魔法少女うえだ☆マギカ 希望を得る物語   作:ハピナ

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(☆´Д`)ノGood evening 皆様!

毎度おなじみハピナですよ! 今回も本編はいつもの如く私1人で話します、出来るだけ。

今回は魔法使いにおいて、飛行魔法の定義を示す回となっています。

飛行魔法は私が執筆する上でやりたかった事の内の1つですが、
流石になんも考えないで飛ばすのはなんかチートっぽくて嫌ですね。

あぁ決めた分だけしっかりと飛ばしていますよ、やっぱり飛行シーンを書くのは楽しいです!

さて、今回の雑談はこの辺にして、早速1週間ぶりの幕を上げましょう。

舞台は、利奈達が通う『第三椛学園』とそう遠くはない裏山の中……。


《3月8日》
○変則改行の本格修正
○『w』の削除や『「」』の変更
○その他修正(追加、索敵等)



(12)舞う花々と1人飛び

次の日……ではない、その日は数日後といったところだ。

 

あれからというものの、利奈は真面目な魔法使い達に、

海里は不真面目な魔法使い達に、それぞれ飛行魔法を教えることになった。

 

まぁ、海里の方は苦戦しているようだが。

 

なんとか、絵莉と芹香に飛行魔法を教えることが出来たコミュニケーション能力の低い利奈。

 

ただ、やっぱり利奈1人ではちょっと難しいところもある。

 

そこで、利奈は絵莉が他に所属するチーム『クインテット』の力を

借りようと絵莉が優しさから自分で提案してくれたのだ。

 

海里を覗いたリュミエールと絵莉も含めたクインテット、

それが放課後のこの学校の裏山に現状いる面子だ。

 

 

篠田「パラフィン・ナフテン!」

 

 

月村「第五章! 嵐の巻『飛行』!対象は自身!」

 

 

利奈が空中で浮遊しながら一同を見守る中、

絵莉と芹香の2人が飛ぶ事が様になった。

 

天音に風香に大声と花奏のクインテットもなんとか2人についていく。

 

あぁ、ちなみにクインテットのリーダーは『青冝天音』らしい。

 

絵莉は手足から噴き出す元素を燃やしながら炎を吹き出し、

芹香は辞書を抱きしめ魔力の光を散らしながら浮いた。

 

 

上田「みんなだいぶ様になっているね、あんまり教え方上手くなかったのに……」

 

篠田「ううん、すっごくわかりやすいよ!」

 

青冝「下手なだけよ、 私 達 が 」

 

月村「私が少し補足を付けるだけでこんな感じね、余計な部分省いてるからわかりやすいのよ」

 

録町「ホント、飛ぶのって(男性アイドル)君の曲をじっくりと聞くのと同じくらい楽しいわぁ……

 

ってこら、そこ! ウォークウーマンで(男性アイドル)君の最新曲

『恋よ!咲き乱れよ!』を聞くのは賛同するけど、後にしなさいよ!!」

 

上田「なんでわかるの!?」

 

篠田「わかるよ! 楽器違うもん!」

 

月村「……あなたも話を逸らさないの」

 

うん、ウォークウーマンのイヤホンから漏れるほどの『恋よ!咲き乱れよ!』が聞こえている。

 

吹気「えぇ〜〜? だって、紙吹雪でどう飛べばいいの?」

 

宙滝「メガホンなんかで飛ぶの? わけわかんないよぅ……」

 

青冝「そりゃあ……あぁ」

 

 

それぞれ既存の魔法で飛行魔法を作ってもらう事……

吹気と宙滝の一連の不満が、実はこの発想の最大の弱点だ。

 

既存の魔法で作ると言葉では簡単に言ってしまっても、

全部が全部飛行魔法を作りやすいという都合の良い状況……

 

残念ながら、現実はそうでない。

 

そうなるとどうしても皆で協力して考え、他人の発想押し付ける形になってしまうのが苦難だ。

 

結果、飛行魔法の習得に時間がかかってしまう。

 

だがどんな大量のアイディアでも、一度パズルのピースのように

パチリとキレイにはまってしまえば習得は早くて済む。

 

 

上田「紙吹雪かぁ……紙吹雪みたいに軽くなってふわふわ?」

 

宙滝「……ふぇ?」

 

吹気「あぁ、そっか! 私紙吹雪の魔法なんだから自分も紙吹雪みたいに浮かべるかな。

ちょ、何その発想!? 普通に面白い!」

 

青冝「確かに! でもいいねそれ、いけそう?」

 

吹気「余裕余裕! 面白ければなんとかなる!」

 

上田「えっと、メガホンは音でしょ?」

 

宙滝「あ……はいっ! 大きな声出したくて……」

 

上田「声だけじゃなくて……音符とか音を表現するのだせるかな? あっごめん、やっぱ無理か」

 

宙滝「ぃ……いえいえ、充分です! その発想はなかったです! ありがとうございます!!」

 

篠田「わお、相変わらずすごい発想力だなぁ利奈」

 

月村「あの子の頭の中、二次元のものばかりだもの」

 

上田「ホントの事だけと口に出して言うのやめてほしいな」

 

 

結果的に時間はかかったものの、風香と大声は無事に飛行魔法を覚える事が出来た。

 

 

吹気「紙吹雪自己流!」

 

