インフィニット・ストラトス ~蒼天の魔王~   作:ハルン

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今回は後日談とおまけの息抜き話となります。


護った日常

ガタノトーア殲滅後、小惑星飛来による未曾有の災害を阻止した一夏は某機動戦士の自爆少年の様に日本海に浮かんでいた所、マハードによって回収された。

 

全身の至る所にやけどの跡があるも命に別状はなく、一夏は自室で二日間眠りについていた。

 

そして、未確認のIS侵入などの度重なる不測の事態によって、各国からのクレーム対応の為、教師の手が足りず、休みとなった。

 

そして、一夏が目を覚ましたのは休みになったという、校内アナウンスが放送された後であった。

 

 

 

一夏Loveな彼女達は我先にと一夏の部屋に向かおうとする。

 

 

「一夏!大丈...夫か...」

 

「一夏さん!何か...欲しいもの...は?」

 

「えーと、どちら様?」

 

「誰よ、アンタ!」

 

「DEBUUUUUーーーウ!」

 

 

少女たちの目に入ったのはベッドの上で食べ物を掃除機の如く食べる少年の姿だった。

 

問題なのはその少年の外見である。

 

光を反射する白銀の髪、体の至る所に包帯を巻き、左目を包帯で塞がれ、右手には白式の待機状態である白いガンレット。

 

ここだけ見れば問題ないが、その体格は小太りを通り越して肥満であることだろう。

 

部屋を間違えたかと部屋を一度出て確認するも間違いなく一夏の部屋である。

 

そして、認めざるを得なかった目の前の人物が意中の一夏であるという事実に。

 

 

 

「マハード!ちらし寿司十人前、カレー5人前、後は泰山特製麻婆辛さは愉悦を追加だ!まだカロリーが足りねぇぞ!!」

 

「お願辞めて!これ以上僕たちからカッコいい一夏を壊さないで!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、食った食った」

 

「アンタどんだけ食べてるのよ...。大食い選手も顔真っ青よ」

 

「限界以上の呪力使うと俺は無性に腹が減るんだよ。まだ腹六分目だぞ?―――フッ!」

 

 

床に積まれた皿はあともう少しで天井に着くほど積まれた皿が複数ある当たり相当な数の量を食べた事になる。

 

まだ食い足りない一夏だが、いったん切り上げ足りない分は夜に食えばいいかと考えると、体に力を入れると身体に蓄積された贅肉や脂肪がみるみる吸収され、包帯越しでもわかる鍛え抜かれた肉体が姿を現す。

 

 

「なん...だと...」

 

「世界中のダイエットに励む人に対する侮辱よ、あんなの...」

 

 

急激な肉体の変化に驚きを隠せないシャルロット達。

 

そんな彼女たちを他所に一夏はある事を思い出し、マハードに質問する。

 

 

「そういえばマハード、この前録画を頼んだあれを見たいんだが...」

 

「あれ?あー、『アルキメデスのΨ難』ですか?それでしたら、いつでも見れますよ」

 

「暇だし見るか」

 

「聞いたことないけど、どんな話なの?」

 

「人間嫌いで偏屈な数学者兼探偵が、助手のアイカツ女子が持ってきた事件に巻き込まれて、事件解決することになる推理ドラマだな」

 

 

簡単な説明をすると一夏は録画の再生ボタンを押す。

 

 

オープニングが流れ、ドラマが展開される。題名は“容疑者X”

 

まず初めに映ったのは、何やら図形を描くことに没頭する主人公。

 

そこへ、アイドル活動女子、略してアイカツ女子が飛び込んでくる。

 

 

【ちょっと、聞いてよ! すごい事件が起きたのよ!完全犯罪よ!!】

 

 

そして、間髪を入れずに床に散らばった図形を踏んづける。

 

中にはビリッ、と書いた図形が破ける音がする。

 

 

【私のぉ! 図形を踏むなぁあああっ!!】

 

【いいじゃない別に。減るもんじゃないし】

 

【私の精神は確実にすり減っているぞ!?これ以上踏むなぁ!私のSAN値が直送してしまう!?】

 

