。o.゚。・*(pq´▽`*)オヒサァ♪*。゚.o。
2月最初のハピナですよぉ!
予告通りの最新話です、お待たせしました!
さて、今回はボトルシップの落とし主探しを主体にして物語を進めていきますね。
単にボトルシップ……といっても、その種類は色々で様々。
どんなボトルシップなのかも1つの見所として読むとある程度は楽しいかも?
新たにリュミエールとなった中野 蹴太の様子も気になる所。
今回も1万字以上という大ボリュームお送りしていきますよ!!
走れメロスより多いですよ? どうしてこうなった!? (;゚∀゚)
……失礼、少し落ち着きます。 久々だったのでテンションがw
では早速、数週間ぶりに物語の幕を上げましょうか。
舞台は相変わらずと言った寒い冬。
水たまりの水も凍りつき、滴る液体が氷柱になる頃……
2016年9月24日
○PC向けに改行訂正
○誤字・脱字訂正
○その他訂正
冷んやりと冷え込んだ学校内、一日中コートを羽織りたいくらいだ。
まぁそんな事は出来ないのが学校って物、ブレザーの学校は勝ち組だと思う。
少し厚くしただけの制服なんて簡単に寒さをしのげるものではない、
肌をなでるような寒さはすぐにでも鳥肌が立つだろう。
使われない教室なんてその寒さは、ほとんど外と変わらない。
その暖かさは魔法によるもの。
そう、ここは使われていない理科室である。
今は『リュミエールの溜まり場』としての役割を持っているのだ。
今日から、1人増えている。
中野「ふむ、確かにこの場所は落ち着く。 ちょっとした読書に最適だな」
清水「おう! 結構来る人少ねぇし、大事な話とかしやすいんだこれが」
中野「あぁ、そういえば加入するに当たって何か連絡事項とかはあるのかい?」
清水「連絡事項? 真面目だなぁお前」
中野「よく言われる」
清水「んじゃチーム所有のグリーフシードから説明しとくか」
中野「あ、待って! メモを取るからちょっと道具を取り出すよ」
そう言って筆箱からシャーペンを取り出してカチカチと鳴らしたが……
中身がなくなってしまったのか、一向に黒い芯は出てこない。
新しいしんを取り出そうと筆箱を再度探したが、その時蹴太は固まった。
清水「……ん? どうした蹴太?」
中野「し ん 忘 れ たぁ……」
清水「は? ……あ、ホントだ」
愛用のシャーペンをカチカチしながら、うるうると涙目になる蹴太。
予備も買っていたはずなのだが、どうやら借りパクされていたようだ。
なっ、なんというアンラッキー……
清水「そんな落ち込むなって、俺のシャーしんやるから」
中野「……うん、ありがとう」
清水「そんなになるなって、誰かがフォローすればいいだろ?」
自分の不幸体質にため息をつく彼にそう軽く笑いながら言うと、
リュミエールのグリーフシードを取り出して口頭で説明を始めた。
蹴太も一心不乱にメモを取り始める。
……細かい、項目が細かい。 流石は性質が《真面目》と呼ぶだけの事はある。
一方のリュミエール女子組。
机に突っ伏して落ち込む利奈を傍に、3人でキーホルダーの持ち主を調べていた。
篠田「利奈ぁ〜〜元気出して!」
月村「親切心を無視した相手がおかしいんじゃない、あなたがそんな落ち込む意味がないわ」
上田「うぅ……でもやっぱり、あんな逃げ方されたらへこむよぉ……
結局、この誰かが落としたキーホルダーを返せなかったしさ」
ふむ、どうやら利奈は絹のハンカチでキーホルダーを磨いていたらしい。
黒の実験台の上に置いたなら、蛍光灯の光が反射して、
中の水に見たてた硬化したジェルがキラキラと光を乱反射する。
近くで体を丸めて寝てたハチべぇは、起き上がり興味深そうにそれを観察した。
ハチべぇ「人工的に作られた小型船の模倣だね。
材質は木材と薄地の布、そして元々ジェル状だった固体」
月村「改めてキレイにしてから見ると、やっぱり精巧に作られているってわかるわね」
篠田「わぁ〜〜! 細かい! なにこれ、こんな事出来る人いるの!?」
月村「世の中にはその位器用な人がいるって事よ、
一切途切れることがなくリンゴを丸ごと剥ける特技のようにね」
上田「……なんで私の方を見て言うの」
ちなみに、その小型船は俗にいう『ヨット』というので、
真っ白な帆を張った旧式の物であると素人でもわかる。
旧式……昔の船のと言ってもそんな大規模ではない。
海賊船のようにどっしりした大きな船というわけではなく、
1人用、2人乗れるか乗れないかくらいのこじんまりとした船だ。
月村「それにしても……おかしいわね」
上田「え、このボトルシップが?」
篠田「デザインが気に入らなかったの?」
月村「そんな理不尽な理由じゃないわよ!