 

宙滝「飛べええぇぇ!!!!」

 

 

風香はふわりふわりと紙吹雪のように宙を舞い、大声は自らの半径1mに音符の輪をまとい飛んだ。

 

これで、裏山にいる全員が宙に浮いてる事になる。

 

しばらくすると何人かが落りてしまう、それか自主的に降りる。

 

月村「……時間切れね、もう少し書き方を変えるべきかしら」

 

青冝「つ、か、れ、たぁ……! さすがにこの身体でもうちわで扇ぎっぱなしは無理!」

 

月村「上昇気流でも覚えておきなさい、クインテットのリーダーさん?」

 

青冝「言い方が刺さる……あ、でも確かにそれで便利になるね」

 

篠田「魔力もったいないや……節約する方法考えよっと!」

 

吹気「絵莉も魔力節約?」

 

篠田「うん! だってジェットエンジンもどきだし、魔力が燃料みたいなものなんだよ!」

 

吹気「私の紙吹雪も同じかな?」

 

篠田「風香のは方向転換だけだからあたしよりは

少ないかもしれないけど……やっぱり減っちゃうのかもね」

 

下の方で芹香が分析する中、キャイキャイする絵莉達。

 

 

……それを見下ろす空中で棍に横座りする利奈と、

音符の輪に囲まれ浮かぶ大声と巨大なCDの上で立つ花奏。

 

録町「あれ、みんなもう降りちゃったの? 全っ然魔力減る気配がしないんだけど?」

 

宙滝「私も、安定してる……」

 

上田「えっと、清水さんがちらっと言ってたんだけど」

 

録町「ん? あぁ、リュミエールのリーダーか。 彼がどうしたって?」

 

 

利奈は海里の意見に自分の意見を混ぜた一連の考えを花奏に話した。

 

クインテットの中でも頭の回転が早く情報処理が得意な彼女は、

利奈から聞いた話をみんなにキレイに伝えてくれるだろう。

 

 

 

 

飛行魔法の適性は、『3つ』に分かれるとここではされている。

 

 

1つは『燃料型』

 

時間は無限だが、魔力を燃料として飛ぶ。

 

消費される魔力は魔法使いによって違うが、

飛ぶ度に魔力が一定量、定期的に消費されてしまう。

魔法によっては移動の補助として使うのに向いているのもある。

 

 

1つは『召喚型』

 

消費される魔力は最初だけですむが、飛ぶ際には飛空可能時間が発生する。

 

必要となってくるのが、タイマーかメーター。

 

飛空可能時間は訓練によってある程度は伸ばす事も可能。

 

 

1つは『適正型』

 

消費される魔力も最初だけ、飛空可能時間も無制限。

 

恵まれた才能というか、飛ぶ為の機関を完全に分離している。

魔法使いの素質が飛行魔法に合っているタイプなんだとか。

 

 

どれにも当てはまらない特殊型なんてのもあるらしい。

 

 

 

 

型別に分けると……燃料型は絵莉と風香、召喚型は芹香と青冝、適正型は利奈、大声、花奏だ。

 

 

一旦空中から適正型3人は降り立ち、利奈が聞いた一連の話を花奏はみんなに話してくれた。

 

 

青冝「海里って案外頭回るのね」

 

月村「魔法の事だけだけど」

 

上田「言わないであげて」

 

篠田「うんうん……あたしと風香は節約で、

月村さんと天音は長さを鍛えれば良いんだね!」

 

吹気「そうだね、魔力から燃料を作る工程を工夫するとかしなきゃ! ね、絵莉!」

 

篠田「うんっ!」

 

 

さすがは絵莉、満面の笑み。 クラスで1番と褒められる訳だ。

絵莉と風香は何をするかの今後の方針を理解出来たらしい。

 

 

録町「私らはどうしよ〜〜?」

 

月村「あなたたちは飛行魔法に適性があるんだから、戦い方を極めなさい」

 

宙滝「ふぇ……!?」

 

上田「飛びながら戦うのに慣れておいた方がいいよって事だよ。

飛びながら戦うって言っても色々戦い方あるしね」

 

宙滝「ぅ……うん、頑張って……練習する!」

 

 

最初は冷たく刺さる芹香の言い放ちにビックリした大声だったが、

どうやら利奈の優しい声質の補足で安心したらしい。

 

青冝「よ〜〜し、クインテット一同! 早く覚えて花組のみんなに教えるよ!」

 

 

「「「「全ては(男性アイドル)君の為に!!」」」」

 

 

篠田「全ては(男性アイドル)君の為に!!」

 

月村「……何か1つのものににとことんハマるって、ある意味怖いわね」

 

上田「あはは……」

 

 

引きつり気味に芹香は冷や汗をかき、利奈は軽く笑った。

芸能界に興味がない2人にはちょっと遠い世界観かな。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

それからというものの、リュミエールとクインテットの飛行訓練兼戦闘訓練は続いた。

 

クインテットの体力がくったくたになり、陽が落ちかけた所で終了。

 

まぁリュミエールはまだまだ動けそうではあったが、

ここはどちらかというと劣るクインテットに合わせる。

 

ちょっと、一部魂抜けてるぞ! 相当疲れてるなクインテット……

 

えっ? 例えだよ例え、彼女らの魂は指にあるじゃないか。

 

