今年も執筆していくのでよろしく。
「あー......これは師父の負けですねェ」
皮肉っぽい発言をしたのは細身の少年だった。羅濠教主の直弟子の一人にして、一夏の弟弟子である陸鷹化だ。彼と共にエリカやリリアナも歩み寄ってくる。どうやら無事の様で護堂は安堵した。
「負けね...。俺一人じゃ、どうにもならなかったらな。一夏さんが居なかったら負けてたのは、こっちだからな」
「一夏兄さんのことだから、ある程度余裕を残して戦ってるからなァ。まぁ、草薙さまを戦い慣れさせるために手を抜いていたと思いますよ。ほら」
陸鷹化は自分の師に視線を移すとそこには膝を突き俯いたまま微動だにしない羅濠は護堂の一撃により気絶していた。陸鷹化が言った戦い慣れさせるという言葉に護堂はまさか、と思い倒れた一夏を見る。
「なんでさ」
そこには希望の花を咲かせるポーズを取っている一夏の姿があった。何処からとなく止まるんじゃねぇぞ...、という声が聞こえたのは気のせいだと思いたい。何処からともなくフリー○アが聞こえてくるのも気のせいだ。とある水色の髪の人は「
―――一夏の背中から大量の血が噴水の様に舞った。
「は?え?」
「一夏さん!一夏さん!?一夏さぁぁん!!?」
「はうぅ...」
余りの異様な光景に茫然とし、ある者は困惑し、ある者は安否を確かめ、ある者は気絶寸前だった。そんな中、血の勢いが止まり、血の海に沈んでいた一夏の身体がむくり、と起き上がる。
「あー、死んだ。まじで、死んだ。あの人容赦なく殺しやがった」
「え、あの...大丈夫なんですか?」
「軽く精神体で死んだけど、大丈夫大丈夫平気平気、背中穿たれただけだから」
「全然大丈夫じゃない!?」
「あのー、一夏...一体何があったのか説明してもらっていい?」
「あれはふざけて希望の花を咲かせるポーズを取った時に不本意ながらいきなり視界が暗転して意識を手放してな。気が付いたら別の場所に居たんだ」
「ここは...。どこだぁ...?」
意味不明な現象が起きるとそこは見知らぬ大地だった、と変なナレーションを付けた一夏の目に移ったのは『異界』という言葉が相応しい所だった。大地に蔓延る亡霊、生命が生きていくのは不適合な死が蔓延した空間、ここの主が住んでると言わんばかりの城、一目で現世ではない事に気づいた一夏。自分の身体の調子を確認する。体は動く、呪力も使える、試しに海神の権能で試し使用可能だと確認できた。さて、ここからどう出ようか考えていると一つの気配が近づいてくるの気が付いた。
「ほぉ、我が領地に珍しい来客と思えば強者が放つの覇気を感じる人間...お主、本当に人間か?」
「邂逅一言目、ちょっとひどくないですかね?」
「実際、貴様は混ざりもの故、一目では判別が厳しい。かの騎士王が持つ『星の聖剣』と同じ気配、いやどちらかといえばメソポタミアの神々が生み出した土人形が
黒い戦装束、簡潔に言うのであれば黒い全身タイツ姿はどことなく親友である光の御子の全身蒼タイツを沸騰させ、そして何より目を引くのはその手に持っている
一夏は知っている。目の前の女性が誰なのか。その名は―――
「...影の国の女王、スカサハ」
「ほほぉ、儂の事を知っているようだな。如何にも、儂こそが影の国の女王スカサハだ。久方ぶりに門が開いた思って来てみれば...。ふむふむ、かなりの強者と来た」
「ここが影の国でお前がスカサハだということも分かった。俺はここから出たい。どうすればいい」
「先ずは状況の確認が必要だな。ここに来るまでの経緯を教えてもらおうか」
一夏はすぐさま戻る必要があったため、事の経緯を説明した。必要となる情報は全て話した。
「なるほどな、となると根底から考え方を変えねばなるまいか。...まさか違う世界からの来訪者とはな」
「戻る方法は?あの門を潜ればいいのか?」