ちょっと貸してちょうだい利奈、今から説明するから」
上田「えっ? いいよ、物があった方がわかりやすいもんね」
芹香は利奈の了承を確認して小さなボトルシップを手にすると、
手取り、当然足は取らないで説明し始めた。
月村「ボトルシップは、折りたたんだパーツを
ピンセットで瓶の中で組み立てて作り上げる工芸作品よ。
今言ったのが普通なんだけど……見なさい、ボトルの口を」
篠田「口?」
上田「どれどれ……」
ボトルシップの口にはキーホルダーにするための部品が付けられていて、
直視は出来なかったが別方向からガラス越しに見る事は出来た。
芹香の言うボトルは蜂蜜などを入れるようなふっくらとした形ではなく、
ぶどう酒を入れるような細身のボトル、別称ガラス瓶。
口はキーホルダーサイズのためか、爪楊枝2〜3本がやっと入るくらいの小ささだ。
篠田「ボトルもちっちゃいから、口もちっちゃいんだね」
上田「あれ、でもこれって……」
篠田「小さいのがどうかしたの?」
芹香はわかってないなぁという感じでわかりやすくため息をしてみせた。
絵莉はショックを受けて驚き、少々落ち込み気味。
だが芹香もただの鬼ではない、ちゃんとヒントを与える。
月村「さっきも言ったでしょう?
『折りたたんだパーツをピンセットで瓶の中で組み立てる』」
篠田「……あぁ! ピンセットが入らない!」
月村「ふぅーん、考えればわかるじゃない」
上田「あれ、じゃあこれは本来はあり得ない物って事?」
月村「瓶を一部破壊して繋ぎ直した可能性も考えたけど、
破壊した跡と接合した跡、どちらも見当たらないわ」
篠田「ど、どうやって作ってるんだろ……」
月村「そこよ絵莉」
篠田「……え?」
上田「あ、あぁ! そういう事か!」
月村「相変わらず察するのが早いわね。
そうよ、私達……花組に特有の『アレ』よ」
篠田「…………ぁ、ああぁ!! そっか!」
「「魔法!」」
絵莉はハモった声に驚いたが、その声の先を見て笑い出してしまう。
ふむ、利奈がわざと合わせてきたらしい。
芹香はその様子を見て、クスッと笑い微笑む。
月村「仲が良いのは良い事ね。
まぁそういう事よ、これでだいぶ持ち主を絞れたわ。
……さて、ここには幸運にも人探しにうってつけの情報屋がいるようだけど?」
中野「これで全部だね、長めの説明ありがとう」
清水「ちょ、『ありがとう』かよ!?