【相変わらずせっかちね。そんなどうでもいいわよ。それよりも事件よ! 事件!】

 

 

かなり偏屈な主人公と、とても助手とは思えないレベルの性格をした助手との凸凹コンビである。

 

 

【容疑者全員にアリバイがある殺人事件が起きたのよ】

 

【他の人間ではないのですか?】

 

【それが部外者は絶対に入れない場所で、なおかつダイイング・メッセージを残してたの】

 

【ほう、それはなんと?】

 

【一文字だけ、“X”って】

 

 

少しだけ考える仕草を見せる主人公。

 

 

【ちなみに被害者は?】

 

【えーと、確か円卓財閥で社長やってた武内って人】

 

【容疑者は?】

 

【セイバー・アルトリアに謎のヒロインX、謎のヒロインXオルタ、セイバー・アルトリア・オルタ、それからアルトリア・リリィね】

 

 

「ねぇ、一夏このキャスティング可笑しくない?皆同じ顔なんだけど...」

 

「静かに」

 

「アッ、ハイ」

 

 

【謎のヒロインXが一番怪しいんだけど、他の社員複数に見られている。それで逆にアルトリア・リリィは社員には見られてないけど、他の全アルトリアから庇われてるの。特にセイバー・アルトリアの庇いが顕著ね。ものすごい、庇いようよ】

 

【ふう......くだらない。実にくだらないですねぇ。こんな事件は警察で十分ですね。

低級な事件は警察に任せておきなさい。私はこの作業に忙しいのです】

 

 

一瞬で事件の犯人が分かってしまったのか、興味をなくし作業に戻る主人公。

 

しかし、助手がそれを止める。

 

 

【あ、もう前ギャラはもらってきたわよ】

 

【この低級助手がぁぁぁッ!!】

 

 

素晴らしいキレっぷりと顔芸を見せる主人公。

 

役者の演技は鬼気迫るものがあり、まるで本当に怒っているような迫真の演技が話題となって人気沸騰中である。

 

 

【ほら、早く行くわよ。サクッと解決してくればいいじゃない】

 

【し、仕方ありませんね。些か不本意ですが、いいでしょう。その低次元な事件を解決してみせましょう】

 

 

助手の身勝手な行為によって、結局、事件現場に行くことになった主人公。

 

乗る気のない依頼を終わらせる為、容疑者達を呼び出し、あっさりと解決に導こうとする。

 

 

【雑ですねぇ!実に雑ぅ!犯人もトリックも全て雑ゥ!!】

 

【流石ね!もったいぶらないで犯人を言っちゃいなさいよ!この、人間嫌いな数学者!】

 

 

犯人を特定した主人公は容疑者の周りを歩き始める主人公。

 

緊張した面持ちのアルトリア達。

 

主人公はピタリと一人の前で立ち止まる。

 

 

【犯人は―――】

 

【すまない...折角の推理の途中で、配達に来て、推理の邪魔だけではなく、名シーンの邪魔をして......本当にすまない】

 

【誰ですか!こんな時に配達を頼んだのは!?】

 

【あ、すいません。非常用のお菓子が切れたのでその補充を頼んだんです。糖分が無ければ頭は周りませんから】

 

【すまない...俺はお邪魔のようだから、ここに判子かサインしてくれれば俺はすぐここから消えよう】

 

 

腰が低く、何処か幸薄そうな少年はタイミング悪く入ってきた配達の少年はどこかすまなさそうに対応すると、謎のヒロインXオルタの荷物の様でサインをすると宣言通り、すぐさま姿を消す。

 

 

 

【腰を折られましたがもう一度...。犯人は謎のヒロインX殿!ではなく―――セイバー・アルトリア殿、あなたです!!】

 

【......ほう、何を根拠に言っているのですか? 私はその時間に確かにガウェイン卿が目撃しています】

 

【ガウェイン殿、あなたは確かにセイバー・アルトリア殿を見たのですか?】

 

【はい。確かに我が王は業務をこなしていました】

 

【その時に話されましたか?】

 

【いえ、王の業務の支障となると思いましたので】

 

 

