一日の授業が終わり、放課後の教室に一夏を中心に人が集まっていた。
「は?キャノンボール・ファストが中止?」
「うん。なんでも、何度も襲撃されてるのが原因で、それが行事の時に限って、起こるから各国のお偉いさんが来たがらなくてね。それで学園側は一つ行事を削った上で、汚名挽回の別の行事に変更して行おうってなったらしいよ」
「二週間後に専用機持ち限定タッグマッチトーナメントするらしいですよ」
「そうそう、それで一夏に話があるのよ」
キャノンボール・ファストは中止となり、一夏は新しい武器でも作るかなー、と考えていると鈴が一夏に話しかける。
「一夏。そのタッグトーナメント私と組みなさいよ!」
「貴様!抜け駆けをするつもりか!!一夏と組むのは私だ!」
「いいえ、一夏さんと組むのはこの私、セリア・オルコットですわ!」
「ち、違うよ!一夏は僕と組むんだよ!!」
誰が一夏と組むで揉める四人だが、その様子を勝ち誇った顔をする少女が居る事に気づいてない。
「ふっ」
「何が可笑しい簪?」
「いや、あまりにも無益な争いだなって思って...」
「何だと!?」
「だって、一夏と組むの私だもん」
不敵な笑みを浮かべる簪に疑問を持った箒は簪に詰め寄る。
それに対し簪は煽る様に言うと自分が一夏と組むと確信を持って行った。
「あー、その事なんだが...実は一か月くらい前に簪から誘いがあってそれを了承したんだよ」
「え?それって...」
「今回、俺は簪と組む」
一夏の言葉に、鈴以外が膝を突き落ち込む。
鈴に関しては、なら仕方ないかー、と言いながら落ち込んだ素振りを見せないでいた。
「それで一夏。ペーネロペーは完成したけど、天と天使、後ノルンがまだ完成してないから手伝って」
「俺もカレッドとかタクティカルとか作りたいのあるし、いいぜ」
そういうと、いまだ茫然と四人を他所に一夏と簪はタッグトーナメントについて話し合うのだった。
「ん?ペーネロペー...ノルン......。あ...」
「どうしたのお兄ちゃん?」
「いや、これから起きる悲劇がな...」
簪と一夏の言った単語に心当たりがある人知れず冷や汗を流すのだった。
放課後、第三整備室に居る簪と一夏は新しい装備を作ってたいた。
「ねぇ、一夏は怖くないの?」
「何が?」
「まつろわぬ神と神殺しと...うぅん。戦うこと自体怖くないの?」
「怖いか...。俺は死ぬことよりも、何かを失う事の方が怖いな」
一夏は作業を止め、天に向けて手を伸ばす。
「俺は多くのモノを手に入れ与えてもらった。だけど、その中で失ったモノや壊したモノも多い。敵でありながら、気さくに俺に話しかけ、釣りとかに誘ったクーを失った時とかな」
「ケルト神話に出てくる英雄、光の御子クー・フーリンの事だよね。一夏とまつろわぬ神が一緒に行動しているって私達の間で話題になったけど、その詳細について何も知らない。よかったら、教えてくれる一夏?」
「あいつと出会ったのはアイルランドに遊びに行った時だったな」
一夏は掛け替えのない
「アイルランドと言えばケルト!ケルトと言えばクー・フーリン!この国の魔術組織に押しかけて文献を漁るか」
アイルランド市街で意気揚々とやられた側としては迷惑な行為を言う一夏。
「そういえば、最近この国にまつろわぬ神が出たって話だよな。出会ったら戦うかな」
「よ、そこの兄ちゃん」
「ん?」
一夏はまつろわぬ神が招来したことを思い出していると背後から自分を呼ぶ声が聞こえ、振り向くとそこには青い髪を後ろで一つに纏め、猛禽類を思わせる鋭い赤い瞳をした一人の青年が居た。
「ちょっと、この場所までの行き方を教えてくれねぇか?」
「あぁ、それならここをまっすぐ進んで突き当りを右に行けばすぐだ」
「おぅ、助かったぜ兄ちゃん」
