魔法少女うえだ☆マギカ 希望を得る物語   作:ハピナ

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活動報告のお知らせ通り5月31日に投稿(予約投稿)です、みなさんこんばんは!

5月最後のハピナです、早いもので明日からもう6月ですよ。

梅雨の時期が迫ってますね……ところで梅雨ってどんな雨なんでしょう?

いやいや、嫌味とかではなく北海道には梅雨が存在しないんですよw

ある程度長い雨は降ったりしますが、梅雨と言えるほどではないですね。

梅雨があると湿気が増えるそうで……カビには気を付けてくださいね。

女性の方はヘアスタイルがまとまらない傾向にあるそうなので、
手鏡やブラシ等を所持していると役に立つと思います。

まぁ梅雨を経験したことないやつが何を言っているんだって話ですが(白目

やはり天気は晴れが良いですね、雲一つ無い青いまでに晴天の空。


さて、前回のあらすじとしては一味違った結界を切り抜けた所で終わってたはず。

利奈は珍しく補助に徹し、徳穂はその刀裁きを見せてくれましたね。
見所としては俐樹が必殺魔法を使って格段に場の状況を有利にした事でしょうか。

おかげで、先の方にいた海里と蹴太もかなり楽に進めていましたね。

釖は不幸にも結界の最深部に出てしまったようですねぇ……
魔男に話しかけるというおかしな行動を取るし、大丈夫でしょうか?

まぁ、それもこれより進む物語の先で分かってくることでしょう。

前回不吉な予告があったのもあり、不安を煽られる現状。
果たして、魔法使い達は無事に魔男と討伐することは出来るのでしょうか?


さぁ、(恐らく)待ちに待たれた物語の幕を上げましょう!

舞台は言わずとも暗く冷たい世界、そこで物語は進みます。

少年の言葉の傍らで、魔男は1人思考する……。



(28)闇を秘め変えて[後編]

 

こんなヒトとも言えない姿に成り果てようとも、その異様さを自覚する事位は出来る。

 

知っていた……こんな事するのはかなり負担がかかる事だって、わかっていた。

 

まぁ、それでいい。 何だって俺は定めた、定 め ら れ た 悪役だからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和出「……っうわ!? ちょ、何だ!?」

 

魔男の前に立っていた釖だったが、不意を突かれその体はかなりの早さで持って行かれた。

 

今現在いたはずの空間が、目で負えない程の高速で流れる……

今のスピードが自分にとっての普通の感覚より速い証拠。

 

移動が終わって止まるなら、その金属質な床に着地をする。

周囲を眺めてみたなら、周りには数人の魔法使いがいた。

 

上田「だっ、大丈夫!? 魔男との距離がすごく近かったよね!?」

 

そう慌てて問いかけてきたのは、花組では既にかなりの知名度を誇る少女。

 

なるほど、 場の状況からして釖を移動させたのは利奈だったらしい。

 

釖に大きな怪我は無いが、さすがに魔男と至近距離な状況は驚かれる。

 

和出(怪我なんてするわけねぇんだがなぁ……こいつらまだ()()()を知らないんだったな)

 

橋谷「あ、あんな所にいたのに……怪我が無いなんて奇跡です!」

 

ハチべぇ「魔力に大きな消費や明確な乱れも無し、大事も無くこの場にいたようだね」

 

和出「元は俺の所属するチームリーダーの攻撃だぜ?

知ってるやつの攻撃ならある程度は回避で出来るに決まってるだろ!」

 

清水「つまり、多く魔法を使わないでボス級の魔男の攻撃をかわしてたって事か?

見たところ無傷だしなァ……それにしては、あまりにもラッキー過ぎる気がするが」

 

火本「のんきに話しちょっ場合じゃねよ!? 目の前に魔男がいるじゃねか!!」

 

清水「落ち着け徳穂! 今の距離を保つ内は大丈夫みたいだ、

釖は避けれてたとはいえやはりボス級……戦術でも立てようぜ」

 

手慣れてると言ったところか、リュミエール一同は大きく焦ることは無い。

 

それはそうだ、実際魔法使い達は魔女・魔男の1番の欲の実現場所とも言える場所にいるのに、

少し距離を置いた先の結界の主は彼ら彼女らに近づいてこようともしない。

 

この魔男には魔の物特有の激しいこだわりが無いのだろうか?

 

どちらにせよ好都合だ。 海里が他の魔法使い達に連絡を通したなら、

今いる6人でどの位の事が出来るかの話し合いを始める。

 

どちらにしろ、また校内でボス級の孵化が起こるなんて事になったのだ。

本校舎とは距離のある外れの古校舎とはいえ、やはり早急な討伐をしたい。

 

 

……さて、話がまとまるまでの間はこの空間についてまだしていない説明でもしよう。

 

 

この場は、鋭利の魔男を主とする結界の最深部。

扉の外ほどではないが、やはり最深部も空気が暗く冷たい。

 

 

意外にも扉の向こうはそれなりに明るかった。

十字に伸びる廊下の先に中心に広々とした場が空ける。

 

廊下を歩けば牢屋が並ぶ、鉄格子は頑丈でもその内部は丸見えだ。

何故か牢屋の中は家具やトイレもろともズタズタに切り裂かれている。

 

何とか使えそうな程に無事な牢屋は数えられる程だ、

それでも100%まともな生活には不可能な様子だが。

 

