「いやぁ、悪かったね。え~と、ガルドさんだったっけ?」
あのピチピチ騒動からやや数分後。ようやく笑い終えた大理達はとりあえず某ピチピチタキシードさんに謝罪をした。まあ、その顏はいまだに笑いを堪えている、と言った様子なので見ているガルドからするとかなりムカッとするのだが。
それはともかく、三人は心からの謝罪などはしていなかった。なぜなら、このガルドが現れた瞬間、明らかにジンの顏に嫌悪の表情が浮かんだからである。自分達の入るコミュニティのリーダーの敵は自分達の敵。そう判断したからこそ、盛大に笑ったというものだ。
ガルドは怒りを抑えるのに必死なのかもはや取り繕っていた胡散臭い笑みも消して、額に青筋を何本か走らせている。
「い、いえいえ。気にしておりませんので、悪しからず……」
絶対きにしてるなぁ……、と大理達とジンを含む四人だったが、このままでは話が進まないと思ったのかガルドが話しかけてきた理由を問うことにした。
結局、ガルドは異世界からの来訪者三人に敵だと判断され、現在が悔しげな表情を浮かべている。ガルドの目的、それは己のコミュニティ“フォレス・ガロ”への勧誘だった。異世界組三人と、黒ウサギ
最終的に簡潔に言うと、ガルドは絶対絶命の危機に陥っていた。それは、飛鳥がガルドのコミュニティの悪事を暴いた故に、だ。いや、より正確に言えば飛鳥によって悪事を働いていたことがバレたガルドが暴力に訴えようとしたこと、というのが正確な解答だろう。
ガルドは今、
ギフトの効果によって肉体的に頑丈になっているガルドだが、さすがに首という急所はまずいらしい。そもそも、頸動脈というのはそう簡単に斬れるものでもないのだが、ガルドはそう判断できなかった。それは、今自分自身を抑えている大理が放つ気配、雰囲気からであろう。
そして、首を死神の鎌に舐められている状態で耳元にこう囁かれた。
「お前、飛鳥に何しようとしてんだ?」
ゾクッ! と背筋が凍る。気づけば冷や汗が止め処なく溢れ、脳が今すぐこの人物から離れろとガルドに警鐘を鳴らしていた。
しかし、そんな重たい空気はすぐに霧散する。それは、とある少女の一声だ。
「大理、やめなさい」
その一声で、あれだけの言葉で、先ほどまでガルドを包んでいた寒気のする圧力を解けた。
一気に脱力するガルド。それを見て放っておいても大丈夫だと思ったのか大理はガルドの上から離れる。
「ごめん……飛鳥」
「いいわよ。ただ、そんなに過剰反応しなくても良いのよ? ほら、春日部さんだって驚いてるじゃない」
「……大理はギフトを絶対持ってる。うん、これ決定」
「ははは、持ってるならそれで嬉しいんだけどね」
気軽な会話を繰り広げる大理達。耀も内心かなり驚いているのだが、大理と飛鳥の関係を思い出したのか『あぁ……』みたいななんかどうでも良くなったようだ。
一方、ジンは大理の行動に驚愕するばかりだった。あれは、相当の達人の技だと。実際、大理はガルドを抑えたのはギフトでもなんでもない。ただの技術だ。ガルドが襲ってきた際の力を利用して地面に倒し、関節の構造的に動けないように腕を抑え、脚などの部分を暴れられないように首に自分と飛鳥の護身用に常備しているナイフで死を直感させる。
それを、ほんの数秒間で実現させた。その事実にただただ驚愕するしかない。
そして気づけば、
「私達とギフトゲームをしましょう。貴方は“フォレス・ガロ”の存続。私達は“ノーネーム”の魂と誇りを賭けて」
あれ、どうしてこうなった? とばかりに引き攣った笑みを浮かべるしかできないジンだった。
今回は短い。そして三日か四日ほど開けての投稿。
……これも学校の期末が悪いんだ。