魔法少女うえだ☆マギカ 希望を得る物語   作:ハピナ

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予約時間としてはおはよう、投稿時間としてはこんばんは。

ハーメルン活動の休み明けのハピナです、みなさんお久しぶりですね。

今回初めて予約投稿を利用しました、なんとも便利な機能。
今頃私は書き疲れて寝ているでしょう、上手く投稿できてるかな・・・

理由としましてはやはり『ハーメルンSS小説コンテスト』の集計。
量が多く時間がかかりそうなので、先に本編を書いちゃいました。

とある場所で4月1日に投稿すると宣言してまして、
嘘つくわけにもいかないのでこの形を取りました。

エイプリルフールだから許される? なにをご冗談をw(自爆

起きてたら感想の返信でもしているんじゃないですかね?
休み中だったとはいえ、放置してしまったのは申し訳ない・・・

いつもの如く丁寧に書いていますよ、感想は嬉しいのでね。


真面目な話はこの辺にして前回の復習といきましょう。

芹香が大怪我をしてしまいましたが、そのとどめは彼女の魔法。

利奈は敵討ちを海里と共に果たし、魔女を救出することに成功しました。

今回は魔女を倒した直後から物語は再開することになります。

さて、この辺で久々に舞台の幕を上げるとしましょうか。


あぁ・・・このほこりっぽい感じの布質懐かしいなぁ・・・おっと失礼w
舞台は魔女の結界から解放されて、現実から始まります。



(22)闇の仕置きと六つ目の光

 

気がつくと、女子トイレに男女関係なく大量の人がいるなんて

普通じゃあり得ない状況が利奈の目に入ってきた。

 

焦げる匂いから解放されたのなら、まず一同は騒ぎ出した。

 

最初の作業は全員でその場から出る所から始まる、

主な目的は男子を女子トイレから追い出すことだ。

 

なんだかんだ言って、花組の魔法達はまだ14歳・・・

一部色々あってひん曲がってしまっている者もいるが、

所詮はまだ深いところまで知らない子供だ。

 

どたばたと一同が慌てたりしたが・・・時間が立てば落ち着くものだ。

 

 

時間が立って状況が落ち着いた頃、蹴太を除いたリュミエールが一旦集う。

 

月村「やたら落ち着きを払っているわね」

 

清水「こういうのは逆に騒ぐ方が意識してるってやつだろ。

・・・まぁ、この話はこの辺にしようぜ。 他に話すこともあるだろうしな」

 

篠田「利奈、すごい爆風だったけど・・・大丈夫だった?」

 

上田「・・・・・・」

 

篠田「利奈? ・・・利奈っ!」

 

上田「え、うぇっ!? あ、ごめん・・・ちょっとボケっとしてた」

 

何を考えているのか・・・利奈はどこか上の空といった様子だ。

 

なにせまた助けられてしまったのだ、こうなるのも無理はない。

 

そうだろう? 抱かれて助けられるなんてこれで3回目。

 

さすがに恋愛に鈍感な彼女でも何とも思わないなんて事はないだろう。

まぁ、その感情の正体にはまだ気がつけないようだが。

 

 

一方、俐樹は変身を解いた後も優梨に守られていた。

やはり孵化前の状況を警戒してるのか・・・慎重なのに損はない。

 

優梨の手際は良い物で、彼女は魔女が崩壊をする最中から

鞭でソウルジェムとグリーフシードを先に回収していたのだ。

 

それを俐樹に両手でしっかり握るように指示し、彼女を守った。

 

しっかりとは言ったものの、俐樹は優しい者で強く握る事はなかった。

両手からは、ソウルジェム魂の暖かさとグリーフシードの冷たさが伝わる。

 

優梨もその優しさわかっていた、これも考慮して彼女を守った。

 

下鳥(・・・いない、あの子達どこにいったのかしら)

 

おそらく今回の魔女を孵化させたであろう《ご都合主義》の少女、

《笑い上戸》で楽しければ良いという発想の少女。

 

見た感じでこの2人がいなかった・・・逃げたのだろうか?