まさかの犯人に驚く現場。

 

犯人は謎のヒロインXだと思っていたのが大半の様でシャルロットや箒は驚きを隠せずにいた。

 

 

【皆さんは自分の癖や習性、好みをご存知ですか?】

 

【...ッ!】

 

【いや、癖や習性など知らんが、好みはわかるぞ。私は常にジャンクフードを食べなければ落ち着かん。部下のものは付き合いと感覚でわかる】

 

【え、ええ。みなさん、それに私も分かるものであれば知っているかと】

 

 

僅かに身じろぐセイバー・アルトリアに焦りだすアルトリア・リリィ。

 

オルタは憮然とした態度を貫く。

 

 

【その通り。先ほど、皆さんの仕事中の映像を見させてもらいました。みなさん、時折、癖が出ています。染みついた癖が一定の間隔で出ています。事件発生時を除いて、ですがね】

 

 

主人公の言う先程とは10分にも満たない。

 

その計算速度に主人公の優秀さが表されていた。

 

 

【妙なんですよ。セイバー・アルトリア殿の癖が事件発生時だけ―――アルトリア・リリィ殿のものと完全に一致しているなんて】

 

 

全員の視線がアルトリア・リリィに向く。

 

 

【アルトリア・リリィ殿、あなたは事件発生時に何をしていましたか?】

 

【お、屋上で休憩していました】

 

【それを証明するものは?】

 

【あ、ありません】

 

 

アルトリア・リリィを目撃したという証言はない。

 

あるのは、リリィがそんなことをするわけがないという擁護と。

 

セイバー・アルトリアによる証言のみ。

 

 

【セイバー・アルトリア殿。あなたは事件発生時に―――リリィ殿を変装させていましたね?】

 

【......さて、なんのことやら】

 

【ごまかしても無駄です。私の数式に狂いはありません】

 

 

あくまでもポーカーフェイスを貫くセイバー・アルトリア。

 

 

【正解を出してあげましょう。この事件のつまらない解をね!】

 

 

主人公は欠片も揺らがず、決め台詞を放つ。

 

 

【あなたはアルトリア・リリィ殿に自身の変装をさせ、ガウェイン卿に目撃させてアリバイを作った。そしてあなた自身は最も怪しまれるであろう、謎のヒロインXに変装し、武内殿を殺害した。......違いますか?】

 

  

セイバー・アルトリアと思われていたのは、実はアルトリア・リリィであり、そして、犯人と思われていた謎のヒロインXはセイバー・アルトリアだったと主張する主人公。

 

外見が瓜二つな彼女たちなら出来る手段である。

 

 

【同じ、アルトリア顔を恨んだ人間の犯行にして、アルトリア顔を利用したトリック。ですが、雑ゥ! 実に雑な犯行です! 創造神の愛は(新たなアルトリア)は止まらない。武内+自由=アルトリア顔の方程式は決して破れることは無い!!それは死してなお、崩れることのない絶対の理!】

 

 

ビシッと指をさして決める主人公。

 

しかし、セイバー・アルトリアは黙したまま動揺を見せない。

 

それどころか静かに口を開き、問いかける。それでは私を倒すことはできないと言わんばかりに。

 

 

【見事な推理です。ただし―――証拠があればですが】

 

【証拠? 私がそれすら持たずに来るとでも? 助手殿、例の証拠】

 

 

そう言って今まで黙っていた助手の方を向く。

 

呼ばれたことに気づき、何かを飲み込みながら振り向く助手。

 

 

【美味しそうだから食べちゃったわ。テヘ☆】

 

 

【この、どこに出しても恥ずかしい最高最低の無能助手がぁアアアッ!!】

 

 

衝撃の展開に絶叫する主人公と、呆気にとられるアルトリア達。

 

こうして、物語は後半部分の新たな謎解きに入っていくのだった。

 

その光景を見ながら誰かが皆の心の声を代弁した。

 

 

「このドラマ...斬新すぎない?」

 

 

 

 

 

 

【私は許せなかった...! あの人が、これ以上アルトリア顔が増やすことが...ッ】

 

 