ほとんどの奴らは長いって喚くからな、真面目な連中はよくわからん。
……って、どうした? 3人とも俺の事じろじろ見て」
ちょうどリュミエールについてのルールや説明やらが終わったようで、
蹴太が海里にシャーペンを返してメモ帳をぱたんと閉じる頃だ。
上田「海里に仕事が出来たんだよ!」
清水「仕事?」
月村「あなたがお得意の人探しよ。色々調べた結果、
これは魔法で作られたんじゃないかって可能性が出てきたの」
中野「魔法……花組の生徒かい?」
篠田「そうだよ! 花組特有なの!」
月村「……それ、私の言葉そのままじゃない」
それを聞いて凹む絵莉、厳しいなと利奈と海里は冷や汗をかいて、
蹴太はスパルタ教育なのか? と苦笑いをしている。
清水「厳しいのはいいが程々にしてやれよ……
で、情報屋に人探しの依頼か。 聞きたい情報はなんだ?」
月村「『状況を変える魔法』が使える魔法使いを全員教えてちょうだい」
篠田「状況?」
上田「地屋さんみたいな魔法かな」
篠田「う~~んと……『重力』の魔法?」
上田「そうだね、魔力しか見えない魔法かな」
月村「正確には『形なき魔法』かしらね。
ところで、心当たりはあるかしら? 海里」
清水「ちょっと待ってな、今思い出してみる……」
そう言って海里はしばらく考え込んだが、解答はすぐに返ってきた。
清水「確か、『形なき魔法』を使えるのは花組に3人いたな。
んで、その中でそのボトルシップを作れそうなのが……1人いる」
篠田「お、誰? 誰なの?」
清水「
感情の起伏やたら激しいから、結構印象に残ってたぜ」
中野「和出……名前と顔は知ってるけど、僕はあまり知らないな」
清水「蹴太が知らないのは当然と言っちゃあ当然だな、あいつはどっちかって言うと……
利奈の言い方で『不真面目』な方だし、基本的にほとんど教室にいないからな」
上田「感情の起伏が激しい人かぁ……」
月村「面倒である事は間違いないわね」
篠田「和出、さん……怒りっぽい人なんだよね、その人」
ふむ、絵莉は知ってたようでちょっと引きつってしまう。
清水「なんだ、絵莉は知ってたのか。
まぁそんなビビるなって、俺も同行すっから大丈夫だろ」
上田「海里も着いて来てくれるの?」
清水「おう、相手は不真面目だしその方が良い。 この前話し合いもしたし協力してくれるだろ」
上田「話し合い?」
月村「肉体言語の間違いじゃないかしら」
清水「ちょ、ハッキリ言ってくれるなオイ」
行動の手順を枠組み程度に決めると、リュミエール一同は移動を開始した。
去り際は丁寧に、蹴太が理科室の引き戸を閉めた。
ふぅっと吐く息は白くならない。
この廊下は外ほど寒い……というわけではなさそうだ。
一同が進む先を見るついでに、海里に先ほどからあった疑問を投げかける。
中野「そういえば、君は魔力を追って魔法使いの追跡が出来たんじゃなかっけ?」
清水「それも考えたんだがな、残ってる魔力の量が尋常じゃなく少ないんだよ」
中野「魔力不足による手段の変更か」
清水「まるで、最初から『なかった事』にされてるみたいで……悪いな」
中野「手段を選べるのは賢い証拠だよ」
清水「俺不真面目寄りなんだけどな」
そんな感じで2人の会話は上手い具合に弾んだ。
なんだかんだ言って仲が良い、この2人の波長は合っているらしい。
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所変わって、ここは本校舎の2F。
花組ももちろんのこと、鳥組に風組と月組も混じって
都道府県の商店街のようなそれなりの賑わいをみせていた。
リュミエールはそれなりに知名度はあるようで、花組と月組から視線を浴びる。
視線と言うと色々あるが、『ここに来るの珍しいな』だとか
『あ! リュミエールだ!』とか冷たいものはなさそうだ。
いや、基本冷たいものは普段からないのだが……
利用しようとか遊んでやろうとかの『ふざけた視線』は数は減ったがたまにある。
ん? 今日はその視線が無いな。
……あぁなるほど、海里が言っていたのはこういう事か。
肉体言語……というか、悪意は無かったとしても『校内で孵化』なんて
この前はそんな非常事態になったのだ、流石に少しは懲りたらしい。
中にはほら、海里を見てビビっている者もちらほらいる。
さて、廊下に何人か生徒もいる。
いつまでもこの冷え込んだ廊下にいても、凍えるか風邪を引くだけだ。
早速教室に入ろう、まずは絵莉が行動に出る。
篠田「あたしは『クインテット』のに行って、何か知らないか聞いてくるよ!
