うへあぁ・・・なんとか3月最初の日に間に合いましたよ!
いやはや、例のゲームが配信開始したりコンテスト開催したりと
色々と忙しかったからねぇ・・・(主な理由はリアル事情ですが)
イベントやゲームも良いですが、こっちも頑張りましたよ!
最低でも1日1行は書いてました、ちまちま作業。
やれやれ・・・忙しい時期に魔女戦は書かない方が身のためですね。
それはさておき、ついでに言い訳も無へと返し、
前回は女子トイレで魔女が誕生してしまった所で終わりましたね。
どうやら3人は結界に巻き込まれる前に変身できたっぽいですが、
やはり黒い魔力にのみこまれてしまうというのは良くない。
ついでに言うと、今回の結界は原作にないタイプにしてみました。
前書きなのであまり詳しいこと書けないですが・・・w
それなりに楽しめるのでは? と、淡い期待を胸に抱き、
記念すべき20話を投稿する次第です、ハイ。
さて、この辺で物語の幕を再度上げましょうか。
主人公の意識は闇の中・・・そんな中、何か声が聞こえたような気がして・・・
「……ィナ……リ……」
上田「うぅ……ん……」
利奈か目を覚ましたなら、その目に最初に入ったのは同じ体制で寝る自分自身だった。
上田「っあぁ!?」
驚いてがばっと起き上がるが、そこにあるのは単なる鏡の柱。
等間隔でその鏡はあるようで、映す景色はまるで異世界のように怖い。
ふと、右肩に感触を感じたかと思うと、利奈が知ってる声がする。
茶色のうさぎもどき、ハチべぇだ。
ハチべぇ「利奈、大丈夫かい?」
上田「うん、大丈夫。 ここは……魔女の結界?」
ハチべぇ「そうだね、ここは魔女の結界だ。
しばらく気を失っていた所を見ると、どうやら結界に取り込まれたみたいだ」
上田「結界……結界!? 他のみんなは!?」
ハッとして立ち上がり、周りを見渡すなら・・・
そこには寝転がる紫と黄緑の魔法少女がいた。
下鳥「っ……ぐらぐらするわね……」
上田「ゆっ、優梨! 大丈夫?」
下鳥「目立った怪我は無いわ。でも、頭を打ったみたい……
強めの頭痛がするけど、しばらくしたら治るわよ」
「ず、頭痛ですか?」
上田「あっ、君も目を覚ましたんだね。 大丈夫?」
「私は大丈夫です、でも下鳥さんが……」
下鳥「あら、私の事知ってたの?」
「なっ、名前だけ知ってます。 一応……みんなの名前を覚えています」
下鳥「すごいわね、花組のみんな?」
「全校生徒……ですね」
「「!?」」
上田「私全然わからないのに、全員覚えてるってすごいな」
利奈と優梨が素直に驚く中、病弱少女は一旦間をおいて寂しそうに呟いた。
「……お友達、欲しかったんです」
病弱少女は女の子座りのままその場でうつむいてしまったが、
優梨は痛む頭痛に耐えてしゃがみ少女と同じ位置の視線にする。
下鳥「あなた、お名前は?」
「名前? 私の……えっと、はっ……
下鳥「俐樹、早速だけど私とお友達になりましょ」
橋谷「ふぇっ!? いきなり呼び捨てですか!?」
下鳥「呼び捨てはダメだったかしら?」
橋谷「いっ、いえ……呼び捨てされた事無くて」
下鳥「ならいいわね、よろしくね俐樹。私の事も『優梨』と呼び捨てにしなさい」
上田「私もなる! 私は上田 利奈、優梨が呼び捨てなら私も呼び捨てかな、『利奈』でいいよ」
橋谷「よっ、よろしくお願いします」
病弱少女……俐樹は、目を点にして驚いていたが、その表情もやがて笑みに変わる。
急展開に急接近。 戸惑う事もあったが、なんだかんだ言って念願の友人を手に入れたのだ。
今の彼女の中の選択肢に『喜ぶ』以外は存在しない。
そんな中、優梨はその場にどさっと倒れてしまう。
上田「えっ……あ、大丈夫優梨!?」
下鳥「流石に無理したわねぇ……
えぇ、頭痛がするだけ、それが激しくなっただけ。 少し……寝ていれば治るわよ」
一見、言葉からは余裕があるように思えるが、
その痛みの激しさは辛そうな優梨の表情を見れば明らかだった。
橋谷「ず、頭痛ですか……? ちょっと待っててください」
ふと、俐樹は魔法で可愛げな植木鉢を出すと、
同じような原理で現れた緑のジョウロで魔力の水をあげた。