「どういたしまし―――!?」
行き方を教えた一夏にお礼を述べる青年だが、いきなり手刀を一夏の顔面目掛けて繰り出すと、一夏は咄嗟にしゃがみ。バク転しながら後退する。
「へぇー、あの至近距離で咄嗟の判断力と反射...流石と言ったところか?神殺し」
「お前...人間じゃないな。この気配、まつろわぬ神か...」
青年から感じる気配に一夏は臨戦体制に入る。
「なぁ、神殺し―――腹減ってねぇか?」
「は?」
「は?じゃねぇよ。よく言うだろ?腹が減っちゃ戦はできないってよ。なんか食い物ねぇか?腹が減って仕方がないだ」
「え?いや...えー...」
いつでも戦えるように全身を研ぎ澄ましていた一夏に目の前のまつろわぬ神は腹が減ったと言い出し、剰え敵である一夏に食い物をねだる始末に一夏は戸惑いを隠せずにいた。
「そうか...。なら、死ぬまでホットドッグを食べ続けるがいい」
「
「ホットドッグ...ドッグ...。犬...食べれない...アイルランド......。あ」
「あ、やべえ」
一夏は目の前に見えたホットドッグの出店を見て言った一言に過剰に反応し、自分が持つ知識をフル活用し、答えを導き出すと青年も自分の仕出かしたミスに気付く。
「お前、ケルト神話に出てくる光の御子クー・フーリンか!」
「あぁ、そうだよ!俺がクー・フーリンだよ!で、食い物持ってるのかよ」
「...なぁにこれぇ?あっちに猪の丸焼きがあるから、それを奢ってやるよ」
「お、マジか。敵なのに悪いな」
一夏が導き出した答えはケルト神話に出てくる光の御子クー・フーリンであるが、その事にやっちまったと半場自棄になりながら言うクー・フーリン。
正体がばれてもなお、食い物を求める彼に一夏は困惑しながら、肉料理がある事を説明すると相当腹が減っていたのか、その肉料理がある店に向かうクー・フーリン。
「うわぁ、この肉料理うめぇな!」
「お、おう。そうか」
「食わねーのか?なら、俺が貰っていいか」
「いや、構わんが...」
「じゃ、有り難く!」
出てきた料理を豪快に食べていくクー・フーリンに一夏は頭を抑える。
「追加注文いいか?」
「好きにしろ」
「なら、遠慮なく。おう、そこの姉ちゃん!追加で――」
持ってきた財布の中から札が羽根がついて消えてく様を見ながら、一夏は目の前のまつろわぬ神に聞く。
「お前がここ最近現れたまつろわぬ神でいいのか?」
「あぁ、大体一週間くらい前か?現界するのはいいが...食い物を買う金もねぇし、困ってた所にお前さんが現れてな。戦う序に飯でも奢ってもらおうかなって思ったわけよ」
「何この貧乏人。敵に塩を求めるとか」
「また、いつ現界するか分からねぇし。ちょっと俺の用事に付き合ってくれねぇか?」
「いや、俺は敵だよ?」
「気にするなって。戦場なら敵だが、ここは戦場じゃね。なら、互いに交流を持っても問題ないだろ?」
目の前のまつろわぬ神の言い草に本格的に頭を抱え始めた一夏は最後まで付き合ってやるか、と考えても無駄だと悟った一夏であった。
「お会計、6万7千250円です」
「あ、カードで」
「で、なにしたいんだ?」
「そうだな、海に行って釣りや素潜りがしてぇな。後はいつまでも、戦うわけでもねぇのにこの戦闘服でいる訳にもいかねぇよな」
「絶賛奇怪な目で見られてるもんな。ラフな服でいいなら、このアロハシャツがあるが?」
「なら、後はこのジーンズってズボンにするかな」
クー・フーリンはやりたいことを言うと、自分の今の恰好がこの場に遭わないことに気が付くと一夏の金で衣装チェンジしていく。
「お、中々いいじゃねかこの恰好!このあたりになんかいい釣りスポットねぇのか?素潜りとかが出来る海でもいいぞ」
「やだ、この英雄現代満喫する気満々じゃないですかー。知り合いの剣馬鹿が教えてくれたいい場所がある」
