ある冬の日、私はちょっと先生と教室で話してたから、部室にいくのが遅くなった。だから着替えとかしてると悪いと思ってノックしようとしたんだけど……
「なんか話し声が聞こえる……?」
着替えてる様子はなかったからそのままドアを開けると、いつもの席に座ってなにかを話してた。
「えっと、何してるの?」
「あ、夢ちゃん! もうお話終わったの?」
「うん。それよりなに話してたの」
いくら最終予選が終わったと言っても、本選に向けて練習しなきゃなのに。
「来週のことを話してたのよ」
「来週?」
「うん、ほら一週間後って丁度クリスマスやろ。みんなでパーティーでもしよか~って話してたんよ」
ああ、なるほど。そう言えば確かに来週クリスマスだっけ。
「もちろん、夢ちゃんも参加するよね?」
「私はいいよ。いろいろ私に合わせてもらわないといけなくなるし」
当然のように私を数に入れてた穂乃果に私は参加を断る。塩分制限がかかってる私と一緒にパーティーをするってことは料理に制限ができちゃう。合宿とかならまだしもさすがにねぇ……
「気にすることないにゃー」
「そうだよ。夢花ちゃんが来てくれた方が私も嬉しい」
「ま、まあ別に私はどっちでもいいんだけど」
この一年組の反応も大体予想できてたよ。きっと絵里たちも同じように説得してくるんだろうな。うん、まあしょうがないか。
「わかった、一応お母さんに聞いてみてからね」
私だってもちろん参加したい。お母さんの塩分管理の予定次第だけど、たぶん大丈夫なはず。私の塩分制限は一日あたりでかかってるから他のところで調整してもらえばいいからね。
「やったー」
「また料理を作るのはにこでしょ? 私の方からもメニュー提案するけどにこが考えてるものがあったら材料だけ教えて。塩分量の計算するから」
「わかったわ、明後日までには考えとく」
また迷惑かけちゃうけど、やっぱり楽しみ!
「プレゼント交換か……」
自分の部屋でベットに横になって考える。外寒くなってきたし、買いに行くのはちょっとなぁ……でもなにか作るって言っても……
「お姉ちゃん、ごはんできたって!」
「わかった。それと結衣、別にそんなに大きな声じゃなくても聞こえるよ」
「しょうがないじゃん、お姉ちゃんヘッドホンしてたら聞こえないんだもん」
それは確かに。それならしかたない。
「そう言えば結衣は今年のクリスマスプレゼント決まった?」
「うん、決まったよ。今年はFiiU貰うんだ!」
「ああ、あのゲーム機ね。サンタさんは?」
「前も話したじゃん! 去年のクリスマスの夜、プレゼント持ってドアを開けたお父さんと目があったって」
私は自然にサンタの存在なんて信じなくなったけど、結衣は正体を見ちゃって信じなくなった。一番夢が壊されるやつだよね、これ。その時まで私も言わなかったから、朝、サンタさんってお父さんだったんだねって小声で言われたときは本当にビックリした。
「ごめんごめん、そうだったね」
「まあ、覚えてないふりして頼んだけど」
「頼んだんだ……」
「お父さんには内緒ね」
結衣の将来が少し怖くなった。
「はいはい。あっそうだ、私からのプレゼント、なにがいい?」
「お姉ちゃんからの? うーん……あっ、ストラップ欲しい! 前のやつもよかったけど、そろそろ新しいの欲しい、かな?」
「ストラップ?」
「ほら、私の誕生日プレゼントにくれた」
「ああ、ビーズのね! わかった、じゃあそれ作るよ」
私が一昨年の結衣の誕生日にプレゼントとしてあげたのがビーズのストラップだった。それ以来結衣はずっと筆箱につけてくれてる。それの新しいのが欲しいってことだと思う。
「やった、お姉ちゃんありがと!」
じゃあ、結衣の作るついでにパーティー用のも作っちゃお。たしかビーズは残ってたはずだし、あのあと作ろうとして途中のが何体かいた気がするからそれを使えばいいよね。ご飯食べたら材料と相談してどうするか決めよっと。
ビーズのストラップを作ったり、にこから言われた料理の塩分量の計算して、お母さんと相談して材料とか調理法とか変えてもらったりしてるうちにクリスマス当日が来た。
「ん~、なんとか2セット作り終わった~」
ビーズなんて触ったの二年ぶりくらいだったから最初はなかなか苦労したけど、だんだん感覚を思い出して前みたいにできるようにはなった。簡単なの作ろうと思ってたのにいつの間かけっこう難しいのになってた。もうちょっと簡単なのにすればよかったよ、ホントに。
「お姉ちゃん、おはよ」
「おはよ、結衣。はい、クリスマスプレゼント」
透明なビニールにちょっと綿入れてMerryChristmas! っていうシールをクリスマスカラーのリボンと一緒に貼っただけの簡単な包装をしたビーズのストラップを手渡すと結衣のテンションが急激に上がった。
「お姉ちゃんありがとう!」