 

 

その頃リュミエールの方、落ち着くのが早かった海里は

男子トイレから飛び出して階段の方へ走っていく人影を見た。

 

清水「ちょ、待て!」

 

3人はそそくさと逃げるように階段を急いで下りていく

・・・こんな校内では魔法を使って引き留めることはできない。

 

さらにそれらが選んで降りた階段の先、目の前には職員室があるのだから。

 

普通に引き留めようにも、この小さめの人混み・・・

ご丁寧に近くにあった掃除用具の中身を散らして行く手を塞いでくる。

 

清水「・・・行っちまった、何であんなに慌ててたんだ?」

 

 

そんな逃走など知るはずもなく、優梨の護衛は終わりを迎えた。

 

俐樹がその手を開くなら、桜色のソウルジェムはキレイになっていた。

 

自分の魂が生み出したグリーフシードで浄化なんて普通じゃあり得ない・・・

まぁ、これも『ハチべぇシステム』だから成立する結果だと言えるだろう。

 

優梨は2つを守ってくれた俐樹にお礼を告げると、

抜け殻を抱き起こしてその手にソウルジェムを置いた。

 

すると、桜色のソウルジェムは淡い光を放ち

体を無くして眠っていた少女の意識を呼び起こした。

 

「・・・・・・ぅ」

 

橋谷「大丈夫・・・ですか?」

 

「・・・ぇ、俐樹ちゃん?」

 

少女は目を覚ますと、起き上がって辺りを見回した。

 

周囲ではボス級の魔女との戦闘を終えた魔法使い達。

ソウルジェムの浄化を行っていたり、少女を心配そうに見ていたりしている。

 

橋谷「よ、よかった……目を覚ましたようですね、

お体の方は「早く! 早く逃げよう!!」・・・え?」

 

「逃げよう俐樹ちゃん! もうこんなのダメだ、嫌だ! 嫌だ!!」

 

少女は何故か半パニック状態だ、俐樹の両肩を持って激しく揺さぶるが、

それは優梨の手によって止められた。 俐樹は揺さぶられてちょっと具合悪そう。

 

下鳥「落ち着きなさい、もう危ない状況じゃないわ」

 

「嫌、嫌! こんなのもう嫌!! 離して、離してえぇ!!」

 

下鳥「落ち着きなさい! 周りを良く見るの!」

 

「嫌・・・い、っはぁ・・・あ、ぁ・・・・・・」

 

いわゆる過呼吸という症状だろうか? 無駄な呼吸が目立つ。

呼吸の等間隔が極端に短く息の量も多く、とても苦しそうだ。

 

橋谷「え、えっと・・・簡素ですが、どうかこれを」

 

俐樹はコップをかたどった花を過呼吸な少女に差し出した。

その中には涼しげな香りの蜜が1カップほど入っている。

 

彼女は俐樹の事を知ってて信用していたのか、

拒否をすることなくその蜜をゆっくりと飲み始めた。

 

口の中には上品な甘さが広がり、鼻からは森林の香りが抜ける。

 

下鳥「ここじゃ人が多すぎるわね・・・場所を変えましょう」

 

 

最後に女子トイレから出てきたのはこの3人だった、

利奈が3人を心配し、慌てたように様子を見にくる。

 

上田「優梨! 俐樹ちゃん!」

 

少女のパニックはすっかり治まって落ち着きを取り戻していたが、

我ここに在らずといった様子で完全な放心状態になっていた。

 

橋谷「し、心配させてごめんなさい……みんな、みんな無事です」

 

俐樹は蜜が飲み干されて空っぽになった花を受け取る所。

これと言った大きな怪我は無く、被害は少なく済んだらしい。

 

ふとしたところで優梨の念話、どうやら周囲に聞かれたくなかったらしい。

 

下鳥((今海里に頼んでリュミエール本部を借りたわよ。

話の続きはそこでしましょう、ここは人が多すぎるわ))

 

上田((話の続き?))

 

下鳥((今まで起こった事についてよ、俐樹やこの子についてのね。

誰が何を聞いているかもわからないこの状況……

こんな大勢の中で話すのはあまり好ましくないわね))

 

上田((あぁ、りょーかい))

 

ちょっとの時間が立つと、海里が4人の元へやってきた。

手には使用済みの居場所のグリーフシードが握られている、

どうやら浄化の分配が終わったようで3/4は穢れていた。

 

清水「待たせたな、とりあえず一通りの後始末は終わったぜ」

 

下鳥「おつかれさま、積極的なのは良い事ね」

 

上田「海里、芹香と絵莉ちゃんは……」

 

清水「2人なら無事だぞ、月村さんの治療も終わった。

窓際に座って2人とも休憩を取ってる所だ、安心していいぞ利奈」

 

上田「そうなんだ、絵莉ちゃんも芹香も元気そうで良かった」

 

2人の安否がわかった利奈はホッとした様子。

特に芹香は自分を庇って大怪我をしたのだ、それが1番心配だった。

 

清水「それじゃ、今日のところはこの辺で解散としようぜ!