 

芹香はみんなにありがとうと告げると、習い事の為に走って帰って行った。

 

絵莉はへとへとになったクインテットを引き連れて、コンビニへと立ち寄る。

 

体を温める物を買うらしい、絶対に絵莉だけチョコまんとかの甘い物だろう。

 

 

利奈は、そのまま1人で帰路へと……()()()()

 

 

6人を見送ってから帰ろうとしたが、暗闇の中で暖かな赤の光を放ち利奈の指輪は点滅した。

 

反応の方向は帰路につく、利奈以外の帰り道の逆方向。

 

 

上田「……行こうっと」

 

 

頼れる人はいない、今の時間呼べそうな人もいない。

 

いや、もうちょっと人脈があれば1人くらい呼べそうだが……

 

うん、悲しい事に利奈はいない……人脈があまりにも細い。

 

今日も寂しくソロ狩、とっとと倒してグリーフシードを頂こう。

 

なんだか、この言い方はまるで怪盗。

 

 

上田「変身!」

 

 

……いや、あながち間違いではないかもしれない、怪盗と奇術師はどこか似た所もあるだろう。

 

利奈が怪盗するなら怪盗ルージュ? それではあまりにもベタすぎる。

 

そんなこてはさておき、沈みかけた夕日を追うように赤色の魔法少女、利奈は路地裏に消えていった。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

上田「珍しい、壁じゃないんだ」

 

 

現場に到着する利奈、路地裏の道の真ん中には割れたカップと

零れた液体のエンブレムが目の前の地面に健在していた。

 

偶然見つけたのか、既に何人かが先に来ていて早速変身しエンブレムに飛び込んだ。

 

その傍には抜け殻がある、なにやらボロボロだが……

 

利奈はいつものように赤い布を魔法で七色の毛布に変え、さらにサービスで布団に変える。

 

破かれたワンピース姿の抜け殻に、大きめの布団をぼかけた。

 

こんな時間帯なので、近くにあったブルーシートでコーティング。

 

披露の魔法でワンピースを新調する事も出来たが……まぁ、そこは本人の意思を聞きたい所。

 

 

上田「おやすみなさい……」

 

 

魂が戻る、その時まで。

 

 

上田「アンヴォカシオン!」

 

 

利奈は棍を1本召喚すると、さっと構えてエンブレムの中に飛び込んだ。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

ところで、この画面の向こうの君は知っているだろうか?

 

病院内に溢れるお菓子達を、本当に欲しいものだけ生み出せない

とても可愛らしい、まるでぬいぐるみのような魔女を。

 

可愛らしさに隠された、とてつもなく狂った食欲の狂気を。

 

カラフルながら病的なものの、あの結界はどこか可愛らしさがあった。

 

 

 

 

……そんなもの、この結界には存在しない。

 

 

 

 

ぼこぼこと沸き立つ毒の沼……割れたチョコレート細工が乱立する。

 

消費期限の終わりを忘れ去り、腐敗し……崩れ落ちたような世界観。

 

カップのクチバシのペリカンが陶器を叩く音を立ててながら、

チョコレート細工達からうっすら溶けてドロドロと滴る

茶色のどろっとした液体をその緑と白の羽根が混ざった

えげつない色の体内にひたすら溜め込んでいく。

 

だぼだぼした腹に液体が溜まりきると、ごぺぇっ! と

激しく一気に、茶色がかった緑の液体を吐き出した。

 

ぼたぼたとカップから垂れる吐ききれなかった液体は、外れてどぷんとカップごと沼に落ちる。

 

外れた部分はメキメキと、まるでサメの歯のようにすぐ生え変わった。

 

開ききるカップのクチバシから除く咽頭の、なんとおどろおどろしいことか。

確かに生物のものだが、どこか人口的な違和感を感じる。

 

 

蜜毒の使い魔、役割は発酵。

 

 

抹茶チョコレートなんて可愛いレベルじゃない!

そこはジャングルのような湿気に、不快な不気味さを足したような空気だ。

 

まぁ結構な広さがあるせいか、その空気は引き伸ばされ

その不快な湿気はちょっとはマシになっている。

 

 

さて、そんな世界観を利奈は上に吹き抜ける風を浴びながら()()()()()わけである。

 

真下には地面がなく、あるのは底が無いように感じる沼だけ。

 

チョコレート細工に捕まろうと腕を突っ込んだ魔法少年もいたが、

しっかりと固まっていたはずのチョコレートは触れた部分だけ、一瞬で崩れるように溶けた。

 

まるで、少年の腕が熱々に熱せられてるのか? と思う程の溶けっぷりだ。

 

断末魔をあげながら、男も女も、沼に沈んでいく……

使い魔たちはあざ笑うかのようにカンカンとくちばしを鳴らした。

 

どちらかというと、危ない時は声を失う派の利奈は

パッと何かを思いついたら声を出せる魔法少女だ。

 

 

上田「アンヴォカシオン!」

 

 

吹き上げる風でだいぶ喋りづらかったが、

魔法は利奈の意のままに発動してくれる。

 

棍をもう1本召喚して下に向かって2本の棍を魔法で飛ばした。

 

向かう先は断末魔をあげ、沼に落ちていく集団。

 

 

上田「アヴィオン!」

 

