とある科学の魔法士たち   作:過労死志願

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真昼とさくらの暗部抗争編開幕。

これから暗部とかかわっていく主要メンバーはおそらくこのメンバーになるかと……。


閑話・とある暗部の暗殺騒動
とある暗部の暗殺騒動


 いつも賑やかな天樹寮。

 

 そこでは、今日も今日とて食事当番が作ってくれた料理ならべ、みんなで囲んだ食卓でいつもの歓談を行われていた。

 

 だが、

 

「祐一さんに、真昼さん、サクラさんはどこに……ヘイズさんたちも今日中に帰ってくるって言っていたのに」

 

「なんか危急の仕事が入ったんだって……。ところで錬? 私が出した夏休みの課題どうなっている?」

 

「え? もう夏休み初日に終わらせておいたけど……」

 

「Iブレイン装備だとこの学園都市の計算式ですら0,1秒単位で解いちゃうからね。数学課題の私が聞くのは野暮だったか……」

 

 そんな学校の会話に、無理やり話題をそらす雪や錬のしぐさを見て、フィアは何となく先ほどあげたメンバーがどこに行ったのかを悟る。

 

 いや、正確にはどこに行ったのか教えられないところに行っているのだと悟った。

 

 ということは、

 

「危ないお仕事なんですね……」

 

 どことなく心配そうな声音でそう漏らしつつも、自分にそんな顔をさせないために錬や雪が頑張ってくれているのだとわかっているフィアは、黙っていつもの笑顔を保ち続けた。

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

「そう。やっぱりフィアは気づいちゃいましたか……。今度心配かけた埋め合わせをしないと」

 

『そう思っているんだったらできるだけ早くに帰ってきなさい。それがあの子の心配を取り払う数少ない方法の一つよ』

 

「わかってますよ、レノアさん。日をまたがないうちには帰れると思いますから、そっちのことよろしくお願いします」

 

『私と雪がいる上に、非番のイリュージョンだっているのよ? こっちが負けるわけないじゃない』

 

「確かに……」

 

 寮に攻め込んだら、相手のほうがかわいそうになりかねない過剰戦力に頬をひきつらせながら、真昼は端末の電源を落とす。

 

 今の彼がいる場所は、とある駐車場の巨大なワンボックスカーの中。

 

 その運転席でとんでもない量のキーボードと端末を展開しながら、真昼は耳に装着したインカムに向かって、小さく笑いながら指示を出す。

 

「さてみんな……悪だくみを始めようか」

 

『『『『…………』』』』

 

 帰ってきたのは沈黙。だが、その沈黙は真昼の言葉に対する同意を、何よりも雄弁に語っていた。

 

「では、僕らの代表が統括理事会になるため、その汚れた席を空けてもらいますよ? トマス=プラチナバーグさん」

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

 そのスキルアウトの三人は、本日ナンパをかけた、常盤台のとある電撃使いに瞬殺されてしまい機嫌が悪かった。

 

――なんで俺らがこんな目に合わないといけないんだよ。と、自分たちが、恫喝まがいの行為で無理やりナンパした少女にいうこと聞かせようとした事実など棚上げして、スキルアウト三人は世界を呪う。

 

 そんな彼らにとって、彼らの縄張りに土足で踏み込み平然と自分たちに向かって歩いてくる、黒づくめの、サングラスで目元を隠した、背中にやたらと太い竹刀袋を背負った男は格好の標的に見えた。

 

「おいおい、おっさん! ここどこだかわかって入り込んでんのか!?」

 

「ここは俺たちの縄張りだぞ? 入るんなら通行税払ってもらわんとな……」

 

「おらっ! 痛い目見たくなかったとっとと金はらえや!!」

 

 ギャーギャーわめきながらそんな怒声を上げるスキルアウトたちに、黒ずくめの男は無言をつらぬく。

 

 そんな彼の態度に、なめられていると思ったスキルアウトたちは頭に血が上り、とうとう男に殴りかかった!

 

「シカトこいてんじゃねぇぞおっさん!」

 

 だがその瞬間、男の姿はスキルアウトたちの目の前から消え去り、彼らが縄張りにしていた裏路地の奥に出現していた。

 

「なっ!?」

 

「テレポート!?」

 

「能力者か!?」

 

 成人男性の能力者という珍妙な存在に会った彼らは、あわてて戦闘態勢を取りながら男に向かって拳を握る。

 

 だが、そのとき彼らは気づいた。

 

 彼らが潜む裏路地は、実は奥が壁で閉じられる袋小路だ。

 

 そこから先へは絶対に進めないし、そこからそれる横道があるわけでもない。

 

 普通の人間なら、まず訪れない場所。だからこそ、この三人のスキルアウトはここを根城にしていたわけだが、

 

「少年……」

 

――いったいここに何の用が? と、スキルアウトたちが首をかしげた時、ようやく男は口を開いた。

 

 成人男性特有の深く、落ち着いた声。その声が告げた言葉は、

 

「今すぐここから離れることを勧める。ここは戦場になる……」

 

 瞬間、男は竹刀袋から到底人間が振るえると思えない、身の丈に匹敵する青い刀身の大剣を取出し、裏路地を袋小路にしていた壁を切りつける!