「お?ならそこ行こうぜ!」
「フレンドリーだなー」
行く場所が決まった一夏達は釣りスポットを目指し移動し、目的の場所に着くと釣竿を用意し、釣りを開始する。
「な、神殺し」
「あ?なんだ」
「どっちが多く魚を釣るか一つ勝負と行こうぜ」
「面白い、その勝負乗った!」
クー・フーリンの提案を飲んだ一夏どちらが多く釣れるか勝負が始まった。
~30分後~
「フィッシュ!悪いなクー・フーリン、俺だけ釣れてさ!」
「ぐぬぬぬ...。条件は同じはずなのに...」
「追加でもう一匹フィッシュゥ!!」
「おい!神殺しお前イカサマとかしてないだろうな?」
「そんなことするか。釣りに権能なんか使うかよ」
その後も一夏は魚を釣りまくり、対してクー・フーリンは全く釣れず『別にここにいる魚を全部釣ってしまっても構わんのだろ?』と煽る始末。
「なぁ、クー・フーリン」
「なんだ神殺し?」
「お前の師匠...影の国の女王スカサハってどんな奴なんだ?」
「あ?師匠...?誇り高く、何者にも傅かなくて、昔から無茶なことを言う奴でな......」
―――『この甲羅を背負い、今から私が魔獣の巣に投げるお前の文字が書かれた石を取ってこい...半日までにな。勿論武器は無しだ』
―――『今から全員で私を殺しに来い。勿論、私もお前たちを殺しに行く』
―――『まずは戦え。考える前に戦え。悩み惑うは戦の後、生き残った王者の特権よ。故に戦え、戦え、戦って勝ち取れ!それがケルト流だ!』
「ケルトって世紀末だな」
「まぁ、そんな感じなんだよあの人は...。まぁ、神殺しで、原初のルーンとか使える大魔術師であり、誇り高き戦士だけどな」
「原初のルーンか...。、北欧神話の女神スカジのケルト神話に於ける姿ってのが関連してるのか?」
「何言ってんだ?師匠は女神じゃねぇぞ。生粋のケルト人...つまりは人間だ」
「何っ!?」
一夏はクー・フーリンから聞いた話から素直な感想を言うとクー・フーリンが一夏の予想外な事を言う。
「はぁっ!?スカサハって人間!女神じゃないの!?」
「あの人は人の身で人と神と亡霊を斬り過ぎた事で、神の領域に近づいたんだぞ。ついでに言えば、あの人が現界することはないだろうな...。まぁ、最後のはこれ以上聞かないでくれ」
「まぁ、気になって仕方ないんだが...。お前が言いたくないんなら言わなくていいや」
「おう、すまないな。お?キタキタッ!」
予想だにしない事実に詳しく話してもらおうと思った一夏だが、クー・フーリンの表情に影が差しこれ以上言及するのをやめた。
そして、二人は日が傾くまでお互いについて話ながら、釣りを楽しんだ。
「さて、日が傾いてきたし、今日は引き上げるとするか」
「あ?俺と戦わないのか?」
「なんて言うかな...。お前さんとは正直戦いたくないんだよ。お前は宿敵っていうよりダチ近いんだよなぁ」
「まぁ、俺もお前とはあんまり戦いたくはないな。こんな気持ちになったのは初めてだな。敵を目の前にしてここまで戦意が沸かないのも」
「だろ?なら、互いに仲良くやろうぜ」
刺し伸ばされた手を掴み握手をする二人。
ほんの数時間一緒に過ごしただけで、二人は意気投合し互いの関係を超え、親友になっていた。
その後も、彼らの交流は続いた。
「これがクーとの出会いであり、始めて
「そういう事もあるんだね」
「神殺しとまつろわぬ神は目的が合えば一時的に協力関係になることは偶にあるが、俺たちのは違った。俺はあいつを親友だと思っていた。勿論あいつもな」
「その後はどうなったの?」
「偶に釣りや山登り、サバイバルとかしたな。それに槍の修行に付き合ってくれたぜ。普段は何してるのか聞いたら、ナンパとバイトだぜ?現代を満喫しまくってて笑ったな。ほんと...こんな日がずっと続くんだろうなと思ってたよ。...あの時までは...」