 

利奈が魔法を唱えると……時間をかけて光が凝縮されていき、

赤い光を放つ棍の箒が空中で生成された。 徐々に減速させてその上に立つ。

 

この状態を例えるなら……生き残った男の子の初戦、

魔法のスポーツよろしくみたいな状態だろうか。

 

投げつけた棍はというと、土台は既にできていたのですぐに棍の箒になった。

 

8人程は間に合わなかったが……水面衝突寸前の魔法使いを4人、間一髪で捉えた。

 

まぁ間一髪なんで腹パン並の衝撃がはしっただろうが、

そこのところは急だったのでごめんなさいとしか言いようがない。

 

 

「ぐっふぉ!?」

「へぶっ!!」

「ぎゃっ!?」

「ぐぇっ!!」

 

「あ、危ねぇ……」

 

「痛いじゃない!! バカじゃないの!?」

 

「いやいやこれなかったらやばかったぞ」

 

上田「引き上げるよ!」

 

 

何 故 怒 る 6 番 目 の 台 詞 の 女 子 !

 

普通ここでちょっとはお礼言うだろう……

 

まぁ、そんな余裕もない程現実逃避しているのかもしれない。

 

4人が棍の上で体制を整えた後、出入口付近で軽く話をする。

 

なんだかんだ言って、使い魔が距離をじわじわ詰めてくる……結論を急がねば。

 

 

上田「みんな魔法で飛べる?」

 

「……あ」

 

「海里が言ってたのネタじゃなかったのか!」

 

「そっか、こういう時もあるからなのね!

あっちゃ〜〜……

適当にやらないでちゃんと練習しとおくんだったわ」

 

「お、そうだそうだ俺あれ出せるわ!」

 

「「えっ!?」」

 

「なに、あんた飛べるの!?」

 

「飛べない」

 

「「「 な ん な ん だ よ お 前 ! ! 」」」

 

「そう怒るなって……あれだ、飛べるが操作出来んのよ。

いわゆる空中停止というやつか? その位なら出来る」

 

「どんなやつなんだ?」

 

「足踏みのリズムゲームのマット! 結構でかいから4人で乗っても大丈夫だな。

踏むと踏んだ記号に対応した形式で攻撃できるぞ!」

 

「記号の形の石だけどな」

 

上田「ごめんなさい、話し中悪いけどそろそろ準備してね……もうそろそろ、使い魔が来るよ!」

 

「ウソぉ!?」

 

「ハァ!?」

 

うん、確かにそろそろまずい……もう目の前まで使い魔が来ている。

くちばしを閉じて首を横に振る辺り、何か攻撃をしてきそうだ。

 

 

「……じっとりしてきたな。 や、やばい空気だ」

 

「元々そうだろうが!」

 

「無理無理無理! なんなの!? 空気読めないわけ!? CY!?」

 

「KYだよ落ち着け!」

 

「というかなんだあの使い魔!?めっちゃカチャってるぞ!」

 

「カチャってるってお前名!」

 

こんな状況だというのに喋りすぎだ、慌ての転換だろうか? 声が収まる事を知らない。

 

上田「わかった! わかったから、そのマットについては考えがある! 早く召喚して!!」

 

「お、おう!

 

 

ポ・ピ・ラ・ジャンピン!」

 

 

利奈の声にハッとし、1人の魔法少年が魔法を唱えた。

 

すると、普通のサイズの2倍はある足踏みタイプのゲームマットが空中に火花を立てて出てきた。

 

使い魔が迫るこの状況、流石に 行 動 は 早かった。

 

全員がゲームマットに乗ると、利奈は4人が乗っていた棍を器用操って

マットの両端に巻きつかせてしっかりと固定した。

 

わかりやすく言うなら、巻物を広げた状態かな。

 

後は4人を落とさないように引くだけ……まぁ、引くと言っても

ちょっと行動を命令とかして勝手ついて来させるだけだが。

 

 

利奈は目の前に迫る使い魔を、棍1本ではたき落とす。

 

 

ガチャアン! とくちばしが割れ、使い魔はその衝撃で落ちていく……

 

 

利奈のゲーム脳が、起動した!

 

 

上田「ゲーム、スタート!」

 

 

まずは、空を飛びながらの乱舞。

 

棍の箒が体の一部が如く、空中でも舞ってみせた。

 

硬い物が陶器を打ち砕く、鋭く何故か鈍い音が響く。

 

使い魔はそのくちばしを砕かれ、そのだぼだぼの腹を殴られて

うがいのような断末魔をあげて激しく叩きつけられ沈んでいった。

 

使い魔も何もしない訳ではない。

 

その首を挫ける程に激しく振り回した後に

固く閉じた口を勢いと共にガバッと開け、

ドロドロの深緑と茶色の毒球をグオッと投げつけた!

