この作品はスマートフォンによって作成された物になります。
改行が少々崩れた物になってお使いの機種によっては
読みずらい可能性があります……ごめんなさい、ご了承下さい。
あとタグにもありましたが処女作です。
それでも大丈夫な方は上へとスクロールすると良いでしょう。
(12月11日)
◯ハチべぇの外見を細部まで追記
◯その他修正
(12月27日)
○タイトルロゴを追加
○その他修正
(2月16日)
○本格的に改行を修正(試験的)
○その他修正:一部文章索敵等
(1)魔法少女と魔法少年
夏は過ぎた。
少しは涼しくなった。
木の葉は色付き一部が落ちる。
この街……池宮市は今そんな感じの時期だ。
現在深夜0時。
夜桜のように紅葉も闇の中で街灯の光を反射、ぼんやりと輝いていた。
何ともキレイな秋の光景だ。
池宮の増徴、巨大な四つ葉型の『四つ葉池』にも、散った紅葉がぷかぷか浮いている。
輝く紅葉に池の紅葉……この光景で絵を描いたらきっと高値が付くだろう。
そんな中、1つ不思議なものがあった。
まるで重力を失ったかのように紅葉の上をと軽快に飛び移る茶色のうさぎ。
……いや、うさぎなのか?
うさぎのような耳から触角が生えた、ピンとした長い耳を持つ茶色い小動物。
触角にリングがない代わりに首と手足に黄色のリングがついている。
背中は丸いピンクの模様、柔らかな桃色がその体ではよく目立つ。
長い耳の先は淡い黄色の粉を振りまいたような淡いグラデーションがかかる。
リスとキツネをかけあわせたようなふんわりとした尻尾。
画面の向こうでしか見ないようなマスコットが、そこには存在していた。
その生物は、池周りの街灯で1番高いのに乗ると、
ふぅと軽い息をついてこう言った。
?「ここがいい、この町にしよう。
ここには感情、記憶、思いが複雑に絡んだ子供が多いからね」
その口調は何か企んでいるようだが、表情1つ変えやしない。
物語はここから始まる、どこにもなかった新たな摂理。
新しい『希望』が、『絶望』が。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
しばらくして夜が明け、池周りは通学や通勤の人々で賑わった。
喉やかな雰囲気の公園で、人々はそれぞれの目的地に向かって歩いている。
そんな人混みの中、学生に注目してみよう。
色なら藍色や深緑、形ならブレザーやセーラー服など色々な制服を着た子がいる。
その中でもあまり見ないような組み合わせ、赤と白の制服が印象的だ。
彼らの通う学校の名は『第三椛学園』
制服こそ変わっているものの、学習内容は至って普通だ。
男子は楽しく騒ぎながら、女子は噂話にでも花を咲かせて通学していた。
中には集団に絡まれながら、1人本を読みながらと
何やら訳がありそうな生徒もいたが、それでも日常は止まらず過ぎて行く。
……ん? そんな中1人、人の波をかいくぐって突っ走る少女がいた。
肩まで続く前髪のないサラサラとした長い黒髪が
紅白の制服の上でキューティクルを淡く放っている。
天然サラサラな髪をなびかせ全速力で彼女走った。
「ごっ、ごめんなさい! どいて〜!!」
彼女は
いつも1人で過ごしていた心情の明暗が激しい中学2年生だ。
その上ものすごく真面目な性格だ。
多くの同い年の女子高生が高2独特のノリでカッコつける中、
利奈は膝下スカート、無論ピアス穴なんて開けるはずがない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
またしばらくして利奈は校門に駆け込み、
靴をバタバタ履き替えて職員室の前で止まり、ぜぇぜぇと息を切らした。
上田「ま、間に合った……危ない危ない、今日は日直なのに遅く出発しちゃった」