(男性アイドル)の話もするかもしれないからちょっと長引くかも」
上田「うん、いってらっしゃい絵莉ちゃん」
篠田「は~~い!」
そんな感じで、絵莉は一旦リュミエールの集まりから外れて
4人で集っているクインテットの集まりに移動した。
蹴太がいるおかげか、真面目から話を聞くのもよりスムーズに行えた。
利奈も話をしているらしい……お? 優梨か、その選択は賢いね。
ふむ、1対1で彼女なりに頑張っている。
最初の手法としては、窓の外を眺めていた優梨に声をかけた。
彼女は「久しぶりね、利奈」と快く利奈の話を聞いてくれている。
上田「……えっと」
下鳥「焦る事はないわ、ゆっくり話しなさい」
上田「ぁ、ありがとう」
相変わらずの豪華なオーラ、まるで女王に謁見をしに来たような気分になる。
利奈はしっかりと頭の中で話す内容を整理すると、出来るだけ噛まないように話し出した。
上田「和出さんがどこにいるか知りませんか?」
下鳥「和出? あぁ釖の事を言ってるのね、あなた『星屑の天の川』に用があるの?」
上田「星屑の……天の川?」
下鳥「あら、その様子だと知らないみたいね」
上田「何かのチームなの?」
下鳥「……えぇ、ちょっとごめんなさいね」
優梨は周りを見て盗み聞きする奴がいないかを確認すると、先ほどより小声で話を再開した。
下鳥「あなたの思ってる通り、『星屑の天の川』はチーム名よ。
数夜をリーダーとした5人の魔法使いのチームよ」
上田「数夜……え、前坂さんが!?」
下鳥「数夜の事は知ってたみたいね」
たまに現れては暗がりをばら撒くちょっと問題がある少年。
利奈は彼の事を知っていた。その理由は明白……利奈がまだ、
『道具』として扱われていた時期、1番無理な要求をしたのが彼だった。
今はそうでもないが、契約前は名前を思い出しただけで
恐怖が湧き上がるような人物だった。
……ふむ、一例を上げてみようか、その方が分かりやすいだろう。
それは1年前の、とある日のお昼休み。
「ごっめぇ~~ん! 上田さん、近くのパン屋から
こっそり適当に買って来て!お昼忘れて来ちゃってさぁ」
上田「あ、えっと……ごめんなさい、お財布忘れてきちゃって……」
前坂「だったら万引きでもして盗ってくりゃ良いじゃねぇか」
上田「……え?」
「ちょ、数夜それは尽くし過ぎたぞ」
「いやいやそこまでは良いよ! ほら、お金渡すから2~~3個買ってきて!」
上田「……ぁ、はい。 メロンパンとジャムパンて良いですか?」
「へぇ、私の好み覚えててくれたんだ。 ありがとう! じゃ、よろしくね!」
上田「分かりました」
……お分かりいただけただろうか?
とまぁ、こんな感じでかなりぶっ飛んだ人物である。
結構厄介な少年だが、最近は大人しくしているらしい。
近況では特に周囲の視線を集める事は無い。
彼は花組で1番のめんどくさがりで、大きな問題を起こす事は一切なかった。
……そう、彼は《めんどくさがり》。
チームリーダーなんて出番が多くなるような難しい役職は望まないはずだ。
上田「リーダーとかやらなそうなのに……」
下鳥「結成しただけでまともにリーダーはやっていないらしいわよ」
上田「えっ、どういう事?」
下鳥「簡単に言うなら……まとめて言うならそうね、
『チームに入ることを望まなかった魔法使い達の集まり』という事よ。
ほとんどチームとしての活動はしていないらしいわ」
上田「無理して組んでるって事なのかな」
下鳥「中には組まなきゃダメだって意見もあるから、取り敢えず組んでいるんでしょうね」
上田「色々な意見を持ってる人がいるんだ」
下鳥「花組でなくてもそんなモノよ」
チームと言っても、色々あるらしい。
窓際、優梨は自分の影に利奈を隠してそんな感じに話を進めた。
さて、この辺で閑話休題。
下鳥「ところで、釖を探していたんだったわね」
上田「優梨は知ってる?」
下鳥「それなら、さっき海里が行った方にいるわよ」
上田「……あれ、私探してる意味が無いな」
冷や汗をかき薄ら笑いで顔を引きつらせた利奈だが、優梨はその先を考えていた。
下鳥「そうでもないわよ、『星屑の天の川』のメンバーで
あなたに一度は会いたがってる人物がいるわ」
上田「え、私に?」
下鳥「屋上にいる黒猫、その猫に話しかけてみなさい」
上田「えっ、屋上!? 冬季だから立ち入り禁止だよ!」
下鳥「……あぁ、説明不足だったわね。
別に屋上にまで入らなくていいわ、ガラクタに隠れて昼寝でもしているはずよ」
上田「そう、なんだ。 寒いからマフラーだけ巻いて行ってみる」
黒猫に話しかける……? 一見すれば不可解な行動だ。
やっぱりちょっと不安そうな利奈だったが、優梨は微笑み1つ付けたした。
下鳥「誰かに見られるのが嫌なんでしょう?