「まぁ、そう慌てるでない。にしてもよく見れば見るほど、奇怪な小僧だ。先ほど言ったことと言い、貴様に絡みつく幾星霜もの人間の願いと思い、それを体現する祝福の結晶...、これは最早呪いだな。貴様に待ち受ける未来は...いや、これ以上は言うまい。これは当人が打破すべき事は当人に任せるべきか」
「あのー、戻る方法は...」
舐め回すように見ると、なにやらぶつぶつと呟く中、一夏は恐る恐る聞く。
「あぁ、それなら問題ない。すぐ解決できる」
「すぐ解決できる。そうか...で、なーんで槍を構えてるんですかね?」
「今の貴様は肉体と魂が分かれ、魂を覆うように強引な肉付けをした状態。仮初の肉体と言った所だ。この肉体との繋がりが無くなれば魂はあるべき場所に戻ろうだろう。故に貴様と戦う」
「なんでさ!?なら、術式組んでやれば十分じゃないですかねー!?」
「別に、久方ぶりの実戦だとか、未知の体験に心が躍り、術式を組んでやるのがもったいないとかではない。断じてない」
「それ本音ですよねぇ!?」
「構えろ勇士。でなければ死あるのみ」
「あぁ、もう!やってやるです!!」
「偽りの肉体は崩れた。後は時間が経てばここから居なくなるだろう」
「俺生きている...。マハード、マナ...俺ちゃんと生きて帰れるよ...」
戦闘描写は割愛するが一夏曰く「いつ(魂が)死んでも可笑しくなかった」「久しぶりに死を覚悟した」と軽くトラウマを植え付けられたと言っておこう。
生の実感をしている一夏だが、意識が次第に遠のいていくのを感じた。
「どうやら、始まったようだな。久方ぶりの勇士との死合、よき一時であった。また、楽しみたいものだな」
こんな経験二度とごめんだぜ、と一夏は指先一つ動かせない状態で心の中で思った。だが、変な思いは仇となって帰ってくるのは世の理。
「貴様が、我が影の国に来れるように貴様に細工を施しておいた」
「え?」
「儂の気が向いたときにお主をこちらに呼び出す。ふふっ、セタンタ達以来の教え甲斐がありそうだな」
ナンッテコッタイ/(^o^)\っと内心嘆いている一夏にスカサハはその深紅の瞳で嬉しそうにそして何かを念願しながら一夏を見る。
「貴様がセタンタと同じ槍を使う以上、生半可なものでは儂が許さん。故に扱く、徹底的に扱き『好きなものはゲイボルク、得意なことは槍術及びゲイボルク、好きな事はゲイボルク、尊敬する人物はスカサハ』と思うような立派なケルトの戦士にしてやろう」
「それ洗脳ぉっぉぉぉぉ!?」
「お主ほどの者なら、すぐ上達する。...お主なら可能かもしれんな。儂を―――」
最後の言葉は聞こえなかったが、決していいものではない事はスカサハの表情を見て理解できた。これから不意に訪れる地獄に怯える日々が始まるのだった。
「という事があったんですよ」
「馬鹿ですかアナタは」
「基本的に悪い事してない筈なんですがねー」
頭をポリポリと掻く一夏に見知った顔がいる事に気が付く。
「おう、陸じゃないか。翠姐の付き添いか?」
「えぇ、そうなんですけど...此度の戦、その勝敗をどうしようかと思いましてね。師父は気絶。其方は双方ともに重傷です」
「なら、痛み分けが妥当だろう。生憎、今の状態で使える権能は少ない。あの影の女王め、残していていた再生が残り僅かまで減りやがった」
あー、穿たれたとこ痛い、と腰を擦る一夏。
「うん、その辺りが落としどころかな。じゃ、そろそろ起こしますか。―――師父! お目覚めください、師父!大丈夫でございますか!?」
「たしかに深刻な昏倒ではなさそうだが、治療した方がいいんじゃないか?」
声をかけるだけの陸鷹化は肩を竦め、一夏はあー、と声を上げる。
「翠姐はだな...、寝ていたり意識が無くても、相手の首をねじ切る位は出来るんだよ。俺の様に不死の権能とかがあるならまだしも、ないなら要人にこしたことは無いんだわ」
「わぁお」
「この師にこの弟子ありね」