新たな証拠を突き付けられ、ガックリと膝をつき、悲痛な思いを吐くセイバー・アルトリア。

 

 

【次回、『フュージョン? ポタラ? それとも調融合?謎の増殖事件! ~増える助手と胃薬 そして五重奏~』をお楽しみに!】

 

 

次回予告で、増殖した助手を見て、失神する主人公と赤と白のドレスを着た二人の皇帝系女性とユニットを組むと宣言する助手の姿が映り、映像は終わる。

 

 

 

 

 

 

 

「なんというか個性的なドラマだな」

 

「最近似たようなドラマしかないから、こう斬新なドラマは見てて飽きない」

 

「あ、そう言えば一夏に新しいゲームが手に入った、って言ってなかった?」

 

「ゲーム?あー、新作のマジンハザードの事か」

 

 

マジンハザード?、と全員が首をかしげる中、簪はそのワードを聞いた瞬間、ガクガク震え始めた。

 

 

「出たの!?前作のラフムですら、相当ぐろくってC○ROにギリギリ通ったってあれでしょ。今作はそうとうヤバいってネットで話題になってたけど...」

 

「ラフムでもあそこまで残酷になれない」

 

「......それってどんなゲームなの?」

 

「ホラーゲーム」

 

 

初代マジンハザードは敵である“ラフム”から生きる為、人類を守る為に戦うというゲームなのだが、グロイ、とにかくグロイ。

 

ラフムの姿然り、描写然りかなりグロテスクかつ、残酷なあまり発売されないのでは?と危惧された作品である。

 

 

「今回は“襲い来るマスターから魔神柱として生き延びろ!”なんだけど無理ゲーだろ。描写然り、難易度然りあれはキツすぎる」

 

「マギマリ☆ロマンも下手を打ったと思う。いくら要望があったとはいえ、あれはね...」

 

「まぁ、プレイしてみれば分かりますよ。カーテンを閉め切って真夜中の電気も突けずにやると涼しくなりますよ。具体的に言うと冬のテムズ川に落とされた気分」

 

「あれは涼しいとかそういうレベルではない! こう、魂の底から凍るような怒りの方が...」

 

「何言ってるの?」

 

 

何やらトラウマを引きずり出されたのか、頭を抱える一夏。

 

恐らく彼と関わりのある頭の中お花畑(戦闘)ばかりな後輩魔王で、愉快犯な剣が関係しているのだろう推察したマハードだが、下手に触ると爆発しかねないので触れないでおく。

 

 

 

「ゲームと言えば、前に鈴が日本に居た時に弾たちと楽しかったなー」

 

「ゲーム?あぁ、あの醜い争い」

 

 

~以下回想~

 

大乱闘黄金闘士Xという四人対戦のゲームをしたとき

 

 

「なによこれ!?防御方過ぎでしょ!バグでしょ!?」

 

「悪竜の鎧が強すぎてすまない。これでも、竜殺しの大英雄の力のほんの一端なんだ(ニヤリ」

 

「おら!背中に向かってブリュンヒルデ・ロマンシアだ!」

 

「あ、ちょ!?背中はァァ!」

 

 

各神話や伝承を再現したこのゲームなのだが、弾の使っている大英雄ジークフリートの防御の硬さはもはやバグレベルそのあまりの強さに、一方的な戦いになってしまったり(一人除く。

 

 

 

 

「ヒャッハ―!キングボンビーをくらえ!」

 

「ちょっ、ふざけんじゃないわよ!弾のくせに!!」

 

「おう、リアルファイトやめーい」

 

 

最下位争いで、醜いボンビーの押し付け合いを行った、弾と鈴。

 

結果的にリアルファイトが勃発し、鈴の腕ひしぎ十字固めが炸裂した。

 

この時弾はマナだったらあの豊満な胸が...、と煩悩丸出しだったりする。

 

 

 

色々、個性的な人が集まれば簡単に問題を起こしていったのだ。

 

 

 

~以下回想 終了~

 

 

 

 

 

「そんなことあったわね」

 

「桃鉄に関しては血を吐きながら、走り続ける悲しいマラソンだったな」

 

