限られた日々のなかで〜女神と歩んだ1年〜   作:月白弥音

30 / 39
#25 アイドル研究部

「許可できない?」

 

放課後、部活動設立の申請書を出しに来た私たちは生徒会長の言葉に耳を疑った。

 

「ええ、すでに音ノ木坂にはアイドル研究部という類似の部活が存在しています」

 

「部員は1人なんやけどね」

 

作った時はいたけど減っちゃったのか……

 

「そのため、あなたたちの申請を受けるわけにはいかないの。

これで話は終わり……」

 

「……に、なりたくなかったら」

 

静かに副生徒会長が生徒会長の言葉を遮った。

 

「アイドル研究部に話をつけてきてってことですか?」

 

私が言葉を引き継ぐと柔らかい笑顔を返して来た。

やっぱりこの人、掴み所ないなぁ……

 

「希!」

 

副生徒会長の言葉に私たちは少し救われた。

まだ、可能性はある。

でもその前に……

 

「少しいいですか、生徒会長」

 

「何かしら?」

 

私に厳しい目が向けられる。

かなり怖い……でも、ここで負けちゃだめだよね。

 

「以前、穂乃果たちが一度申請に来たはずですがなぜその時に教えていただけなかったのでしょうか? 本来ならその時点で存在を教え、その部活に加入させるというのが正しい対応だと思うのですが」

 

「それは……」

 

言い淀んだ生徒会長に口を開かせずに私は言葉を被せる。

 

「忘れていた、とは言いませんよね? 今即座に否定したんですから恐らく全ての部活を把握しているはずです」

 

そこまで言って私はハッとなる。

さすがに言いすぎた!

 

「すみません、少し口がすぎました。ですが……」

 

言い過ぎは謝るけどこれだけは言いたい。

 

「もしその理由が個人的なものなら。

正当な理由がないのなら。立場を利用して私たちの邪魔をしないでください」

 

2人が目を見開く。

穂乃果たちがアワアワしてるのはとりあえず気にしないで私たちは生徒会室を出た。

 

「あの、夢ちゃん?」

 

ことりが私に声をかけてくる。

 

「なに〜……?」

 

返事をしながら私はことりに寄っ掛かる。

 

「きゃっ……って大丈夫?」

 

心臓がすごくばくばくしてる。息も……

あの場では頑張ったけど緊張で心臓が……

 

「はぁはぁ……た、多分大丈夫……しばらくすれば治るから……」

 

みんな心配そうに私を見てる。まだ、これなら平気なのに……

 

「心臓病だって言うのは聞いたことあるけどそんな簡単なものじゃないわね……」

 

真姫ちゃんはなんとなくわかっちゃったかな?

 

「ごめんね、もう大丈夫! アイドル研究部のところいこ」

 

「大丈夫なのですか? もう少し休んだ方が……」

 

海未の言葉にみんな頷く。

みんな心配性だなぁ……

 

「とりあえず平気だよ。まあだめなら突然倒れるけどね〜」

 

『それだめだから!』

 

おお〜みんなにつっこまれた。

 

「さ、みんな行くよ」

 

いつまで経っても埒があかないと思った私はみんなを置いて先に歩き始める。

みんなもバタバタ私の後を追って来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「え……」

 

「あ、あんたたち……」

 

アイドル研究部の部室の前であった人。

唯一の部員らしい先輩。

 

「あの、ストーカーさん?」

 

どうやら、穂乃果たちに昨日の朝解散しなさいって言って、放課後も付いて来てたストーカーさん(仮)がそうだったみたい。

 

「あ、あの……」

 

「にゃにゃにゃにゃー!」

 

声をかけようとした穂乃果を謎の威嚇で怯ませてその隙に部室に入って鍵をかけた先輩。

 

「部長さん! 開けてください!」

 

「外から行くにゃー!」

 

そう言って凜ちゃんが走り出す。

 

「えっと、私たちは……」

 

「待ってよっか」

 

ことりが言う通り私たちまで出て行っても仕方ないし待ってるしかないよね。

 

 

 

しばらくして戻ってきた。何故かストーカーさん(仮)が鼻に絆創膏貼ってたけど。

部室に入れてもらうとA-RISEの他にも色々なアイドルグッズが所狭しと並んでた。

す、すごい……

 

「勝手に見ないでくれる?」

 

「こ、これは……!」

 

あれ、花陽ちゃんが何か見つけたみたい。

 

「伝説のアイドル伝説DVD全巻BOX! 持ってる人に初めて会いました……」

 

「それ、そんなにすごいの?」

 

何気なく質問した穂乃果。

 

「知らないんですか!」

 

そう言って穂乃果をパソコンのところへ連れて行く。

っていうか、使っていいの……?

 

「伝説のアイドル伝説は各プロダクションや事務所、学校などが限定生産を条件に歩み寄り、古今東西の素晴らしいと思われるアイドルを集めたDVDBOXでその貴重性から伝説の伝説の伝説、略して伝伝伝とよばれアイドル好きなら誰もが知ってるDVDBOXです!」

 

花陽ちゃんってこんなキャラだっけ……?

アイドルのことになるとキャラ変わるのかな……?

 

「ネット通販、店舗共に瞬殺だったこれを2セットも持ってるなんて……ス・キ」

 

「家にもう1セットあるけどね」

 

「ほんとですか!?」

 

「じゃあみんなで……」

 

「ダメよ、それは保存用」

 

即座に却下されたその提案に花陽ちゃんが伝伝伝……と泣きながら突っ伏す。

花陽ちゃん……

 

「かよちんがいつになく落ち込んでるにゃ〜……」

 

よっぽど見たかったんだね……そんなにすごいんだ、伝伝伝。帰ったら結衣に聞いてみよっと。

 

「ああ、気づいた? アキバのカリスマメイド、ミナリンスキーさんのサインよ」

 

部長さんが違う方に声をかける。

 

「ことり、知ってるのですか?」

 

ことりが何か見つけたのか。

でも、なんかただ見つけただけな感じじゃないけど……

 

「ネットで手に入れたから本人とは会ってないんだけどね」

 

部長さんがそういうとどこかホッとしたような顔を浮かべた。

なんだろ……?

でも、今は交渉だよね。

ねえ、ところでさ?

 

いつ始まるの?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。