植木鉢が黄緑の光を一瞬放ったかと思うと、白い菊の花が植木鉢いっぱいに咲いた。
俐樹が魔法をかけたなら、それらは収束して一輪の白いチューリップになる。
一連の動作はとても優雅で、弱々しい病弱な少女の面影を忘れてしまうほどキレイだった。
上田「わぁ……! 俐樹って、花の魔法を使っているの?」
橋谷「いっ、いいえ違います。 正確には『植物』の魔法、でしょうか。
さぁ優梨さ……えっと、優梨。 この花の蜜を飲んで下さい、楽になります」
俐樹は植木鉢から白いチューリップを摘むと、
優梨を支えて起き上がらせてその白の花を差し出した。
下鳥「ったた……悪いわね」
優梨は頭を抑えて痛みに耐えて、俐樹の手伝いを受けながらなんとか花の蜜を飲み干した。
ふぅっと1つ息をつき、いつもの風格が戻ってくる。
上田「……頭痛はどう?」
下鳥「俐樹のおかげで治ったわ・・・全く、魔法って恐ろしい物よ。
あんなに頭が痛かったのにすぐに収まっちゃうもの」
橋谷「フィーバーフュー、夏白菊です。
下鳥「楽どころか完治よ、あなたやるわね」
あまり褒められた事は無いらしく、俐樹はとても嬉しそうだ。
利奈はその様子を微笑ましく思う。
事態が落ち着きを取り戻したなら、俐樹は植木鉢とジョウロを消して収納。
下鳥「さて、この魔女の結界だけど……見た事無いわね、こんなに形」
ハチべぇ「これまでにないケースだね、
他の魔女や魔男の結界に比べたらこの結界は少々特殊だ」
ハチべぇの言う通り、この結界は普通では無いらしい。
言葉にするなら……密閉された箱型の空間。
見渡しても先へと続きそうな道は無く、魔女への扉も見当たらない。
これはどういう事だろうか?
上田「……どこかに扉が隠されている? 例えば……この柱の中とか」
おぉ、利奈の勘が冴える冴える。
確かにこの予想は一理あるな、どこかに隠されている可能性がある。
橋谷「でも、すごい数ありますよ。
この中から扉が入ってるのを引き当てるのは無理があるんじゃ……」
下鳥「そうでもないわよ」
橋谷「えっ!? どうして?」
下鳥「見なさい、この鏡の柱を」
優梨が指をさす先にある柱、そこには指をさす優梨の姿が映る。
何故か羽付きの豪華な髪飾りを付けていない優梨の姿だったが。
利奈もその方を見てみたが、映る利奈の姿……
これも同様にシルクハットを被っていなかった。
橋谷「あれカチューシャ……付けてる。 え? あれ? 違う姿が映ってる!?」
下鳥「時にはズボンに変わってたり、時には髪型が違ったり……
全部本物とは感じの姿になってしまっているわ」
上田「……あ、そっか! 同じ姿が映ってる鏡の柱が扉の入ってる柱って事だね」
ハチべぇ「100%合っているとは言えないけど、本物が存在する可能性はとても高いね」
橋谷「これから、その柱を探すの?」
下鳥「そういう事になるわね。 でも、あまり大胆な行動は出来ないわ。
使い魔がまだ出てない以上、行動するには絶好のチャンスだけど、いつ出てくるかもわからない……
一応増援を求める念話は送ったわ。それまで、気をつけて行動するわよ」
上田「りょーかい!」
橋谷「足引っ張らないように頑張ります」
ハチべぇ「早く魔女を見つけてしまおうか」
周りに警戒しながら結界内を歩く先……
たくさんの鏡の柱が映すのは、全く別の3人と1匹の姿。1つとして同じ姿は見当たらない。
ただ四角い空間に鏡の柱が立っているだけなのに、
乱反射して映す多種多様な光景は明らかに異世界だと実感させる。
その上、映している姿が全部バラバラなんだがらたちが悪い。
たまにひげがもっさり生えていたりする面白いのがあるのは本気でやめて欲しい、
静かなこの状況で笑いをこらえるのが大変だ、何がいるかわからないのに笑いはいらない。
下鳥「本物、無いわねぇ……それにしてもすごい数」
橋谷「こ、こんなにたくさんあるんじゃ、簡単に見つかりそうには無いですね……」
ハチべぇ「ただえさえ人数は少ないし、時間はかなりかかるだろう」
上田「でも見た感じ無限じゃない、逆にこんなにあるんだったら1つくらいは本物あるよ」
下鳥「あなたのポジティブ思考嫌いじゃないわ」