そっちに人が来ないよう手を回してあげる」
上田「本当!?」
下鳥「安心なさい利奈、あなたが今から会いに行くのはそこまで意地悪な性格な人じゃないわ」
上田「わかった! 行ってくる!」
利奈は大部分を納得したようで、自分の席にあるカバンから
薄桃色のシンプルなマフラーを取り出すと、サッと首に巻いて教室を出た。
廊下を歩く途中で芹香に会った。
芹香もその事を知ってたようで、今海里と釖が話をしていると言った。
それが肉体言語ではない事も知って安心すると、
利奈は今からしようとしてる事を芹香に伝えてその場を後にする。
芹香が教室に入るのを見届け、階段の一段目に足を乗せる。
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ここは4階、先日大惨事があった室内広場をスルーして廊下の端に着く。
氷のようにキンキンに冷えた壁の色に塗装された厚い鉄扉を開けたなら、
コンクリート剥き出しの古い階段が蛍光灯に照らされ現れる。
上田「寒っ!? 寒い! うぅ、こんな所で昼寝出来てるのかな」
独り言に混じる吐息は、ほんのり冷やされ微かに白色。
階段を登ると、屋上に出る鍵がかかった扉の隣にガラクタの山が積んであった。
上田「黒猫は……と」
ガラクタの山を覗き込むと、ふわふわの毛布にくるまれた何かがあった。
ちょっとだけ捲ると、どこから学校に入り込んだ?
という感じの凛々しい黒猫が体を丸めて眠っていた。
冬毛なのか、毛がもふっとしている。 利奈に自然に笑みが浮かんだ。
触りたいのは山々だが、昼寝中らしいので我慢する。
上田「かわいい、ふわふわだ」
?「おや、随分と律儀ですねぇ」
上田「……あれ? ぅわっ!?」
どこかから声がしたかと思うと、黒猫は起き上がって利奈の前にある
重厚なプラスチックのガラクタの箱の上に座った。
?「どうぞ? これは自慢の毛並み、触られても減るもんじゃないし」
上田「あ、ありがとうございます」
利奈は少々困惑した様子だが、ふわふわに触りたい欲の方が優った。
背中を丁寧に撫でるなら、長めで柔らかな黒の毛が手のひらをくすぐってくる。
ふわふわな物に目がない利奈は、目をキラキラとさせて夢中で撫でた。
上田「わぁ~~……! ふわふわ!」
?「ほぉ? 撫でるのがお上手、お家でペットでも飼っているのですか?」
上田「いえ、妹が動物アレルギーであまり飼えなくて……」
?「それなら魚介類を育てると良いですよ、
金魚掬いの金魚なんかが生命力強くて良いですね」
上田「詳しいんですね、猫なのに」
?「ははは、人間が猫に擬態してるだけです」
猫と会話するとなるとかなり奇妙な物になるが……ハチべぇに比べたらまだ現実味があるだろう。
?「いやはや、ここまで丁寧な扱いは久々ですね? 動物を飼っていないとは思えない」
上田「普通に撫でただけですけど……」
?「……ふむ、あなたの根は優しいのでしょう」
上田「えっ?」
?「あなたが感じる事のない優しさがある、だから僕を丁寧に扱ってくれた。
乱暴な者だったら両手でめっちゃめちゃにされてるよ……
まぁ、その時は小さな虎になって脅かしてやりましたけど」
猫の表情は分かりづらいが、声のトーンの下降でその時の状況が伝わってきた。
上田「乱暴な者……それで寒い中ここに?」
?「昼寝の邪魔をされるのは僕には死活問題ですからね」
上田「……ごめんなさい」
?「いやいや、あなたは悪くない。 念話で話は聞いていますよ、利奈さん」
上田「ぁ、そうなのか……ひゃあ!?」
下げた頭を上げたなら、そこには制服を着た少年がいた。
利奈は驚いてめまいがするが、少年は利奈の手をとる。
?「……あぁ、驚かせてごめんね」
上田「ぁ、えっと……大丈夫です」
?「話すんだったらこっちの方が良いと思ったんだ、お礼も僕なりにきちんと言いたかったし」
上田「お礼?」
利奈は名も知らない彼に何をしたか心当たりが無いが、彼はお礼をそのまま述べた。
?「僕は
上田「救う……あ!」
利奈達の間で『救う』と言うと、魔法使いの感覚では魔女や魔男の討伐だ。
黒猫から思い浮かぶ魔なる物……