廊下は古びた石の床、広場は黒い金属の床。 硬質な床はどちらも冷たい。

ただでさえ暖かさなんて元から無かったような空気なのに、

不気味な雰囲気と混ざりに混ざって病的な程に冷え込んだ。

 

冬なんて表現は似合わない、この場に合う名は心霊スポットだ。

まぁこの場に幽霊なんていそうにない、いたとしてもすぐ逃げるだろう。

 

魔男のいる広場には、雑多に壊れた拷問器具がばらまかれていた。

 

何本にも束ねられたレザーウイップ、バラエティのテレビでよく見る三角木馬……

西洋のもっと残酷な物もあったが、マニアック過ぎて名前がわからない。

 

どれもこれも無茶な使われ方をしたかのように壊れてしまっているが……

 

あぁ、全て 彼 が要因で壊れてしまったのか。

 

広場のど真ん中に位置する電気椅子、その機能を失った電気椅子に彼は座っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そう、この電気椅子は()()()()()()()()のだ。

 

 

だけど電力を使い切られて壊れてしまった、この結界の主である魔男によって。

 

 

金属質の怪物は立ち上がる、奇妙で足のような部位を動かして立ち上がる。

外され忘れた電気椅子のヘルメット、無理矢理引っ張られたコードは千切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その姿を一言で言うと、とても歪な形をした刃物だ。

大きさは……成人男性より一回り大きい位かな。

 

恐らく下半身となる大きな刃の部分と、胴体となる肢の部分には

それぞれ別の複雑な模様が丁寧に彫り込まれていた。

 

人間でいう腰辺りからは第二の足と言えるような部品が付いている。

月の関節に先端は巨大なハサミの刃……先ほど立ち上がる時もこれを使ったのだろう。

 

巨大な頭は鉄球だ、ペンキでべったりとバツが描かれている。

そこにはヒトならあるべき顔が無く、ただバツが描かれているだけ。

 

頭には千切れたコードが付いたヘルメットが被さっている、

電気椅子から無理矢理立ち上がった時に取れた代物だろう。

 

腕であろう固定化された部位は一見すると目のようにも見えた、

中心には目の虹彩を象るかのように手錠がはめ込まれている。

 

手に当たる両端には球体にお椀が2つ付いたような部品が付いていた。

釖が言うに、そこから様々な種類や強度の刃が出てくるらしい。

 

 

これが、『花の闇』と呼ばれその中心核となった少年の成れの果て(魔男)だ。

 

希望なんて最初から無かったかの様な風貌は、元になった少年の感情を指し示す。

 

自暴自棄……その性質のままに自分をただひたすら痛めつけていたのだろう。

 

だが人間の為に作られた器具が金属質の魔男に通用する訳がなく、

どれだけ傷つけようとも悲しいことに彼は無傷のままだった。

 

……今はただ、戦術がまとまり広場に足を踏み入れた魔法使い達の相手をするだけだ。

 

 

鋭利の魔男、性質は自暴自棄。

 

【挿絵表示】

 

 

彼は自らに傷を求め、ダメージを受ける為に侵入者に対峙する。

 

自傷という名の救いを求め、魔男の刃は鋭く光る。

 

それぞれの役割のままに魔法使い達は立ち向かう、未だかつてない絶望的な魔男へと!

 

 

上田「ボス、ステージ!!」

 

 

魔男の攻撃は多種多様、その刃は近接にも遠距離にも対応した。

 

利奈が接近して乱舞をかまそうとするなら、足に当たる刃で応対してみせる。

雑魚級の魔女・魔男なら余裕で通じるはずの二本流も、この魔男相手では互角らしい。

 

遠くから俐樹がツタを高速で伸ばし、海里が重りのついた磁石を飛ばしてくる。

そんな遠距離からの手段には手に当たる部位から様々な刃を連射してきた。

 

拘束しようと伸びるツタをズタズタに切り裂いて細切れにし、

投げられる重り付きの磁石に大量の刃を付けてその飛ぶ方向を変えてきた。

 

やっかいなのがその飛ばす仮定でその部位が()()()()しているということだった。

それは居合いを狙う徳穂の集中力を乱し、蹴太の念力の魔法でも止められない。

 

 

一言でまとめると……異常なまでに強い、今までの魔女魔男とは格が違う。

 

以前どこかで魔女・魔男は元となった魔法使いによってその攻撃手段や結界、

使い魔や()()()()()にまで大きく影響してくると言っただろうか?

 

元となったのは絶望すら操る事が可能である強力な魔法を持つ魔法少年……

原理がどうであれ、その強力さが魔男にも写し出されていると言うのが妥当だろう。

 

魔法使いの最高位とも言える利奈を加えてでも、順調とはとても呼べない苦戦具合だ。

 

だが、利奈は薄々感じていた……この魔男は何かが違う、行動から感じる違和感。

それが重要な事に繋がりそうなきもするが、今は思考を戦闘からずらせない。

 

 

乱舞で蓄積ダメージを狙っていた利奈だったが、かなりの手数を弾かれてしまう。

まるで利奈の攻撃方法を()()()()()()()かのようだ。

 

双方見切り見切られ……読み合いが続く。

 

稀に斬られそうになる事があるが、海里が磁石をぶつけて弾くか、

蹴太が魔法で軌道を変えるかのどちらかの魔法が利奈を助けてくれた。

 

釖も、相変わらずの大振りながらなかなか頑張っている。

時には拳を巨大化させてパンチ! 時には足を巨大化させてキック!

