限られた日々のなかで〜女神と歩んだ1年〜   作:月白弥音

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#29 理由

「出待ち!?」

 

へぇ、スクールアイドルでもそんなことあるんだ。

まあ在学中の学校も、練習の日程もある程度書いてあるし、授業の予定は学校のホームページを見ればわかるし当然なのかもね。

 

「私、そういうの全然ない」

 

「アイドルは強烈な格差社会でもありますから」

 

花陽ちゃん、それ全然フォローになってないからね?

むしろ傷を深くした可能性もあるからね?

 

「みんな特大ニュースよ!」

 

「にこ先輩、お願いですから驚かせないでください、死にますよ、私が」

 

「夢花がそういうと冗談にならないので本当にやめてください」

 

そうはいうけどね、こうやって言っていかないと本当に驚いて死ぬなんて笑えないことになるかもしれないから諦めて?

私だって、まだ死ぬなんてごめんなんだから。

 

「えっと、ごめん」

 

「いえ、次から気をつけてくださいね? それで、ニュースってなんですか?」

 

「ついに、ついに始まるのよ! スクールアイドルの祭典……「ラブライブ、ですか?」……知ってたの?」

 

なにこの子たち怖い。ほんわかしてる人ってほんわか人を痛めつけるの?

 

「それでどうするつもり? 当然出るわよね?」

 

「そのつもりです!」

 

「それじゃあ先に学校の許可取りに行く?」

 

「……誰に?」

 

「もちろん、生徒会長に」

 

一応「各部の申請は原則生徒会を通すこと」ってことになってるからねぇ。

とりあえず行くだけいいってみようか。

 

 

 

 

 

 

 

というわけで生徒会室。

 

「ガッコウノキョカァ?ミトメラレナイワって感じだよねー」

 

なんか微妙に似てるような似てないようなモノマネしないの。特徴は捉えてるしそんな反応な気はするけど。

 

「でも今度は間違いなく生徒を集められると思うんだけど……」

 

「そんなこと関係なく私たちのこと目の敵にしてるわよね」

 

「はっ、まさかにこの人気を取られるのを恐れて!」

 

「それはない」

 

「ツッコミはや!」

 

真姫ちゃんさすが。私もそれはないと思う。

でもなにもなく否定してるとも思えないんだよね。

あの正義感の塊みたいな人が頭ごなしに否定するとは考えにくいと思う。

でもそれがわかるためにはあまりにも情報が足りないし、そんなことは今はどうでもいい。とりあえず学校の許可をもらわないと。

 

「直談判しに言っちゃダメなの?」

 

「まあ一応原則としてって書いてあるからダメではないと思うけど……」

 

「なんとかなるでしょ、親族もいることだし」

 

ああ、確かにね。ことりがいるからなんとかなるかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うう、さらに入りにくい雰囲気……」

 

「そう?」

 

「そうだよ! 夢ちゃんは何度か来たことあるから平気かもしれないけど」

 

そっか、私は病気の件で配慮のお願いに来たり、報告に来たりしてるから何度か来てるけど普通はそんなに来ないよね。

 

「……よし、行くよ?」

 

穂乃果がノックをしようと手を伸ばす。

 

「あら、お揃いでどうしたん?」

 

「副会長……」

 

って、ことはきっと……

 

「っ! あなたたち……」

 

「タイミング悪……」

 

やっぱり、生徒会長も一緒か。

 

「理事長にお話があって来ました」

 

真姫ちゃん頑張るね。

でも生徒会長は動じてない。

どっちもさすがというかなんというか……

 

「各部の申請は生徒会を通す決まりよ」

 

「申請とは言ってないわただ……」

 

「真姫ちゃん、上級生だよ」

 

穂乃果、今のはナイスだよ。

これ以上ここで揉めるのは避けたい。ただでさえ難しい状態なのにここで捕まっちゃったら許可なんてこぎつけられなくなる。

 

「どうしたの?」

 

ことりのお母さん!

とりあえず話は聞いてくれるみたい。

 

「一年生たちはここで待ってて? 私たちが話してくるよ」

 

「お願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、ラブライブ」

 

「ネットで中継もされ、全国に放送されることになっています」

 

「うまくいけば学校の名前を広められると思うの!」

 

「私は反対です」

 

まあ口を挟んでくると思ったよ。

なんで私たちのことをここまで嫌うのか、なんでここまで否定するのか。気になる。

 

「理事長は学校のために学校生活を犠牲にするべきではないとおっしゃいました。であれば……!」

 

「そうねぇ、でもいいんじゃないかしら、エントリーするくらい」

 

やった!

ことりのお母さん、やっぱり優しい!

でも生徒会長が言ってたことも気になる。

学校のために犠牲に……?

 

「なら生徒会も学校存続のために!」

 

「それはダメ」

 

「なぜです! なぜ彼女たちの肩を……まさか、私情で……?」

 

ことりを睨んでも……気持ちはわかるけど。

なんで私たちの目の敵にするのかなんとなくわかった。でもそれだけじゃない気がする。

 

「そんなことないわ。彼女たちとあなたの違いは簡単なことだと思うけど」

 

「……失礼します」

 

「ごめん、穂乃果、ことり、海未」

 

私も生徒会長を追いかけて理事長室を出る。

って、ちょっと生徒会長も希先輩も歩くの速くない!?

 

「何か用?」

 

よかった止まってくれた。

 

「ええ、私たちにどうしてそんなに手を出してくるのか理由を聞きたくて」

 

「夢花ちゃん……」

 

「あなたたちみたいに遊びでやっている人にこの学校のことを任せたくないだけよ」

 

「遊びって!」

 

「スクールアイドルだかなんだか知らないけど私には全て素人にしか見えない。一番力があると言われるA-RISEにしても素人に毛が生えたくらい」

 

「むしろ、生徒会長は何を求めているんですか? 誰もプロとして指導を受けている人はいません。その人たちに」

 

「学校の名前を背負って出て行くということはそれだけ責任もあるのよ。指導を受けているかどうかなんて関係ないの。その名前を背負って出て行けるほどの技術がない。特にあなたたちにはないからやめてほしいって言っているのよ」

 

「生徒会長は昔何かやられていたんですか?」

 

「ええ、幼い頃にね」

 

少し寂しそうな顔を一瞬だけして生徒会長は歩いていってしまった。

 

「希先輩」

 

「ごめんな〜うちもこれからバイトや。でももしかしたらバイト中は暇かもしれんなぁ」

 

さすが、ちゃんと伝わったみたいだ。

とりあえず、部室に戻ろうかな。

 

「あの、なんで私についてくるんですか?」

 

「気にせんでええよ、たまたまやから」

 

たまたま、じゃない気がするけどなぁ……

まあいっか。そういえば私が出て着るとき何か条件があるとか言ってたような……

 

「ただいま〜さっきはごm……って何この状況」

 

「おかえり、夢ちゃん。あ、あのね、これは……」

 

「理事長から今度の期末で赤点とる人がいたらエントリーしちゃダメって言われちゃって……」

 

「ああ、それで穂乃果と凛が……」

 

「あとにこ先輩もなんですけど……」

 

そっか、三年生だもんね、教えられる人がいないんだ。

なら、私がやろうかな。

入院中暇すぎて高校の数学だけだけど全部なんとなくやってるから多分教えられると思うし。

 

「それはうちが担当する」

 

「希先輩が?」

 

「うん、任せとき」

 

「じゃあお願いします」

 

あれ、結局私は……

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