橋谷「はい、休憩を取りながらゆっくり探しましょう」
床を歩くならコツコツ鳴る、要因は優梨のヒールだろう。
利奈は黒のスタイリッシュなブーツだし、俐樹は茶色のフェミニンなブーツだ。
ハチべぇに至っては利奈の肩の上。
そういえば黄緑の魔法少女、俐樹の姿について説明が無かったな……
進展があるまでここで説明しておこうか。
利奈の黒とは真逆の白をベースとしたアンクル丈で黄緑のドレスだ。
幅の広い肩紐がついているタイプの品で、なんとも女の子らしい仕上がりになっている。
ぱっつんに切られていた前髪は寄せられ、隠していたおでこが丸見えになる。
黄緑の髪は長めの三つ編みで、頭の上には小さな銀のティアラ。
手袋はせずに右手には花のビーズなブレスレットを付けている。
左手にはしっかりとした腕輪、緑のそれはまるで生い茂る葉。
その腕輪の上で光るのは黄緑の宝石……これが俐樹のソウルジェムのようだ。
足は先程も述べた濃いめの茶色のブーツ、
フェミニンなこのブーツにはアクセで黄緑の花が咲いている。
黄緑の魔法少女、俐樹の姿はそんな感じだ。
例えるなら、どこかの国のアリスがそのまま国のお姫様になったような姿かな。
……おっと? 3人が何か見つけたようだ。
ちょうど利奈達がいた辺の反対側辺りについたなら、そこに2人の魔法少女の姿を見つける。
見えるのは蘇芳色と柿色の魔力の光。
何かと戦っているようで、長い長いリボンとベルトが宙を舞う。
俐樹は明らかわかる程の恐怖を抱いたが、
優梨は「私がいれば下手な事はしないわ」と彼女の精神の安全を保証した。
駆けつける間、2人の声はキンキンと響く。
「ちょ!? 全然つかまんないじゃん!!」
「真似っこなう〜〜! 捕まらないなう〜!」
「あんたベルトなんでしょ!? 頑丈なんだしなんとかしてよ!!」
「全力なう! 頑張ってるよ! でも追っても追っても捕まらない!!」
「なんなのよ……なんなのよもう!
「意味不明! 理解不能! こいつらチートなうぅ!!」
「こっち来ないでよキモい!! ばっ、バカバカバカ!!」
「「いやあああぁぁぁ!!!」」
下鳥「っ……! 急ぐわよ!」
橋谷「はっ、はいぃ!」
優梨は走るスピードを早める為に履いていたハイヒールのヒールを折り、
少しでも早さの向上に務めた。 俐樹は優梨に必死でついていく。
利奈は持ち前の早さで走る優梨の真横まで来ると、ある事を提案しだした。
上田「私が先に行って様子を見てくる!」
橋谷「さ、先に?」
下鳥「……なるほどねぇ? わかったわ、行ってきなさい!」
利奈は優梨の指示にうなづくと、行く先にしっかりと目線を向け、
手に赤色の魔力を込めて魔法を放つ!
上田「アヴィオン!」
作られたのは赤々とした棍の箒。
利奈が手放し軽く飛ぶなら、それは利奈を乗せて宙へと旅立った。
橋谷「わっ、早……早いよ!」
下鳥「あの子は力は無いけど早さはあるの。 あの位、利奈にとっては余裕の範囲ね」
利奈が急いで向かった先、そこには異形しかいなかった。
先程まで断末魔を上げていた魔法少女の姿が見当たらない。
異形……魔法少女の代わりに存在する、それは使い魔と呼ぶべき魔女に仕えるモノ。
姿形は魔法少女を象るものの、その異常さは肌の色を見れば明らか。
無機質なモノクロは感情のないピエロの仮面のように微笑んだ。
居場所の使い魔、役割は虚像。
空を飛びながら様子を伺う利奈だったが、周りの景色は赤と青と白の金織桜文様……
空間の赤に混じり、見つかりずらいという都合の良さを生んだ。
真下に見えるとある柱の影。位置的には……利奈の下辺り、
使い魔とはちょっと近いかなと思うくらいのの程よい距離。
下鳥「さすが利奈ね、上手いこと紛れてるじゃない。
いざとなったら逃げることもできそうだし、やっぱり戦歴が違うとその手際も変わるものね」
ぜぇぜぇと息切れする俐樹、優梨は腕を捕ませて背中をさすった。
目を閉じて明後日の方向を眺めている、どうやら念話に集中しているようだ。
使い魔達はしてやったりと言った様子ではしゃぎまくり、
木材と材木をこするような音でキュキュキュっと笑いながら1人1人……いや1匹1匹?
