「ん〜……」
勉強して凝り固まった体を伸ばす。
あ、でも急に伸ばしすぎると息止まって心臓に負担がかかっちゃうから注意しないと。
あれ?
「みんなは……?」
いつの間にか私を置いて帰っちゃったみたい。
もう、みんなひどいなぁ……
あ、ことりから連絡きてた。
えっと……
『ごめんね、夢ちゃんに声かけたけど集中しててえ反応してくれなかったから先帰るね。鍵だけ返して置いてください!』
……私のせいだったね。
う〜ん、私の悪い癖だよねぇ、一回集中しだすと切れるまで余程のことがない限り反応しなくなるところ。
逆にいいところでもあるって言われるけど……こういう時にはダメなところだって思っちゃう。
そういえば希先輩のところ!
時間は……そろそろ6時、まだ大丈夫、だよね?
とりあえず行ってみよっか。
神田明神はまだこっちにスロープあるから楽だけどこれも結構きついはきついよね……!
あれ、あそこで希先輩といるの海未……?
「お、ちょうどいいところに来たね」
「ゆ、夢花!? どうしてここに?」
「それはこっちのセリフ。どうして海未こそ希先輩と?」
「それは夢花ちゃんと同じやよ。エリチのことや」
「生徒会長の?」
「はい、さっき生徒会長とあったんですが……A-RISEも含めスクールアイドル全て素人にしか見えないって……」
そっか、私があの時言われたこと、海未も言われたんだ。
それで知ってそうな希先輩を頼って。
「教えてください、生徒会長のこと」
「ん、ええよ。エリチは幼い頃バレエをやってたんや。その年齢にしてはかなり上手だと言われていたらしいんよ。
これがその時の動画や、見る勇気、ある?」
「そんなに……見ます、夢花もいいですよね」
「もちろん」
なるほどね、ダンスとバレエ、確かに違うところもあるけどどれくらい上手いかくらいはわかる。
多分生徒会長もそんな感じたったんだと思うけど……
うん、確かに上手い。4、5歳、くらいかな?
そのくらいの年齢にして
生徒会長の見た目の可愛さもあってかなり神童とかって持て囃されたんじゃないかな。
でも……
「こ、こんなに……ありがとうございました、希先輩。失礼致します」
海未……
「いいタイミングやと思ったんやけどなぁ……」
「確かに
「ですが、何?」
「希先輩、生徒会長がバレエの大会で優勝したっていう話、聞いたことありますか?」
「……うちは少なくともないかな」
やっぱり。
確かに生徒会長はすごいと思った。
でも。
バレエでもダンスでも技術と同じくらい大切なものがある。
私たちが踊っている曲を楽しむ気持ち。
たくさん努力をしたんだと思う。
いろんな期待を背負ってたんだと思う。
だからきっと余裕がなくなって音を楽しめなくなった。
生徒会長の技術はピカイチだった。
でも、楽しむ気持ちがないから、そんな余裕がなかったから。
どうやってもそれ以上に行かなかった。
多分、そういうことなんだと思う。
そして多分今も。
「エリチも普通の女の子なんやよ。そこだけはわかってあげて欲しいんや」
「はい、なんだか色々わかった気がします。私たちがやるべきことも」
「それやったらいいんや。夢花ちゃんも体調気をつけてな」
「はい、ありがとうございます」
私は帰りながら考える。
今の私たちがしなければいけないこと。
そして……
翌日。
「……来ない」
まああの勉強しないといけない三人が来ない理由はわかるけどね。そこに荷物置いてあるしほのかのバッグから制服のシャツ見えてるし。
でも海未もなんて……昨日の生徒会長の動画、余程衝撃的だったのかな……
それにしてもだいぶ暑くなってきたね〜そろそろ梅雨も終わりで練習がたくさんできる夏休みももうちょっとでくる。
うまくいけば夏休み明けにはラブライブの本大会。そのためにも夏休み中に何回かライブはやりたいところだよね。
一応海未と相談してオープンスクールと夏休みにどこかでライブやるための曲は作ってるけど、間に合うかな……?
みんなの頑張り次第だけど本当にすぐ覚えてくれるからすごいと思うよ。私はこんなに早く覚えられなかったもん。
「あ、夢ちゃん、きてたんだ」
「穂乃果、他の二人も気は済んだ?」
「……うん」
あ〜これは何かされたな、多分後ろでいたずらっぽく笑ってる希先輩に。
あ、後ろに海未もいる。なんだ、先に気づいて連れ戻しに行ってくれてたんだ。
さて、じゃあ3日後に迫った試験に向けて勉強勉強っと。
「穂乃果!」
っ!
う、海未……びっくりさせないでよ……
「あ、すみません、夢花。それより穂乃果今日から試験まで泊まり込みます! 合宿です!」
「鬼ィ……」
あはは……ファイト、穂乃果。それもラブライブのためだよ。
それにしてもいつ外に出たんだろ……また気づかなかったよ……
そうして無事試験も終わって。
にこ先輩と凛ちゃんは無事赤点回避。
穂乃果はなぜかまだ来ない……
テストもらった時いつになく残念そうな顔してたのがすごくきになるんだけどまさか、ね……
「穂乃果! 今日で全教科返ってきましたよね!?」
「まさかあんた、赤点取ってないでしょうね?」
「ほのかちゃぁん!」
「うん、もうちょっといい点だと良かったんだけど」
見せた点数は確かに赤点を回避、どころかほぼ平均点で。
「よ〜し! 練習だ〜!!」
「ら、ラブライブ……!」
「まだ目指せるって決まっただけよ」
「それでも前進だよ。先に上行ってて。理事長のところ寄ってから行くから」
「わ、わかりました!」
多分ことりのお母さんも結果を知ってるんだと思うけど礼儀として伝えに行かないとね。
「どういうことですか! ちゃんと説明してください!」
生徒会長……?
理事長室の前で中から生徒会長の悲鳴のような必死の声が聞こえた。
穂乃果が少しだけドアを開けて中の様子を伺う。
「ごめんなさい、でもこれは決定事項なの。音ノ木坂学院は来年度から生徒募集をやめ」
「廃校とします」