インフィニット・ストラトス ~蒼天の魔王~   作:ハルン

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久しぶりの更新。

今回は真面目成分が多いです。あー、ギャグかきたい。


迷いと協力者

ひかりの身体に斉天大聖が憑依し復活をは現世に蘇った。

 

 

「姿はともかく《鋼》として本地を取り戻したようですね。......、よいでしょう大聖。今こそ決着をつけましょう!」

 

 

羅濠が鋭く言う中、一夏は残る力を振り絞り動こうとするも、うまく力が入らないでいた。それは、護堂も同じようだった。

 

 

「護堂、このまま戦うのは相当厳しいと思うわよ」

 

「ええ、奪われた万理谷ひかりの奪われた体を取り返したい所ですが、あなたも羅濠教主も休息し、力を蓄えなくては。退却すべきです」

 

「王よ、どうかご決断を」

 

 

脇からエリカが警告し、リリアナが進言し、マハードが決断を求める。

 

 

「では、古き因縁にケリをつけるかね。ただし、まとめて始末させてもらうがね」

 

 

黄金の雲に乗ったまま、地上を見下ろしている。ただし、その目には一夏や羅濠ら神殺ししか映っていない。

 

 

「至れる哉、坤元(こんげん)。萬物資りて、生ず。乃ち順(すなわちしたが)いて天を()く地勢は坤なり!」

 

 

斉天大聖が片手で印を結び、口訣(こうけつ)を唱える。変化はいきなりだった。禿山となった日光東照宮の奥社の地面が石となって固まっていた。一夏達の立っていた地面は、瞬く間に覆われていった。

 

 

「ははははは!石山岩窟の秘法を持って、おにしらを閉じ込めてくれる!」

 

「くっ――!私達を封印するつもりですか」

 

「ははッ!ご名答じゃ!手負いとはいえ、おぬしら神殺しは侮れぬ……いや、むしろ手負いの方が恐ろしいという、道理の通じぬ奴らじゃからのう。せっかく蘇ったんじゃ、あえて火中の栗を拾いに行く必要もあるまいて!」

 

「...チィ!野郎ゥ!!」

 

 

咄嗟に地面を殴り上空に飛んだ一夏は、斉天大聖の眼前まで近づくと回し蹴りお見舞いしようとした。

 

 

「甘いぞ!小童!!」

 

「...ぬぅ?!」

 

「一夏!」

 

 

だが、斉天大聖が持つ如意棒で腹部を叩き付けられ苦悶の表情を浮かべながら、マハードたちのいる方に、飛ばされた。

 

 

「護堂!」

 

「草薙護堂!」

 

「師父!」

 

 

エリカ、リリアナ、そして陸鷹化が叫んだ頃には、二人を地面に沈み込んでいった。

 

 

「咄嗟に反撃に移ったのが功を奏したと言うべきか...。何とか全滅は免れたか」

 

「おぬしの身体は、限界が近いのではないか?いや、身体だけではない、精神そして魂すら摩耗しているようにみえるのお」

 

「俺が限界だって?フッハハハハ!そんなもん、テメェの物差しだけで測ってんじゃねーぞ!!」

 

「一夏!」

 

 

呪力も権能もほとんどが使えない一夏は、思いっきり地面を蹴りもう一度、斉天大聖に肉薄する。

 

 

「大衆は我らが権能得た事に目を行きがちだが、真に恐ろしいのはその底なしの戦闘欲とその魔獣にも等しい性質よのお。現に権能は使うこと敵わない筈の身でここまでくるのだからな」

 

「逆境を好機に変えてこそのカンピオーネ(勝者)だからな!――ッ?!」

 

「むぅ?」

 

一夏の拳を余裕の表情で受け止める斉天大聖と次の一手を考える一夏に謎の悪感と視線を感じた。まるで、この世の悪意や不条理と言ったものを混ぜ合わせ、圧縮したような混沌としたナニカの視線を感じる方に一夏はゆっくりとかを向ける。

 

 

「...なんだ...アイツは」

 

禿山と化した一角に肌も衣服も漆黒に染まった男がその無機質な瞳で一夏を見つめていた。

 

 

「あいつ?あそこに誰かいるのか」

 

「僕たちには一切見えないけど...」

 

「ふむ、この孫さまにも見えぬがお主の視線の先に一人分の謎の空白の様なものを感じるのお。そこだけ切り取ったように(・・・・・・・)何も感じぬぞ」

 

「どういうことだ...」

 