それぞれの鏡の柱の周りでくるくると喜ぶように舞い踊ると、鏡の柱の中へと入って行った。
ちょっとの時間が立ち、遠くの方から何かの気配・・・と言っても、普通に花組の魔法使いだが。
その人数は少なめ、ほとんどが嫌々やってる係の生徒か好きでやってる部活の生徒。
上田「あっ、来た! 誰が来たんだろ」
人数確認と人物把握、2つの目的を持って空中の滑空を再開しようとした利奈だったが……
滑空中にちらりと向けた視線の先、ズボン姿の利奈を映し出していた鏡の柱。
その中の彼女が……にんまりと、笑った。
利奈に驚く暇も与えず、それは攻撃を棍で仕掛けてきた。
利奈の対応は早く、速攻で防いで弾いた。
その後も彼女の猛攻は続く、キュキュキュっと愉快に笑いながらその棍を振るいに振るった。
いつのまにやら肌の色はモノクロに変わってしまい、
それは本物との違いの差を見せつけるかのよう。
・・・次の
上田「っ・・・! 何これ、すごく強い! どういうこと? 見切られまくってるじゃん!」
ハチべぇ「どうやら今回の使い魔は相手を『真似る』事ができる能力があるみたいだね」
上田「うそ、キリが無いって事!?」
ハチべぇ「わけがわからないよ、それはあり得ない。
使い魔にしてここまで優れた能力を持っているんだ、
その代償としてなにかしらの明白な弱点が存在するはずだよ」
上田「使い魔にも『弱点』があるの?」
ハチべぇ「今回の魔女は結界の構造からしてもかなり特殊な法則で築かれていると言える、
使い魔にも、その特殊な法則が適応すると思うね」
上田「う、今はちょっと深いことを考える余裕はないんだよなぁ・・・
ごめんハチべぇ、今はこの私じゃない私との戦いに集中させてね!」
一方、優梨と俐樹はというと・・・あらら、こちらにも使い魔。
双方が黄緑のバックアップを受けながら紫が鞭を片手に舞う。
橋谷「だっ、大丈夫ですか!? 今回復の蜜を作るから」
下鳥「その必要は無いわ、ちょっと苦戦しているだけよ。
・・・面倒ね、これならあの子達も苦戦するのも無理ないわ。
こんなのまともに戦っても勝てる可能性が低い」
橋谷「そっ、そんな・・・!」
下鳥「でもあきらめる理由にはならない、
優梨が鞭を振りかぶり強い打撃を仕掛けるなら、
優梨を微妙に模した使い魔はそれをかわしカウンター。
さらにそれをかわして優梨は再度攻撃を仕掛ける・・・さっきからこんな状態が続いているのだ。
この使い魔の役割は虚像、移す姿は対象と全く同じ。
やっかいなのがその性質さえも真似してしまうことだ。
まぁ、今の俐樹と黄緑のような失敗例もあるが。
双方戦うことなく、後ろの方で植木鉢とにらめっこ。
橋谷「でっ、できました! これを周囲に撒けばセラピー効果でこっち側だけ戦いがより有利に」
そう言って俐樹は優梨の元へと近づいた。 当然、向こうの黄緑も紫に近寄ってくる。
・・・問題は、その先だった。
黄緑が不気味な程に元から笑っていた仮面のような顔を
にんまりと歪めたのなら、その手に大切そうに持っていた
可愛げな植木鉢を・・・俐樹へとおもいっきり投げつけた!
下鳥「!?っ、俐樹!!」
橋谷「・・・え?」
俐樹は自分の魔法を起こすきっかけともなる
その大切な植木鉢を投げるなんてことは 絶 対 に しない。
この使い魔のあまりに変化球な不意打ちに対応できなかった。
使い魔の投げた植木鉢は俐樹の頭めがけ・・・
月村「第五章! 嵐の巻「突風」! 対象は物体!」
吹気「紙吹雪クラシック
空野「荒れ狂う風よ! 少女を襲う陶器を吹き飛ばせ!」
橙に翡翠に天色・・・3つのとっさの風の魔法は一体となり、
俐樹の目の前までせまっていた植木鉢を吹き飛ばした!
植木鉢が吹っ飛んだ先、鏡の柱にはでかでかとしたヒビが入る。
ぶつかった植木鉢は言うまでもなく陶器の残骸と化す。
橋谷「ふ、ふぇうぇ・・・」
空野「大丈夫?」
大けがをする自分を脳裏に見てしまったのか、
俐樹はその場にへなへなとへたりこんでしまった。
八雲は優しく彼女を再び立ち上がらせてあげる。
ふむ、若干ひどい言い方だがさすがは《女々しさ》。
自分がそれっぽい影響もあって女の子の扱いをわかっている。
・・・深くは言わないでおこう、いろいろとややこしい事になりそうだ。
今重要なのは状況、この使い魔・・・ただの虚像というわけではないらしい。
一瞬優梨は安心した様子を見せたが、すぐに自らの偽物に向き合った。
下鳥「遅かったじゃない! この2匹は私が受け持つから、
人より頭の回るあなたたちは突破口を探しなさい!」
吹気「突破口・・・あぁ弱点ね、探してみるよ」
風香はあっさり優梨の要求をのむと、目星を周囲を見渡し始める。
だが、芹香は素直に『yes』とは言わなかった。
魔法で俐樹の代わりに黄緑と戦いながら、戦う優梨に声をかける。
まぁ戦うと言ってもそれは戦闘に不向きな俐樹の模倣、
芹香の多種多様な魔法の前には手も足も出ない。
この弱さ加減・・・きっと俐樹だったら互角だったろう。
月村「待ちなさい! 1人だなんて無茶よ、何を言ってるの!?」
下鳥「・・・あら、探さないの?」
月村「無茶よ! あなたも念話でわかってるでしょう?