利奈は不意に出したシルクハットから誓詞のグリーフシードを取り出した。
軽沢「そうそれ、記憶が正しければ僕は誓詞の魔男だった者。
……本当に助かった、君がいなきゃ彼女は一生白猫の花嫁のままだったからね。
あぁ彼女の事は心配しなくて良い、ちゃんと自分の家に帰ったよ」
上田「そうだったんですか、良かった……」
本人確認が終わると、利奈はシルクハットにしまって消してどこかにしまった。
軽沢「彼女の事はすっぱり諦めた、僕は《気まぐれ》猫のよう。
彼女と縁が無かったとしても、またいい出会いがきっとあるさ」
色々と無駄にかっこつけた事を言うが、ようはプレイボーイなのだろう彼は。
その中で出会った
上田「体調は大丈夫ですか?」
軽沢「体の方は問題無いよ、グリーフシードはどこだと
やたらうるさく聞いてきた魔法使いも何人かいたけど……
適当に話して流したよ、彼女は別の魔法使いが家まで送ってくれたらしい」
上田「上手く事が収集したんですね」
軽沢「始まりは利奈さんの討伐からだよ」
その後も色々と話をすると、学校のチャイムが鳴った。
軽沢「あれ? 君が初めてかな、僕に飽きが来ないで話せたのは」
上田「いつもはどうなんですか?」
軽沢「適当に切り上げて昼寝する」
上田「ま、マイペースですね」
軽沢「なにせ僕は《気まぐれ》、自分の好きなように振る舞うのさ。
さて、昼休み終了のチャイムが鳴ったし教室に戻ろう」
上田「はい!」
そう言うと、響夏は両足を振り上げ下げる時の遠心力で立ち上がった。
カンカンと足音を立てて軽快に階段を降りていたが……
ふと、足を止めて声を出す。
軽沢「あぁ、最後に一つだけ言っておくよ」
上田「あ、はい。 何でしょうか?」
軽沢「君……
上田「これの持ち主を探しているんです」
軽沢「ボトルシップ? へぇ、結構凝ってるねぇ……」
そのボトルシップを見た響夏は、視線を奪われたように固まった。
心当たりがあるのだろうか? 何か考えているようだが……
上田「……? どうしました?」
軽沢「なんでもないよ、でもこれだけ言っておくね」
そう言って響夏は片目を拭う、その先は予想外の光景。
上田「!!!」
思わず、利奈は口を両手で覆い言葉を失ってしまった。
彼の拭った片目……色がおかしい、
軽沢「立場の関係で細かい事は言えない、でもこれだけは言っておくね。
花の闇は深い、触れたり知ったりするなら安易に考えたらダメだよ。
その時は、闇は光を名乗る君達を飲み込もうと動くだろう。
……さぁ、早く教室に戻ろう?次の教科の先生が来ちゃうよ?」
手を引いて響夏は階段をゆっくり降りだしたが、利奈は一旦その場に止まる。
上田「……軽沢さん!」
軽沢「ん? 何?」
上田「ありがとう、気をつけます」
軽沢「……僕は恩を返しただけさ」
再度響夏が片目を拭うと、その色は元に戻っていた。
さて、早く教室に戻ろう。 次の教科は何だったかな?
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無意識に先生の話を聞いて要点をノートにまとめたのならほら、
時計を意識さえしなきゃあっという間に放課後さ。
報告会もかねてリュミエール一同は
ハチべぇは暖房の上で体を丸めて眠っている。
ソファーを円状に組んで5人が5人を見えるように座る。
まず、本人に直接話を聞けた海里から口を開いた。
清水「……ダメだ、何にも知らんとさ。
何か知ってるようだったが、一向に口を割らなかった。
俺があいつから聞けた情報は……『俺のじゃない』って事だけだったぜ」
中野「十分な収穫だよ海里、僕なんて一通り話を聞いたけど何にもわからなかったからね」
月村「私は学生カバンを見た目だけ全部1つ1つ確認してみたわ、それっぽいのは無かったわね」
上田「ボトルシップだけ付けてたって事かな?」
月村「その可能性が高いわ」
篠田「あたしはクインテットでそれっぽい魔法を使った子がいないか
総出で聞いて回ったよ! ……誰もいなかったけど。
あと、キーホルダー1個にそこまでするなんて寛大すぎるだろって言われた」
中野「優し過ぎるって?」
清水「当たり前だろ、ペンや消しゴムならまだしも自作のボトルシップだぞ?
