LuLuの物語-if-少女に与えられた偽りの希望   作:ウンニーニョ

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リリルカ

キンッ、キンッと剣のぶつかり合う音が聞こえる

剣を交えているのは二刀流剣士キリトと双剣士リリルカ。

リリルカがこのギルド、午後のお茶会に参加してから度々見る光景である。両手に武器を装備した珍しい戦闘スタイルな為、お互いに得る物が多いようだ。

 

彼女、リリルカが参加してから忙しい日々が続いた。

まずは、リリルカがPKしたプレイヤーへの謝罪。

リズとキリト、それからアスナが付き添って情報の限り謝りに行った。

ギルド総出で情報を集め、謝罪へ行く日々。

それはつい最近まで続いた。

だからなのかリリルカは今ではギルドに馴染み、会った頃とは考えられないようなを浮かべるようになった。

 

☆★☆★

 

ふぅ。と息を吐きながら2本の短剣を腰の位置にクロスさせるように装備した鞘へ戻す。

 

(今日も、キリトさんに勝てなかった……)

 

勝てなかったというよりはあしらわれていたようにも感じる。

このギルドに入ってから何度もキリトさんとは模擬戦をしている。

しかし一度も勝ったことがない。けれど悔しさよりもお兄ちゃんもこれほど強かったのかと思うと嬉しさの方が大きいのはおかしいだろうか?

あの日から私の気持ちは随分と前向きになった。

 

茅場晶彦からデスゲーム開始の宣告を受けた現実の世界は混乱に陥った。

ネットではデマが飛び交い、それを信じたプレイヤーの親が先走ってナーヴギアの電源を切ったり、コードを抜いてしまったりしたと言う話も聞いた。

 

政府の対応は決して早いとは言えなかった。

けれど下された対応はしっかりとした物で、許された時間内での病院施設への移動、収容。

私とお父さんはお兄ちゃんと一緒に救急車へ乗り込み、病院へと向かった。

しかし、運が悪かったのか途中での事故渋滞。

救急車の長でお兄ちゃんの体がビクンと一回だけ跳ね上がり、そのまま心電図が0の状態になったのを覚えている。

病院へ収容される事なく家に帰ってきたお兄ちゃんの前でお父さんも私も泣いた。

ナーヴギアを外したお兄ちゃんはまるで眠っているようで、今にでもゲームのやりすぎで寝過ごしたといつものように起きて来そうだった。

私は何を思ったのかナーヴギアを被り、お兄ちゃんのPCに接続すると始まりの言葉を口にした。

 

「……リンク・スタート」

 

しかしお兄ちゃんのパーソナルデータしか入っていないナーヴギアでは私がログインする事はかなわず、部屋には私の言葉だけ静かにがこだました。

あの時、お父さんにお前まで居なくなったらって強く抱きしめられたっけ……

 

それから不登校気味になった私を友達が何度も学校へ行こうと誘いに来てくれて、徐々に学校へも行くようになったくらいの時だった。

発売されたのは新しいVRMMORPGアルヴヘイム・オンラインとアミュスフィアと言う安全性を考慮したナーヴギアの後継機。

お兄ちゃんと同じ景色を見たくて私はすぐにALOを初めたんだ。

それからしばらくしてニュースが流れた。

SAOがクリアされ、閉じ込められた人達が帰ってきたと。

良かった良かったと毎日繰り返されるニュースに私が覚えたのは怒りと不快感。

あの時、事故が起こらずにお兄ちゃんがちゃんとプレイできていたらという絶望感。

それからALOの中で私の前に現れたプレイヤーが言った一言が私を狂気へと駆り立てた。

 

「俺はSAO帰還者だ。プレイヤーデータも引き継いでるからかなり強いぜ? デスペナが惜しかったらアイテムを置いていき____」

 

今キリトさん達と手合わせしてみるとそのプレイヤーが偽物で、詐欺のようなものだった事がわかる。

だけどあの時の私にはそれで十分だった。

切れた私はプレイヤーが次の言葉を発する前に小さな炎へとかえる。

それから私の怒りの矛先はSAO帰還者とそれを咎めないALOプレイヤーへ向いた。

 

そんな私に手を差し伸べて希望を与えてくれたのがリズさんだ。

 

彼女やギルドの仲間達の話はお兄ちゃんを思い出させてくれる。

お兄ちゃんとの出会い、冒険。……切れた時に昔、好きだったキャラの真似をする癖が小3の時から抜けてないのもそのまんまだ。

お兄ちゃんが左手の所為で辛い思いをした事も知った。

それは私の所為でもあり、お兄ちゃんに会ったら謝ろうと思っている。

 

そろそろ時間だ。

 

今日はALOがアップデートされで新しいダンジョンが現れる。

浮遊城(アインクラッド)

お兄ちゃんが生きた世界を、お兄ちゃんの仲間と旅をするのだ。

そしていつか、私もお兄ちゃんと一緒に……

 

その為にまずはお兄ちゃんを探す事にする。仲間達と一緒に。

 

 

 

 

 





あとがき

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