 

救われた4人の魔法使いを達も恩があるので何もしない訳ではない。

 

 

「いたぞ!」

 

「よっしゃやれえぇ!!」

 

 

球を投げつけようとする使い魔を見つけると、必死になってゲームマットを踏み鳴らす。

 

軽快な効果音は丸バツ三角に四角と色が付いた石になり、

魔力の強化も受け持って豪速球で飛んで行った。

 

なんのコントロールもなく力任せに投げつけているのが

功をを奏しているのか……毒球を粉々に弾き飛ばし、

カップのくちばしを砕き、チョコレート細工に激突する。

 

チョコレート細工は簡単にどろっと溶け、使い魔を捉えた。

 

 

やれやれ……利奈が棍の箒をここまで乗りこなすのに、

一体どれほど時間がかかってしまった事か。

 

地面がしっかりある結界で、例えピンチになってしまう時があってでも、

何度も、失敗があろうが何度も、練習を重ねていった成果だ。

 

 

しばらくすると……ん? 結界内の使い魔を全て倒し尽くしてしまう。

 

沼には割れた大量のカップが浮かび、奇形な鳥の死体は緑の液にまみれた。

 

奥の方にも魔女はいないようだが……

最奥地を離れ結界の中心辺りで利奈は考え込む。

 

 

上田「あれ? 変だな、いつも一番奥に、結界の最深部に魔女や魔男がいるはずなんだけど……」

 

 

あちこちキョロキョロ見渡しても、どこにも見当たらない。

 

もう一度考えを練ろうとする……が

 

 

「危ねえ!!」

「わ!? バカ!」

「行くな!!」

「……ん? 何?」

 

 

上田「え? あ、うわっ!?」

 

 

不意に、急に利奈は首根っこを掴まれ引っ張られる。

 

途端に、沼から巨大で重々しい水柱がグオオッと立った。

 

一瞬、利奈は水しぶきに巻き込まれる自分を脳裏に見ていた。

 

ハッとなり辺りを見渡すと、利奈はマットの上に座り込んでいた。

 

隣では両足に魔力を帯させた魔法少年、周りには

恐怖と驚愕の目で水柱を見つめる3人の魔法使いがいる。

 

そんな目で見つめられる中……利奈が乗っていた棍の箒は、水柱に飲まれていった。

 

 

「大丈夫か!?」

 

上田「あっ……ありがとう、私は大丈夫だよ」

 

「おう、俺らが引っ張り出さなかったらやばかったな」

 

「ちょ、ちょっと! さっき空中停止しか出来ないって」

 

「なんでなのかは全くわからん……必死になって咄嗟にやったんだか、なんか操作出来た。

火事場の馬鹿力って奴かもな……ってやっべ!? みんな! ちょっと下がるぞ!」

 

 

その声と共に、マットが水柱から距離をとる。

 

水柱が水らしからぬ音……ゴムが歪むような音を立て、

厚手のゴム風船が無理矢理割れるような音を立てて破裂した。

 

散らばる毒液はチョコレート色が濃くなったかと思うと、すぐさま女体の悪魔の形をを象っていく。

 

 

「んぁ? あれ? 結構可愛」

 

 

形が出来上がると、メリっと音を立てて緑に透ける腹を膨らませた。

 

 

「……いくない!? 怖っ!」

 

「お、おい!? あの腹の中にいるのあいつらじゃねぇか!?」

 

「ハァ? こんな時に冗談なんか……え?」

 

 

利奈もみんなが指差す方を見る、大きく膨れ上がったその腹の中で、

緑の液体はぐるぐると渦巻いて違う色へと変わっていく……

 

気がつくと、それは利奈の知らない魔法使いの姿になっていた。

 

腹の中に魔法使いが入った使い魔の数はは8体、

数的にも状況的にも、他の魔法使い達に間違いなかった。

 

彼女らはサキュバスを象る、抹茶チョコレートの使い魔。

 

 

蜜毒の使い魔、役割は貯蔵。

 

 

そしてその奥、嫌でも目に付くその姿……この結界の主である魔女の、不気味さ生々しさ。

 

 

 

 

そこにあるのは裸体の上半身だけ、右腕が6本指に左手が7本指。

ホクロもシワも何もなく、生身ともマネキンともいえない体。

 

不自然には当てはまらない、でも自然にも当てはまらない。

 

『作られた自然』という言葉が一番に当てはまる矛盾が、そこにはいた。

 

香水の霧吹きの金の金具の頭からは、緑と茶色の液体を交互に勢いよく吹かれる。

 

霧にならずこぼれた液は迷彩に塗られた鎖骨に当たり流れた。

 

そのまま、沼に雫が落ちる。

 

 

蜜毒と書いて、ハニートラップ……

 

 

そう! 彼女は蜜毒(ハニートラップ)の魔女、性質は誘惑。

 

 

常に自らの餌を探している、食す口は存在しないが。

 

餌をチョコレートで誘惑し沼に落として捉える、捉えた餌を食せる時まで貯蔵するだけ……

 

そんな時なんか、永遠に来ないのに。

 

 

 

 

吹き出された1回分の液体は霧状から1点に集まり1つの塊になったかと思うと、

腹が緑色に透けたサキュバスの使い魔がパキポキと固まりながら生まれ、

鋭利な刃が付いた三角バレットで利奈達に襲いかかった。

 

腹に餌を抱えた使い魔は、心もとない翼でノロノロと逃げていく。

 

 

「うわっ!? ちょ!?」

 

「ぎゃあああ! こっちに来るわよ!!」

 

上田「うあぁえっとそっ、そこの君!」

 

「えっ、あ? 俺!?」

 

上田「とにかく他の魔法使いを助けるよ!