他の魔法使い達は迷子、この状況からしてもっと使い魔は増える可能性は高い・・・っ!?」
不意に飛んでくるモノクロの鞭状のなにか。
芹香はかわすが、意識がそれて魔法が切れてしまった。
攻撃が来た方を見るなら、使い魔はその本性を現していた。
そう、この使い魔は
おそらくこの体質で身長や体型を変えたりしていたのだろう、
こんな狂った世界観だろうが、結局はここも現実・・・仕組みは何とも合理的だ。
下鳥「本性を現しても私と類似? 腹立つ正体しているじゃない」
月村「のんきな事言ってる場合? 根拠も無いのによく気楽でいられるわね!」
人を模倣していたはずの黄緑は、もはや人とは思えない姿だった。
木材をこすっていたような笑い声も木材を削るような声に悪化し、
伸びた腕をぶんぶんと辺りに振り回し散らして芹香ににじり寄る。
下鳥「あら、なんの考えもなく動いてるとでも思っているのかしら?」
月村「そうよ、このレベルの使い魔相手に1人で挑むなんて、勝算が無いわ」
こんな状況下でも、いつもの冷ためな発言が炸裂する。
芹香の言うことは確かな正論だ、彼女が求めるのはきっと確実だろう。
・・・だからこそ、優梨はこれに口を出す。
下鳥「・・・利奈よりも結果に囚われているね、かわいそうな子」
月村「なんですって?」
芹香の怒りのゲージは一瞬メーター振り切ったが、
それは優梨の背後に迫る紫の不意打ちによって暴発を免れた。
月村「ぁ、危ない! 第三章」
呪文を唱えようとした芹香だったが、言い切る前にそれはよろめいた。
脳が理解したのは鋭い音・・・どうやらよろめきの要因は優梨にあるようで、
優梨はよろめいた隙を突いて思いっきり蹴り飛ばした!
柔らかな身体に容赦ない蹴りが刺さるように深々をめり込み、
いっぱいまで引っ張られて解放されたゴムのような勢いですっ飛んで行く。
月村「どう・・・やったの!? 今の、あなたの利き手の反対だったわよね?」
芹香は驚愕を隠せない、それは本来ならばあり得ない対応。
下鳥「少し、利奈の真似事をしてみようと思っただけよ。
今私たちに危害を加えようと企んでいる使い魔のようにね」
そう言って見せたのは
紫に追撃をするため、両手に持った鞭を床にたたきつけて気合いを入れる。
月村「二本流ですって? でも情報ではそんなの・・・」
下鳥「何があったかは知らないけど、データに囚われて肝心な事を
思いつかなかったらその恵まれた頭の良さも水の泡になるわよ?」
月村「・・・まるで私のことを詳しく知ってるみたいに話すのね?
そこまで、私とあなたは深い面識は無かったっはずだけど」
下鳥「もちろん、深い面識も無いし深い理由もないわ。
でも、あなたとは楽しく会話ができそうね。 また今度お茶でもしましょ」
それを言い切ると、優梨は使い魔の方へ走り出していった。
利き手の鞭は反応の鈍い黄緑を捉えてともに紫の方に投げつける。
結果? 当然使い魔同士激突だ、痛い痛い。
月村「・・・・・・」
判断を、誤った・・・彼女を、甘く見ていた。
芹香の頭の中にはその考えがぐるぐると渦巻く。
不真面目側だったとしても、優梨はすべてわかっていたのだ。
俐樹の植木鉢からわかる『一度模したらそこから発展できない』ということも、
自分が優梨の事を周辺の生半可な不真面目達と同価値に見ていたことも。
月村「・・・世の中、結果が全てよ」
なにか思い出してしまいそうな様子の芹香だったが、
辞書の確認でその記憶を再度無意識の中に沈めた。
ふと上空と見上げた先、そこからわかるのは物事の進展。
戦況はだんだんと、それは確実に、魔法使い達の優勢へと反転してゆく。
月村「急ごう、ここで無駄なことを考えてても仕方ない」
その口調は、どこか自身への言い聞かせ。
月村「第五章! 嵐の巻『飛行』! 対象は自身!」
利奈がいるはずの上空へと飛んでいく芹香、今までより増した早さはまるで逃走。
少し時を戻して一方利奈、こちらでは
空を滑空しながら同系統の棍の乱舞で終わりの見えない・・・
継続が永遠にも思えた相殺を繰り返していたのだが、
