おかげでいつもより少ないけどネ!
夏休みも終わり、二学期が始まっていた。
生徒達は各自、夏休みの思い出を語っている。
「一夏元気?どうだったのお師匠さんとの修行?」
「10回くらい死んだよ」
「死にかけたじゃなくて?」
「人生終了のお知らせの方だ」
「えー...」
シャルロットはただ茫然と呟くことしかできなかった。
修行で死ぬなぞ、論外もいい所であるが、それが平然と起きているのだ。
死ぬような修行は一夏が不死の権能を得たのが原因なのだが、当の本人はそのことに気づいていない。
「そういえば一夏。全校集会で重大な発表があるらしいですよ」
「そうなのか?有給休暇三年付与みたいなのある?なら、おれはすぐそれを行使して、溜まっている積みゲーを消火して、スマホのゲームに集中して遊べるじゃん!」
「何その娯楽三昧?ダメ人間の片鱗を見た気分だよ...お兄ちゃん」
壇上に立った生徒会長の更識楯無がSHRと一限目の半分を使っての全校集会の理由を説明する。
近時か行なわれる学園祭ことだ。
IS学園とは言え、ここも学校であるのだ。その為、こう言った行事ごとはある。
とは言っても招待制なためごく一部の一般とVIP、企業の者しか参加できない。
「さてさて、今年は色々と立て込んでちゃってちゃんとした挨拶がまだだったね」
異性すら惚れさせるその笑顔を見せる楯無は今月の一大イベントにある特別ルールを導入したことを発表した。
「名付けて、『各部対抗織斑一夏争奪戦』!」
「ナ、ナンダッテー!!」
「一位の人には一夏君を入部させます」
キラッという効果音が聞こえそうなポーズをする楯無。
一夏の肩に手を置くマハード。
「一夏、ガンバ」
「ついでにマハード君もプレゼント!」
「NOOOOOO!!USODAAA!!」
「匿名希望の謎の黒騎士がいるぞ」
SaraaaSikiiiii!!、とどこぞの狂化しまくってる円卓の騎士のような叫び声をあげるマハード。
内容は最も投票を多く手に入れた部活に一夏が所属するということだ。
ともあれ、これがきっかけに体育館を揺るがす大歓声に呑み込まれた。
同日、教室にて放課後の特別HR。
今はクラスごとの出し物を決めるため、わいわいのと盛り上がっていた―――一部を除いて。
「一夏君は何かやりたいことある?」
「ア"ァ?」
「いえ、何も」
「マハードさん?その大量のオキシドールはなんですか?」
「何、
「消毒以外に何かしますよねそれ!?」
机の上で足を交差させ、腕を組み、グラサンを掛け、話しかけた子に威圧とガンを飛ばす不良一夏。
巨大なバケツに大量のオキシドールの入った容器を入れるマハード。
「一夏いつ殺りに行きます?」
「取りあえず、学園祭が終わるまでは残りの人生を楽しませてやるか」
「はいそこ、不気味な話しない」
色々不気味な話をする一夏とマハードに突っ込みを入れるマナ。
クラスでやる出し物はメイド喫茶に決まった。
中には欲望まみれの案があったが、一夏のガンと無言の威圧とマハードの目が笑ってない笑顔で誰もその案に投票しようとしなかった。
朝の発表で一夏は精神的ストレスの性でちょっとした破壊衝動が起きていた。
「あー、やっべ、超ヤベー。朝のあれのせいでイライラする...。俺ニコチンとか取ってないのに」
そういいながら、一夏は自室のドアノブに手を掛け、開けた。
「お帰りなさい。ご飯にします? お風呂にします? それともわ・た――」
バタン! と相手が全てを言い切る前に、一秒も掛けずに扉を閉じた。
(今回のストレスの原因の幻が見えるとか...、相当やばいな)
一瞬しか見えなかったが、目の前に立っていた少女の幻はエプロンしか身に纏っていなかった。
一夏はもう一度、ドアノブを捻る。
「お帰りなさい。私にします? 私にします? それともわ・た・し?」
バタン! と相手が全てを言い切ると同時に閉めるとスマホを取り出し構えながら、ドアノブを捻る。
「もうぅ...お姉さんをじらせ<パシャッ!>え?」
「ブラックメール送信と」
「送信?まさか...、誰に送ったの!さっき撮った写真を誰に送ったの!?」
「ピーピー、うるせぇんだよ...。とっと退かないと、ど玉ぶち抜くぞ?」
一夏は裸エプロンもどきの格好をした痴女の写真を一番見られたくない
「3つ数えるまでにそこをどけ。はい、いぃ~ち(ズドン」
「2と3はァァァッ!? 」
「しらねーな、そんな数字。男はなァ、1だけ覚えとけば生きていけるんだよ」
一夏はCV若本な警察庁トップの様なセリフを言いながら、楯無の後ろにあった花瓶を撃つ。
「ほら、とっと中に入れ。後が閊えてんだよ」
「閊えてるって...、織斑君しか...。はい、何でもありません、なのでハイライトの消えた目で銃口を向けないでください。ものすごく怖いです」