私があの……

悪魔みたいなのを片っ端から倒しながら進むから

囚われた魔法使い達を回収していってちょうだい!

 

 

アヴィオン!」

 

 

「ハァ!? いきなり言われてもわからね「つ い て き て ! ! 」

 

……ぉ、おう、簡単で助かる」

 

殴るような勢いで利奈はそう指示すると、棍の箒を再び作り出して飛んで行った。

 

 

「ポ・ピ・ラ・ビック!」

 

 

マットの主、足の魔力を強める、強く地を踏み抜くとマットは魔力を帯びてでかくなる。

 

丸バツ三角四角だけではなく、星にハートや六芒星と渦巻……4つだったマークは12個に増えた。

 

 

「っ!? 予想以上にキツいな……お前ら、援護頼んだぞ!

今からこいつを操作する事だけに俺は集中するからな!」

 

 

そう言って、マットの主は飛んでいく利奈を追いかける。

 

 

「ん? あれ、足沢の飛行魔法って

適「今それは良いから床踏んでちょうだい!」……へぃへぃ」

 

 

さっきから魔法を使わないでマット踏んでばっかりだな……

近接魔法しかないのだろうか、それも踏まえて戦闘の手順を組む。

 

 

上田「アンヴォカシオン!」

 

 

棍を構えて向かうは囚われの魔法使い、迫る使い魔を1匹弾き飛ばし逃げる使いを追った。

 

 

上田「ボス、ステージ!」

 

 

使い魔の鋭い刃による斬りつけを滑空しながら軽やかに避け、普通の使い魔は容赦無く吹っ飛ばす。

 

魔法使いを捉えていた使い魔は上手い具合にダメージを蓄積させ、

後方にについてくるマットの方に落ちるよう弱らせて上手く誘導する。

 

弱々しくマットに降り立った使い魔は、

3人の魔法使いの近接魔法の()()()()()()()()()に合う。

 

 

 こ れ は ひ ど い !

 

 

比較的グロいのは大丈夫な2人の魔法少年は、腹を弄り緑の液にまみれた魔法使いを救い出す。

 

ん、あれこれの細かい描写? グロ表現間違いなしだ、ここでは省略させてもらう。

 

残った魔法少女はデコられた洗面器に見た事のないメーカーのボディーソープ、

大量のバスタオルを作り出して魔法で魔法使い達を洗い上げる。

 

洗われた魔法使い達はしっかり洗われ水分を拭かれ、キレイになってマットの上で眠った。

 

長い事可笑しな液に浸かっていたせいか、今は起きる気配はない。

 

ふわふわの大判バスタオルを作り出し、折りたたんで枕にし体には2枚重ねでかけてあげた。

 

しばらくすれば、目を覚ますだろう。

 

 

魔法使い達を救いながら先へと進む一向……利奈は相変わらずの舞いっぷりだ。

 

迫る使い魔の集団をを弾き飛ばしながら突き進み、ついに魔女の目の前まで来た。

 

魔女はその腕で殴りかってくるが、棍で受け流しながら

自らの数倍のでかさはある蜜毒の魔女に立ち向かう。

 

 

さぁ、フィナーレだ!

 

 

上田「アンヴォカシオン!!」

 

 

利奈は棍をもう1本召喚すると、両手に棍を持って魔女に突っ込んだ!

 

使い魔召喚の隙を与えない……!

 

魔女の炸裂する連続の拳を乱舞で打ち消し、魔女に着実なダメージを与えていく。

他の魔法使い達も遠くでマットを必死に踏み鳴らす。

 

 

上田「やああああああっ!!!!」

 

 

足沢「よっしゃ押し切れえええ!!」

 

 

「うおおおおおお!!」

 

 

「地団駄地団駄地団駄あああ!!」

 

 

「あっ、足が痛「もうちょいだ踏ん張れ!」むぬぬぬぬぬぬぬううう!!」

 

 

打ち消し合う拳と乱舞、乱舞に味方する援護射撃。

 

 

相殺はしばらく続いたが、一瞬……

 

 

ほんの一瞬だけ、投擲される石の衝撃で魔女の拳がずれた。

 

利奈はそれを見逃さず、拳が頬をかすめるほどのギリギリの位置で

棍で魔女の腕を抑えつけてかすめながら前に突き進む。

 

2本の棍を1本の太い棍にまとめ、魔力を多めに込める。

 

 

 

 

放つ、利奈の必殺魔法。 赤色の刃からなる魔力の大剣!

 

 

 

 

「ソリテール・フォール!!」

 

 

 

 

利奈は大剣で魔女の頭にあたる金具の付け根を狙い、思い切り魔力の刃を叩き込んだ!