なんのきっかけもなく、利奈を微妙に模した使い魔の全体にヒビが入った。
そのヒビの激しい入り方・・・まるで強化ガラスに
石でも投げ込んだが如く、ビシィッと蜘蛛の巣状に。
使い魔は木材を無理矢理折ったような断末魔をあげた。
その痛がる隙を利奈が逃すはずもない。
上田「やあああっ!!」
使い魔の攻撃をかわしたなら、横殴りに棍を振りかぶる。
伸縮性のある使い魔は最初はその性質を生かしてなんとか耐えたが、
その性質は全てにおいて良い影響を及ぼすというわけでは無いらしく、
逆に風船のようにボンっと破裂してしまった。
この使い魔は性質に殺されたと言っても過言では無い。
上田「倒し・・・た、あれ?」
ハチべぇ「利奈! あそこを見て!」
ハチべぇがその小さな手を差し出す先・・・
その先では1本の鏡の柱が粉々に割れて崩れ落ちて行くのが見えた。
上田「鏡の柱が崩れていく・・・」
利奈は少し考え込むような仕草を見せたが、すぐにハッとなった。
ハチべぇ「なにかわかったようだね」
上田「うん、多分これが使い魔の『弱点』だと思う」
ハチべぇ「なら、それを試してみるといい。
君の思考は、どうやら間に合ったようみたいだからね」
ハチべぇが周囲を見渡すなら、周囲には別の魔法使いを模した使い魔が迫っていた。
本来、倒されることを想定されていなかったのを倒されたのだ。
そりゃあ・・・当然魔女に気に入られてしまうわけで。
ハチべぇ「利奈、使い魔が来るよ!」
上田「りょーかい! もうまねっこされる心配もなさそうだし、
この辺でそろそろ本気を出していくよ!!
アンヴォカシオン!!」
自身の模倣は終わりを告げた・・・となれば、残されたのは他人の模倣。
もう鏡の前で踊り狂うなんてふざけたまねはしなくていいのだ。
その両手にいつものように棍を構えると、
鏡の柱に捕まって乗り移りながら迫る使い魔を待ち構える。
このまま1人で使い魔を倒してしまおうと思ったらしいが、
月村「第2章! 滝の巻『凍結』! 対象は使い魔!」
その内の数体が橙色の冷風に包まれたかと思うと、
瞬時に凍り付いてその腕は折れてそのまま落下してしまった。
利奈が隣を見るなら、そこにはよく見知れた魔法少女がいた。
彼女は飛行魔法にも慣れたらしく、本を抱えなくとも宙に浮く。
上田「芹香!? ・・・あ、そっか。 芹香って役員だったもんね。
優梨が増援って言っていたけど、芹香もその中にいたんだね」
月村「私の事情はいいのよ、今は目の前の使い魔に集中しなさい」
上田「りょーかい!」
そうして2人は出揃った、暖かで似た色の魔法少女が。
まぁこの2人なら大丈夫だろう、この2人程魔法の性質が合うペアはない。
ここに緑が混ざればそれはもう最強形態といえるのだが・・・今は仕方ない。
気合い入れていこう! 本番はこれからだ!
上田「ゲーム、スタート!」
一方俐樹、優梨と同じような優しい人を見つけて
なんだか精神が安定してきたような様子だ。
風香と八雲の2人に連れられて、結界内を頑張って探索。
空野「大丈夫? そろそろ辛くなる頃じゃないかい?」
橋谷「大丈・・・夫、だいぶのに慣れてきたから」
吹気「大丈夫じゃなさそうに見えるんだけど、止まれないけど歩こう」
橋谷「う・・・うん。 ごめんなさい、私のせいで・・・」
空野「謝る必要は無いよ、体が弱いんでしょう?」
俐樹はそれに答えることができなかった。
申し訳なさで頭に胸に、いっぱいいっぱいで言葉が詰まる。
相変わらず、鏡の柱が写す景色はおかしな自分。
時には服だったり身体だったり、性別が反転しているモノもあった。
その時の八雲子の違和感の無さといったら笑うしかない。
ふと、利奈を捕獲する組からはぐれたドジっ子が
早速3人の内の誰かを模して襲いかかってきた。
・・・よりにもよって八雲子の姿だったようだが。
空野「あっ、あああ荒れ狂う風よ吹き飛ばせええええええええ!!!」
吹気「紙吹雪クラシ・・・ってちょっと、吹き飛んじゃったじゃない」
赤面で八雲子を吹っ飛ばす八雲、風香の出した紙吹雪も無意味なほどに
遠くの方へと吹き飛んでしまった。 俐樹は・・・ただ褒めた。