 

一見すれば隙だらけの金属質な頭を重点的に狙うが、

魔男もヘルメットのコードを振り回して魔男は感電を狙う。

ただでさえ当たれば強いな攻撃なのに、これでは当てられず無意味だ。

 

弱点さえ見つかっていない現状、このままでは消耗戦となってしまう。

変化が必要だ、そう思った利奈は一部魔力を自ら被るシルクハットの中に集約させた。

 

彼女の帽子は収納魔法の媒体となり、かなりの数のアイテムが収納されている。

 

その中には彼女が事前に作った魔法具がいくつか入っている、

まぁ普段は棍で済んでしまう為にあまり使うことは無いが。

 

しばらくして……とある魔法具に魔力が充填された、あとは使う隙を探すだけだ。

 

助力を求めて念話をしようとしたが、まともな念話が出来る状態では無かった。

途切れ途切れで単語まみれな内容だが……伝わるだろうか?

 

上田((新、手……隙……作、成……助け、が……欲しい!))

 

中野((……え、何? 内容が切れすぎて何を言ってるのかがわからないんだけど))

 

清水((ようは新しい手立てを試したいから隙を作るのを手伝ってくれってことだな、

蹴太は後衛重視に戦闘スタイルを変えて、俐樹の手助けをしてやってくれ!))

 

中野((隙を? わかった、とにかく俐樹ちゃんを助ければ良いんだね))

 

橋谷((け、蹴太さんが手伝ってくれるのですか? わかりました))

 

どうやら海里の手助けもあって、言いたかった事が伝わってくれたようだ。

 

海里が何も無い空中に手をかざしたかと思うと、そこから何か取っ手が現れた。

 

その取っ手を手にして引き抜くと、現れたのはプラスチック製の剣だ。

 

魔力が付与されているのか、その半透明な刃の内部は淡い青に光っている。

 

前にも見たことある碧刀の方が威力も高く、これを使った方がいい気もするが……

 

碧刀は金属製、感電を避ける為にも電気を通さないプラスチック製を使ったのだろう。

 

蹴太はというと、海里の言う通り俐樹の手助けをする為に行動を開始。

 

『念力』の魔法を使ったのなら、俐樹の操るツタが水色の光に包まれた。

 

見た様子、俐樹が操るツタの動きを補助してくれているようだ。

ツタが切り裂かれることがかなり減った、効率も上がり本数が増える。

 

 

一方利奈の方はというと、二本流をやめて1本で魔男に対応していた。

 

主力の前衛に海里が加わってかなり楽なったのがありがたい話。

 

片方の棍を上に投げたのなら、海里がそれに手をかざしどこかに収納される。

 

最初は均衡を保っていた戦況も、段々とその状況は変わっていく。

 

さすがに優秀な前衛が2人となると魔男も辛くなってきたのか、

度々金属質の雄叫びをあげるようになった。 割とうるさいのが難点。

 

 

未だ電流を帯びた魔男に立ち向かうのは木製の棍とプラスチック製の剣。

 

捕縛をしようとしてくるツタが地味に邪魔だ、何かしら捕まるのも時間の問題か。

 

もう少し弱まれば、徳穂と釖の攻撃も当たるようになるだろう。

どうして最初からこの組み合わせで戦わなかったのやら……

 

それもこれも、新たな手を打つ為に助力を頼んだ利奈の手柄だ。

 

かなりの不利だった戦況は、魔法使いの有利に傾いた!

 

 

さて、短く魔男が鳴いたと思えば……利奈が望む隙が一瞬だけ出来た!

 

願ってもいないチャンス、利奈がこれを逃す訳が無い!

 

清水「今だ! 何するかわからんがやっちまえ!!」

 

 

上田「アンヴォカシオン!!」

 

 

意外にも、利奈が唱えた魔法は一番使い慣れた召喚魔法だった。

 

……え? この場において新しい棍を召喚してどうするんだって?

おかしいな? いつから、利奈の召喚魔法で召喚出来るのが……

 

 棍 だ け と 思 っ て い た ん だ い ?

 

 

利奈が召喚したのは星形の変則ステッキだ、いつもの棍とは大違い。

 

形状的には、五角形の金色の輪っかに5色のステッキが付いた物だ。

 

ステッキの色は赤、青、黄色、緑、白の明確な原色5つ。

 

利奈のシルクハットが淡く赤に光っているところを見ると、

どうやら魔法でシルクハットの中身を召喚したようだ。

 

中心部分の五角形にはある程度握りしめられる程の装飾があり、

使う時はこの装飾部分を持って使う構造になっているらしい。

 

すぐさま利奈はその装飾部分を手にして魔男に立ち向かう。

 

棍で殴り飛ばして大きく仰け反らせたかと思うと、

その変形ステッキの黄色いステッキを押し付け、押し倒した!