そう言って利奈は息切れしながらにへらと笑い、そう言ってみせる。
そこへツインテールの子がきた、小顔で可愛いルックスの女の子。
彼女は
学校ではクラスで一番のかわいさと男女ともに言われているアイドル的存在。
息切れしている彼女に声を掛ける。
篠田「おはよう上田さ……あれ、どうしたの?」
上田「あぁ、おはよう絵莉ちゃん。 ちょっと日直に遅れかけてさ」
篠田「え? まだ10分もあるけど……」
上田「こういうのは大抵、10分前行動が当たり前でしょ?」
篠田「相変わらずの真面目! そんな焦らなくてもいいのに」
上田「規則は守るものだからね」
とまぁ、スカートが基準よりちょっと短いだけの
清楚系かわい子ちゃんさえ苦笑いする程の真面目っぷりだ。
この学校の先生ご一行も彼女には4か5の高い評価を付ける。
その後、利奈は担任と合流して自らの教室へ向かった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
花鳥風月、それがこの学校のクラスの分け方で呼び方。
利奈は一番手前の教室に入る。 教室を示す看板には『2年花組』。
いつもと変わらない教室……その騒がしさはまるでジャングルだ。
おはようの声も、そのやかましいほどの声に埋もれるほど。
利奈は1人静かに本を読んでいる生徒に近寄ると、一声かけた。
上田「おはよう月村さん!」
月村「……おはよう」
……利奈はこっちが勝手に友達だと思ってるだけと不安に思っているようだが。
日課とも言えるいつもの挨拶を済ますと、
他の生徒の挨拶を適当に答えながら自分の席について荷物を片付けた。
数少ない……そう、利奈は自らのクラスから 孤立 している。
挨拶だけの友達、
頼み事を任せてくる友達、
……おもちゃにしようといじる友達。
利奈自身は無償でそれらを助けるが、いざという時の見返りは一切ない。
いわばいじめに達していない『道具』のような状態だ。
利奈自身もその現状をわかっていたが……
対抗しようにも利奈は元々、コミュニケーション能力が人より劣っていた。
1年間新しい人脈作りに務めたが、結局のところ上手くいかずに今の形になった。
利奈の趣味はゲーム。 目指すは実況動画投稿だが、
このクラスには二次元を知らないアイドルの追っかけしかいなかった。
それも孤立した理由の内の1つだろう。
利奈はいつものように、その日勉強する科目の中で今日最初の科目の予習を始めた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「起立!」
「礼!」
「着席!」
朝の会が終わると、担任と入れ替わりで1時間目の授業を行う先生が入室。
利奈も教科書とノートをその教科のに取り替える。
「起立!」
「れぇ~〜い!」
「着席っ!」
上田(あぁ〜〜……これは面倒に思ってるな、まぁこの先生は時間守るし仕方ないね)
不機嫌そうな他の日直を見て、利奈は小さな苦笑いをした。
さて、厳しい先生を前にジャングルだった教室も都合良く静まりかえる。
まぁ中にはまだ無駄話を続ける勇者もいるが、
さっきよりは比較的静かだと言えるだろう。
「それでは授業を始めます、今日は昨日の続きを」
先生が教科書を開いてチョークを手に取り、何かを書こうとした。
書こうとした……が、何かがおかしい。
「……あれ?先生?」
上田「先生!」
「なぁ先生ってば!」
……いくら生徒達が呼びかけても、一向に反応せず固まったままだ。
「おいおい、何のジョークだよ先生?」
その先生と仲が良かった1人の男子生徒が、
先生に近寄りバシッと背中を叩いた……その時だった。
その体制を保ったまま、石像のようにゴトッと倒れた。
「え? ちょ、先生……?」