マハード達だけではなく、まつろわぬ神である斉天大聖すらも視認できない状況に自分の頭が可笑しくなったのかと錯覚しかけるも、特に何もしてこない様子だ。

 

 

「ふむ、見えぬ存在からの視線と言うのは不気味なものだが、何もするつもりがないのなら放っておいても問題なかろうて」

 

「ぐぅ...!」

 

斉天大聖は不気味ではあるものの、邪魔さえしなければどうこうするつもりはないようで、空いた手で如意金箍棒を振り回し、一夏の横腹に叩き付けると怯んだ所を見逃さず、金色の雲の上で振り回し、放り投げる。

 

 

「大丈夫ですか!一夏!!」

 

「平気だ。たかが、肋の数本折れた程度...。いつものことだ」

 

「全然、平気じゃないから!速く手当てしないと!!」

 

「護堂無事だったのね!でも、羅濠教主は!?」

 

 

マハード達の近くに投げ飛ばされた一夏の気に掛けるマハードに、いつものことだ、と平気そうな顔をするが、シャルロットは問題だと言い手当てするよう勧める。そんな時、先程護堂達が沈んだ場所から白虎が護堂を桑乍ら飛び出すが、其処には羅濠の姿はなかった。

 

 

「お、俺を助ける代わりに、下に落ちていった。本人は自力で脱出するって言っていたけど」

 

「師父らしい言い草ですね。草薙さまを見捨てて自力で一人で戻ったら、悪い噂になると考えたんでしょう」

 

「あー、確かに翠姐なら考えそうだ」

 

うんうん、と頷く弟子二人によく師匠の人柄を理解しているな思う護堂。そして、どんな師弟関係だよ、と思わずにいられないIS組なのであった。

 

 

「ほう、一人逃がしてしまったか。思い通りにはいかないものじゃのおう

 

雲の上にに乗っていた如意金箍棒を振り上げた。

 

 

「みんな、集まれ!ふもとまで飛んで、万理谷祐理と合流しよう!」

 

「飛翔術で行くにもこの人数だと限度がある...。IS持ちは一か所に集まれ!海門(ゲート)をお前たちを逃がす!」

 

超高速で移動できる飛翔術を使う気の様だが、あの孫悟空から逃げきれるか疑問に思うと同時にIS組の今後の自衛手段としてなるべくSEは消費したくない一夏は残りの呪力を使い逃がそうとする。

 

 

「だが、一夏はどうするつもりだ?まさか残る気なのか」

 

「俺のことを考えるなら、とっと海門をくぐりやがれよ!」

 

「い、一夏!?な何をッ!うわあああぁぁ!!」

 

この場にいたIS組は次々と海門を潜っていく中、最後に残った箒が一夏のことを気に掛けるが、現状あまり余裕のない一夏は地面を思いっきり殴り、箒の近く箒の眼前まで跳ぶと胸ぐらを掴み思いっきり海門に向けて投げ込み、潜り終えたのを確認して、海門を閉じる。

 

 

「ふふん、逃げても無駄じゃよ。この孫さま、電光石火の早駆けに自信があってのお。十万億土の端から端までひとっ飛びで―――くはっ!?」

 

目に見えない一撃を受けたかのように雲の上で膝を突く大聖。それを好機と見たリリアナは飛翔術を使いその場から逃げ、一夏もマハードの飛翔術でその場から逃げた。ふもとの表参道へ着陸すると祐理とプリンセス・アリスが駆け寄ってくる。

 

 

「万理谷!すまない、ひかりがあのあのサル、斉天大聖び身体を乗っ取られて......!」

 

「はい、もう存じております。姫様が幽―――あの御力で護堂さんや一夏さんと教主との戦いを覗かれて、なにが起きているのかを教えてくださいました」

 

護堂が謝罪しようとしたら、万理谷に遮られた。そしてプリンセスが現状を教えてくれた。山のほとんどが強力な神力で侵され、一夏達を封じ込めようとした結界を疾くとしたら数カ月長ければ数年はかかるとのこと。なので羅濠をすぐ救出することはできない。

 

 

「でも、その割には貴方たちはお師匠様の心配をしていないようね?」

 

皆が不安そうな顔をする中、陸鷹化と一夏は違った。陸鷹化はのほほんとし、一夏は羅濠とは関係のない事を考えているようだ。現に「あの黒い男は...」とか「インド神話の連中とは違う...」だの今の現状とは関係のない単語をぶつぶつ呟いている。

 

 