 

明らかな悲鳴を魔男はあげた、赤の魔力が魔の物特有の黒の魔力を弾く。

 

混ざらない物が無理矢理混ざったかのような勢いで、

赤と黒の魔力が火花を散らして周囲の床やガラクタを焦がした。

 

どうやら、利奈が召喚した魔法具は()()()()の機能を持っていたようだ。

 

いつのまにこんな物を作っていたのやら……この分だとまだまだありそうだ。

 

最初光ってもいなかった黄色のステッキ、吸収を終える頃には輝いていた。

 

急激に電流を抜かれた魔男は何だかぐったりした様子、

ボス級討伐の為の弱点を探すなら今のタイミングが一番良いだろう。

 

そう思って利奈は魔男から距離を置いた……完全に、油断していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

予想以上に消耗してしまった、これが魔法使いの団結力の力というものか。

 

電流を持っていかれたのは大失態、倒されるのも時間の問題かだな。

 

……少々手を抜いていたが、そろそろ、痛めつけた方が良さそうだ。

 

手違いがあったとしても回復魔法が使える魔法少女がいるから問題ないだろう。

 

さぁ……始めようか、そ ろ そ ろ 仕 置 き の 時 間 だ !

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……唐突だった、利奈が黒い魔力の急激な噴出に巻き込まれ吹き飛んで行ったのは。

 

清水「っ!? り、ぁ……利奈ああああぁぁぁぁ!!」

 

完全なる不意打ちだ、利奈は受け身を受ける事も出来ずに壁に激突した。

 

そう叫ぶ海里も同様に吹き飛んでいた、そんな状況でも仲間を想うか……

 

だが海里が吹き飛んだ方向には運が良いのか悪いのか、腕力の強い徳穂がいた。

結構な勢いで激突してしまったが、何とか激突にいたらずに済んだ。

 

火本「危なかった……! 大丈夫(だいじょっ)かい海里?」

 

清水「俺は何の問題も無いが……離してくれ! 利奈がやばい事に!」

 

和出「行ってる暇はねぇぞ!! 俺の記憶が正しければ、本番はこっからだぜ!」

 

橋谷「なっ、何ですかこれ!? 今まで弱っていたはずなのに……

こんなの初めてですよ! どうしてこんなことになっているんですか!?」

 

和出「細かい事を説明している暇はねぇが、超簡単に言うと第二形態ってやつだ」

 

中野「第二形態なんて、魔女・魔男が細かに魔力を調整することが可能なのか?

やっと有利になったって言うのに……どこまでこの魔男は強いんだ!?」

 

ハチべぇ「彼の言う事は間違いないようだね、魔男の魔力が上昇の傾向にあるよ」

 

ちゃっかりハチべぇは利奈から離れて、回避行動を取っていたらしい。

 

気が付けば体制を立て直した海里の足元で魔男を観察していた。

 

状況確認が終われば、利奈の元へ戻る……なんとも無情な生物だ。

まぁ、そもそも元から感情なんて持ち合わせていないような存在なのだが。

 

清水「くっそ……!! みんな次の攻撃に備えろ! 次来る時は相当強ぇぞ!」

 

魔男の染み出る黒い魔力や不気味さ、えげつなさは上がる一方だ。

 

ただでさえ前段階でも互角だったのに、もっと強化されるとなると……

 

突如ガタガタと周囲から物が震えるような音が聞こえたと思えば、

壊れた拷問器具達が命を持ったかのように動き出した。

 

まともに機能しない物ばかりとはいえ、捕まったら確実にまずい。

 

それでも、魔法使い達は立ち向かうしかない……何故か?

 

絶望ほど魔法使いにとっての毒はない、ただ立ち向かうことしか許されていないのだ。

 

勝利を確信でもしたかのように魔男はその金属質な声で高らかに笑った。

 

その笑い方……まるで元となった魔法少年そのままの笑い方だったが、

現時点では重要な要素では無い。 それがわかるのは海里と釖しかいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*★*:;;;;;:*★*:;;;;;:*リ……ィ、ナァ……利奈!*:;;;;;:*★*:;;;;;:*★*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上田「……っ、痛……い! ぁ、頭が……背中、が!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*★*:;;;;;:*★*:;;;;;:*大丈夫だよ、ちゃんと周りを見て!*:;;;;;:*★*:;;;;;:*★*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、どの感覚で聞いたのか理解出来ない見知らぬ声……

その声に呼び覚まされ、激しく揺れていた利奈の意識は明確になった。

 

壁伝いに起き上がって周囲を見ると、目の前には脱げたシルクハットがあった。

 

持っていた武器(棍と星形の魔法具)、グリーフシード数個、その他雑貨等々……

ぶつかった勢いで飛び出て来たのか、いくつか利奈の近くに転がっていた。

 

ハチべぇ「目を覚ましたようだね、利奈。 まずこれを飲むと良い」

 

いつのまにかいた目の前のハチべぇに利奈が気がつくと、

ハチべぇは加えていた花の蕾を利奈の手元の近くに置いた。

 

上田「これは……俐樹ちゃんの、魔法? この状況で作る時間なんて……」

 

ハチべぇ「俐樹が君の事を見習ってある程度の()()()()をしていたみたいだね。

本当は君のそばで看病したいみたいだったけど、今はこれが精一杯みたいだよ」

 

上田「……そっ、か。 後で……俐樹ちゃんに、お礼言わなきゃね」

 

全身打撲という重症でも、蕾から溢れる爽やかな花の香りを感じ取る事は出来る。

今も痛みで意識が朦朧(もうろう)としているが、五感は鈍らずに済んだようだ。

 

微量の魔力を注いだのなら、ふんわりと花が開いて輝く蜜が顔を覗かせた。

流動性のある液体は弱った身体でも楽々飲み干せる、喉のつっかえなんて感じない。

 

即効性の品だったのか、利奈の身体をすぐさま柔らかな光が包んだ。

光が消える頃には痛みもほとんど消える……戦場に復帰するには充分な容態だ。

 