「光の巨人の名言を乱用しないでください」

 

 

そんな中、一人一夏が話題に出したゲームに興味津々の人物が一人いた。

 

 

「ねぇ、一夏君。そのホラーゲーム貸してくれない?」

 

「構わんが...」

 

「おすすめのプレイ方法ある?」

 

「暗闇、ヘッドホン推奨」

 

「じゃ、その方法でやってみるわ」

 

「え?お姉ちゃん正気なの!?」

 

 

まさかの楯無がマジンハザードに興味を持ち、一夏から最も推奨されていない(・・・・・・・・)方法を教えられ、それを実行しようとする楯無に正気かと疑う簪。

 

 

「大丈夫よ、簪ちゃん。所詮ゲームなんだから怖いなんて高が知れているわよ」

 

「あー、自分から地獄に足を踏み入れちゃったよこの人」

 

「流石の私もあれは引きましたね。人類悪と言う言葉が浮かびましたね」

 

「人間ってあそこまで醜く、貪欲なれるんだって初めて知ったよ」

 

 

トラウマにならなきゃいいなっと思いながら、一夏達は楯無をみるのであった。

 

 

 

 

 

~おまけ マジンハザードplay(楯無)~

 

 

 

 

生徒会室の大型モニターに借りたハードを繋げ無線タイプのヘッドホンをする楯無。

 

 

「噂のゲームどれほどか、この私が確かめてあげるわ!」

 

 

意気揚々と挑む楯無であったが、そんな彼女を恐怖のどん底に落とし込む。

 

 

 

【どうして...、どうして死んだの...?】

 

 

一人の女性が呆然とした声で呟く。

 

目の前には血塗れになった少女の死体。

 

一見すれば愛する者を失った悲劇に見えるだろう。

 

だが、これはそんな生易しいものではない。

 

 

【ほんの数百万回殺しただけじゃない?】

 

 

血と脂で切れなくなったナイフを、少女に突き立てながら女は涙を流す。

 

まるで、少女が別の誰かに殺されたかのように嘆く。

 

深く、深く、海の底に沈みこむような絶望と狂気の声で。

 

 

【僕はただ、君を殺したかっただけ(・・・・・・・・・・)なのに】

 

 

己が惨たらしく殺した(・・・)少女の前で女は慟哭の声を上げる。

 

心底悲しげに、殺した者に憎しみを籠めるように。

 

女性の後ろに現れた黒髪の男性は続けるように叫ぶ。

 

 

【死んで欲しくなんてなかった! 俺はただ君を殺したかっただけなんだッ!!】

 

 

それは狂気。

 

一体、それ以外でこの叫びを表せるだろうか。

 

己で殺しておきながら、死んで欲しくなかったと零す二人。

 

手が届くのならば、この手で男女平等パンチで殴り飛ばしてしまいたいと願うほどに、二人は狂っていた。

 

 

【バルバドス...? 君の心臓(思い)は僕だけのものなんだよ?】

 

 

抉りだした心臓があった場所に手を入れ、体内を掻き回すが既にそこには何もない。

 

この程度ではまるで満足できないのに、どうして死んだのだと。

 

 

【バルバドス......目を開けてよ。じゃないと君を殺せないじゃないか】

 

 

塵すら残さないとばかりに、女性は少女の体を解体し始める。

 

骨を奪い、目を抉りだす。とてつもない価値がついた宝石を扱うように丁寧に、優しく。

 

そして、傍と気づく。自らの様子を窺う―――楯無という存在に。

 

 

【やぁ、こんばんは。君は......良ぃー爪を持ってるねぇ。まるで混沌が見えるようだ】

 

【その首についた鎖...まるで愚者のようだね。それに中々、いいスカラベと勲章を身につけているね】

 

 

 

ニタリと女性と男性の口が大きく歪む。

 

乾いた血と肉片が顔の表皮からこぼれ落ちていく。

 

それを勿体ないとばかりに舌で舐めとり、女性はバルバトスの体をゴミのように投げ捨てる。

 

死んだ体に興味はない、今欲しいのは新鮮な生き血だと言わんばかりに。

 