休日、一夏はギリシャ神話関連の文献を呼んでいると、ある人物の気配がした。
「ん?近くにクーの気配がする...。だけど、妙に弱い...少し様子を見に行くか」
クー・フーリンの気配に違和感を覚えた、一夏は呼んでいた文献を仕舞い、クー・フーリンの気配がした場所まで向かう。
「気配はこの辺り...!? おい!どうしたその怪我!!」
「よぉ、神殺し...。会ったばかりで悪いが、頼みを聞いてくれないか?」
「無駄口を叩くな!今、怪我の治療を...」
「いくら治療しようが無駄だ...。ゲイ・ボルクで破壊された心臓は二度と直らねぇ...。たく、油断したぜ...まさか俺のゲイ・ボルクを躱した挙句、逆に奪って俺に突き刺したんだからな」
「そんな...ほかに手はないのか?」
胸を貫かれた青い戦闘服はその部分を中心に鮮血で染め上げられていく。
自身を象徴する魔槍によって傷を負ったことを説明する。
「なぁ、神殺し―――――俺を殺せ」
「なん...だと...。俺に親友であるお前を討てと言うのか!!」
クー・フーリンの衝撃の発言に一夏は声を荒げて言う。
「お前につらい思いをさせるのは心が痛い...。俺はな、現界した意味を残したいんだ」
「現界した...意味...」
「あぁ、人生ってのは生きている間は無意味なんだよ。そいつが死んで、物語が終わる...それを周りの連中が評価してようやく意味が生まれるんだよ。それは俺たちのような存在も同じだ。俺がこのまま消えれば現界した意味も無く、お前と過ごした日々も無駄になっちまう。それは俺も嫌だからな、だから...俺の権能を簒奪しろ」
「クー...フーリン...。俺は...」
クー・フーリンの最後の頼みに、一夏は拳を強く握る。
「男が情けない顔をするなよぉ...。俺を倒せば、生きた証として
「あぁ、じゃあな
「そうか、そりゃよかった。お前さんに倒される前に祝福と呪いの言霊を授けてやる」
下半身が消え、もう時間が残されていない事を理解した一夏は最後の願いを聞き入れる為、炎の大剣を構える。
「俺の槍を、魂を使う以上、誰にも負けない強者であり続けろ。――――あばよ、
一夏はクー・フーリンが送った最後の呪いと言う名の祝福を胸に刻み込み、炎の大剣を振り下ろす。
振り下ろされた炎はやがて、円柱と成り天高く伸びていく。
それはクー・フーリンの魂が天に帰っていくかのように見えた。
「戯れのつもりで光の御子と戦になったが...。いやいや、中々いい三文芝居だったよ。これで劇は終了かな?...いや、もうお腹一杯だよ」
「てめぇが、クー・フーリンを...」
「中々、いい憎悪だ。名乗りまだだったな...我はオリュンポス十二神が一柱、神々の王ゼウスなり」
「白き王...神殺し、織斑一夏だ...」
一夏は久しぶりに自身の中で燃え滾る憎悪を自覚しながら、炎の大剣を構える。
「ゼウスゥ!!天への懺悔は済んだかァァァ!!」
「血の気の多い神殺しだな!」
怒りで平常心を失った一夏は炎の大剣を豪快に振り回し、ゼウスはその攻撃を躱し続ける。
「隙だらけだぞ!神殺し!!」
「ぐっぅぅ...!?」
ゼウスは空中に雷の槍を生成すると一夏に向けて放ち、自身も槍を構え、正面から立ちはだかり、雷の槍と炎の大剣が幾度とぶつかると不意にゼウスが笑みを浮かべると一夏は背中に走った悪感に従い、後退するも側面に生成された雷の槍が一夏の腹に掠ると臓物を焦がす。
「我は天を羽ばたく不死鳥と成り、我は天に輝く太陽と成る!」
「ほぉ、我が神話の聖鳥フェニックスの権能か」
「流石にわかるか...。だが今の一撃で、だいぶ頭が冷えた。――業を抱きし定められし英雄よ!我に汝の武具を授けよ!」