誰か盗もうとする奴が出ないって保証はねぇ」
篠田「あ、そっか」
上田「私は優梨に話を聞いてきたよ」
「「優梨!?」」
そう声を荒くして驚いたのは海里と絵莉だった。
上田「……あれ、私変な事言ったかな」
清水「いやそうじゃねぇ、
あいついつのまにそんなに利奈と仲良くなってたんだ」
篠田「その子って『女王』って言われてる子だよね?
力強い風格とカリスマ性を持った魔法使い……一部の不真面目達をまとめる長!
あ、あんな人と話せたなんて利奈凄すぎるよ!!」
月村「私は初めて聞く名前ね、『女王』ってそんな名前だったのね」
中野「僕は全然知らなかった」
清水「オイ」
上田「とにかく! その優梨に、海里が和出さんと話してるのを知って、
探していた人とは別の人を紹介してもらったの」
篠田「別の人?」
上田「和出さんって『星屑の天の川』って
チームに入ってたみたいなんだ、そのチーム別の人」
中野「『星屑の天の川』なら知っている、
チームは大体把握してるからね。入っていたのは5人だったかな」
清水「俺も知ってるぜ。『前坂 数夜』をリーダーとした、チームの活動をしない非団結チーム。
メンバーは『
利奈が話せそうな奴……なるほど? 響夏と話をしてきたのか」
上田「そうだよ! お礼が言いたそうにしてるって優梨が教えてくれたの」
月村「お礼を?」
上田「うん、私がソロ狩をした時の魔男だった人で、救ってくれてありがとうって」
清水「一般人も混ざってたらしいな」
篠田「うわっ!? 何それ、危ない!」
中野「利奈が来なかったら両者共に危なかったという事か」
清水「で、どんな話をしてきたんだ?」
上田「えっと……その人が言ってたんだ、『花の闇は深い』って」
篠田「花の闇?」
中野「闇ってなんの事だろう? このボトルシップそんなにまずい物なんだろうか」
月村「それとは別問題な気がするけど」
清水「まぁ、表沙汰になってないから、今は警戒程度で大丈夫だろうな」
上田「それと、帰り際目が変になっちゃって、
ビックリして聞けなかったけど元に戻ったから安心したよ」
清水「……なんだと?」
その時、海里が利奈の話の内容に驚いた。
まるで心当たりがあって、それと重なりでもしたような表情だ。
月村「反応したわね、何か心当たりでもあるの?」
清水「……まさか、な」
篠田「なになに? 気になる!」
中野「心当たりがあるなら聞かせて欲しい、どういった点なんだい?」
清水「利奈、その変な目って『白目が黒目で黒目が白目』じゃなかったか?」
上田「あれ? そうだけど、私海里にそれ教えたっけ?」
清水「……実はな、釖の片目もそんな色をしてたんだよ」
上田「えぇ!?」
篠田「ほえぅ!?」
中野「何だって!?」
月村「それ、本当なんでしょうね?」
清水「ここで嘘を言う理由がねぇな、この目で見たし間違いないぜ。
釖は片目に怪我をしたからって眼帯を付けてたんだが、
テンションが高かったもんだから1度すっ転んじまってなぁ……
その時に見たんだよ、あいつの片目。 聞いたんだが、教えてくれなかった」
篠田「病気……かな?」
中野「いや、そんな眼球の病は存在しないはずだよ。
黒目なら白内障を疑えるけど、白目が黒くなるとなると……」
上田「なんで軽沢さんは目の色を変える事が出来たんだろ?」
清水「恐らく『擬態』の魔法だな、それって見た目だけで根はそのままだと思うぞ」
上田「『擬態』の魔法で猫になったりしてたんだ」
篠田「色々な魔法があるんだね」
しばらく5人はじっくり話し込み、情報が共有された所で海里はまとめに入った。
清水「……よし、話はまとまったな。
『花の闇』ってのは気になるが、何も起きてない以上俺たちは対策を組めねぇ。
引き続き明日も、このボトルシップの持ち主をリュミエールで捜索するぞ。
意義は無いか?」
篠田「意義なぁ~~し!」
中野「僕も特に変更点は無いよ」
月村「早く見つけてあげましょう」
上田「うん! 明日もよろしくね、みんな!」
後はそれぞれの都合に合わせて各自解散だ。
ハチべぇはいつのまにか、どこかに行ってしまったらしい。
また誰かの所に行ったんだろうか? 全く、ハチべぇはよくわからない。
リュミエールは触れた、『花の闇』に。
中途半端な不真面目とは違う、花組の 完 全 な裏側に。
そこで行われている事は未知数、まさに『闇』と言った所か。
その先は真っ暗で何も見えない。
何も起きていない? 今に起こるさ、もうすぐ要素は落ちる。
リュミエール……『花の光』は照らせるか?