「だって、閉じ込められただけで死んじゃいないんだろ?だったら師父は自力で牢屋をぶち破る方に賭けたっていいな」

 

「あら、その根拠は?」

 

「ないよそんなの。でもさ、其方の王様が同じ境遇になったとするだろ。姐さんたちも、多分心配はするけど死んだとか思わないじゃないか?それと一緒だよ」

 

陸鷹化の言い草にエリカは目を丸くし、そのあと微苦笑いした。それは、マハードやマナ達も同じようだ。そんな話をしていたら石化した杉林の奥から小さい生き物がこちらに近づいてくる。――――猿だ。

 

 

「何だこいつらは?斉天大聖は野生のサルでも呼び出したのか?」

 

「にしたって、数が多すぎな気がします」

 

「さっきから気になっていたんだけど、近くに居た人たちは何処に行ったのかな?」

 

嫌な予感がする...。一夏がそう思った時だった。媛巫女である万理谷が声を震わせながら叫んだ。

 

 

「このサルたちは――いえ、この方々は人間です!斉天大聖さまの神通力でサルに変えられてしまったんです!おそらく、さきほどまで日光山に訪れていた方や、町の方々ではないかと...」

 

まつろわぬ神が現れた土地には非現実、超自然現象がしばし発生する。今回は、人がサルに変わったのだ。斉天大聖に支配されたサル達から逃げる算段を立てる一夏達だったが、途中斉天大聖の神獣である大型のサルに邪魔をされたが、一夏達は事件が解決するまで借りることを決めた所有者不明の車に乗り闘争をするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日光市街から少し離れた霧降高原に到着する一行。一夏達は休憩できる場所がある霧降高原のキャンプ場のログハウスで英気を養っていた。

 

 

「おい、一夏は大丈夫なのか?」

 

「一夏は今、消費した精神力と呪力の回復に努めています。ですので、騒がず、焦らず、ちょっかいを出さないでください」

 

一夏の容態が気になった箒はマハードに問い詰めるが、マハードは冷静に余計なことはするなよと警告をする、。現在一夏はログハウスの外で座禅を組みながら、瞑想をしていた。

 

 

「あれで、その呪力とかが回復するのか?」

 

「他の方がどうかは知れませんが、一夏はある権能を得てからは、早急に力を蓄える必要がある場合、あんな感じで回復しますね。なんでも、『大地から力を吸収し、自分の力に変換する』らしいです」

 

「ん?どういう事お兄ちゃん?」

 

「マナ......。お前って奴は...」

 

魔術についてつい最近知ったばかりのラウラが疑問に思うとマハードは、知っている限り説明するが、かなり長い時間一緒に居るはずのマナが理解していない事に、頭を悩ませるマハード。

 

 

「簡単に言うなら「オラに元気を分けてくれぇ!」した奴を自分に還元するといえばわかりやすいでしょうか」

 

「すまん、さっぱりわからん」

 

「あー、なるほど」

 

「あー、そーゆーことですわね。完全に理解しましたわ(わかってない」

 

マハードなりに分かりやすく説明したつもりだったが、箒、セシリアには今一つ理解できなかったようだ。そして、護堂は正史編纂委員会のお偉いさんである沙耶宮と連絡中だ。そして、スパイスの香ばしい匂いがすると一夏の閉じていた瞼が開く。

 

 

「飯の時間か、マハード」

 

「先程、リリアナ殿が料理すると言っていましたのでもう出来ているのでは?」

 

「腹が減っては戦はできぬ!飯をたらふく食うぞ!!」

 

美味しそうな匂いの痕跡を辿り進む一夏の後に続くIS組。

 

 

「一夏、その呪力とやらは短時間で回復しないのか?」

 

「呪力を水と考えるなら、コップと鍋だと入る量が違うだろ。それと同じでな、俺達カンピオーネの呪力は魔術師の約数百倍だ。普通の魔術師と比べて、それを全開させるとなるとそれなりに時間がかかるんよ」

 

「な、なるほど」

 

「さっきの座禅はその時間を短縮するための補助の様なものかしら?」

 

「それに近いな。自然回復しつつ、他所から吸収することで一度の回復量を増やすのが目的だな」

 

会話をしながら進むと、食卓に並べられたキャンプの定番バーベキューやカレー、イワナやニジマスの塩焼き山菜のおひたしなどかなり豪勢だった。食べ終えた一行は、今後のことについて話そうとする中、そこには一夏の姿が無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生い茂る木々の中で一人の男が思い悩んでいた。