……目を見開いたまま全く動かない、動くことを知らない。
黒板に向き合った格好のままあり得ない体勢で床に付く。
痺れを切らした女子高生達はその有様を見て思わず悲鳴を上げた。
「いっ……!? いやあああああ!!!」
「なっ、何なのよこれ!!?」
篠田「こっ、怖い! 怖いよ!」
「他の先生呼んでくる!」
「おい!? 扉が開かねぇぞ!?」
「なんなんだこれ!?」
さすがジャングル、騒がしいなと利奈はそう思った時が、
ふと窓の外に目を向けると、それよりも恐怖が優った。
窓側によって外を眺める。 外の景色は時間が立った朝だが、
空を飛ぶ雀達はその翼をぴんと伸ばしたまま宙にとどまっている。
上田「…………!!」
大きな驚きと小さな恐怖によって、しばらくその場で固まる利奈。
ざわめく教室の中、逃げ場を追い求めるように
顔色真っ青な絵莉が利奈に近寄ってきた。
篠田「どっ、どうしたの上田さん?」
上田「鳥が……!」
羽を止めて留まる雀……よく見ると、
野良猫はあくびをしたまま口を閉じようともしないし、
車は曲がり角で動くことも無く停止している。
窓際で呆然とし、しばらくするとその事に周りも気がつき始める。
「時間が、止まっている……!?」
「あは……あはは、なんかおとぎ話みたいだな。」
「こ、これは……ゆ、夢っ! 夢なのよ!!」
?「これが夢だと思うのかい?」
上田「……えっ?」
ふと、頭の中に声が……直接脳に送り込まれたような感覚の『声』が不意に響く。
周りの様子からして、その声が聞こえたのは上田利奈だけではないようだ。
その声の後、不意に教壇の机が鳴った。
見ると、そこには可愛げな茶色のうさぎのような
黄金の丸い瞳をぱちくりさせると、また頭に声が響いてきた。
?「驚かせて悪かったね、
ちょっと話があって一時的に時間を引き伸ばさせてもらったんだ。
今はものすごく時間がゆっくり進んでいる状態だよ。
本当は止めれられば良かったけどね、そんな事が出来るのはイレギュラー位だ」
……みんな驚きすぎて呆然としている。
ジャングルだった教室は息をする音しかしない。
まぁ、こうなるのは無理もない。
時間が止まったり……あぁ引き伸ばしたのか。
脳内に考えもしない声がしたり変な生き物が出てきたり……
漫画でもなきゃ起こらない出来事達がことごとく起こっているんだから。
声も出なくなっている状況の中、1人の生徒が前に出た。
利奈は彼の事を詳しくは知らないが、名前は一応知っていた。
彼は
髪型は……まぁ黒にしても完全な真面目でないとわかるが、
しっかりとしたリーダーシップはある。 誰にも勝る勇気も。
かけている眼鏡に聞き手で触れてカチャッと鳴らすと、息をついて声を出した。
中野「……君は何者なんだ?」
?「僕はハチべぇ、君たちにお願いがあってここに来たのさ」
上田「お願い?」
「願うもなんもねぇだろ! 早く時間動かせや!」
中野「落ち着け! ……僕は蹴太、ここ花のクラスでクラス長をしている。
ひどい事をしないようだし、どうしてこんな事をしたのかを僕達に聞かせて欲しい」
ハチべぇといううさぎ……うさぎじゃないか、よくわかんないや。
ハチべぇは表情を変えないまま1つ瞬きをすると、大きな声を上げた。
ハチべぇ「僕と契約して、魔法少女になってよ!」
あまりにも突発的で非現実的、中にはハァ!?などと言う生徒もいた。
中野「……にわかに信じ難い話だね」
ハチべぇ「もちろん魔法少年もさ、男に女になれとは言わない」
中野「そうじゃない!」
流石に適応能力が人より高めな彼もたじたじだ。
だが、利奈は驚きの反面どこか心高まる感覚を抱いていた。
上田(魔法……少女? こんなあり得ない事がたくさん起こってるし……本当ならすごい事じゃない!)
