もしも、飛鳥に許嫁がいたら?   作:ミミヤヤ

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気が合う二人の男問題児

「なんであの短時間に“フォレス・ガロ接触、さらには喧嘩を売ってるんですか!?」「しかもゲームの開始日は明日!?」「 ゲーム会場は敵のテリトリーで!?」「ゲームの準備に時間もお金も全くありません!」「一体全体これはどういうことですか!」「何知らんぷりしてるんですか御三方!?」

 

 「「「ムカついたからやった。反省はしてるけど後悔はしていない」」」

 

 「開き直った!?」

 

 まるで口裏を合わせていたかのような揃いように激怒する黒ウサギ。しかも開き直るといういっそ清々しい三人に大きく溜息を吐いた。

 そんな時、その様子をニヤニヤ、それはもうニヤけながら見ていた十六夜がようやく待ったをかけた。

 

 「そこらへんにしとけよ。それに、別にいいんじゃねえか。誰彼構わず喧嘩を売ったわけでもないんだからよ」

 「そんなことで済ませられません。このゲームで得られるのは自己満足だけなんですよ?」

 

 そういって契約書類(ギアスロール)を見せた。この契約書類は主催者権限を持っていないプレイヤーがゲームを開催するために必要とされるギフトだ。

 

 「まあ、確かに自己満足だ。時間をかければ立証できるようなものをリスクを負ってまで短縮させようとしてるんだからな」

 「そう、なのです。なんていったって、子供達は、もう……」

 

 そう言って苦渋の表情を浮かべる。“フォレス・ガロ”の悪評は聞いていたのだろう。しかし、そこまで酷いものだとは予想していなかったようだ。黒ウサギは自慢のウサ耳をしょげさせている。

 

 「まあ、そうだね。でも、そのリスクもほとんど無いも同然だと思うよ?」

 

 大理の言葉に皆が首を傾げる。

 それを少し面白そうに笑いながら理由を話した。

 

 「だって、いくら油断していたからって俺程度におさえられるような奴がリーダーなんだ。ちゃんと作戦を考えれば敗北することなんて無いと思うんだ」

 「で、ですがもしもということが……。あっ、そうでございますよ! 十六夜さんが出てくれれば絶対に――」

 「却下」

 「嫌よ」

 「うん」

 「あれ~、やっぱ信用ないか……」

 

 最初に黒ウサギの言葉を否定したのは十六夜、続いて飛鳥、耀だ。最後の大理は黒ウサギからの信頼というものがやはりまだ無いと確認したのか若干ガックリとしながらも顏は笑みを浮かべている。

 

 「な、なんででございますか!?」

 「これはコイツらが売って、ヤツらが買った喧嘩だ。そこに俺みたいな第三者が介入するのは無粋だって言ってんだ」

 「あら、分かってるじゃない」

 「……グッジョブ」

 

 もう、好きにしてくださいぃ……、と項垂れる黒ウサギ。それを宥めるのはジンの役目のようだ。

 大理は一人、六本傷の店の店員にガルドが暴れたことの責任を問われて頭を下げていた。

 

 

 

 

 

 

 場所はベリベッド通り、道は石造できれいに整備されていて脇には桃色の花を散らして通りを彩る木々が育っている。

 黒ウサギ達が向かっているのは“サウザンドアイズ”という超大手商業コミュニティの支店だ。黒ウサギが言うに、十六夜達のギフト鑑定を行うらしい。ちなみにジンは子ども達だけにするわけにもいかないのでコミュニティに戻った。

 

 飛鳥は、脇に育っている桃色を咲かせる木々を不思議そうに眺めていた。

 

 「桜の木、ではないわよね。花弁の形が違うし、なによりこの真夏に桜なんて季節違いにも程があるもの」

 「なにいってんだ? まだ初夏になったばかりだ、桜が咲いていてもおかしくないだろ」

 「……? 今は秋だった筈」

 「皆、季節に食い違いがある?」

 

 あれ? と頭上にハテナマークを浮かべる四人に黒ウサギは笑って季節の違いの理由を話した。

 

 「皆さんはそれぞれ違う世界から召喚されているのデス。大理さんと飛鳥さんは同じ世界ですが。つまり、時間軸以外にも文化や歴史、生態系にも違いがあるはずなのです」

 「なるほど……パラレルワールドってやつか?」

 「パラレルワールド? パラレル……並行世界?」

 「ああ、ある世界から分岐してそれに並行するようにして存在する別世界っていうのがパラレルワールドだ。そっちの世界にはまだパラレルワールドっていう言葉は無いのか。なるほどな、これは時間軸とかの違いか」

 

 なるほどな~、と頷く十六夜に新しいことを知った大理。だが、そこでおかしなことに気付く。

 

 「いや、そのパラレルワールドってのとは少し違うんじゃないかな? そしたらこの箱庭の世界とかの存在がどの位置にあるのか分からないし」

 「……それもそうか。たしかに修羅神仏が存在するってどの世界から分岐したんだよってなるしな。そうなると……立体交差並行世界論か」

 「なにそれ、知りたい」

 「悪いな、俺も曖昧なんだ。手を付けてなかったからな、これに関しては」

 

 二人のやりとりに飛鳥、耀、黒ウサギはポケ~っとしていた。

 

 「あの~、大理さんは分かっていますがもしかして十六夜さんって頭が良かったりします?」

 「何を言う、俺は根っからの頭脳派だぜ?」

 

 根っから……? とまさにその通りな疑問を浮かべる黒ウサギはとりあえず先に進むことにした。

 

 「ねえ、黒ウサギはその立体交差並行世界論って知ってる?」

 「ええ、しかし今からこれを説明致しますと一日や二日では話し切れないので、またの機会ということで」

 

 やったね十六夜、と十六夜と二人笑いあう大理だった。

 

 その後、少し飛鳥が不機嫌になったのは必然なことであろう。

 




 遅くなって申し訳ないです。来週、期末なのでそれまでは更新ペースが落ちます。
期末が終わればまた早くなると思いますので。
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