俺らは場所を移動しようか、話したい事も聞きたい事もある」

 

皆海里の言葉に返事をすると、ねぎらいのおつかれとでも

言い合いながらそれぞれの日常の場に戻るだろう。

 

あぁ、部活組はダッシュで戻る。 ベースとなる魔法使いの身体は丈夫、

さらにスポーツ向け体力。 部活の続きに支障はないらしい。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

落ちかけた夕日を背に、魔法使いの集団は表通りを歩いて行った。

 

オレンジ色の空には灰色の雲が少し、行く先に伸びる影は夕暮れを示す。

 

大通りから路地裏へ、そこからちょっと進んだ先にその建物はあった。

 

 

橋谷「え、えっと・・・ほ、本当にここなんですか?

本部という雰囲気が全くに近い程無いのですが・・・」

 

周りの雰囲気に完全に溶け込んだボロ倉庫。

場所も合っている、確かにここがリュミエールの本部だ。

 

篠田「ここに間違いないよ! これでもキレイにした方なんだからね!」

清水「あんまり外観キレイにしたら目立つから程々だがな」

 

上田「・・・芹香、なんだかフラフラだけど大丈夫?」

 

月村「後遺症でも残ったんじゃないかしら、気にすることはないわ。

それよりも入りましょう、この場に留まっていても凍えるだけね」

 

下鳥「お言葉に甘えてお邪魔しましょうか。 ほら、あなたも入るわよ」

 

「・・・・・・」

 

相も変わらず放心状態、精神的疲労が大きいのか?

 

無心でずっと優梨にくっついている。

 

まるで《人懐っこい》子犬のようだ、怯えるようにすがって離さない。

 

とにもかくにも、一同はまず本部(倉庫)に入ることにした。

 

このままでは体を冷やしてしまう。

 

 

俐樹の提案で、軽い茶会を開くことになった・・・彼女が魔法でハーブ茶を入れるのだとか。

植物を枯らす魔法は使えないので、紅茶を入れる事は出来ないと彼女は言う。

 

茶菓子と言って利奈はシルクハットから紫がかった綿飴を取り出した。

割り箸程の大きさの棍を作り出して掬っていく・・・ちょっと、量が多くないか?

 

7人分をとってもまだ一部というのだから、すごい量だなと海里は笑ってしまう。

 

綿飴にハーブティーとかなりおかしな構成になってしまっているが、

俐樹が和菓子に合うハーブティーを選んでくれる。 なんと優秀なことか。

 

清水「なんだかんだいって救出することが出来たから万々歳だな」

 

武川「すっごい不気味だったからねぇ雰囲気、

事態が丸く収まったようでオイラも一安心!」

 

清水「・・・って、ちょっと待て! なんでお前がいるんだよ!?」

 

武川「ん? あぁ暇つぶし?」

清水「さすがに黙ってついて来るな! ストーカーかお前!」

 

武川「ごめんごめん! でもなんか暗い子がいたからさぁ?

笑わすのを宿命としてるオイラとしては見捨てることは出来!! ない!!」

 

ソファーの上で急に立って妙なポーズで決めた光だったが、

すぐさま優梨にソファーから降ろされてしまった。

 

下鳥「 静 か に し ま し ょ う ね ? 」

武川「ハイ」

 

一通りのコントを見届けた彼女・・・思わず笑い出してしまう。

 

それを見て、利奈は少女に言葉を投げかけた。

 

上田「良かった、笑えるならもう大丈夫だと思うよ」

 

少女はハっとして自身の顔を触り、先程よりは緩んだ表情になる。

 

橋谷「ど、どうぞ」

 

俐樹はちょっとびっくりしちゃった様子かな、それでもお茶は出すらしい。

 

光がようやく落ち着いたところで利奈も綿菓子を差し出した、タイミング良し。

 

 

「・・・ふはぁ! ごちそうさまぁ、すごくおいしかったぁ!」

 

茶会が終わる頃、少女は笑顔も押さえられない程に明るくなっていた。

気持ちの暗さで青かった顔色も、今となれば火照るように赤い。

 

海里が説明を求めると、彼女は語尾が滑るような口調で話し始めた。

 

根岸「私は根岸(ねぎし)知己(ともみ)、助けてくれてありがとぉ!」

 

橋谷「良かったですね、トモちゃんすっかり元気ですよ」

 

上田「あれ? 2人は知り合いなの?」

 

利奈が見た様子、2人に面識は無いと思っていたが・・・そうでもないらしい。

 

根岸「そうだよぉ、ちょっとある事で知り合ってねぇ・・・」

 

()()()・・・そう言った知己はまた、暗くなってしまった。

俐樹が「今は大丈夫ですよ」と言って震える背中をさする。

 

下鳥「・・・『量産』、ね」

 

根岸「!!」

 

月村「ちょっと、いくらなんでも直球過ぎじゃないの?