ゲーム好きだった利奈はそのファンタジーな提案に誰よりも期待を寄せた。
控え目な利奈は思わず前に出る。 瞳がかなり輝いている。
上田「ねぇハチべぇ! 魔法少女ってどんな感じなの?」
中野「うおっ!?」
篠田「上田さん!?」
「う、上田さんあの生き物に話しかけてるぞ……」
「うへぇ相変わらず変わってんな」
「でも勇気はあるわね、私ちょっと気になるし!」
上田(騒がしいなぁ……)
謎の生命体に話しかけているのを心配してくれている人もいたが、
ほとんどが利奈を後ろでこそこそと話し出した。
元々おもちゃやら道具やらに今までされていた利奈、またしてもいじられている。
この場においてまだいじるかと利奈は傷……呆れている、これは早々に慣れなくては。
そんな様子には目もくれず、ハチべぇはきゅっぷぃ!と可愛らしく鳴いて話し出した。
ハチべぇ「この町には今、魔女と魔男が迫りつつある。
明日にはこの2種がこの町に現れるようになるだろう」
『魔女』と『魔男』……前者は一般的に知られた名前だが、
魔男……まだん? というのは聞いた事がない。
これだけあり得ない事が重なり起こる現状、
もう大きく驚く生徒はいなかった。
今は大人しく目の前にいる生き物の話を聞いている。
説明が長かったので簡単にまとめると、
魔女というのは狂いし意思を持つ者。
思想のままに自分勝手に生きる者。
自分の世界、結界を持ち、使い魔を意のままに従える。
行く先々で思想を実行する、その地で待つのは……滅び。
それが、魔女と呼ばれる者。
絶望から生まれて絶望を産み、希望を絶望に堕とす。
女性らしい魔女の他にも、魔男なる者も存在するらしい。
ハチべぇ「そこで、魔法少女や魔法少年の出番だ。
それら二種は魔法を使い、魔女や魔男を倒すのが仕事さ。
それらになるにはは1つ、なんでも願いを叶える代わりに
僕と契約を結び、魔法を得て魔法少女や魔法少年になるんだ。
君たちは選ばれたんだ!
花組のみんな、僕と契約してこの町を守ろうよ!」
利奈には希望に満ち溢れる話だったが、
自分をいじり倒していた後ろが気になって上手く声が出ない。
ふと、1人の生徒が声を上げる。
「なんでもって言ったよな……?」
ハチべぇ「うん! どんな願いでも叶える事が出来るよ」
その一声に教室が湧いた、次々にみんな願いを叫ぶ。
「僕、もっとイケメンになりたい! ブサイク卒業だ!」
「自宅にプリクラ機〜! あたしの家業を美容関係に変えて!」
「俺未来とか過去とか見えるようになりてぇ! 予言とか面白そうじゃん!」
脳味噌が少々劣化している生徒達は深く考えもせずに願いを生み出し簡単に決めてしまう。
中には将来的に問題になりそうなのもあったが……それを否定出来る者は今、ここにはいない。
だが全てがバカ……と言うわけではない。
じっくり考えて願いを決める者もいた。
みんなみんな願いを決める中、利奈は……
願いが思いつかなかった、利奈はこう思っていた。
私の願いは多分『この状況を変えること』……
でも、この状況を変えた所でこいつらはまた元に戻るんじゃないか?
転校って言っても、こいつらのせいで少ない友人と別れるのは敗北にも近い。
それに、私がいなくなったら他に『道具』が生まれるのでは?
じゃあ私の願いは?
私の願いは?
私の……願いは?
願いが決まらず苦しむ利奈を他所に、
まるでそれがわかっているかのようにハチべぇは話に付け加えをした。
ハチべぇ「僕の契約は団体向け、全員が簡単に足並みを揃えるのは
かなり難しいところもきっとだろう?