 

バキイイィィン!! と金属が断ち切れる轟音が当たりに響く。

 

この魔女は声を持たず、悲鳴をあげる事はないが……

 

両手で切られた頭の断面を握りしめて暴れ狂い、

のたうちまわっているのを見たならその感情は一目瞭然だった。

 

迷彩の鎖骨が不気味にどくどくと脈打ったかと思うと、

ぶしゃあああっと切られた断面から緑と茶色の液体は吹き出した。

 

 

足沢「ちょ!? 危ねえぞ! 離れてろ!」

 

上田「……あ、うん!」

 

 

必殺魔法を放ちきって放心していた利奈は、

魔力の大剣を棍に戻して魔女から距離をとった。

 

その間にも魔女は暴れまわり、当たりに液体を撒き散らす。

 

しばらくして液を出し切ってしまうと、代わりに黒い魔力が吹き出した。

永遠にも思えるその勢いは魔女自身さえも飲み込んでいく。

 

そして全てが1点に飲み込まれる。

 

不気味なチョコレート細工も、

 

2種の砕かれた使い魔の死体も、

 

毒沼の水も全て吸い込み、

 

結界ごとその結界にあるもの全て、飲み込まれる……。

 

体が持ち上がる感覚が一瞬背筋を走ったと思うと、利奈達は路地裏のど真ん中に立っていた。

 

あとに残ったのは、濁りなき抹茶色のソウルジェムと

とろけるチョコレートがモチーフのグリーフシード。

 

 

魔法少女は……蜜毒の魔女を救った。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「千いいい代おおお子おおお!!」

 

里口「え!? ちょ!? 痛いって!」

 

 

ソウルジェムが戻り、目を覚ました蜜毒の魔女だった少女、

千代子はギャルに抱かれて嬉し苦しそうにしている。

 

破れまくっていたワンピースはマジシャンの手伝いをする

役割を持った女性のような美しいドレスになっていた。

 

もちろん、利奈の魔法だ。

 

この中で服を作れそうなのが利奈ぐらいしかいなかったらしい。

 

結界から解放され、目を覚ました魔法使い達はその生還をしばらく笑いあって喜んだ。

 

利奈もその集団の中にいるが……何故か、どこか遠くにいるような雰囲気をかもしだしている。

 

利奈はその場から消えようとして気配を消し、

小さなビルの上に上がろうと壁を1回蹴り出した……が、

 

ピシャッと足下で音がしたかと思うと、足首に紐上の何かが

巻きついて引っかかり床にうつ伏せで落ちてしまう。

 

 

上田「ふぎゃっ!?」

 

 

利奈の落ちっぷりを見た猛獣達は他の仲間にも教え笑おうとしたが、

利奈を捕まえた張本人が集団の中を歩き抜けると、通り際の猛獣達は静かになった。

 

 

「顔を上げなさい」

 

 

足首に絡みついていた紐、よく見ると紫色の鞭だ。

 

利奈が起き上がり顔を向けると、そこには紫の魔法少女がいた。

 

そのメイクがかったつり目の顔で、歯を見せず微笑んでみせる。

 

 

髪の毛が紫なのはもちろん、程よいウェーブがかっている。

 

服はボディーラインを見せつけるように体に張り付く濃い紫のキラキラなロングドレス。

裾は前は普通にミニスカ丈で、後ろはドレスのように長い。

 

靴下もタイツもなにも履かず、その長い素足を見せつける。

 

靴はかかとが太めのハイヒール、手にはじゃらっとブレスレット。

 

頭には羽付きの豪華な髪飾りがついている。

 

片側だけについた紫の石の大きなイヤリングが印象的だ。

黒いモヤがほんの少し見えるあたり、これがソウルジェムのようだ。

 

 

女王の風格をも放つ彼女は、利奈に話しかけた。

 

 

「全く……逃げる事ないじゃない! まだやることあるでしょう?」

 

上田「あ、いや、私は……痛い」

 

 

地面にぶつけた鼻を抑えて目をうるうるさせる利奈、

彼女は咄嗟だったからという気持ちから謝罪をする。

 

 

「ほら、忘れ物よ」

 

上田「あ、ありがとうございま……えっ!?」

 

 

彼女はなんと、利奈のブローチようはソウルジェムにグリーフシードを押し当ててきたのだ!

 

驚き慌てる利奈に静かにしなさいと強く言いつけて大人しくさせると、

利奈の手に先程そのグリーフシードを置いた。

 

とろけるチョコレートのモチーフ、蜜毒のグリーフシードだ。

 

 

「なに逃げようとしてんのよ、それはあなたが持つべきじゃない」

 

上田「え!? でも、私は何も」

 

「随分と弱気ねぇ……全部千代子から聞いたわよ! 貴方が私達を助けたんでしょ?」

 

上田「そんな! 私はただ、その人が飛ぶ手伝いをしただけで!」

 

足沢「……あ、俺か? ってオイ、ちょっと!? かなりの収穫だぞ!?

お前h「あんたはちょっと黙ってなさい」……ハイ」

 

「あなたがいなかったらね、みんな捕まってたわよ? あなたが私達を助けたの」

 

 

「そんなの偶然だ!」と言おうとしたが、利奈はそれを口に出せなかった。

 

言い過ぎるなら猛獣恐怖症、その親玉的風格を放つ

大人っぽい怖そうな少女が間近で話しかけているのだ。

 

周りの猛獣達に笑われないよう気をつけて話を聞く。

 

 

不意に、ふわっと心を包まれたような柔らかな暖かさを、利奈は感じた。

 

 

……利奈にとっては、言われないのが当たり前だった。

 

 

いつか、得る事を諦めた言葉。

 

 

『道具』が聞くはずのない言葉。

 

 

 

 

「ありがとう! 貴方最高よ!」

 

 

 

 

上田「……!」

 

そう言い、彼女は利奈の頭をポンと叩く。

 

頭の中にぽかぽかと暖かく、ゆらゆらと優しく揺らめく。

 

例えるなら、アロマキャンドルを突っ込まれたような衝撃。

 

 

()()()()()

 

 

私に?