これから話を聞こうって時に怖がらせても意味はないわ」

 

キツめな口調で芹香は口を挟むが、優梨はそれでも揺らがなかった。

 

下鳥「軽い気持ちで言ってる訳ないじゃないわ、

私はこの目でトラウマになるほどのその残酷な光景を見たの。

 

確かに私達の助けは必要になってくるわ、でも・・・

それは本人が克服出来なきゃ意味が無いと思うの」

 

月村「そんなのもっと後で良いでしょ、またいつか話せばいいわ」

 

下鳥「()()()っていつなの? 先延ばしにしても解決しないわよ」

 

月村「・・・・・・」

 

2人の意見のぶつかりで空気が重くなってしまったが、

それを利奈の天然がぶち壊す。 良タイミング、ナイス天然。

 

上田「・・・だっ、大丈、大丈夫! 何があっても私達が守る!!」

 

話すのが得意でない利奈はだいぶ言葉が詰まったようだが、

その誠意は伝わったようで知己の震えは止まった。

 

 

膝に置いた拳は制服のスカートを握りしめてしわを作る・・・恐る恐る話し出す。

 

根岸「私の口からはぁ・・・言えないぃ、立場的に言えないぃ!」

 

必死なまでの知己の叫び、ふと・・・利奈は頭の片隅にその言葉が引っかかる。

 

上田「立場的に・・・? あれ、どこかで聞いたような・・・

う~~ん、ごめん! ちょっとした事なのか思い出せないや」

 

篠田「今すぐ思い出せないなら仕方ないよ、ゆっくり思い出せば良いと思う!」

 

上田「うん、ごめんね。 ちょっと考えてみるよ」

 

そう言って利奈は考え込んでしまった、思い出すために過去を辿る。

 

 

根岸「話すなら、俐樹ちゃんから話して欲しい。

俐樹ちゃんならアレ、かけられてないから」

 

下鳥「『アレ』? それって一体なんの事かしら?」

 

俐樹は少し悩むような様子を見せたが、一呼吸おいて・・・一言、言った。

 

 

橋谷「・・・こっ、この先は、絶対に他言無用です。

下手をしたら私達の・・・命に、関わります。 冗談ではありません」

 

 

命と言ったぞこの子!? 生命が関わるとなると事態は大事になってくる。

 

捉え方を間違えれば大げさにも聞こえるその言葉・・・どうやら本気らしい。

 

清水「信用していいぜ。 ここにいるメンバーは今まで、1度も、

秘密事項とかを周囲、他の魔法使いにバラしたことはないからな」

 

じゃなかったらソウルジェムの魔女・魔男の探知機能だってバレている。

 

俐樹はリュミエール一同を信用したようで、そのまま話を続けた。

 

橋谷「あまり、多くは話すことは出来ませんが・・・」

 

 

俐樹はゆっくりと1つ1つ、物事を一同に話し始めた。

 

知己の安否も考えて話す事は限られてしまったが、情報としては十分だろう。

 

俐樹が話したのは2つの事・・・・・・

 

 

橋谷「私は負担が大きすぎる為、逃れることは出来ましたが・・・

トモちゃんは一種の『呪い』をかけられてしまっているんです」

 

篠田「『呪い』・・・? なんか物騒だね」

 

月村「物騒という言葉だけじゃ説明にならないわね、どんな呪いなの?」

 

俐樹が知己の方を見たのなら、知己は片目のコンタクトを外した。

そのコンタクトはやたら色が濃い・・・とてもおしゃれ用には見えない。

 

・・・外した元の目、その色。 一同は驚愕するだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の片目は()()()()()()になっており、()()()()()()になっていたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上田「それ・・・って・・・!」

 

一番驚いたのは利奈だった、彼女はそれを聞いただけでなく見ているのだから。

 

橋谷「・・・・・・え? 皆さん知っていたんですか?」

 

武川「オイラには何が何だかさっぱりなんだけど」

 

清水「そりゃそうだ、リュミエールの間でしか知られていない情報だからな」

 

思い返されるのは気まぐれな少年、黒猫の姿に擬態をしていた少年。

 