 

シルクハットの中身をある程度片付けながら、利奈は戦場の状況を再確認した。

 

星形の魔法具も折りたたまれ、その他雑貨もキレイに収納された。

 

ついでにグリーフシードでソウルジェムを浄化する、燃費も考え黒板のグリーフシード。

 

戦況はと言うと、優勢とも劣勢とも言えない不安定な均衡を保っていた。

 

広場の中央を占領する巨大植物、俐樹と蹴太は協力して魔男と拷問器具双方の動きを制限。

切り裂かれる数はだいぶ増えたが、慣れたのか制御は最初より出来ている。

 

海里は剣を収納して新たな道具を多数召喚し、本格的な拷問器具の破壊と分解。

一部使えそうな物は無力化させてから青色の光を一瞬放って収納される。

 

肝心の魔男の相手はと言うと、徳穂と釖が2人がかりで互角の戦いを見せていた。

 

刀が出来るのが居合いだけだと思った? いやいや、チャンバラだって出来る。

 

格闘は刃の相手にならないと思った? いやいや、見れば上手い事受け流しをしている。

 

 

見た様子では、まず魔男が操っているであろう周囲の拷問器具から処理しているらしい。

 

さて、浄化も終わり準備完了! 棍を手にして背伸びをする。

 

その場から立ち上がったなら、言い聞かせるように言葉を紡いだ。

 

上田「長いことみんなところから離れちゃったなぁ……見たところ互角だけど、

早いとこ合流しなきゃね。 よし! 魔男を絶望の深みから救出するよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余 計 な こ と し よ う と し て ん じ ゃ ね ぇ よ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上田「……え?」

 

それは一瞬の出来事だった、本当に一瞬過ぎて思考が止まる。

 

誰かが利奈を呼ぶ声がしたような気がしたが、目の前の出来事が大きすぎて誰のかわからない。

 

思考が止まるほど驚くのも無理はない、何の前触れもなく()()()()()()()()()のだから。

 

急に目の前に来られると、意外にも思考は働いてくれない物のようだ。

例えるとするなら……そうだな、とある黄色の魔法少女の最初の死に際といえばわかるだろう。

 

利奈の手も動かない、棍の防御が追いつかない。 魔男はその刃を振り上げ、そのまま利奈を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「利奈をこれ以上傷つけるなああああぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……おもいっきり斬りつけるかに思えたが、突如通常ではあり得ない出来事が起きた。

 

先程まで利奈が使っていた黒板のグリーフシードが利奈の目の前に現れたかと思うと、

突如強烈な光を放って輝き出した! それは眩しいまでの真っ白な光。

 

何が起こったかまだ理解が追いつかないが、今のフラッシュで魔男が怯んだ。

 

上田「なっ、何これ!? グリーフシードが……うわっ!?」

 

その隙をついて利奈の身体はツタに巻きつかれ、広場の中央へと運ばれる。

ツタが利奈を降ろして引いたのなら、魔法使い達は利奈に駆け寄って声をかけた。

 

橋谷「利奈さん! 大丈夫!?」

火本「大丈夫(だいじょっ)か利奈さん!?」

中野「あ、危なかったぁ……!!」

 

先程の光景を見ていたようで、その慌てぶりは目に見えてわかった。

……が、慌てているせいか同時に話していて何を言ってるかわからない。

 

上田「えっと……ごめん、同時に話されると何を言ってるのかわからないや」

 

利奈が嬉しながら困っていると、慌てる3人を落ち着かせて海里が前に出た。

 

上田「あぁ、落ち着かせてくれてありがとう海里。 そんな暗い顔しないでよ、私は大丈」

 

その言葉を利奈が言い切る前に、突然利奈は海里に抱きつかれてしまった。

 

かなりビックリしてしまったが、彼が無言の裏で小さく震えていたのがわかる。

 

……誰よりも、心配していたのだろう。 周囲を見るなら、拷問器具は全て処理済み。

 

上田「だっ、大丈夫だって! ちょっと、私は無事だったんだし一旦離してくれないかな!?」

 

清水「……もうしばらく、こうさせてくれ」

 

上田「ま、ままま待って待って!!  ここ結界の中でしょ!? 魔男まだいるよ!?」

 

自覚が出て来たのか、利奈は顔を赤くして慌て出した。

 

確かに場違いだが、それ以前に利奈が持たないだろう。

 

心配だったのはわかるが、ちょっと抱きしめる時間が長すぎる。

 

中野「離してやれよ海里、利奈さん恥ずかしさで壊れちゃうよ」

 

清水「……ぇ、あ!? ちょ、悪りぃ! 大丈夫か利奈!?」

 

上田「大丈夫だけど、大丈夫じゃなぃよぅ……」

中野「利奈さん気を確かに持って!!」

 

 

和出「……ハチべぇ、ありゃ一体何だ? あの白い光は何が起こっているんだ?」

 

釖はハチべぇに問いかける、もちろん目の前で起こる出来事についてだ。

 

ハチべぇ「それは僕にも答えられないよ、今起こっている出来事は完全なる未知数だ。

どうなるか僕も観察をしているところだよ、あれからどんな結果が生まれるかのね」

 

目の前で異様な事が起こっているのに、相変わらずハチべぇは変わらない。

ただ静かに、その黄金の瞳に今起こっている異様な光景を写すだけだ。

 

 

グリーフシードは回る、回る度にその形を段々と変えて行く。

 