結衣が好きな水色のドレスを着たクマのストラップ、背中のリボンに結構苦労したんだよ~。ちなみにパーティー用のはこのピンクバージョン。
さっそくお母さんたちに見せにいった結衣を見て私も嬉しくなった。たしか前のは犬だったんだっけ? もう結構前のことだから忘れかけてる。その時もこんな風に喜んでくれたっけ。
「じゃあ、行ってきます」
今日のパーティー会場は穂乃果の家。うちから五分もかからないから私に優しい。
穂乃果の家に着くとμ'sメンバーはみんな来てて自分の分担をこなしてた。
「あ、夢花。来ましたね。早速ですが厨房の方にいってもらえますか? にこがさっきから待っています」
「ん、わかった」
海未に言われた通り厨房に行くとことりとにこが慌ただしく動いてた。
「ごめん、二人ともちょっと遅くなっちゃった?」
遅刻はしてないけどなんか待たしちゃったみたいだから一応謝る。
「全然大丈夫だよ~」
「あんたがいなくてもできることはやっといたわ。早くしないと間に合わないわよ」
「そうだね、じゃあまず……」
私のからだのことを考えて、極力食塩を減らすためにケーキをプリンにして、鳥はレモンで焼く。後は全体的に薄味にしてもらってパーティーメニュー完成! ちょっと固めのプリンだからちゃんとデコレーションもできるけど、やっぱりちょっと違う気もする。
「それじゃあ、メリークリスマス!」
みんなで一斉にクラッカーを鳴らす。少し火薬臭くなっちゃうけどこれもパーティーならではって感じだよね。
「クリスマスのチキンって言えばやっぱり大きいのをたれで焼くイメージだけどこれも良いね!」
「本当にそうね。ところでこのピザは? 普通の生地ではないみたいだけど」
「それ、お餅を使ってるんだ~穂乃果ちゃんのお父さんに協力してもらったの」
餅ピザはことりのアイデア。普通に生地をつくるを食塩が入るからってお餅を薄く伸ばして生地の代わりにした。今度うちでもやってみよ。
「でもこれ大丈夫なの? 対して薄味になってない気がするんだけど」
真姫ちゃんはやっぱり心配してきた。さすが病院の子。指摘が鋭い。
「大丈夫だよ。今回目指したのは減塩だけどなるべく味を落とさないこと。これで食塩相当量が一人あたり大体1.6g位だから」
「そう、ならいいんだけど」
「じゃあ、デザート食べる前にプレゼント交換しようよ!」
「凛もさんせーい!」
「じゃあさきにやっちゃおっか」
そう言ってことりが自分の後ろにあるみんなのプレゼントが見えないように入ってる箱を持つ。
「ことりが動くより箱を回した方が早いわ。回しかたを決めましょ」
じゃんけんの結果私は一番最後、つまり残り物になった。私、じゃんけん弱……
「はい、夢花ちゃん」
「ありがと、かよちゃん」
とりあえず私のじゃなかった。自分のを確認したら机の下に一回隠す。
「じゃあみんな一斉に出すよ。せーのっ」
全員が持ってるプレゼントを確認して自分のを探す。
「あ、ことりのやつ、私のだ」
「やっぱり! 前、夢ちゃんがビーズやってるの見たことあったからもしかしてって思ったの! とっても可愛い!」
「すごいわ、よく出来てる」
アクセサリー作りが趣味な絵里に褒めてもらうのは嬉しい。もちろんことりに喜んでもらえただけですごく嬉しいんだけど。
「夢花ちゃんのは私のだ」
「かよちゃんの?」
なんだろ、かよちゃんっていうとお米以外思いつかないんだけど。包みを開けて出てきたのは
「えっと、これアルパカ?」
「そう! さわり心地も学校にいるアルパカとそっくりなの」
アルパカのぬいぐるみだった。確かにすごくさわり心地が良くてずっともふもふしてられそう。
「すっごく気持ちいい……かよちゃん、ありがとね」
プレゼントをひと通り確認した後、私が作ったプリンケーキを出した。プリンの上にイチゴを並べただけだけどけっこうケーキぽい、気もするけど、やっぱり違和感がなくはない。
「わぁ、美味しそう。夢花ちゃん早く切って切って」
私は凛ちゃんに急かされて包丁を入れて、十等分して配る。
「どう、かな?」
自分で作ってといてあれだけど、クリスマスといえばホールのスポンジケーキって感じがあるから少し不安だった。
「いいやん、こういうケーキもありやね」
希が真っ先に感想をいってくれた。
「ふほふほひひいほ!」
「穂乃果は口を空にしてから喋ろうか」
でも美味しいっていってくれたのは分かったよ。みんなの反応を見ながら私も食べる。味は我ながらいいできだと思う。
一般的にはこうだってことを気にしすぎなのかも。全然問題ないじゃん、プリンケーキ。心配して損した。
私はスプーンを置いてみんなの顔を見る。やっぱりみんなと一緒にいるっていいな。パーティー、できてよかった。
「どうかしたの?」
「ううん、何でもない」
ことりをうまくごまかして私はプリンケーキを一口食べた。さっきより甘くなった気がした。
思わず書いちゃった……勢いでかいたので若干キャラがおかしいかもです。