警告をしてくれた少年・・・響夏の目、魔法で本当の見た目を隠していたが、

彼の片目は確かに、今の知己と同じような色をしていたのだ。

 

そこからわかる事実・・・・・・どうやら2人の口から語らずとも、

今、特に問題となっている事柄の一部が明らかになったようだ。

 

 

下鳥「『星屑の天の川』・・・ね、あなたに呪いをかけたのは」

 

 

それを聞いた俐樹はギクッとトラウマでも思い出したような恐怖の表情、

知己は「今はいないから大丈夫だよ」と俐樹に声をかけた。

 

根岸「ごめんねぇ俐樹ちゃん、無理に話す事は無いのよぉ」

 

橋谷「・・・ぃ、いいえ! 言わずに気がついてもらえたなら、一番いい形です」

 

完全に俐樹の声が震えているが、彼女はまだ続きを話す気でいるらしい。

 

 

月村「その様子だと、()()()()()が呪い発動の条件のようね」

 

 

俐樹はゆっくりと頷いた、頷くことしか出来なかった。

 

下鳥「ごめんなさいね、辛い事思い出させて・・・心苦しいでしょう?」

 

そんな言葉が俐樹の支え・・・今まで投げかけられたことが少なかったのか、

通常より彼女の場合は何倍にも膨れあがっていると考えられるだろう。

 

どうやら、芹香の言ったことが正しいという解釈で良いらしい。

 

上田「・・・あぁ! そっか、軽沢さんが『星屑の天の川』だからか!」

 

清水「ってことは、響夏にも呪いがかけられているって事になるな」

 

となると、このチーム関係者には全員かどうかは根拠が無いが・・・

少なくとも大半はこの呪いがかけられてるという事になる。

 

橋谷「こ、効果については・・・ごめん、なさい・・・話せません」

 

 

・・・どうやら『呪い』について聞き出せるのはこの位のようだ。

 

それでも十分な情報量、よくぞ頑張って話してくれた。

 

 

武川「・・・もう、オイラ置いてけぼりじゃないか」

 

篠田「あはは・・・あたしがわからないとこ教えたげるよ」

 

武川「おぉ! 助かる絵莉!」

 

相変わらずこの2人は仲が良い、双方協力して話についていく。

 

 

『呪い』の話はこれ以上話せないので、話を『量産』の話に変える。

 

 

話すのも辛そうな俐樹だが、それでも彼女は話すのをやめなかった。

 

 

量産・・・それは、グリーフシードを生み出す機械的な手段。

 

彼女の話を聞く限り、『花の闇』と呼ばれる量産に関わる魔法使い・・・

その中にどういう事か()()()()()魔法が使える者がいるらしい。

 

残酷なことに、それがどういった魔法なのかはわかっていない。

 

その魔法を使用して強制的に孵化をさせ、魔女や魔男としての姿を得る前に討伐。

 

これを数回行うことで、ソウルジェムが穢れやすくなるというのだ。

 

この状態のソウルジェムを何度も何度も孵化させ、これを討伐。

 

それによって多数のグリーフシードを作り出す・・・これが量産だ。

 

同じ人物を絶望させるから同型のグリーフシードが存在してしまう・・・

『被る黒』、その正体は『量産型グリーフシード』だったという訳か。

 

 

一連の話が終わったなら・・・不穏な空気が本部の室内を支配するだろう。

 

それを突破したのは海里の怒り、目の前の小さな机を拳で力任せに叩いた。

 

清水「・・・正気じゃねぇ、なんでそんな事が出来るんだ」

 

上田「本当にごめんなさい・・・情報提供とはいえ、こんな事1お言わせるなんて・・・」

 

利奈は心から申し訳なさそうな様子で俐樹に謝ったが、

俐樹の顔はほほえみを取り戻していた。 何故こんな表情をしているのだろう?

 

橋谷「ぃ、いえ! 本当は誰にも話すこともなく

お墓まで持って行こうとしていた話だったんです!

でも、話せて良かったです。 味方なんていないって思ってたの、に」

 

まだ話そうとしたらしいが、ぽろぽろとこぼれる涙に遮られてしまう。

 

知己は俐樹に泣かないでと声をかけてポケットティッシュを差し出した。

 

 

さて、この後行われたのは魔法使いの対策会議・・・2人をどう守るかの会議だ。

 

本当なら『星屑の天の川』をどうするかの話をしたいが、

あるのは状況証拠だけ、何かをするには証拠が足りなすぎる。

 

現状で出来ることと言えば『攻』ではなく、『守』が妥当だろう。

 

橋谷「トモちゃんはもう大丈夫だと思います」

 

根岸「・・・えっ?」

 

下鳥「あら、どうしてそう思うのかしら?」

 

橋谷「き、聞いたんです! 私、聞いたんです!