「次は何を見せるのだ神殺しよ?」
「ハァッ!!」
一夏は身の丈ある大弓を構えると縮地を使いながら、ヒット&アウェイを繰り返しながらゼウスを攻撃する。
「えぇい、ちょこまかと!」
「せぇい!」
「クッ...!ハァァァ!!」
「グワァァァァ!?」
縮地を多用した戦闘に苛立ちを覚えるゼウスに近距離から弓を放つも、近づくのを待っていたゼウスは一夏の右腕を掴むと雷の槍で一夏の左目を抉る。
「ぐぅぅぅ...ハァ!」
「クッ...!―――我は神々の王にして、天空を司りし支配者なり!我が威光に逆らう愚者に神罰を下せ!」
「ゴァ...!?」
大弓を消し、掌打をゼウスの腹部に打ち込むと、右腕を掴んでいた力が弱まり拘束を解き離れると、ゼウスが聖句を唱えると雷の球体を呼び起こすと、神速で一夏を跡形も無く消しい飛ばした。
「ふっ、他愛もない。所詮は人の子よ......む?」
一夏を跡形も無く吹き飛ばしたことにより勝利を確信したゼウスだが、飛び散った一夏の肉片が燃え、一か所に集まるとそこから何事も無かったかのように傷がない一夏の姿があった。
「あぶねぇ、フェニックスの権能が無ければ終わっていた...。これがキュクロプスに作らせた雷霆か...なら、あれを使うか」
「存外にしぶといな神殺し」
「ヘルの冷気よ、今我が下に集え。死を司りし、異形の天使よ。生者を死者に、我が書物より汝の名は消えよう」
「これは...」
一夏は二つの権能の聖句を紡いだその瞬間、一夏の身体を冥界の冷気が覆い、一つの大剣を構えるが、ゼウスは一夏から放たれる濃密な《死》に冷や汗を流す。
「...そこか」
「くっ...傷が...」
青い冥界の炎が一夏を覆うと、次の瞬間姿を消しゼウスの目の前に現れた炎から一夏が姿を現すと大剣でゼウスを斬るが、自身に起きた異変に戸惑いを隠せずにいた。
「傷が治らない...。我の身体に何をした!?」
「
「ぐぅぅ...!?なら、もう一度我が雷霆で......どういうことだ!!?」
一夏はゼウスが持っていた雷霆を斬ると、一度後退し権能の合わせ技を解除する。
息も切れ切れ、顔色が優れない一夏を見たゼウスは好機ともう一度、雷霆で一夏を葬ろうとするもどういうことか雷霆が現れず混乱する。
「...さっき雷霆を来た時に殺させて...もらった。ウグッ...!」
「馬鹿な
「...さっきの二つは...死を操る権能の合わせ技だ。冥界の冷気と『死』を身に纏い、自身を『死』を上書きすることで死を操る様にする...」
「そんな出鱈目をすれば人の身である貴様にどのような影響が出るか分かったものではない!!先ほどの貴様は冥府神そのものだ!!」
大きく取り乱すゼウスだが、一夏のやったことはゼウスからすれば正気の沙汰ではない。
死を扱うという事は誰よりも死が近くに存在するという事であり、それは一夏の寿命を縮める事他ならない。
短時間であればそこまで影響は出ないものの長時間使えば確実に命を削る、まさに死と隣り合わせの技である。
「さぁ、後はあいつが授けてくれたこの槍で止めを刺してやるよ!」
「ふっ、そのような当たらない槍など、怖くはないわ!」
「ぬかせ!」
クー・フーリンより、授けられた魔槍ゲイ・ボルクを構えた一夏はゼウスに接近し、クー・フーリン直伝の槍捌きで翻弄する。
「ソラソラソラソラァ!」
「えぇい、調子に乗りおって!」
「ぐぅ...。こなくそぉ!」
頭上から無数の大量の槍の穂先がゼウスを襲うが、傷を負いながらも一夏に接近すると雷を纏った拳をめり込ませると、口から血反吐を吐きながら後退する。
「意識が持たねぇ...。なら、あの技を使うしかない!」
「来るがいい!我が楯でその一撃防いでやろう!!」
「行くぞ!