橋谷「・・・に、似合ってましたよ」
精一杯の褒め言葉、八雲にとっては複雑な気分。
そんな魔女戦では珍しい柔らかなハプニングの中、
ふと俐樹が目を向けた先の柱・・・違和感が激しい。
何故って、その鏡の柱に写る姿は
橋谷「あ・・・あぁあぁ!?」
なにかは移るだろうという固定概念、驚きのあまり変な声が出る。
空野「どうしたんだ・・・うわっ!? なんだこれ!?」
吹気「・・・よくわからない、どうしてこれだけ普通の鏡なんだろ?」
下鳥「なるほどね、そこに魔女への続く道があると見て間違いないわね」
不意にする声、そこにはボロボロになった優梨がいた。
腕や服についたガラス片を魔法で取り除く辺り、
どうやら使い魔無敵のトリックに自分で気がついたようだ。
空野「下鳥さん!? あれ、あの下鳥さんそっくりなのは・・・」
下鳥「俐樹のニセモノごと柱にたたきつけてやったわ。
私のニセモノは倒せたけど、俐樹のニセモノは倒せなかったから
適当にその辺に建っていた鏡の柱にくくりつけておいたわよ」
吹気(・・・この人、やっぱりが違いすぎる・・・)
ボロボロになろうがけろっとしている優梨に2人は驚き気味だが、
俐樹は特にその風格に威圧されることもなく質問を出す。
橋谷「この中に、魔女に続く扉があるの優梨さ・・・優梨」
少しうつむき気味な質問の仕方だが、地味は肝が据わっている。
何故こんな弱々しい子がこんな強い精神を持っているのか・・・
まぁ、それは今考えるべき事柄ではない。 優梨は感心をして答えた。
下鳥「そうね、魔力の量も特にこの柱から来てるのが一番多いし、
まずこの中に魔女に続く道があると思って間違いないわ。
みんな集まってから開けたいところだけど・・・
あら、ちょうどみんな集まってきたようね」
まずは暖色ペア、芹香は休憩もかねて利奈の後ろに乗せてもらっている。
月村「利奈、あなた結局全部倒しきったわね・・・
いつもあのくらいの量を倒しているの?」
上田「あれは多い方かな、いつもはあれよりちょっと少ない位」
月村「あなたのその体力はどこからきているのかしらね」
上田「う~~ん、ソロ狩?」
月村「今のは皮肉よ、そのくらいわかるようになりなさい」
その他大勢、何人か使い魔の猛攻に遭っていたようで
遅れた原因として成立するし合点がいく。
・・・中には本当に道に迷っていたバカもいたようだが。
まぁこれで全員そろった訳だ、これで次のステージへ行ける。
下鳥「問題はどうやって中の扉をおおっぴらにするかね、
どうやって開けようかしら「私がやるわ」・・・あら?」
手を挙げたのは芹香だった、顔のある高さの軽い挙手。
早速辞書を開き、そこから2枚のページを取り出す。
月村「今のあなたのように物理的な手段を取って、
ガラスの破片をかぶるようなまねはしたくないもの。
ここは、私が中を明らかにするわ」
上田「芹香・・・?」
利奈は一瞬の違和感を感じた。 まぁ違和感にとどまってしまったようだが。
明白な芹香のライバル視・・・優梨は優雅にほほえみ動じない。
下鳥「あなたならそれができるのね、やってみなさい」
今の命令形が気にくわないようだが、
それは魔法を行わない理由にはならない。
月村「第4章地の巻『崩落』! 第5章嵐の巻『移動』! 混合、『分解』!!」
通常の約2倍の魔力が詰まって放たれた魔法は、
対象とした鏡の柱を1枚1枚の小さな鏡に変換し、
隠されていたその中を明らかにしていく・・・
全てが変換されたとき、目の前に現れたのは扉だった。
材質は桜の木・・・せっかくのきれいな木目もごてごてのペンキで台無しだ。
黒く焼かれて刻まれるのは見たことない文字・・・
こんなでたらめ、やっぱり読むことはできない。
上田「やっぱり、なんて書いてるのかまったく読めな」
*★*:;;;;;:*★*:;;;;;:*私を、忘れないで。*:;;;;;:*★*:;;;;;:*★*
不意に感じ取ったのは、謎の言葉。 それは念話とは言えない異質なモノ。
何故か、それは扉に長々と刻まれた文字の事であるとわかる・・・ 何 故 ?