願いを叶えるのは契約してからでも大丈夫だよ」
「いや後から願いを叶えるやつなんていねぇだろ」
「みんな今決めちゃうもん! ね〜〜!」
「ね〜〜!」
なんという親切設計……! と感動するのと同時に、
相変わらず決めつけるな……と、利奈は引き気味に思った。
利奈(あぁ……うん、後でも良いのね。 ゆっくり決めればいいか)
しばらくしてやっとみんなの考えがまとまった、ほぼ流れに近いが。
中野「僕達、『第三椛学園2年花組』はハチべぇと契約を交わし、
魔法少女、魔法少年になることをここに誓うよ」
やたらシリアスな雰囲気にまた茶化そうとした生徒達が一部いたが、
流石にこの真面目な状況に空気。 茶化しを何人かが阻止する。
ハチべぇ「『第三椛学園2年花組』の意思を了承する。
君たちの願いはエントロピーを凌駕した」
途端に、体内の中心……ちょっと左よりだが。それが強く脈を打つ。
ハチべぇは1人1人の胸に耳から生えた触角で触れると、
光り輝くオーブというか宝石というか……卵のような宝石が出てくる。
色は人によってバラバラで、1つとして同じ色はない。
1人、また1人と抜き取って、いつのまにか利奈の番。
違和感のある胸の辺りに触角が触れる、すると違和感がすぐに無くなった。
光り輝く卵形の宝石、その色は暖かな赤色だ。
その透き通る美しさに思わず見とれる。
ハチべぇ「それは『ソウルジェム』、魔法少女が魔法少女たる証であり、魔力の源でもあるんだ。
だから、魔法を使うたびにちょっとずつ穢れが溜まるんだよ。
魔女や魔男が落とすグリーフシードという宝石で穢れを浄化できるんだ。
何もしない分には穢れる事はないから、
魔女や魔男を倒す作戦やらをじっくりと考えるといいね」
そして教室はまたジャングルと化す。
やっぱりファンタジーへの憧れというのは
この年齢では強くあったようで、みんな大喜びしている。
「なぁなぁ! 早速変身してみようぜ!」
「そういや教えられてもいないのに、なんだか変身できそうな気がするわ!」
「魔法も試しにぶっ放してさ! ぎゃはは!!」
オイオイ、時間がすごくゆっくりになっているせいで何か大事な事を忘れていないか?
上田「ね、ねぇ、流石に教室で魔法を放つのは……」
月村「馬鹿みたい、それとも本当に馬鹿なのかしら?」
ふと、普段滅多に大勢の前で話さない月村さんが周りに聞こえるようにそう言った。
「ハァ!?」
「うるせぇなぁ盛り上がってんのに……バカはどっちなんだy」
中野「待て待て、喧嘩は良くない。 どうして馬鹿だと思ったんだい?」
話を聞いてくれる状況を確認して、彼女は読んでいた本にしおりを挟んでぽんっと閉じた。
改めて紹介しよう、彼女は
学校では常に1人でいて、何もしゃべらない女の子、
趣味は読書、ジャンルは不明。 しゃべったとしても一言一言がキツイ。
唯一利奈とは時々話したりする、それ以外はずっと1人だ。
月村「こんな狭い空間で、まだどんなのかわかっていない
魔法というのを放ったらどうなるのかは一目瞭然。
『魔法を使うたびにちょっとずつ穢れが溜まる』
と説明があったのに無駄に魔法を消費しようとするのは
頭の脳みそが足りない馬鹿のやる事……それだけよ。
そうでしょう? 上田さん」
上田「え? ……あ、うん。 ここは学校だし、試すなら放課後にしようよ」
リードされたおかげで自分の意見を言えた利奈、2人の言う事は明らかな正論だった。
中野「ふむ……」
「だからってバカって言う事はないだろ!? バカって言う方がバカだろ!」
篠田「でもでも、2人の言う通りだよ! 魔法を無駄に使ったら勿体無いよ?」
「だってさ! 意地なんか張ってかっこ悪ぅ〜〜い!」
「ぐ、ぬぬ……」
バカなのは自覚があるらしく、乱闘が起きるまでにはいたらなかった。
魔法を試すのは後にしようという結論に至る。
ハチべぇ「魔女や魔男はソウルジェムの反応でわかる。
ソウルジェムがなければ変身する事は叶わないし、
肌身離さず持つことを推奨するよ。
普段は指輪になって君らと共にあるだろう。
とにかく、契約してくれてありがとう! これからは一緒に頑張ろうね!」
その言葉に歓声が沸いた、明日からこの町を守る戦士になる。
みんなみんな、今日から魔法少女に魔法少年。
