくるのがおそくなった。つまり、何が言いたいかっていうと……
穂乃果たちとの約束に完全に遅刻だよ!
なるべく急いで、って言っても早歩きくらいが限界なんだけど、穂乃果の家、穂むらに行くと入り口でことりと会った。
「あれ? ことり、どうしたの?」
「あ、夢ちゃん! あのね、穂乃果ちゃんのパソコンが壊れちゃったみたいで……」
「ああ、なるほど。それで取りに行ってきてくれたんだ」
私の言葉に頷くことり。近いんだから私に頼めばいいのに。
「きっと夢ちゃんが病院から帰ってきてるかどうかわかんなかったから、穂乃果ちゃんも気にしたんじゃないかな?」
「そうかな?」
「そうだよ」
そんな会話をしつつ階段を上がっていって穂乃果の部屋に入ると、
「あれ? 小泉さん?」
いるなんて全く思ってなかった小泉さんがいた。
「もしかして、本当にアイドルに?」
ことりが素早く小泉さんの隣に座って聞く。
「い、いえ……」
「うちの店に偶然来たから御馳走しようかなぁって。穂むら名物穂むら饅頭、略してほむまん! おいしいよ」
「それもいいけど動画確認するためにことりにパソコン持ってきてもらったんでしょ」
「ああ! そうだった!」
「忘れてたんですか……」
「違うもん! 覚えてたもん! ただちょっとあれなだけで……」
あいかわらず……ことりがパソコンを置こうとすると小泉さんがおせんべいが入ったお皿をどけてくれた。
「で、どこにあるの、夢ちゃん?」
「えっとね、確かここに……あった!」
私が朝見た動画を出して再生してあげる。
「ここきれいにできたよね!」
「うん、思わずガッツポーズしそうになっちゃった」
自分たちでも結構振り返りちゃんとできてるじゃん。自分たちのことになるとうまく批評できなくなる人がいるからどうかなって思ったんだけど、ちゃんとできててよかった。
「あ、花陽ちゃん、ごめん。そこじゃ見にくくない?」
穂乃果が端にいた小泉さんに聞く。でも反応はない。本当にこの子はアイドルが好きなんだなぁ。
「小泉さん!」
「は、はいっ!」
海未が小泉さんの名前を呼ぶ。
「アイドルやってみない?」
「わ、私は……それに向いてないですし……」
「私だって向いてるとは思いません」
「私も向いてるとは思えないよ。でもスクールアイドルならやりたいって思う気持ちがあればできる!」
「私はすごくおっちょこちょいだよ!」
「穂乃果のは関係ないね。でも気持ちがあればできるっていうのは本当だよ」
穂乃果はうしろでなんでなんでって騒いでるけど気にしない。
「ゆっくり考えてみて。私たちはいつでも待ってるから」
穂乃果はそう言って締めくくった。
小泉さんに星空さん、それに真姫ちゃん。
三人ともμ'sに入ってくれればいいんだけど……