攘夷戦争真っ只中。たまたま休戦日の日に、珍しく高杉が朝早く起きて、まだ寝ぼけている銀時の元にやってきた。
「おい、銀時。今日は何もしなくていいぞ」
「は? どうしたの高杉」
銀時がきょとんとした表情で、目の前に立つ男を見る。
「たまには俺が家事をするって言ってんだ」
一瞬頭が思考停止状態になる。が、高杉の言葉を頭の中で何回か反芻すると銀時は慌てた様子で首を横にふる。
「いやいや!! いいから!! やな予感しかしねぇんだけど!?」
高杉は、なぜこんなにも銀時が慌てているのかと首を傾げながらも、理由に気づく筈もなく面倒くさそうに言った。
「うるせぇ、人の好意は大人しく受け取っておけ。何時もお前に任せっきりだからな」
「いや、何もしないでいてくれる方がいいんだけど!?」
「そういうな、まかせておけ。まずは飯か」
銀時の言葉に構うことなく、高杉はニヤリと肩越しに振り返ると、飯を作るため部屋を出ていった。
「考え直せぇぇぇ!!!」
後には銀時の叫びが虚しく残っていた。
今まで立ったことのたい台所前。この前使ったのは、ヤクルトセットの袋を破くためにハサミを取りに来たときだ。 いや、果たしてこれは使ったうちに入るのだろうか?
「砂糖も塩も同じだよな……何だこれは。とりあえず入れとけ」
訳のわからない、果たして食べ物かどうかさえ分からないものも片っ端から復路を開けて放り込んでいく。
慣れない手つきで、調味料とにらめっこする高杉の後ろ姿を、ドアの隙間から覗くものが三人。
「最悪だ…………」
この世の終わりとばかりに顔を真っ青にして呟く銀時に、坂本は呑気に言う。
「晋助、毒薬でも作っとるのかのぅ。激臭じゃ」
「む、天人の飯に盛るのか。ならばこんなコソコソ見ていないで俺達も協力せねば」
「いや…………そんなんじゃない。あ、毒キノコ入れやがった」
「その前に金時、今日の飯は何じゃ? わし腹減ったぜよ」
「銀だってんだろ。今日の飯はあれだ」
「あれ? あれって何だ?」
「さっきからお前たちが毒薬呼ばわりしているやつだ」
「アッハッハ!! 金時も冗談きついぜよ!! あれ人間の食いもんじゃなか」
しばしの沈黙。
え、マジで?こいつマジで言ってんの?え、嘘だよね、嘘だろ。頼む、嘘だと言ってくれ。
「人間の食いもんじゃなくても高杉が作ってんだからしゃあないだろ」
銀時の言葉によって、恐ろしい予測は現実へと変わった。
「「アッハッハ…………」」
「顔笑ってねぇぞ2人共……これから俺、山に行ってくるけどお前らどうする?」
「「一緒に行きます。行かせて下さい」」
2人とも瞬時にスライディング土下座をした。
翌日
「おい、銀時!! 大変だ!! 何者かに毒を盛られたらしい! 隊士が全滅だ」
「あぁ、当然の結果だな」
「どういうことだ!? クソッ! 俺がいたのに」
「お前がいたから駄目だったんだろうな。その前に何でお前が無事なのか聞きたいわ」
「俺は毒にやられる程ヤワじゃねぇ」
「ま、今日のところは無事だった4人で戦やるしかねぇな」
「安心しろ!!昨日、銀時と辰馬と偶然4人で特攻する方法を考えた」
「アッハッハ!!まぁ、何とかなるじゃろう!!」
「あぁ……そうだな…………でも、毒さえ盛られなければ……」
(((盛ったのお前だけどな)))