「海未、やっぱり生徒会長のこと……」
「はい……」
海未は日本舞踊やってるし違いはあってもタイミングのズレとか技術面はわかっちゃうから余計なんだよね、きっと。
「ね、海未。生徒会長のバレエを見てどう思った?」
「すごいと思いました。私はバレエのことをよくわからないですが、素晴らしい技術を持っていると思いました」
「うん、私もそうだと思った。すごかったよね、生徒会長。じゃあもう一つ質問。楽しそうだった?」
「えっ……?」
「どう思った?」
「それは……少々一生懸命すぎて楽しんでいるようには見えなかったですが……」
う〜ん、やっぱりここが舞踊とダンスの差なのかな。
あんまり表情で何かってない感じがするし。
「まあいいや。それで、さっきみんなに話そうとしてたことって生徒会長にダンスを教えてもらおうってことだよね?」
「どうしてそれを!? は、はい、その通りですが……まさか夢花も?」
「うん、私も。私が外から言葉だけで説明するのも中々難しいところに来たから、ね」
「そうですか……夢花、何も言って来ませんが本当に体調は大丈夫なのですか?」
「え? どうしたの急に」
「単純に心配なのです。夢花は昔から誰にも言わずに無理しますから」
あれ?
私そんな無茶したことあったかなぁ……
結構堅実な感じで生活してたと思ってたんだけど。
「とにかく! 何か変化があればすぐに言ってくださいね?」
「は、はい……」
なんだかんだですごく心配してくれてたんだね。ありがとう、海未。
だから今日もわざわざ私の家に来てくれたんだ。
もう、そういうところ不器用だよね、海未って。
まあ今日入ってくれたからよしとしますか!
『ええ! 生徒会長に!?』
みんな驚きすぎだよ! 聞いてた私が驚いたよ!
「話ってそんなこと?」
「絶対嫌ってるよね、凛たちのこと」
「つーか嫉妬してるのよ嫉妬」
やっぱりみんなあんまりいいイメージは持ってないよね。
今までされてることがされてることだけになかなかね……
「私は反対。潰されかねないわ」
「それに生徒会長ちょっと怖い……」
「凛も楽しいのがいいな〜」
「そうですよね……」
「大体、夢花はそれでいいわけ? あんたの仕事取られるのよ?」
「え、私?」
そっか、私から見てると自分の体の状態とできることってわかるからいいけど周りからはそう見えるもんね。
「私が自分の体を使わずにみんなに説明だけで教えるのはそろそろ厳しくなって来てるかなって思ってたの。だから私的にはちょうどいいかなって感じ、かな」
「夢ちゃんがいうように夢ちゃんが教えてくれるのが辛くなってその代わりに身近にいる上手い人に教えてもらおうってことでしょ?」
「そ、そうですが……」
さすが穂乃果。一番いいたとことろだけを簡単にまとめてくれた。
こういうところはすごいのになんで勉強できないんだろ……
「だったら私は賛成! 頼むだけ頼んでみようよ!」
やっぱり、穂乃果は穂乃果だ。
一番楽しそうなところに臆せず飛び込んでいく。
ほんと、真似できないよ。
「私が練習を?」
「はい! お願いします!」
生徒会長は私と海未を見る。
「残念だけど、私は生徒会の仕事があるから」
「そこは安心してください。私が代わりにやれる分はやります」
そういうとは思ってたからね。
あらかじめ希先輩に話はしてあるよ。
「あなた……! 希!」
「うちは知らんよ? せっかくだしやってあげればいいやん」
「……わかりました。あなたたちがやっていることを理解はできないけど人気があることは確かだし引き受けましょう」
「……! ありがとうございます!」
「ただし、やるからには私が納得する水準まで頑張ってもらいますからね」
「が、頑張ります!」
頼んだよ、みんな。
うまくいけばμ'sのスキルアップは間違いない。
そして……
「ほな、うちらは仕事を片付けよか」
「はい、いろいろありがとうございます、希先輩」
「うちは何にもしとらんよ」
相変わらず、いまいち考えが読めないよねぇ。
元入院患者としてはある程度顔色伺って自分の状態を把握してたから結構相手のこと読めると思ってただけにちょっと悔しい。
それにしても結構な量あるんだね。
って言っても一時間くらいで終わる量かな。
「夢花ちゃん、結構こういう作業得意なん?」
「あんまりやったことないのでよくわからないですけど……」
「処理が早いなって思って。……エリチのこと、わかってくれてんやね」
「どうですかね? なんとなくわかった気もしますけど……少なくとも生徒会長に対する考えは変わりましたね」
「そんならええんや」
相変わらずよくわかんない人だなぁ
あ、凛ちゃんが叫んでる。きっと硬いこと指摘されてるんだろうなぁ……
「これ全部終わったのでチェックお願いします」
「ん〜っと、うん、おっけーや」
「じゃあ私は屋上いきますね」
「うん、ありがとうな〜」
「いえ、これくらいは」
聞こえてきた感じ基礎の反復ばっかりみたいだったね。
生徒会室の窓が開いてたからある程度の指示は聞こえたけど……
考えてたところでちょうど階段で生徒会長とあった。
「意外ですね」
「……! 何が意外だっていうのよ」
「ここでオーバーワークさせちゃえば穂乃果たちを、少なくともオープンキャンパスまでは動けないくらいにはできたのに、生徒会長はあえて基礎の反復練習ばかり。彼女たちの今後を考えて、ですか?」
「……違うわ。ただ彼女たちに自分たちがいかに実力がないかを感じ取ってもらって諦めてもらおうと思ったのよ」
「私も基礎練は結構させてたんですがなかなか追いつかなくて……ありがとうございました」
「話はそれだけ? あなたは彼女たち本人以上に実力の無さをわかっているのでしょう? 無理だと言ってあげた方がいいんじゃないの?」
「まさか。一回くらいじゃ穂乃果たちの気持ちは伝わりませんでしたか? 課された基礎練についていけないからって諦めるような子達じゃないですよ、みんな」
私の話を無視して階段を降り始める生徒会長。
「生徒会長」
「何かしら?」
「さっきの言葉、あれはμ'sの実力とポテンシャルをしっかり考えての言葉ですか? それとも、過去の自分からの言葉ですか?」
「っ!」
今度こそ生徒会長は私を無視して階段を降りていってしまった。
生徒会長、あなたの本当の気持ちはなんですか?