時間は進んでゆく   作:柚太郎

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印象

 

見慣れない街をスマホを片手に歩くこと十数分

探していた目的地についた

ビル群の合間には不似合いな木造建築

そこが目的地だった

 

和菓子処 穂むら

 

入口のドアに手をかける直前

俺に不思議な緊張感が生まれる

よくわからなかったが

落し物を届けに来ただけだ、すぐに帰るんだ、緊張する理由なんてない

そう自分に言い聞かせ、ドアを開ける

 

すると中には湯呑みと皿をお盆の上に乗せ立っている女の子がいた

俺に気がつき、言い慣れているであろう接客の言葉を口にする

 

「いらっしゃいま———」

 

と、思ったのだが最後まで聞くことは出来なかった

 

その子は、俺の顔を見た途端固まり、手に持っていた物を全て床に落としてしまう

が、それを気にも留めず俺の顔をまじまじと見つめる

 

この子確か…雪穂ちゃん、だっけ?

この子もスクールアイドルをやっていた気がする

 

そんな記憶が浮かんできたが後回しだ

とりあえず

 

「あのー…なにか付いてますか?それに湯呑みとお皿が割れちゃってますけど…」

「え?あ、いや、なんでもないです!すみません!あれ、本当だ!ごめんなさい、割れちゃってる!少々お待ちください!」

「は、はい…」

 

物凄い勢いでまくし立てられ圧倒される

 

「そっくりすぎるよ…」

 

振り返りざまに呟いた言葉が俺の耳に届く

 

——似ている?俺が?誰かに?

 

思わず聞きそうになったが思いとどまる

待てと言われたため待つ以外のことをするわけにも行かないし、それを聞いて知ったところで俺には何も関係がないだろう

そう考え静かに待つことを決めた

 

数分後

始末が終わったのか雪穂ちゃんが出てくる

 

「すみません、変なところをお見せてしまって…。本日はどのような和菓子をお買い求めですか?」

 

そこまで言われてから気がつく

 

俺の中では落し物を届けに来ただけだった

実際それだけで帰るつもりだった

だが、相手は個人経営の客商売だ

何も買わずに出るなど失礼だと感じる

 

ここで当初の目的だけを達成しても文句は言われないだろうが、相手はがっかりするだろう

それに、そのことに自分は気がついたのに知らないふりをし、気持ち悪くなるのが嫌だった

 

そのため、購入することを決めた

が、和菓子に造詣が深いわけでもないので見繕ってもらおうと考えた

 

「あのー、ここのオススメってなんですかね?」

「当店の人気商品はこちらの穂むらまんじゅうになります」

「じゃあ、穂むらまんじゅうを5個下さい」

「かしこまりました。 少々お待ちください」

 

また数分後

 

「お待たせいたしました。こちらがご注文頂いた商品です。ありがとうございました」

「どーも」

 

そう言い帰ろうとする

 

しかし、そこで当初の目的を思い出す

目的を果たすため話しかける

 

「あの…」

「はい…?いかがなさいました?」

「これなんですけど、これって…お姉さんのじゃないですかね?」

 

雪穂ちゃんは拾ったリングを少し眺めた

すると顔がみるみる驚愕の色に染まる

 

「はい?…こ、これって…。しょ、少々お待ちください!!」

 

そう言い残し、店の奥へ物凄いスピードで消えていった

 

またまた数分後

物凄い足音が店中に響いた

足音はドンドンと近づいてくる

そして

 

 

高坂穂乃果が現れた

 

 

さっきぶつかったときは一瞬だったため見た目以上の印象はなにもなかった

が、初めて向かいあって持った印象がある

 

儚い

 

その一言に尽きた

 

見た目はスクールアイドル時代と変わっていないと思う

が、しかし

かつてスクールアイドルとして一世を風靡した彼女の輝いた姿はどこにも見当たらなかった

 

儚さが漂っていた

触ったら壊れてしまいそうなほどの脆さまで感じた

 

 

足音が示していたように、とても急いでいたためか、汗がうっすらと滲み、肩で息をしていた

 

無言の状態で見つめ合いが数秒続いた

その数秒は多分俺が経験した中で一番長い数秒だった

 

ふと我に帰り、質問をする

 

「あの、これって、あなたのですか?」

「はい。届けてくれてありがとうございます。とても大切なもので無くして泣きそうなほど困ってたんです…」

 

そういう彼女の目は赤くなっていた

実際、泣いていたのだろう

 

「いえ、大したことではないですよ」

「本当にありがとうごさいました。お礼は…」

「いえ、本当に大したことじゃないので!失礼します」

 

そう言い、帰ろうとした

が、彼女に呼び止められ振り向く

 

「あの!お名前と連絡先を聞いても…いいですか?」

「っ、お姉ちゃん!!」

「雪穂の言いたいことはわかってるよ。けど、ごめんね?」

 

なにがごめんね、なのだろうか

疑問に思ったがすぐに打ち消す

 

「飯島佑哉っていいます」

「いいじま…ゆうや…」

 

彼女は聞いたばかりの俺の名を

噛み砕き口になじませるように呟いた

 

「あの…」

「あ、ごめんなさい。人に名前を聞いて私が名乗らないのは失礼でしたね。私、「高坂穂乃果さんですよね?」…はい。知ってたんですか?」

「ええ、まあ…」

「そう、ですか…」

 

少し間が開く

 

「それと、連絡先です。どうぞ」

「ありがとうございます。それと、私のことは穂乃果って呼んでください。」

「?…わかりました」

 

よくわからないが、了承した

不思議と、口に馴染んだ

 

連絡先を交換し、穂乃果は覚束無い足取りで店の奥へ消えていった

 




執筆ってキツイですね…
日本語がわからなくなってくる…
筆者は推薦なので受験間近です
受験生の皆さん
一緒に今年を乗り切りましょう!
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