深淵に投げ出されてしまった星屑、『花の闇』を。
………………………………
次回、
((流石に約束は守るって!))
吹気「多い! ちょ!? 多い!」
上田「準備を忘れた!? 大丈夫なの?」
「……どうせ孵化するもんだから、これ」
〜終……(17)小船と黒猫の恩返し〜
〜次……(18)逃避の荒波と瓶の主〜
魔法使いは運命に沿う。
……ふむ、なんだかんだ言って雑魚級の
魔女・魔男の解放後を明確に出すのは初めてになりますかね。
見ての通り、身体的問題は無し。 魔男時の記憶がやっぱり、
残ってしまっているようですが時間をかけて受け入れたようですね。
まぁ、《気まぐれ》な彼なら立ち直るのも容易でしょう。
楽観的だなぁ……普段何を考えてるんだか。
これが、ハチべぇのシステムです。
本文にもあったとおり、彼はピンピンしているでしょう?
人間に合うように作られた希望のシステム……登校だってちょっと休めば余裕です。
人間を使い捨てにする『先駆者』のシステムとは全くその性質は違い、人道的です。
非効率的と『先駆者』は言うでしょう。
ですが、なによりそのシステムは等の本人である人類が受け入れられない要素……
重要なのは効率より合理、合理的システムが宇宙を救うのです。
……だなんて、ちょっとハチべぇっぽい事を
つらつらと述べてみましたがいかがでしょ?w
この世界で成立するシステムがわかりやすく説明出来たのなら、私としては幸いです。
さて、新しいチームが出て来ました。
他にもチームはたくさんありますが、リュミエールやクインテット以外に
チーム名を明確に紹介するのは『星屑の天の川』が初めてでしょうね。
まぁチームといっても全部が全部5~~6人だって訳では無いですよ。
2人組のチームだってあるし、10人以上の大人数だってあります。
それについては、物語の進み具合に合わせて
追い追い話して行きましょうかね。 どのチームも個性豊かで面白いですよ?
閑話休題、この辺で雑談入れます。
話中に黒猫が出て来ましたが……利奈、そこ代われ下さい。
子猫もふりたい! もふりたい!!
でもやっぱりうさぎもふりたいいぃぃ!!!
-=≡Σ(((⊃゚∀゚)つ うさぎいいぃぃ!!!
ハピナ家は家族に猫アレルギーがいるので
動物が飼えないんですよ……飼ってるのは魚介類位ですかね。
金魚掬いの金魚なんですけど、案外この子が長生きなもので
2cm程の小さな魚だったのが今では10cm超えてます、強いw
金魚掬いの弱った金魚でも、ちゃんと育てれば長生きします。
……そういえば以前金魚掬いを題材に、ホラー短編を書いてましたね私。
ちらっと探したら見つかりました。 なんと懐かしいことか!
希望があればハーメルンSSにも投稿してみましょうか?
まぁ希望があればになってしまいますが。
う~~ん……多分無いだろうな (´-ε-`;)
では、今回はこの辺で。
なんだかんだいって本題のボトルシップの落とし主が見つかっていないですねぇ……
次回は見つかるのでしょうか?まぁ、それは乞うご期待って事で。
1月はおつかれさまでした! 2月も良い日々を過ごしていきましょう!
それでは、また次回っ!
\またねぇー♡/
∧_∧∩ミ
/(๑•ω•๑)っ \
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