何か強力な力が作用しているのか、魔男は身動きが取れない。

 

その目の前で、真っ白な光は曖昧な形を確実にしていく。

 

 

そして光が収まる頃……そこには、1人の魔法使いが立っていた。

 

真っ白な髪に真っ赤な瞳の両眼、俗に言うアルビノという見た目だ。

 

全体的に白い服装、ポイントに黒と赤が軽く入っているが真っ白な服装。

それは白のタキシード、胸に輝く白の宝石がはめ込まれたブローチが誰かを象る。

 

ズボンは全体的に真っ黒で、白と黒の対比がいい感じに引き立っている。

 

手袋を付けず靴も履かず、赤と緑を捻じった腕輪と足輪を付けていた。

 

頭にはシルクハットのモチーフが付いた、とても細いカチューシャを付けている。

 

 

彼はそういう姿形だ。 グリーフシードから生まれた、白の魔法少年。

 

 

ハチべぇは思うだろう、この結果は『先駆者』をも超える可能性を秘めていると。

 

 

少年はその赤い瞳で魔男をしっかり見ると、一直線にに走り出して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

な……!? ど、どういう事だ? グリーフシードが魔法使いにだと!?

 

そんな情報聞いたことねぇぞ、だがあいつが情報を取り逃がすとも思えねぇ……

 

まぁいい、どちらにしろこいつもまとめて仕置きしちまえば

 

【へぇ! 君その状態でも()()()()()()()んだ、すごいや!】

 

……ぁ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中野「え、彼何と会話をしているんだ? 話してる言葉も明らかに日本語じゃないよ?」

 

橋谷「私達の事は見ていないようですが……まさか、そんなはず無いですよね?」

 

清水「……いや、確かに魔男の方を見て発声しているようだな。

魔男の動きも止まっている、あいつの声を聞いている」

 

あまりの異常事態の連続に、一同は困惑して思わず固まってしまっていた。

 

発声する様子からして、デタラメに発声している様には見えない。

 

白の魔法少年はよくわからない言葉を話している様子だったが、

対する魔男もどこか法則でもあるかのように小さく金属音で鳴く。

 

確かに彼は魔男と会話をしているように見えた……あり得ない話だが。

 

そして利奈は何故か、彼に対して既視感を抱いていた。

どこかで見た事があるような……利奈は彼を知っている?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうして、この状態での言語がわかる……? お前は一体なんなんだ!?

 

【う~~ん……よくわかんないけど、人間なのは間違いないかな】

 

どう考えてもまともじゃねぇだろ、 お前は何だ!? 新手の魔男か使い魔か?

 

【だから ニ ン ゲ ン だってば! ほら、姿形も全部人間さ!

それよりさ……名前を知らない魔男さん、こんな事はやめたらどうだい?】

 

はぁ!? 話を逸らすな!! お前の正体の話をしてるんだ今は!!

 

【だって……君は自分がしたく無い事をして、自分を苦しめている。

自分で自分を傷つけるなんて、僕には理解出来ないな】

 

……!?

 

【不本意なんでしょ? 本当は、誰かを傷つける事が。

目を覚ましてても、自身の性質のままに行動するんだね】

 

…………黙、れ

 

【自暴自棄になって、やけになって悪者になろうとしてる。 本当は悪く無いのに】

 

やめ……ろ、やめろ! お前に何がわかる!? 黙れ!!

 

【?、僕間違ったこと言ってるかな? 君本当は優しいんでしょ、誰よりも。

証拠にほら、そこにいる君の親友は傷なんて1つも……】

 

黙 れ え え え え ぇ ぇ ぇ ぇ ! ! ! ! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

急激に金属質な声で吠える魔男、その音は今までで1番深くでかい。

 

「あっ、ごめん! コウショウケツレツ? になっちゃったみたい!

何でかわからないけど彼怒っちゃった、僕が彼を落ち着かせるよ!」

 

そう遠くの方にいる魔法使い達に大きな声で謝罪を告げると、

利き手に白色の魔力をある程度込めて魔法の呪文を唱えた!

 

 

……まさか、ここであの魔法の呪文が出てくるとは誰も予測出来ないだろう。

 

 

「アンヴォカシオン!」

 

 

そう彼が唱えると、その手にリュミエールなら見慣れた物が生成された。

色はついていないものの、それが利奈が主戦力としている棍である事はわかった。

 

 

清水「ちょっと待て! あ……アンヴォカシオン、だと!?」

 

橋谷「ええぇぇ!?」

 

中野「これって……利奈さんの召喚魔法じゃないか! どうして彼が!?」

 

火本「普通じゃないことが多過ぎて……もう頭がついて行かんぞ……」

 

和出「本当にあいつは何者なんだ!! 何で他人の魔法が使える!?」

 

もう、怒涛としか言いようが無い。 驚きの声は混じって響き、皆が利奈の方を見た。

 

上田「……ぇ、違う! 違うよ、今唱えたの私じゃない!」

 

現に呪文が聞こえた方角は利奈の方じゃない、声質だって明らかに男物だ。

 

 

そんな中、白の魔法少年はその棍で乱舞し魔男に攻撃を仕掛け始めた。

 

単独で相手をしていて大丈夫か……と思われたが、一切苦戦している様子が無い。

 

彼が桁違いのボス級を単独で相手出来るほどに強いのだろうか?