「知己はもう限界だな」って言ってたのを・・・聞いたんです。

だからトモちゃん、もうあの人達に怯えて過ごさなくて良いんですよ」

 

根岸「でもぉ・・・俐樹ちゃんはぁ・・・」

 

橋谷「だっ、大・・・大丈夫です!! 私の事は気にしないで下さい」

 

根岸「・・・・・・俐樹、ちゃん」

 

俐樹の笑みはあまりにも切なく・・・悲しい、無理をしているようにも見える。

 

その時、利奈はあることを思いついた。 それはふとした単純な思いつき。

 

海里に念話で相談してみるなら、返ってきた返事は褒め言葉。

 

清水((俺は良いぜ、きっとその子も喜ぶんじゃないか? 言ってみろよ))

 

上田((本当!? ありがとう、言ってみるよ!))

 

そうと決まれば、早速利奈はその思いつきを俐樹に提案することにした。

 

上田「俐樹ちゃん、そういえばチームはどうしてるの?」

 

橋谷「チームですか・・・入っていないですね、それどころでは無くて・・・」

 

上田「じゃあ、さ」

 

とりあえず、一呼吸置く。

 

正直どういう返事が来るかわからないが・・・言ってみるだけ価値はある!

 

 

上田「俐樹ちゃんが良かったらだけど、リュミエールに入ってみない?」

 

 

橋谷「えっ?」

 

この驚き方はどちらかというと、『鳩が豆鉄砲喰らった』という方の驚き方だ。

 

知己の喜び様もすごい、自分の事のように嬉しそうな顔をしている。

 

根岸「俐樹ちゃん、入りなよぉ! すごいじゃない、あのリュミエールだよ!!」

 

橋谷「良い・・・んですか!? 私、どう考えても足手まといにしか・・・」

 

月村「・・・足手まとい? もし足手まといだったのなら、

今日あった魔女戦の使い魔はもっと多かったはずよ」

 

芹香の言うとおり、今まで真価を発揮出来なかっただけで彼女は普通に強い。

 

俐樹自身は自分に自信が無さそうな様子だが、

彼女の実力は居場所の魔女戦で証明されている。

 

清水「まぁ強要はしないがな、いざという時に念話で助けを呼べるだろ」

 

下鳥「入れてもらいなさい俐樹、この人達なら信用出来るわ」

 

俐樹の瞳はキラキラと光る、まるで憧れのモノを目の前にしたかのようだ。

ふぅっと息を抜いて、俐樹は自らの回答をおそるおそる口にした。

 

 

橋谷「入っても・・・良い、ですか? 皆さんが良ければですが」

 

 

え? 回答に対する返し? そんなの、1つに決まってるじゃないか。

 

 

篠田「やったあぁ!! すごいよ! また仲間が増えるんだ!!」

 

武川「また賑やかになりそうだね、オイラも感激した点があるかな! 多分!」

清水「おい一言多いぞ!」

 

 歓 迎 ! この一言、この言葉に結果は収束される!

 

上田「よかったね、俐樹ちゃん!」

 

何気ない笑みに、いつもの真っ直ぐな感情表現。

 

利奈はソファーから立ち上がって俐樹に手を差し出した。

 

橋谷「はっ・・・はいっ! よ、よろしくお願いします!!」

 

涙ながらに彼女は喜ぶだろう。 今日、一番の笑顔だ。

 

 

清水「・・・ところでハチべぇ、この場に蹴太がいない訳だが、

チームメンバーが全員揃ってなくてもメンバーの新規加入は可能か?」

 

ハチべぇ「可能だよ」

 

そう適当な方を見て海里が言うなら、茶色の生物が海里の膝に降り立つだろう。

 

今までどこにいたのやら・・・まぁ、その辺は今気にする点ではない。

 

清水「そうか、ついでに契約時の発光を隠したいんだが方法はあるか?」

 

ハチべぇ「それなら、僕がその光を送り届けるよ」

 

上田「・・・え? そんなこと出来たの!?」

 

篠田「そんなの聞いてないよ! もう、教えてくれれば良いのに!」

 

ハチべぇ「身も蓋もないね、僕は言って欲しいなんで言われてないよ」

月村「そういう点がなんともあなたらしいわね」

 