一夏の最後の一撃に掛け、ゼウスは彼の娘であるアテナによく貸したと言われる、雷霆の一撃をも防ぎ、更に敵を石化させるアイギスの楯を呼び出し、一夏の一撃を防ぐ。
「うおおおぉぉぉぉ!!」
「ぐぅぅぅぅ...なんという一撃だが、この楯は破れん!」
「クー・フーリンの、アルスターの魂嘗めるなよぉ!」
「なにっ!?」
互いに拮抗した状態から徐々にアイギスの楯に罅が入り始めたのだ。
だが、一夏の身体も徐々に、アイギスの楯の石化の力により右足や左腕など、所々が石になり始めている。
一夏は一度、アイギスの楯を全力で蹴り、距離を取ると肉体が崩壊するレベルでゲイ・ボルクを投げる。
「ぐぉぉおおおお!!」
「ぬぅぅぅぅ!?この一撃を...ふせげ...ば」
自らの肉体の崩壊も辞さないほどの全力投擲だが、ルーン魔術によって「崩壊する肉体を再生させながら」投擲しているため、ダメージを受けることはない――途方もない苦痛を除けばであるが。
この投擲により、アイギスの楯を破壊し、ゼウスの心臓を貫く。
「この神々の王である...我が...」
「お前が負けた理由はシンプルでたった一つの理由だ。―――てめぇは俺を怒らせた」
「友情とは...侮れぬものだな...」
自らの敗北を認めないゼウスに自身が負けた理由を言うと、ゼウスは友情を侮った報いを受けたのだと理解し、消えていった。
「クー...、敵は...とった...ぞ...」
緊張が解れた一夏に体に重くのしかかるような感覚と全身の怠惰と疲労、意識が完全に途絶える瞬間、よくやったとサムズアップをしながら笑みを浮かべるクー・フーリンの幻影を見ながら意識を手放した。
「彼が俺とクーの話だ...って、あれ?」
過去を話し終えた一夏があまりに静か故、不思議に思い簪を見てみるとその瞳には大粒の涙を浮かべながら話を聞いていた。
そして、よく見ると周りにはいつものメンバーが感極まった表情でティッシュやハンカチで涙を拭き、鼻をかんでいた。
「一夏...お前そんな過去がったのか...」
「宣誓布告の為に来たつもりでしたが、まさかこのようなお話を聞けるとは思いませんでしたわ...」
「...一夏...つらい思いをしてきたのね」
「いや、昔話昔話。そんな感動する話でもないだろ?」
どうしたらいいのこの状況?、と珍しく自らが引き起こした事態の収集に困る一夏。
「師匠!貴方は嘗ての友との約束を守るために、ここまで強くなったのですね!そして、これからも!私は貴方に一生着いて行きます!!」
「僕も今の話で見方が変わったよ!僕は自分の為だけじゃない...誰かのために何かを残す。僕もそんな生き方が出来るように頑張るよ」
「お、おう...」
もうどうにでもなれ、と投げやりな気持ちになり始めている一夏。
「生きてる間は無価値、だけど死んでから価値が出るか...。なら、少しでも自分が
「色々、参考になる話だったし、一夏と光の御子の間に在った絆は確かなものだと思う。だから、一夏は忘れないで誇りに思えばいいと思う、彼と過ごした日々を、日常を...」
「あぁ、そうだな...。クー俺は前を向いて歩いている...だから、俺の人生という旅を見守っててくれ」
簪の言葉を聞いた一夏は笑顔を見せ、拳を手に向けて伸ばし、嘗ての親友の様に大切な存在が出来た事、守れなかった彼の様な結末を迎えない為に、一夏は歩き続ける。
復刻だ!月見だ!久しぶりのイベントだぜ!
礼装とか全部売っちゃ長け努何とかなるさ!
翁チャレンジは成功!ジョージボイスは最高ですね!
宝具2目指して回した結果出たのは玉藻...私にアーツパを組めと?