……ところが、見た様子だとそれはどうやら違うらしい。

 

何故って、明らかに()()()()()()()()()()()()()からだ。 力の入り過ぎで命中率が下降。

 

確か、白の魔法少年は『交渉決裂で魔男が怒った』と言っていた。

怒りによる()()()()()()、これが魔男の弱体化の原因である可能性が高い。

 

 

だが、魔男も魔男だった。 伊達に、強さの桁が違うと言われていない。

 

乱舞の合間に度々ある隙をつき、その刃で切り裂こうと振り上げてくる。

 

……ところが、またしても予想外の行動が魔男をさらに追い詰める事になる。

持っていた棍に魔力を込めたかと思うと、今度は別の魔法の呪文を唱えた!

 

 

「インテンス・アイヴィー!」

 

 

白色に一瞬輝いたかと思うと、今度は何本にも編み上げられ、

束ねられた無色のツタとなって白の魔法少年が操るがままに、

多少遅くとも魔男の足の部位を拘束してしまった!

 

恐らく、利奈の魔法しか使えないとでも思ったのだろう。

まさか俐樹の魔法も使えるとは到底考えつかない。

 

足元を縛られガクンと前のめりになってしまったが、

反撃とばかりに手の部位を高速回転させて刃を飛ばす!

 

 

「イキシサコネス!」

 

 

快進撃は止まらない、飛び交う刃の軌道を念力の魔法でほんの少し逸らした。

 

若干衣装が切れてしまうものの、回避にはまぁ……何とか充分と言える範囲だろう。

 

「油断したなぁ」と苦笑いで少年はため息をつき、さらにツタでの拘束を強化する。

 

……結果、魔男の上半身以外は全て無色のツタに縛り縛られぐるぐる巻きになった。

 

まるで枝付きの繭だ、かなり暴れまわっているがほどける事は無い。

何せさらに魔法でツタに魔力付与をし、その拘束を強化している。

 

「……もう、大丈夫かな? 結構暴れてるけど大丈夫だよね……多分」

【ちょっと痛いかもしれないけど、我慢してね? もうこんな事やめようよ】

 

2種の言葉を彼は優しく告げて、最後に魔力で刀を作り出した。

 

両手で握りしめて魔力を込め、その拘束していない上半身に向かって振り下ろす!

 

その刃が魔男の上半身に食い込んだかと思うと……刀が折れた。 え、折れた!?

 

「……あれ、刀じゃダメなのかな? 他の魔法を試してみようかな」

 

折れた刀を外したカチューシャで触れると、刀はぱっと消えてしまった。

再度利き手に白色の魔力を貯めたなら、また別の魔法の呪文を唱えた!

 

 

「ヴェルクツォイク!」

 

 

今度は鉈を多数召喚して斬ろうとしたらしいが、これも大幅に刃が欠けた。

 

 

「……ヴェルクツォイク」

 

 

何を思ったのか今度は磁石で殴り始めたが、これで破壊出来るわけがない。

……あぁ、泣き顔になってきている辺りヤケを起こし始めたのだろう。

 

 

「何でだ!? 全 然 効 か な い ! 僕の魔法ってこんなに弱かったのか!?」

清水「お、落ち着け! 誰か知らんが考えなしにやったら魔力を無駄にするぞ!?」

 

 

海里の言葉を聞いて、素直に魔法をやめてくれたのはいいが……

 

結局、白の魔法少年は感情のままに泣き出してしまった。

 

その純白のような純粋さと言ったら、まるで幼い子供のようだ。

 

上田「だっ、大丈夫大丈夫! 泣かないで、拘束出来ただけでもすごいよ!」

 

「……ホント? 本当に?」

 

上田「私なんか吹き飛ばされちゃったんだよ? だから君はすっごく強いんだよ」

 

「…………ぅ、うん、ありがとう利奈。 ちょっと元気出てきたかも」

 

上田(あれ、この人が私の名前を聞くタイミングなんてあったっけ?)

 

利奈が白の魔法少年を慰める頃、海里は魔男の身体を魔法で分析していた。

その傍では、男子の魔法使い達が分析の完了を待っている。

 

拘束された魔男はというと、流石に暴れ疲れたのか大人しくなっている。

 

ん、俐樹? 彼女なら利奈と一緒に白の魔法少年を慰めているよ。

 

清水「……分析が終わったぜ、そいつの言う通りだ。

どうやってわかったのかはわからんが、魔男の魔力は上半身に集中していた。

俺の意見も含めれば、ここがこの魔男の弱点で間違いないぜ」

 

中野「問題はどうやって破壊するかだよね、ただ必殺魔法を当てても壊れないよこれ」

 

和出「壊れねぇぞぉ……それ、俺だって壊れてるところは見たことないしな」

 

火本「……かった(もしかしたら)(おい)の居合いで斬れるかもしれんな、

集中出来(でく)っ時間があればこっちの物だが、試してみるかい?」

 

清水「そういや斬る事に特化した魔法だったよな、どんな物でも斬れる魔法……

やってみる価値はあるな、よっしゃ! そうと決まれば頼んだぜ、徳穂!」

 

火本「一応、やっみっよ。 少し時間をくれ、気と魔力を貯めたい」

 

和出「オイオイ、そんな簡単に上手くいくか? まぁやってみなきゃわからんが」

 

そうと決まれば善は急げ! 徳穂は魔男の前まで来ると、居合いの構えで目を閉じた。

 

その様子が気になったのか、泣き止んだ少年はその光景を見たいと言いだした。

 

利奈は2人を引き連れて他魔法使いと合流する、それも 忍 び 足 で 。

 

そこまでしなくて良いと海里は3人に言う、蹴太は笑いを堪えていた。

 

釖は……ただ、静かにその光景を見ていた。 《わざとらしい》はずの彼が、だ。

 

そういやこの魔男の元となったのは彼の仲間か、一体どんな心情なのだろう?