 

 

「俺が見たあの男...」

 

悩んでいたのは神殺しが一人、一夏だった。斉天大聖との戦いの時に見たあの黒い男が一夏の脳裏に焼き付き離れないのだ。

 

 

「『黒い』というのであればクリシュナが思いつくが、あそこまで混沌とした気配を放つとは考えにくい。この世全ての悪と呼ばれたアンラ・マンユと考えれば納得は行くが...」

 

アンラ・マンユとは、ゾロアスター教に伝わる悪を司る神であり、この世の悪を生み出した存在とされている。一夏の感じた混沌としたあの感じは彼の悪性を現したのかもしれないが、それでも納得できない自分がいた。

 

 

「そもそも、アンラ・マンユはこの世にあらわれる時は蛇や蜥蜴のような姿を取るとされている。だが、あいつは完全な人型だ。それにアンラ・マンユとあの黒い男は恐らく、かなり近い別存在と言った所か」

 

推察を重ねていく一夏だが、納得のいく答えが出ず、モヤモヤとした気持ちとこれ以上、考えてはいけない様な気がしてならないのだ。

 

 

「あぁあ、クソッ!ここまで、答えが出ないのも久しぶりだ!!待てよ...」

 

頭を乱暴に掻く一夏に、ある可能性が思い浮かんだ。それは、存在するかも怪しい創作神話の神。だが、その神の内二柱をすでに倒している為、否定することが出来ない。

 

 

「クトゥルフ神話...黒い男の別名を持つ存在...」

 

―――ナイアルラトホテップ。一夏の導き出した最も有力な答えであるが、一夏はその可能性を否定したかった。なぜなら――

 

 

「もしそうだとして...、俺はどうやって倒せばいいんだ?」

 

倒し方が分からない。他の神話であれば少なからず弱点と呼べるものがある。例えば北欧神話の雷神トールはラグナロクにてヨルムンガンドに致命傷を与え勝利するも、9歩退くとされている。この9歩退くとは、大蛇の毒を受けていたために9歩下がった後に死んだと解釈されるており、トールを9歩後退させれば、死亡若しくは弱体化すると考えていいだろう。この様に何かしら弱点と言えるようなものが残っている場合が多い。だが、クトゥルフ神話となると話は別だ。

 

 

「あいつ等に、明確な死の描写はないに等しい。ましてや、その神の起源やルーツと言ったものがあるか分からない」

 

大体の神話にはその存在の大本と呼べる、ルーツ、起源が存在する。例えば日本で縁起物とされる七福神は、それぞれインド、中国から集めたグループで、中心に存在する大黒天は、家門繁栄、家内安全と言ったご利益があるが、仏教では悪しきものを力ずくで教化して仏道に帰依させる青黒い肌の荒神とされ、本来は鬼神として日本にきたされている。起源を辿るとインド神話に登場するシヴァの一つの化身マハーカーラとされ、シヴァの破壊神としての側面が強く出た鬼神とされている。元を辿ると現在とは違う神性、違う神話の存在と言う事が多々ある。だが、クトゥルフ神話はそういったものが存在しない。

 

 

「地球の神々は脆弱でエジプトの神々は一柱を覗いて旧支配者か旧支配者の眷属だっけか。アイツらは存在というより概念に近い気がするんだよ」

 

概念に近い相手にどう勝てと言うんだ、と珍しく戦う前から弱気になる一夏。誰かに打ち明けられればいいのだろうが、突拍子のない事を言って不安にしたくはない一夏はこのどうしようもない悩みを一人抱え込むしかないのだった。

 

明日に備え、睡眠をしっかり取らなくてはならないが周囲の警戒も必要だ。故に一夏は亡者を呼び出し、周囲の警戒をさせつつ、ログハウスの近くにある木の上で寝る事にした。

 

 

 

 

 

この日、幽霊を見たという一般人が続出したが、それは別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、沙耶宮と合流するべく移動した一夏達だが、車内はある話題が上がった。

 

 

「そういえば、昨日幽霊が出たらしいよ。昨日居たキャンプ場で見たって人が続出したんだって」

 

「幽霊か、今の状況を考えればいてもおかしくないかもしれんな」

 

(多分それ、俺が周囲の警戒をさせた亡者だろうなー)

 

心当たりのある一夏は、まさか目撃者がここまで多いと思っていなかった。

 

「一夏、この幽霊って...」

 

「完璧に俺が警戒に出させた亡者です。ありがとうございます」

 