 

 

助けるのは当たり前じゃないのか?

 

 

役に立つのは当たり前じゃないのか?

 

 

だって、私は道具じゃ……

 

 

「すっげぇかっこよかったよな!棒持ってぶんぶん振り回してさ!」

 

「オイオイ棍だろ、棒ってお前な……」

 

足沢「ってか俺も飛べなかったもんな」

 

「 空 中 停 止 ね「うるせぇ風呂女」

なによ〜〜ホントの事じゃない、ねぇ? 「爆ぜろコラァ!」」

 

「なんかあの液体、魔力を吸うもんだから

捕まった時に行動起こせなかったもんな」

 

「うん、彼女が助けてくれなかったらかなり不味かったね」

 

「ホント、感謝だわぁ」

 

 

『ありがとう』

 

 

それは、とても些細な感謝の言葉。

 

それは、とても大切な言葉。

 

でも、利奈があまり聞く事のなくなってしまった言葉だった。

 

周りの猛獣達は利奈をバカにする事はなく、先程の戦いっぷりを

褒めたり賞賛したりして利奈に感謝の意を示した。

 

親にも褒められる事もない利奈は、言われ慣れてない

その出来事に只々穏やかな感動を覚えていた。

 

もう少し感動が大きかったら涙腺が緩み、涙が流れていただろう。

 

無いに等しい自分の存在を肯定されているような気がした。

 

蜜毒のグリーフシードを握りしめ、心を温める感情に浸る。

 

マイナスの感情はなく、思想がいい方向に働いている。

 

プラスの感情が利奈を包み、嬉しさや感動が頭に溢れる。

 

 

これが『希望』……か、『道具』としての利奈の運命を変える『希望』。

 

これが多分……これから、利奈が得ることになる希望。

 

利奈が、得ていく希望。

 

今日の出来事は利奈にとって1つの転機になるだろう、

半数の猛獣達の長を務める者にその実力を認められたのだから。

 

 

頭から手を離した彼女は、利奈にその手を差し出す。

 

 

「私は下鳥優梨(しもどりゆうり)、この辺の魔法使いを束ねる者と言った所かしら」

 

上田「上田利奈です、よろしく下鳥さ「優梨で良いわよ」……優梨さん?」

 

下鳥「優梨で良いの! 敬語は好きじゃないの」

 

上田「あぁ……じゃあ、優梨」

 

下鳥「それでいいわ、よろしくね利奈」

 

上田「よろしくおねがいします」

 

 

利奈は優梨の手を取り握手を交わした。

握手が終わった後も、優梨は話を続ける。

 

 

下鳥「いつも私の仲間があなたをいじっててごめんなさいね。

 

悪気はないのよ? 可愛がってるみたいなものだから!

 

でも、何か嫌になったら私に言ってちょうだいね?

 

私の仲間内は……まぁ、私を含めてバカばかりだけど。

 

言ったら、分かる人ばかりだから」

 

 

利奈が使()()()()()()所を見ていたのだろうか?

 

どちらにせよ、これをきっかけに利奈は花組で過ごしやすくなるだろう。

 

猛獣達に詳しくなったし、一部の猛獣達に恩も作ったし、

ちょっとした安全な逃げ道だって増えたのだから。

 

 

上田「う、うん。 わかったよ」

 

下鳥「こういう時はおつかれさまかしら? おつかれさま、利奈」

 

上田「おつかれさま、優梨……ありがとう」

 

下鳥「?、私何かしたかしら? 逆にありがとうよ、もう!」

 

 

一通りの話を終え、利奈は優梨とその仲間達とで

治療やら浄化やらを済ませ、その場から去って行った。

 

今度はこっそりではなく、ちゃんとまたねやさようならを告げて。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

……そうして、利奈は優梨と出会った。

 

この時の利奈はまだ知らない、彼女もまた、

利奈にとって重要な人物となる事に。

 

彼女の内に秘める強い『光』に。

 

 

まぁ、それはまた、後のお話……。

 

 

………………………………

 

 

次回、

 

 

 

篠田「ありがとう利奈! おかげで全部出来たよーー!!」

 

 

 

篠田「全ては(男性アイドル)君の為に!!」

 

 

 

清水「『仲間』だ、それも最高のな」

 

 

 

「 私 の モ ノ に な る の ……!!」

 

 

 

〜終……(12)舞う花々と1人飛び〜

〜次……(13)儚き月光と枯れ紫陽花〜

 

 

 

魔法使いは運命に沿う。

 




……ふむ、だいぶこの書き方も様になって来ましたね。

日常に魔女戦と一通り書いてみましたが、自然に書けているのが自分でもわかるくらいですね。

情景描写は得意中の得意中なので悪いとこ誤魔化す勢いで、
 ガ ン ガ ン ぶち込んでいきますよーー!w


……とと、真面目な話ばっかりしても面白味がないのでシメとしてここで1つ。


ハピナ「ポテチはまろやかバターに限る!! これだけは譲らないもんね! 合掌!!」


2015年12月19日(土)2:48 『例の彼』の落書き、完成。

【挿絵表示】

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