 

まぁ、そんなの知るわけが無いが。 泥棒の心情なんて、わかるわけが無い。

 

 

時間が立ち、徳穂が目を開けて頷いた。 その瞳は薄ら茶色に輝いている。

 

どうやら準備が整ったようだ、一同は徳穂と少し距離を置く。

 

……時は、来た。 小さな金属音が聞こえたかと思うそれは、親指が(つば)を押し上げる音。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼曰く、自分は必殺魔法は持たないと言う。 が、これが必殺魔法とは気がつきもしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

火本「 切 り 捨 て 御 免 ! ! 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例えるなら速攻で過ぎ去った流星だ、目に捉えられるのは茶の魔力の残像だけ。

……斬った? いや、確かに斬った。 時間差で固い物を断った音が鳴る。

 

茶色の光の筋が見えたかと思えば、魔男の身体は真っ二つに斬れた。

 

断末魔なんて聞こえない、まるでこの時を待ちわびでもしたかのようだ。

 

ある者は有様に胸を締め付け、ある者は手際を目にして感動に浸った。

 

その終点は一体、どこに辿り着くのだろうか? その終点はどこにあるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ、そもそも終点なんて……存在しないのかもしれないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結界唯一の明るみが黒い魔力の中に消える、全てが1点に飲み込まれる。

 

魔男だった金属も、忘れ去られた白い道具達も、荒れた牢屋の室内も牢屋自体さえ、

全部全部、結界ごとその結界にあるもの全て飲み込まれていく……

 

あとに残ったのは、濁りなき群青色のソウルジェムと

割れたハートがモチーフで鎖で縛られたかのようなのグリーフシード。

 

……誰よりも先にとある人物が現実に目を覚まし、誰かが連れ去られる事になるが、

完全に消えきっていない現実と結界の狭間でそれを認識出来る者はいないだろう。

 

同時に、群青色のソウルジェムも 持 ち 去 ら れ て しまっているが、

そんな重要なことさえも、歪みというのは残酷なまでに認識を許さない。

 

 

魔法使いは……鋭利の魔男を救った。

 

 

………………………………

 

 

次回、

 

 

 

清水「ぇ、マジで? これ、本当にお前のソウルジェムか!?」

 

 

 

和出「い、言うさ! 言うぜ俺は!! 何せお前の命にかかってるからな!」

 

 

 

前坂「それが、()()()()への復讐だ。 それで俺は救われる」

 

 

 

下鳥「なんだか懐かしい名前が出てきたわね」

 

 

 

〜終……(28)闇を秘め変えて[後編]〜

〜次……(29)特殊な魂と弱る長〜

 

 

 

魔法使いは運命に沿う。

 





……一応15000字以内ですがやっぱり文章量が多くなってしまいますね、スミマセンonz


急すぎる超絶展開? いえいえ、随分前から要素は多く落としていました。

チート級の魔法? いえいえ、見た通りちゃんと制限がありますとも。

驚 き ま し た ? ウッヘッヘ、謎の少年が登場しましたよ!!

これが書きたかった展開ですよ、彼の存在が重要となってくるのです。

見た目としてはイラストを描きこんだので、いつもの画力で参考までに。

【挿絵表示】



いやはや、これは本当に良かった! 自分としては 大 満 足 ですよ!

まぁ自己満足になってしまわないよう注意しなければいけませんがね。

これが最終回ってわけじゃないんです、まだまだ頑張って執筆していきますよ!

今後の展開としては、彼に関する説明とか正体解明とかしなければいけませんね。

どうあがいても台本形式なので、せめてわかりやすく書きたいと思っていますonz



さて、この先はいつもの『雑談』となります。 面倒な人は飛ばして下さいませ。




今回は6月が梅雨の時期でもあるので、『天気』について話しましょうか。

いやね、自分それなりに自覚しているのですが恐ろしい位の晴れ女なんですよ。

……え、単なる 思 い 込 み じゃないかって?

降水確率が50%だったのに傘持っていったら快晴になることが
しばしばあると言えばわかっていただけるでしょうか(白目

使わない傘って結構荷物になるんですよ、この気持ちわかりますかね(涙目

逆に雨男や雨女もいると聞きましたが、イマイチ想像がつかないです。

でも天気予報は晴れなのに雨が降ったら……うん、悲しくなるのは 確 実 。

あと朝に雨が降っていたら体内時計が狂って目覚めが悪くなりますね、
やっぱり朝起きたら日光を浴びるという行為は重要であると度々実感。




さてと、雑談としてはこんなものでしょうか。 いつもより若干短め。

次回より通常に戻るので、文字数も少なめになってきます。

ついに脅威を見せた『花の闇』……物語は加速する一方ですね。

白の魔法少年についても追及しなければいけませんね、彼は一体何者なんでしょうか?

残るフラグはまだまだ大量ですが、読者の皆様だ楽しんで執筆出来るよう頑張ります!




それでは皆様、また次回。 次回は結界を抜け出した後、現実の世界で会いましょう。
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