とんでもない話を聞き戦慄する中、この
「...こ、ここは?私は一体―――?」
「師父。お三方の猛々しい立ち合いを弟子陸鷹化、目から鱗出る思いで見届けました。草薙様と一夏兄様持力を使い尽くして一歩も動けず、師父も気絶となれば、ここは勝者無しの引き分けとすべしと検分しますが、如何に―――」
最初こそ無言だったが事の顛末を思い出した羅濠の顔が羞恥でみるみる赤くなる。
「鷹児、お前の検分は至極妥当といえましょう! 皆の者、さがりなさい!」
その直後であった。この場に集う者は涼やかな少女の声を聴いた。
「おや、神殺し諸君、どうしたのかね? そのようなボロボロの成りをして? ははは、そうか。お主らはまだ勝負をやっていたのか。血の気の多い連中よのう!」
万理谷ひかりの声でありながら全く異なる存在が発する声は金色の雲に乗って、空中から下界を見下ろしている目が可笑しかった。眼球が赤い、瞳は金色で所謂
戦いの後で、呪力も肉体も限界に近いのに対して、闘志が沸きあがってくる。まるで長年の宿敵と再会したかのように。
簡潔に言うのであれば今の万理谷ひかりは
「蘇ったのですね。美猴王」
(にしては少し疑問がある。ひかりの身体に
一夏は考える。小さな疑問であっても見落とさず、答えを見つける。「全体に集中して、小さなもの見落としてはいけない」これが、一夏の神殺しとして戦う上で欠かさない要素の一つだ。例え、ほんの小さなモノでも紐解けば答えを見つける重要な情報になりえるからだ。
「如何にも、如何にもじゃ、同郷の神殺しよ!」
ひかりの声で『まつろわぬ神』は天を指さす。
「我は猿猴君臣に非ず。我は天なり。天に斉しき存在なり」
その威厳は明朗快活な巫女のモノでもなく、滑稽なサルのモノでもなかった。
「我、石より生まれし猴王にして、神通無限、変化は千変にして万化なり。天宮にて丹を偸み、酒を貪り、蟠桃を喰らう。武を弄び、凶を為し、悪を顕す!」
ひかりの手中に鋼の棒が現れた。
「我が性は孫、名を悟空。斉天大聖の号を得たり!」
斉天大聖・孫悟空。それがあのまつろわぬ神の名だった。
同時刻・成田空港では、ターミナルを出て特急列車を探す、一人のアメリカ人女性がいた。
つい先日、夜叉王こと一夏をディナーに誘ったはいいが酔っていたと言え痴態さらしてしまった事をがっつり覚えている彼女は最近、忙しく海外旅行に行っていない事を思い出した。
悪の魔法使いとか怪物とか悪魔とか暴君とか暴君とか暴君とか、最近の心労は彼の様な気がする。 主に一方通行な恋愛という意味で。
酔った女性を自宅まで付き添い介抱するのは紳士的でいいだろう、酔っていた自分が『着替えさせて』というと少々めんどくさそうな表情で着替えさせ、母親が子を寝かしつけるかのような感じで夢の世界に行かせ、寝ている間に家事、掃除、洗濯(下着を含む)を全てこなし、朝食まで用意していくという始末。
無防備に寝ているそれなりに綺麗な女性がいるのに襲わないとはどういう了見だろうか。ナニもされなかった自分の身体を確認し、私には魅力がないのか、と絶品低カロリー朝食を食べたのは記憶に新しい。
『乙女に対する気づかいは出来るのに、乙女心は理解できないとはこれいかに...』
『よもや、女性として見られていないのでは...。周りにいる女性はどれも綺麗ですからなw』
親しい老人たちなら、このように言うだろうな思うのだった。
彼女の名はアニー・チャールトン。またのをジョン・プルートー・スミス。ロサンゼルスにおいて生きる伝説とまで言われる魔王その人である。
最近、アークスに復帰したり、仕事辞めたり、ヒャ、我慢できねぇ、EXAMだァ!とBD2号機に乗った、大乱闘したり、新しい艦これ若しくはアズレンのギャグ小説が浮かんで進まなかったなんてことは絶対ない。絶対にだ!
このまま次巻分までやってもよかったのですが少しキリが悪いので、今回短めでした。