「気をつけてくださいよ。一応、魔術とかは秘匿されるべきものなんですから」

 

「善処しよう」

 

そんな小話を聞きながら、車は進み沙耶宮との合流地点に到着した。ここで、思わぬ再開があるなどと一夏は考えもしなかった。

 

 

「甘粕さんは、そのごどうなされましたか?」

 

実は、甘粕が現在行方不明になっていたのだが、一夏はそんなこと知らず、敵に見つかり情報を護る為、サヨウナラー!と言いながら爆発四散したのかなと考えていた。

 

 

「その甘粕君だけどね、今朝早朝に保護されてね。この件については面白い話があるからあとにしよう」

 

そして、一夏達はある場所に向かった。そこは、羅濠が斉天大聖の手によって封印された場所だった。

 

 

「甘粕さんの報告だと、この下に羅濠教主が閉じ込められた......といいますか、生き埋めになっているんですよね?無事でいらしゃるでしょうかね?」

 

意思で塗り固められた地面を小突きながら、呟く沙耶宮。

 

 

「はははは!たかが、半日生き埋めになった程度で、師父が死ぬわけないだろ!そんなやり方で師父を倒すんだったら3年は必要だね!」

 

笑い飛ばしたのは石化した杉並から舞い降りた陸鷹化だった。今回の関連人物が続々集まり、会議が行われた。そこで、案の定と言うか予想通りの報告が出てきた。

 

 

「実は昨日、神獣と追いかけっこした後、逆にあいつらの後を追ったら、奥日光の霊山で、ただならぬ気が集まったんで見てきたんですよ」

 

陸は男体で見た一部始終を語った。こうして一夏達は新たな敵の出現を知ったのだった。

 

 

「沙悟浄と猪八戒が現れたね。まぁ、予想していたというかな...従属神の類だろうな」

 

「そうだとして、かなり厄介なことになりましたね」

 

「鷹化、ひかり―――大聖に体を乗っ取られた女の子はどうなった?」

 

「それが妙なんですが、斉天大聖はあの姿のまま寝込んでしまいましてね。遠くから聞いた限りだと、巫女の身体から出れないだとか」

 

ひかりの容態を聞いた護堂は度化案したような表情をした。以前と変わらないとうことは、まだ最悪の事態になっていないという事。

 

 

「...ですが草薙さん。ひかりが、向こうの人質同然も変わらないんですよ?斉天大聖を討つ際、妨げに―――」

 

「沙耶宮さん、そいつを言うのは無しですよ」

 

護堂が素早く遮った。

 

 

「俺はひかりをあのサルから奪い返して、必ず助けます。そのほかのこと――『まつろわぬ神』を倒すとか、困っている人助けるとかは、全部後回しです。だから、今言いかけた事を俺に説明する必要はないですよ」

 

「...それが、あなたのご結論ですか」

 

護堂の言葉を聞いた一夏は、順調に染まり始めてるな、と思った。普通であれば、100(人々)を救うために(ひかり)を切り捨てるだろう。だが、護堂はその逆を選んだ。正に自分本位、カンピオーネらしい一面が出てきたなと思った一夏だった。

 

 

「迷惑な神様がいて、それを倒すことが俺にしかできないならおれが戦うのは別にいい。かまいません。でも、俺の力は俺だけのものだ。誰かの自由にさせるつもりはない。俺が気に食わない事に力を使うつもりはないし、それに対しての文句を聞くつもりもないんです」

 

護堂の言葉を聞いたIS組が驚きを隠せずにいる。中には何を馬鹿なことを、と言った表情をした人もいる。だが、これが神殺しなのだ。

 

 

「女の子一人見捨てて、もっとたくさんの人を助ければいいとかいう奴は、自分で神様と戦えばいい。俺の知ったことじゃない。でも、俺にどうにかして欲しいなら、俺の流儀に合わせてもらおう。要はそれだけの話です。他人の力を当てにするなら四の五五月蠅いこと言うなってことですよ」

 

「ごもっとな仰せですねェ。草薙さま、それでこそ魔王のお言葉ですよ。ねぇ、一夏兄さん?」

 

「全く、いい感じに育ってきたな。それに付け加えるなら、一度決めた事を曲げるな、諦めるなと言った所かな。中途半端に流されるようなら、アトランティス島流しでもしてやろうかなと思ったけど無用なようだな」

 

魔王と魔王の弟子に褒められ恥ずかしくなる護堂だが、言い方を変えると『いい感じに周りに囚われない自分本位で身勝手な人』になったと言われていることに気づいていない。そんな中、沙耶宮の携帯に着信が鳴る。