 

 瞬間、すさまじい轟音と共に、まるで砂上の城のように分子単位まで分解され形を失った壁が崩れ落ちる。

 

 その壁が崩れ去ったとき、その向こう側に控えていたものは、

 

「「「っ!?」」」

 

 無数に並んだ漆黒の銃口!

 

 少年たちがそれを認識しあわてて裏路地の陰に飛び込んだとき、無数の弾丸が裏路地の空間を、豪雨と見まがわんばかりの弾幕を持って埋め尽くした!

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

「黒沢の旦那はうまくやっているみたいだな」

 

「そうね……あとは私たち潜入部隊がちゃんとトマスに近づけるかなんだけど」

 

 そのころ、統括理事会のトマスが学園都市での活動の拠点としているビルの通用口から、二人の人物が入り込んでいた。

 

 その二人は何の迷いもなく入口を固める守衛に、入館が許可されるゲスト用のカードをかざし、何の問題もなくその入り口を通過。きわめて穏便にビルの中への潜入を果たす。

 

「私たちが本命……。祐一さんとサクラさんが囮ってことね?」

 

 二人のうちの一人――サングラスをかけたブルネットの髪を肩口あたりでそろえた少女『千里眼(クレアヴォイアンス)№1』は、隣に立つ悪目立ちする赤毛を、一房だけ青く染めた青年に話しかける。

 

「あぁ。まさかガチでこのビルせめて落とせるような戦力が、おとりと考えることはないだろうって真昼は考えたみたいだけどな」

 

――そううまくいくかね……。と、赤毛の男――ヴァーミリオン・CD・ヘイズは内心で少しだけ不安を感じつつも、仕事はしっかりこなすべく、

 

「ん?」

 

「おっと、ちょうどいいところに」

 

 たまたま通りがかった研究員を信じられない速度で捕縛し、締め上げる。

 

「なっ!?」

 

 驚きの悲鳴すら上げられず、意識を刈り取られる研究員。

 

 それに気づかれないよう、素早くトイレに潜り込んだヘイズはその研究員から白衣を剥ぎ取り、自分のジャケットを近くにあったゴミ捨て用のダストに、

 

「…………」

 

 捨てようとしてやっぱりやめ、大事に自分が持ってきていたカバンに仕舞い込んだ。

 

「あんたねぇ……作戦行動中そんなもん邪魔になるでしょう?」

 

「そ、そんなもんってなんだ、そんなもんって!! これはな、割と上等なメーカーが作ったブランド品で、賭けに勝った時の商品でもない限り俺が手に入れるのは割と困難な高級品で!!」

 

「はいはい、わかったから。さっさと先に進みましょう。私の白衣も用意しないといけないでしょ」

 

「ったく、わかってるつーの」

 

 潜入者二人はそんな言い争いをしつつも、順調にビルの最深部を訪れる手はずを整えていく。

 

 そして、その数時間後、

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

『お、おい……本当に大丈夫なんだろうな!? 大丈夫なんだろうなっ!!』

 

「ご安心くださいトマス様。あなたの身の安全は我々『メンバー』がきちんと保護しますので」

 

馬場芳郎は通信機越しにがなり立ててくる、統括理事会の一人の錯乱しきった声に舌打ちしながら、自分が博士に与えられた戦力を見てほくそ笑んだ。

 

――T:GD65体にT:MQ15体。いざとなったら虎の子のT:MTもいつでも使える状態になっている。おまけに僕はこのビルの地下にある核シェルターに避難済みだ。どんな能力者がここに攻め込んできているのか知らないけど、これだけの戦力を持って安全な場所に完全に逃げ込んでいる僕に、牙を届かせるような存在がいるわけ……。

 

 核シェルターの中で無数のモニターを見ながら、彼がそこまで考えたとき、

 

「!?」

 

 敵の侵入にそなえて、ドーベルマン型をしたロボットであるT:GDを待機させていたシャッターが、突然真っ赤に光り輝いたかと思った瞬間、無数の閃光がそのシャッターを貫きT:GDを貫き粉砕した。

 

「は!?」

 

――な、なにがおこった!? 今の攻撃、以前資料で見たことがあるレールガンに似ている!?

 

 と、彼がそんなことを考えながらレベル5の襲来の可能性にいきつき、顔をひきつらせた瞬間だった。

 

『一応告げておこう』

 

 穴だらけになり、もはや自重を支えることもできず崩れ落ちたシャッターから入ってきたのは、

 

『降伏の意思はあるか?』

 

 黒い髪をツインテールにするようにまとめた、黒いドレスを着た一人の美女だった。

 




イリュージョンがいないって?

一応医者の卵ですから……。暗部の性質上、表の世界でちゃんと定職についている人は極力はねました。

つまり、暗部構想についているメンバーは寮の中ではぷーた……。
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