上田「・・・え、誰? 『私を忘れないで』って誰が言ったの?」
月村「誰も何も言っていないわよ、空耳じゃないの?」
橋谷「それは・・・桜の花言葉ですか? フランスのなんてよく知ってるね」
上田「フランスの花言葉なんだ」
よく考えれば、この空間は赤と青と白の金織桜文様。
・・・それが、魔女の真意だろうか? 狂気の中に眠る
下鳥「なんだか不思議な話だけど、今は魔女の目の前よ。
気になるのもわかるけど、ここは校内・・・その話は後回しにしましょう」
空野「・・・あ、そういえばここ学校だ! 早く救わないと」
吹気「魔法使いじゃない生徒や先生が入るのも時間の問題って事か」
上田「そうだ・・・ね、早く魔女を救いに行かなきゃ」
なんか思いっきり気になる疑問が生まれてしまった気がするが・・・
まぁ、今は目の前にある魔女に集中すべきだ。
全員それぞれの魔法の特性にあった順番に並ぶと、
先頭を名乗り出た利奈は木製のドアノブを回してゆっくりと開いた。
扉に触れればなにかがわかるとも思ったが、そんなこともなかった。
扉の向こうはそこら中に家具が並び、木の香りが鼻をくすぐる。
まるでログハウスの中で昼寝でもしているようだ。
いよいよ魔女と対峙するというのに気になることがある。
・・・『明らかに悪役な2人の魔法使いの行方』だ、彼女らは無事だろうか?
どっちにしろ、今回も簡単にはいかなそうな雰囲気・・・
気を引き締めて行け、魔法使い。 魔女を救え、魔法使い。
黒い魔力に囚われた魔法少女を救え! 花組の魔法使い!
………………………………
次回、
下鳥「十分よ、良いタイミングだったわね」
上田「・・・っあ!? しまった!」
月村「構わ・・・ない、で! 戦いに集中・・・なさい!!」
「不意打ちねぇ・・・ずいぶんとふざけた真似してくれるじゃねぇか」
〜終……(21)無意味な身代わり[後編]〜
〜次……(22)猫だましと傷だらけの魂〜
魔法使いは運命に沿う。
『魔法使いは運命に沿う』・・・・・・っと、今回はここまでかな。
次はいよいよ魔女戦か、例のアレ仕上げなきゃなぁw
・・・およ? ここまで来たということはうえマギ20話を
最後まで読んでくれたということでしょうか、ありがとです。
まずいつもの後書きに入る前に、イラストと1枚ペタっと。
【挿絵表示】
ふむ、太い油性ペンの線もどっしりしていて味わいがある、
体力が無い時はこのスタイルで描けばかなり楽ですね。
鉛筆のみで描くのとは色彩が違いますからね!(細部描けない^q^
あと使い魔にとっつかまった魔法少女も描いてみましたよ。
こっちは本格的に描いたので、使い魔との比較にどうぞ。
【挿絵表示】
・・・えぇ、わざとダサめな格好になるように描きましたとも。
決して企画も立てず当てずっぽうに描いた訳ではゴッフォ(吐血
皆さんはきちんと構図を決めてから描きましょうね、特に着色^q^;
ここでちらっと『原作にないタイプ』の結界について話しますか。
原作やうえマギの今までの結界はいわゆる『先に進めばゴール』でした。
まぁ使い魔倒しながら先に進めば扉がハローするわけですね。
なんと単純で明確かつ、わかりやすい構造。
一方私が創った今回の結界・・・『条件でゴール』とでも言いますかね?
この法則で出来た結界は、ただ先に進むだけでは扉に辿り着けない。
少々というか、かなりやっかいな物になっていますね。
原作や色々なまどマギ二次創作作品を見てきましたが、
このタイプの魔女の結界は見た感じなかったですね。
や っ た ぜ 。 私が第一人者ですよ!(誰も見ませんが^q^
・・・くだらないドヤ発言を無視して、最後は雑談で終わりましょうか。
最近『笑いながら涙を流す』『ニコニコしながら裏で怒る』・・・
といった感じで、なんか感情と表情が一致しないですw
久々にこんなの自分じゃないって思いましたよ、オッカナイ。
皆さんは『感情と表情が一致しない』なんて事あります?
まぁ、働いたりとかしたら作り笑いの機会とか増えそうですが。
なんとも怖い物で・・・特に意味もわからず泣くのが一番恐ろしい。
だって、泣いてる理由がわからないんですよ?
止めようにも起こってる理由がわからないから、止めようがない。
この時こそ作り笑いが虚しくなる瞬間は無いでしょう・・・なんと悲しい。
みなさんは自分の感情に正直でいてくださいね、
『自分に嘘をつく』というのは・・・かなり辛い所がある。
・・・・・・w なんか、しんみりした空気になってゴメンネ。
居場所の魔女戦自体はもう書き終わっているので、
次回はもう少し早く投稿できるように努力します。
自分ストック制なのでね、このやり方だと話が組みやすくて便利。
いざというときに早め投稿出来る!(もう1回分しかないですがw
それでは皆様、また次回。 次回もお楽しみに! です!!
サョォォ━。゚(゚´Д`●゚)゚。ナラァァ━ッ!!!!