 

 

「草薙さん、一夏さん。行方不明になった人がいま到着したそうです。ちょっと面白い客人も一緒なんですよ」

 

行方不明者とは甘粕の事だろうが、面白い客人とはだれか分からず首をかしげる護堂達は東照宮前の表参道まで行く。見慣れた背広姿の人物が挨拶してきた。

 

 

「......ああ、護堂さん、一夏さん。遅れながら今戻りました」

 

力ない口調、しかも顔色も悪い。ここまで弱った甘粕を見たの初めてな護堂。そして、甘粕の後ろに居た白人の女性に気づいた。その時、背後から「ゲェ...」と言う声が聞こえたのは気のせいだろう。燃えるような影のショートヘア、知性と理性の鋭さを表す整った顔立ち。非の打ち所のないクールビューティ、そんな雰囲気の女性だ。

 

 

「こ、こちらアニー・チャールトンさん。いい、意識不明のままずぶ濡れになっていた私を見つけ拾ってくださった、い、命の恩人です」

 

氷を思わせる女性は「アニーよ、よろしく」と流暢な日本語で話した。

 

 

 

 

 

 

甘粕はどうやらずぶ濡れのまま何時間も昏倒強いたせいで風邪をひいてしまったようだ。そして、アニーは自分が日本に来た目的を護堂達に話した。始祖アーシェラを追ってきたとのことだ。

 

 

「隠す必要もないから最初に行っておくと、私はロサンゼルスのチャンピオンに依頼されて、アーシェラの生死を確認するために来たの。あの魔女がもう死んでいるなら任務が終わったと言える。でも、この異変を素通りするつもりはないわ。貴方たちに協力させてちょうだい」

 

「ロスのチャンピオン?では、貴女は――」

 

「ジョン・プルート・スミスの部下なの!?」

 

驚くリリアナと万理谷だが、一夏が前に一歩出ながら言った。

 

 

「なーにが、ジョン・プルートの部下だ。お前がジョンアアアアアアアァァァァァ!!?」

 

何か重要なことを言いかけた一夏だったが、途中で悲鳴に変わった。何故か、理由は簡単である。

 

 

「イッテェ!?ハイヒールの踵で思いっきり踏むなよ!!複雑骨折したじゃねーか!」

 

「あなたが変なこと言おうとしたからよ。今度言ったら踏みますよ」

 

「踏んでから言ったー。そもそも、変態コスプレ傍迷惑偽善者がいまだに真実と言う名の純白のベールを脱がないから俺が代わりに―――ぐおぉ!?」

 

一夏の足にハイヒールの踵で思いっきり踏んだのである。痛がる一夏は尚も辞めるつもりはなく、更に言おうとした瞬間、今度はアームロックで一夏を締め上げてきたのだ。二人の関係をしらない人たちは顔の色を青白くしながらあたふたしていた。

 

 

「私は部下ではなく協力者で、彼は今だに存在し続け、自分の国を築いた事のない人物。あと私と彼は旧知の中だからこれ位無礼講よ。OK?」

 

「アッハイ」

 

「分かった、分かった。俺が悪かったから離して、な?イテテテテテテェ!」

 

「アニーさん、それ以上はいけない」

 

身体を張ったミニコントが始まったが、戦う前にダメージを負うのはあまりよろしくないので、護堂は止めに掛かった。そして、アニーを含め情報の共有をした。陸が目撃した男体山での三神集合。弼馬温の消失。一夏が語り、それに対し頷く者、頭を悩ませる者、救出がこんなになったこと知る者と様々だった。

 

 

「そう、それは大変な状況ね。だとしたら、一刻も早く現地に向かって、事件の解決に臨むべきだわ。そうじゃない、ゴドー?」

 

アニーは先程の事が嘘のように表情を変える事も無く言う彼女に大丈夫だろうという思いと僅かな不安を感じながら、北米のカンピオーネの協力者を名乗る女性は、そう思わせる不思議な何かを持っていた。彼女の問いかけに護堂は頷いた。




FGOでエルメロイの事件簿コラボ。ルヴィアとライネスはゲット。グレイは配布。

予想だとグレイはランサーだと思ったけど、アサシンですかー。

レイドがあるようなので、がっつり刈り倒しゲフン!倒さないと!


新しく、艦これのギャグ小説を執筆中です。

記憶喪失提督と艦娘の記憶 もよろしくお願いします!
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