ようやく中に入った一夏は腕を組みながら、目の前の痴女ストー会長を睨む。
「で、何しにきたんだ?」
「いや、私今日からここに住もうと思ってね」
「は?」
「従者のあの子たちには別の部屋に引っ越してもらったわ」
ここで、一夏はあることに気づいた。
「消毒液臭いなー」
「会った瞬間に問答無用で、オキシドールでじゃばじゃばされました」
一夏は実の妹に醜態を晒すという方法で、仕返しをしたが、マハードはバケツ一杯まで入ったオキシドールでじゃばじゃばされたようだ。
一夏の頭に殺菌!消毒!、と言いながら実行しているマハードの姿が思いついた。
気が晴れたマハードは一夏も楽しむことが出来ると踏んで、部屋を変わったのだろう。
「まぁ、護衛だろうが別に構いませんが、俺の邪魔はしないでね」
「!? なんでそう思ったのか、お姉さんに教えてくれるかしら?」
「世界初の男性操縦者という存在は世界中から狙われるから。特に、学園祭だと外部から来る人もいるからね。それに対する対応と言ったところでしょう。後は好奇心か」
「へぇ、中々鋭いのね」
一夏の推論に『お見事』と書かれた扇子を取り出す楯無。
「まぁ、どちらかと言うと織斑君の情報収取がメインなのよね」
「俺はISが動かせるだけのただの高校生ですよ」
「貴方のような高校生が居るわけないでしょ。貴方のその戦闘力ははっきり言って異常なのよ。織斑先生の弟だけで済む範囲を超えているわ」
「疑いあるものは排除、ですか?それならそれなりの実力行使をさせてもらいます?」
楯無が一夏と同室になったのは護衛だけではない。
謎が多い一夏を調べる目的もあったのだ。
楯無は今までの真剣な表情から一転、柔和な笑顔を見せた。
「生徒を守る生徒会長としての立場だと、今のところ貴方とマハード君は信用できないわ。けど、私にはIS学園の生徒会長として生徒を守る役割があるの。だから、信用出来るまで貴方からは離れないわ」
「監視と護衛の両方同時に仕様という魂胆ですか...。別に構いませんよ」
「私個人としては貴方と仲良くしたいと思ってるの、織斑君といれば私の勘が言っていたのよ♪」
「まぁ、要は同室になった理由として『俺との生活が面白そうだったから』があるって事ですか?」
面白がるように笑い、『仲良くしてね♪』と書かれた扇子を開いて見せる楯無。
「それに織斑君を調べていたら気になるワードがあったのよ」
「ほぉ...。それは」
「神殺し」
一夏は一瞬、表情が変わるが、それは常人であれば気づく事は無い、微々たる変化だったが楯無はそれを見逃さなかった。
「脈あり、何か知っているみたいね。お姉さんに教えてくれないかしら?」
「知ったらどうするつもりで」
「勿論、簪ちゃんをそんな訳のわからない連中から切り離すためよ。簪ちゃんがその神殺しって連中と関わってるのは最近の調査でようやく突き止めたのよ」
その神殺し俺です、と内心思いながら一夏は楯無の話を聞いていく。
「それに簪ちゃん小さい頃に誘拐されてね。怖い思いをしちゃったのよ...。それも神殺しが関わってるんじゃないかって私は予想してるの」
「誘拐ねぇ...」
それはクソジジィのせいで、むしろ負い目を感じている事件ですよ、と心の中で思った。
「だから、これ以上簪ちゃんが怖い思いをさせないためにその神殺しに関する情報が欲しいのよ!」
「んー、神殺しに普通の人間だろうがISだろうが勝てません。世界最強(笑)と思ってる連中と実力者ですからねー」
「そんな道理、私の胸でこじ開ける!あ、簪ちゃんからメールだ。.........オワタ」
ブシド―のような事を言っていると、楯無の携帯が鳴ると嬉々とした表情でとるが、一瞬にして、絶望で塗り固められた。
『お姉ちゃん見損ないました。
私に痴女なお姉ちゃんは居ない。
さようなら、私のお姉ちゃんだった人』
一夏が楯無の後ろから覗き見した内容である。
そして、一枚の離縁書と書かれた紙の写真が載っていた。
「かぁぁぁんざしちゃぁぁぁん!!これには事情があるのぉぉぉ!!」
「うわっ、盛大に泣き叫びながら出ていったぞ...」
ただのシスコンじゃないか、と一夏は思いながら部屋のドアをそっと閉めた。
外から『一回話をしましょ!ね?』『簪ちゃん開けてぇぇぇ!』『簪ちゃんわ"た"し"を見捨てないでぇぇぇぇ...』など生徒会長の悲痛な声が響いた。
ちなみにその晩、姉妹関係の危機をなんとか脱した彼女は復讐と悪戯で夜這いを仕掛けた彼女が簀巻きにされ部屋の外に放り出された事件が起こり、また姉妹に亀裂が生じかけたのはまた別の話である。
2016年クリスマスは邪ンヌですか?邪ンヌですよね!!