ハチべぇ「なにかあったら魔法少女や魔法少年の固有能力である念話……
ようはテレパシーだね、それで僕を呼ぶといいよ。
さて、そろそろ学業に戻った方がいいだろう。
君たちは早く魔法を試したいそうだしね」
「めんどくせぇなぁ勉強とか」
「それが学生って事だろ? 両立も考えなきゃいけねぇのかぁ……」
「思いっきりサボるのもいいけど、定期テストが不安ね」
「テストとかどうでもいいわ、めんどくせぇし」
篠田「だめだめ! ちゃんと成績上げなきゃ将来困るよ!」
中野「みんな、そろそろ戻るよ。 自分の席について!」
……ハァ、ごった返しとはこの事か。
そのやかましさは相変わらずのジャングルだが、
行動は他のどのクラスよりもまとまっていて積極的だと言えるだろう。
他の鳥風月のクラスは追い追い説明するとして……
おっと、そろそろ時間が元の流れになるようだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
時間の進み方が元の早さに戻ると、
まず起こった出来事は教師の痛々しい断末魔だった。
後に生徒には鼻を骨折したと伝えられる。
一時間目は自習になった。 骨折を心配する生徒もいたが、
そんなの知ったこっちゃねぇ系おバカは自習という自由時間を喜んだ。
他の時間はというと……各先生方は人が変わったかのように
静まり返って勉強に挑む生徒達に度肝を抜いただろう。
それもこれも、未知なる力を試したいという
この年齢の本能とも言える『厨二病』が働いていたからだ。
なんだかんだ言って皆まだ14歳、結局のところ子供。
帰りの会が終わると、利奈は荷物をまとめてそそくさと教室を後にした。
お気に入りのマフラーをもふっと整えると……ふと、右手が目に入った。
右手の中指に指輪がついている、それは銀のリングに赤い宝石がついた指輪。
そのデザインは利奈らしい大人しめの可愛らしい物になっている。
これが彼女のソウルジェムだ。
花組の生徒は皆デザインこそ違うが、みんな好きな指に指輪をはめている。
ソウルジェムを見ても、まだ明確な実感が沸かない利奈は
他の生徒に捕まる前にとっとと帰路へと急いで行く……
月村「待って、上田さん!」
上田「ん?あ、月村さん! あれ、一緒に帰るにしても家逆方向じゃないの?」
月村「試すのよ、魔法を」
上田「!」
帰りに声をかけられる事がなかった利奈は単純にその事に驚いたのもあったが、
積極的のない芹香から声をかけられたのに1番驚いた。
というか、単純に嬉しかった。
月村「他の人達はみんな裏山に行く、大声で言ってたから間違いない。
でも、大勢でやっても集中出来ないと思うのよ。
時間があるならついて来て欲しい、とてもいい場所がある」
上田「ここからどのくらいの距離?」
芹香の話によると、ここからそう遠くはないだが人目にはつく事のない場所。
それなりの広さがあるボロい倉庫があるらしい。
そこなら魔法を試す……なにかあった時の拠点になるのでは? という話だ。
無論、利奈は賛成した。 親友と思う彼女の提案、否定の理由がない。
月村「ありがとう。 なら、可笑しな人達に目を付けられない内に行きましょう」
利奈「りょーかい!」
こうして、彼ら彼女らは参戦した。夢と希望に満ち溢れた魔法の世界に。
……だが、無垢な子供達はまだ知らない。
ハチべぇのいう魔女、魔男。
そして魔法使いの運命の、本当の意味を。
花組の生徒達はこれからどんな物語に巻き込まれ、
その魔法使いとしての運命を共にする事になるのか……
物語はまだ、始まったばかりだ。
………………………………
次回、
「これが……魔法!」
「ふ〜ん、思い通りね。」
「そんな事言ってる場合じゃないでしょ!!」
「こんなのってないよ……!!」
〜終……(1)魔法少女と魔法少年〜
〜次……(2)私の魔法と親友の魔法〜
魔法使いは運命に沿う。
さて、がんばって書いたプロローグ風の文も添えて
初めて書き上げた作品になりますが、いかがだったでしょうか?
誤字・脱字があったら速攻直すのでその時はぜひご報告下さい。
私の自己紹介にもあった通り……基本、私の作品の投稿は不定期となります。
なるべく早く投稿出来るよう努力をしていきたいと思います。
ハーメルンの皆さま、よろしくね。(〃艸〃)