限られた日々のなかで〜女神と歩んだ1年〜   作:月白弥音

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#26 一緒に!

「アイドル研究部さん!」

 

「にこよ」

 

「にこ先輩! 実は私たちスクールアイドルをやっておりまして」

 

ようやく始まった交渉……はいいんだけど、にこ先輩がすでにいやそうな雰囲気でてる……

まあ私たちに解散しなさいって言ってくるくらいだからそんな気はしてたけどね。

 

「どうせ希から話をつけて来いとか言われたんでしょ。まあ、いずれそうなるとは思ってたわ」

 

「それじゃあ!」

 

「お断りよ」

 

ほら、やっぱり断られた。

 

「あんたたちみたいなアイドルを冒涜してるようなのはとっとと解散すべきよ」

 

う~ん、にこ先輩にとってアイドルは憧れというか、神聖なもの、みたいな感じで、たぶんにこ先輩が思い描くアイドル像と違うところがあるからそういわれるんだろうけど……

何が違うんだろ……

 

「でも私たち、いっぱい練習して歌もダンスも!」

 

「そうじゃない。そういうことじゃない」

 

そこで言葉を切ったにこ先輩はなんだか威圧感があって。

私たちは誰も口をはさめずにこ先輩の言葉を待った。

 

「あんたたち……ちゃんとキャラづくりしてるの?」

 

「キャラ?」

 

どういうこと?

 

「お客さんがアイドルに求めることは夢のような時間でしょ? だったらそれにふさわしいキャラっていう物がある。

ったくしょうがないわねぇ……」

 

くるっと後ろを向いたにこ先輩が振り向いた瞬間……

 

「にっこにっこにーあなたのハートににこにこにー笑顔とどける矢澤にこにこ! にこにーって覚えてらぶにこっ!」

 

な、なんというかこれは……一昔前のイタイアイドルなんじゃ……

 

「これはちょっと……」

 

「私無理」

 

「ちょっと寒くないかにゃ?」

 

「ふむふむ」

 

うん、みんなの感想が正しいと思う。

花陽ちゃんだけはすごく熱心にメモってたけど。

でもにこ先輩的には当たり前だけど嫌だったらしく……

 

「あんた、今寒いって「いえ! すっごくいいと思うます!」」

 

「あ、でもこういうのいいかも」

 

やばいと思ってフォローしたときにはすでに遅く。

 

「そのくらいなら私だって!」

 

「出てって」

 

「え?」

 

「いいから出てって!」

 

穂乃果が実践しようとする前に追い出されてしまった。

でも、本気でいやなわけじゃなさそうなのはなんでだろう……?

どちらかというと私たちのことを思ってくれてるからこそな気もする。

 

「やっぱりおいだされたんやね」

 

「希先輩」

 

一年生たちを先に帰らせて私たちは昇降口で話を聞くことにした。

副生徒会長から聞いたことに私は思わず聞き返す。

 

「スクールアイドル? にこ先輩が?」

 

「うん、一年生のころやったかな、同じ学年の子と結成してたんよ」

 

「やめちゃったんですか?」

 

「にこっち以外の子がね。アイドルとしての目標が高すぎたんやろうね、ついていけないって……」

 

そんな……

それだから、私たちに……

 

 

きっとうらやましかったんやと思うよ。

 

 

μ'sの歌やダンスの指摘ができるってことはそれだけ私たちの動画を見てるってこと。

興味を持ってくれてるってこと。

 

「なかなか難しそうだね……」

 

「はい、先輩の目標は高いですから……私たちの説得に耳を貸してくれそうにもありませんし」

 

「そうだよね……」

 

私たちが悩んでる中、一人違うことをいう子がいる。

 

「そーかなぁ?」

 

穂乃果、私たちを振り回すけどいつも見たことのないセカイに連れてってくれる人。

 

「にこ先輩はアイドルが好きで、昔アイドルやってて、それで私たちに少し興味を持ってくれてるんでしょ?」

 

「うん」

 

「あと何かちょっとあればうまくいきそうな気がするんだけどなぁ……」

 

「相変わらず穂乃果は具体性ないね」

 

「それはそうだけど! あ……」

 

穂乃果の声に道の反対側を見るとにこ先輩がいた。

私たちの視線に気づいたのかすぐ逃げていっちゃった……

あれ、これ前にも……

 

「追いかける?」

 

「今追いかけても逆効果かもしれません……」

 

「「あー!!!」」

 

思い出した、あの時!

 

「これって、海未ちゃんと一緒じゃない?」

 

「私も同じこと思った! ことりもほら、海未と初めて会った時……」

 

「ああ、あの時の! 確かにそうかも!」

 

そんなことありましたっけ? って私たちに聞いてくる海未を無視してにこ先輩をμ'sに入れる作戦、明日実行だ~!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、急いで私がアイドル研究部の鍵を借りてみんなを中に入れる。

もう一度鍵を閉めてからにこ先輩が来るのを待つ。

鍵はにこ先輩が合いかぎを持ってるらしいから私が持ってても平気だよね。

少し待ってるとにこ先輩が部室の前で合いかぎを取り出した。やっぱり持ってたね。

というか持ってなくて探してたらそれはそれで困るんだけど。

って、いけない! 私もなか入らなきゃ!

 

「こんなことで押し切れると思ってるの?」

 

にこ先輩、違いますよ、押し切るんじゃなくて。

 

「私はただ次の曲の相談をしているだけです。音ノ木坂学院アイドル研究部所属のμ'sの七人が歌う次の曲の」

 

「七人……?」

 

少し驚いてるかな?

まあそうだよね。穂乃果らしいっちゃ穂乃果らしいけど。

あの時も……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次、夢ちゃんおにね!」

 

「すぐ捕まえちゃうんだから!」

 

「ゆめちゃ~ん! がんばれ~!」

 

私はまだ元気に遊べてた頃。

ことりは手術する少し前だったから鬼ごっこには参加してなかったんだけど観戦してた。

遊んでるうちに穂乃果は一緒に遊びたそうにしてる同い年くらいの女の子を見つけて。

 

「次、あなた鬼だよ! 一緒にあそぼ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……って、強引に海未を誘って。

穂乃果には本当にかなわないよ。

雨が上がった空を見上げると穂乃果たちが練習してる屋上に目が行く。

きっとみんな楽しそうにやってるんだろうなぁ……

さて、私もみんなに心配かけないようにちゃんと検査してもらわないとね。

 

 

 

にこ先輩、私たちμ'sをよろしくお願いします。

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