清水「それじゃ、その・・・『光の運搬』でいいか? 頼んだぜハチべぇ」

 

ハチべぇ「わかったよ、蹴太の分の光は僕が送り届けよう」

 

 

ふと、利奈は優梨にもチームに入らないか聞こうとしたが、

優梨は利奈からの視線を感じてわかっていたかのように言葉を返した。

 

下鳥「私はまだリュミエールには入らないわよ? 入りたい気持ちはあるけど、

他に入っているチームの中でちょっとやらなきゃ仕事があるのよ。 ごめんなさいね」

 

相変わらず人の思ってることを読むのが得意な優梨。

やっぱり利奈は驚いたが、これには流石に慣れた。

 

上田「他のチームの仕事? なら仕方ないね・・・

ごめんね、優梨に無理な頼み事しようとしちゃって」

 

下鳥「気持ちだけ受け取っておくわ、気にしてくれてありがとう」

 

優梨なら多少は教えてくれそうだが、深入りしないのが利奈の良いところ。

 

 

清水「じゃ、最終確認を一応取っておくぜ。

橋谷俐樹、お前はチーム『リュミエール』の一員になる事を望むか?」

 

橋谷「・・・はい!」

 

おぉ、意志が強かったのか言葉が詰まることなく回答は出た!

 

指輪をソウルジェム戻し、海里の前にそっと差し出す。

 

清水「良い返事だ! リュミエールのリーダー権限で、正式に加入を許可する!」

 

そう海里が言ったなら、青のソウルジェムと黄緑のソウルジェム、

2つの魂の結晶はは強く明る気な輝きを放ち始めた。

 

それだけではない、赤に緑に橙もだ。

 

優梨、光、知己の3人はその様子を見守る。

 

4人のソウルジェムに黄緑の光が入り込むのはもちろん、

俐樹のソウルジェムにも4つの光が入り込んだ。

 

ハチべぇは5つの光をその体に受け取ると、本部(倉庫)の窓からどこかに行ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今、ここに『黄緑の光』が増えた。

 

この『光』は『闇』に飲まれ、本来の輝きを発すること許されていなかった。

 

でも、これからは違う・・・環境が変わって彼女の運命は大きく変わった。

 

その『光』は真価を発揮するだろう、もうその輝きを遮るモノはないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある、場所。 そこは、暗がり。 光刺さぬ、暗がり・・・・・・

 

時は少し戻る。 それはリュミエールとその仲間達が本部(倉庫)にたどり着く頃。

 

夕闇の光さえ拒むように3人は路地裏へと入っていった。

 

行き止まりに身を潜めるなら、1人はがらくたに座って膝に肘を置いた。

 

祈るように両手を握ってあごを乗せる、目の前には膝を突いた2人の少女。

 

「・・・それで、今日の収穫の方はどんな感じになっている?」

 

「雑魚級が5つですリーダー、平日にしては多い方だと思います」

 

「順調なう!」

 

少女がグリーフシードを献上するなら、リーダーはその質を確認し始める・・・

 

「ほう? ずいぶんと多いな、苗は減らしたはずなのに・・・なぁ?」

 

暗がりの中、リーダーと呼ばれるその人物の表情は見えづらい。

だが確実にそれは良い感情ではないことは読み取れた。

 

「・・・はっ、反省なう」

 

これにはいつも笑っているような子も、冷や汗をかいてしまう。

 

「だが問題はない、収穫を行えたのは事実だからな」

 

「ホントに反省なう! 次から気をつけるよ」

 

「あぁリーダー! なんと寛大な事か・・・! ありがとうございます!!」

 

この言葉には2人も安堵の表情、一旦は安心したようだ。

 

「それに、苗には困っていないしな。 新しい苗を作ればいい」

 

「・・・ん? 新規なう?」

 

「新しい苗? 新たにリーダーが絶望に堕とした魔法使いを見つけたのですか?」

 

「何を言ってるんだ? 新しい苗なら・・・」

 

そう言って視界の狭い薄暗さの中、リーダーは片手を前に差し出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺 の 目 の 前 に い る じゃ ねぇ か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞳は一切光がない・・・無いどころか、穴が空いてるのかと思う程だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なにかを小さく唱えたかと思えば、2人の指輪は強制的にソウルジェムへと戻る。

 

「ぎっ・・・!? やああああああああああああああああ!!!!」

「ぅ・・・あああああああああああああああああああああ!!!!」

 

人気のない路地裏にこだます悲鳴、その悲痛は止むことを知るはずもなかった。

 

一瞬にして穢れが沸く魂・・・急激な汚染による精神の激痛は果てしない。

 

2人少女が制服にもかかわらず、ひび割れたコンクリートの上でのたうち回った。

 

手を下ろしても苦しみは続く・・・魔法は止まったのに、何故だろうか?