 

【今夜は月が綺麗だ。きっと君の冷たく青白くなった肌に良く映える】

 

 

【さぁ、死ぬ物狂い(カーニバル・)な狂宴(ファンタズム)を始めよう】

 

 

狂気に満ちた満面の笑みに思わず気圧され、一歩下がってしまい小枝を踏む。

 

パキリ、そんな耳を澄まさないと聞こえないような小さな音が立つ。

 

でも、虐殺開始のゴングにはそれで充分だった。

 

 

【お願いだから死なないでね? 僕は君を殺したいんだから―――永遠にねぇッ!!】

 

【その透き通るようなきれいな声で、悲鳴をあげてよ!!】

 

 

二人が嬉々として襲い掛かってくる。

 

 

―――目を抉られ、爪を剥ぎ取られも、死ぬ物狂いで抜け出すも二人は黄金に輝くりんごと、虹色に輝く結晶を齧ると、先程とは段違いの速さで追いかけ、捕らえる。

 

逃れられないように、足を切り、爪を剝ぎ取り、体内の結晶を引きずり出していき、残りの爪を剥ぎ取り、失った目から流す血涙を瓶に詰め、身につけていた装飾を剥ぎ取っていく男性に楯無は全く反抗ができない。

 

コントローラーを動かすはずの指は凍り付いたまま動いてくれない。

 

 

【ヒャハハハッ! 死なないで! もっと生きてね! 僕は君がもっともっと欲しいんだッ!】

 

【目だ!鎖だ!骨だ!心臓だ!もっとだ...ミステリアル...お前の全てを俺によこせ!】

 

言葉とは矛盾するように、画面の中の楯無は殺されていく。

 

一秒たりとも休まることなく、何百もの死を体験する。

 

殺してくる。欲望のままに、ただひたすらに殺してくる。

 

これを悪と呼ばずに、罪と呼ばずに何と言えばいいのだ。

 

間違えようがない。二人の存在は―――人類の悪性そのものだ。

 

 

【あれ...? 噓でしょ。もう、動かなくなっちゃうなんて...嫌だよ。僕、嫌だよ!

 

君が死んじゃうなんてイヤだ!! まだ、3万回しか君を殺してないのにィ!!

 

お願い...目を開けてよ。まだまだ、全然、爪を剥ぎ取れてないんだよ?

 

死なないで、僕のために生きて。もっと―――殺させてよ(楽しませてよ)?】

 

 

 

赤髪の女性の狂気に染まった顔が映ったところで、楯無は耐えきれずにゲームの電源を落とした。

 

楯無は大して効いていないはずの冷房にガクガクと震え、あまりの残酷さに、握っていたコントローラを離し、静かに目を覆っている。

 

夜の闇に覆われた部屋に居る誰もが、凍り付いたまま動けない。

 

 

「お嬢様、紅茶を淹れました」

 

「ぴゃぁぁああああ!?」

 

 

背後から聞こえた声に、思わず悲鳴を上げながら飛び跳ねる楯無。

 

 

「なんですか、急に声を上げて?」

 

「一夏君に借りたゲームが並みのホラーゲームより怖かったのよ...」

 

「マジンハザード...本音が一人でやると怖いってゲームですね」

 

「あ、良かったら虚ちゃんも一緒にやらない?」

 

「時間もありますし、いいですよ」

 

 

一人でやるより、二人でやった方が怖くない筈、と電源を入れた楯無。

 

 

 

【【よかった。また、バルバドスを―――いっぱい殺せるんだ】】

 

 

モニター一杯に映った血の付いたナイフをチラつかせ、狂気の笑みを浮かべる女性と男性の姿が映し出された。

 

 

 

夜8時の生徒会室に二つの悲鳴が響いた。




土方さん取ったー!CVキングじゃないですか!!(おい、デュエルしろよ

茶々はCV阿澄さん ロり声が最高じゃー!


増えるノッブの中にマジンガーとか、ロボグレンダイザーとか、ガンタンクとか、あの攻撃はどう見ても内閣総辞職ビームだよな...やっぱぐだぐだなのじゃ。


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