 

おか、しい・・・・・・? これは明らかにおかしい!

 

 

何故、ソウルジェムが孵化寸前にまで穢れているのに、

こんなに心の痛みがあっても()()()()()()!?

 

 

これも彼女らの長の魔法の効果だろうか?

俐樹の言っていた絶望を操る・・・こういうことか。

 

「安心しろ、精神崩壊はさせないと約束する。 長は、ここにいる。

時間が立ったら孵化させてやろう、その時まで・・・罪の重さを知れ」

 

ふと、リーダーは自らの指輪をソウルジェムに戻した。

 

その魂は闇に溶け込めるほど光がない・・・それは、黒のソウルジェム。

 

建物の影に隠れてしまった夕日を見る、見えないその太陽を影ごしに見る。

 

「・・・やはり、闇には光が憑き物か。

調子の乗り具合からして、そろそろ我らの行為がバレる頃だとは思っていた、

光に紛れはびこる闇、そろそろ本格的に対策を練る必要があるらしい」

 

ふと2人を見るなら・・・片方は口から泡を吹き、

片方は涙を流しすぎて真っ赤に目が腫れていた。

 

「早い、やはり精神は弱いか。 狩るぞ、収穫の用意する」

 

手をかざしてまた2人に魔法を使うなら、2人分の黒い魔力が吹き出すだろう。

 

長はただ笑うだろう、闇に迫る驚異を・・・純粋に、楽しみにしているらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして4体目の魔女は倒され、リュミエールに新たな光が増えた。

 

色々とあったが・・・ついに、花の闇の一角に触れることが出来たらしい。

 

時に俐樹は()()()()()と言った、事態は急激に重たいモノになって行く。

 

それでも、これで闇に囚われていた2人の魔法少女を救えたのには変わりない。

 

事態は良い方向と悪い方向、それぞれ両端に向かって伸びていく。

 

久しぶりの長い1日だった・・・今日という日を終わらすことにしよう。

 

 

利奈には、彼が待っている。

 

 

………………………………

 

 

次回、

 

 

 

【見てはいけ……ない、目を瞑れ! 今回はもう帰るんだ!!】

 

 

 

灰戸「それが見た様子ではおかしな事態になっているみたいでね」

 

 

 

月村「じゃあシャンとしなさい! じゃなきゃ利奈じゃない別の誰かよ」

 

 

 

篠田「それって、魔法使いにとって一番の励みになると思うよ」

 

 

 

〜終……(22)闇の仕置きと六つ目の光〜

〜次……(23)粉の変異と機械泥棒〜

 

 

 

魔法使いは運命に沿う。

 





悪は成敗、当然の如く成敗。 当 然 だ ろ う ?

書いた張本人ですが、ちょっとばかし仕置きをさせてもらいました。
一部の人が待っていた展開じゃないですかね? 成敗ですよ!

ともあれ、やっと黒幕を書くことが出来ましたよ・・・w
ここまでものすごい長かった気がします(実際長かった(ざっと5ヶ月半

言うならば『光と闇の戦い』前半終了と言った形でしょうか、
物語は後半戦へとそのページを着々と進めて行きます。

次回、またしても大胆な展開を用意していますw
予告ですでに察している人もいそうですが・・・そういう事ですハイ。


さて、この辺でこの日ならではの雑談でもしましょうか。

『エイプリルフール』、この日は嘘をついて良い日とされてますが、
実際に嘘をついて楽しんでる人は少ないと思いますね。

実際、私もコンテストとして取り上げるまではガン無視でしたし。

冗談で嘘をつくとしたらどんな嘘がいいかなぁ・・・
というか、その行為自体あまりいい行為ではないので
簡単に思いついたらそれはそれでひどい気はしますがw

私なら嘘をついて、それを嘘だと思わせ実行しますね。
妹にこれをマカロンでやったらなんか発狂しました^q^

さすがはマカロンハンター・・・2個だけでもそんなに喜ぶか。

ん? 購入場所? そんなのあの青いコンビニに決まってますよ。

売ってる場所が少ないのでね、名前はロー(殴


さて、今回はこの辺で。 次回もお楽しみに、です!
☆⌒(*^-゚)ノ~♪see you again♪~ヾ(゚-^*)⌒☆
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